「優しいアンタにこれをあげよう。一日一回。
このアメを舐めるといい。舐めてる間は、幸せな夢を見ることができるよ」
そう言って知らない老婆から渡されたのは、小さな小瓶に入った星型のアメ。赤、青、黄、、様々な色をしていてとても綺麗だ。
幸せな夢を見れる?はっ馬鹿馬鹿しい。おあいにく様。
そんなもの、俺は信じてないんでね。変な押し売りにあったものだ。
だがまぁ、一つ試してみるのもいいかもな。気まぐれに、紫色のアメをくちに含んだ、
甘ったるいブドウの味が、口一杯に広がり舌にまとわりつく。
味は他のアメと、変わりない。身体に変わったところもない。やっぱり、ただのアメ玉じゃねぇかよ。なぁにが幸せな夢をみれる、だよ。アホらしい。
なんだかイライラしてガリっ、とアメを噛んだ。
「なーにしてんのっ!アメはかんじゃダメでしょっ!」
「、は?、」
腰に手を当て、怒ったような顔をする目の前の人物は、去年交通事故にあってかえらぬ人と、なった親友だった。
「なん、でお前が、、死んだんじゃねぇのかよ、、」
「はぁ?死んだ?なに寝ぼけてんの?僕はこのとおり、ピンピンしてますけど??」
勝手に殺すなよなーーっ!!と、あの頃と変わらない馬鹿みたいにデケェ声で、アホみたいにけらけらと笑った
なぁ婆さん。このアメは本物なんだな。またコイツと話せるなんて、
ーーなんて幸せな夢なんだろうか
俺はアメを噛むのをやめ、大切に少しずつアメを舐めた
どうか、なくならないでくれ。
3/20/2024, 1:35:18 PM