ところにより雨
雨は好きだ。嫌な外体育は無くなるし、雨の匂いは落ち着く。傘をさすのも、ザーザーという音も好き。
雨の日は私のラッキーデーだ。
「あっ明日の予報、ところにより雨だってさ。」
「まじでー?やったぁ!」
夕食後。ソファに座る弟の隣に腰を下ろし、一緒に天気予報を見る。
「朝から降るじゃん。ラッキー!これでプールの授業無くなるわー」
「ねぇちゃんって、ほんと雨好きだよね〜。」
ガッツポーズをする私を弟は冷めた目でみる。弟よ、姉をそんな目で見るでない。
「僕さ前々から思ってたけど、この"ところにより雨"ってよくわかんなくない?」
「そぉ?別に普通じゃない??」
「ううん。わかんないよ。それで、ぼく調べたんだけどさ」
ぐっ、と弟は深刻な顔をして黙る。
「な。なによ、、」
「それがね、、 よくわかんなかった」
「………はぁ?」
さっきまでの表情は何処へやら。弟はへらへらといつものように笑っている。全く。私の弟はいつも大雑把というか、呑気というか、、呆れて思わずため息が漏れた。
そのことを次の日。学校で親友に話すと、親友もけらけらと笑った。
「そこが弟くんのいいとこじゃん。意味なんかわかんなくたって、大体伝わればいいんだよ。そんなきっちりする必要もないし。」
「えー、そういうもん?」
「そういうもん!」
変なの。窓の外では、雨が降りグラウンドに水溜りを作っていた。
今日はところにより雨
特別な存在
家族でも
友人でも
恋人でもない。
画面越しの大好きな貴方。
私は貴方のことをたくさん知ってる。でも貴方は私の存在すら知らない。そう考えると寂しいけど、それでいいの。
貴方は私の太陽。癒し。神様。
太陽はみんなのものだからね。
今日も私はスマホを開き、貴方の動画をみる
笑顔の貴方も、顔芸する貴方も、悪ノリする貴方も
どんな貴方も大好きっ!
永遠の片想い。それでかまわない!!
バカみたい
物を落とせば何処かしら壊れるとか、
風船を刺したら割れるとか、
転けたら血が出るとか
きっとそれぐらい当たり前のことで。
転校生だから、可愛くないから、自分が思ったとおりの人物じゃないからーー
だからって、私のことを悪く言う資格は貴方達にはないんだよ。
転校してきたばっかり。まだ挨拶しかしてないのに、なんで悪口を言われなきゃいけないの?私は貴方の名前も知らない。登校初日にいきなり悪口をバッと浴びせられた。挨拶だけで私がどんな人間なのか、分かりもしないくせに。
歩き方、話し方、声、仕草、服、顔。
全てを否定されて、私がどれほど苦しかったか。
何度飛び降りようと思ったか。貴方達にはわからない。
でも、いじめをする人ほど実は何かを抱えてて、実は苦しんでるのかもしれない。
傷つくのが怖いから、先に傷つけてしまっているのかも
そう考えると、なんだか複雑な気持ち。
優しい人ほどいじめられやすくて、
悪い人ほど得をする。こんな世の中はおかしいと思う。
悪口は言うなれば刃物。
目には見えない鋭い包丁は、ぐさっぐさって確実に刺さっていく。血は出ない。だからこそ怖い。だってぱっと見は何も分からないから。心がえぐれていることに気づかないから。使い方を間違えれば強力な刃物になる。
こんなに大切なことを忘れてしまったり、気づかなかったり。
バカみたいだと思いませんか?
貴方の発言一つで、簡単に人を殺せてしまうんですよ。
怖くないですか?
ーと、中学生の私は思います。
貴方はどうですか?
(2人ぼっち)同性愛についてのお話です。苦手な方はご注意ください。
「僕、お前のことが好きみたい。」
まだ、茹だるように暑い夏の日だった。
いつものように2人で帰って、その帰り道。何気なく、 ポツリ、と漏れてしまった言葉。
しまった、言うはずなんかなかったのに。
「ごめん、やっぱ今の忘れて、、」
「奇遇だな。俺もお前が好きなんだわ。」
「、え?」
「付き合おっか、俺たち。」
そう言って、奴は清々しいまでに笑ったんだ。
「これからよろしくなっ!」
それから毎日が本当に幸せだった。手を繋いで、色んなところへ一緒に出掛けて、、「大好き」「愛してる」だなんて言い合って、照れあったり。
幸せだった。楽しかった。
ーーでも。そんな幸せが永遠に続くわけなんかなくて
学校で僕たちが付き合ってる噂が流れ、僕たちは次第に周りから避けられるようになった。
男同士とか、気持ち悪っ!
同性を好きになって何が悪いんだよ。別に法律で規制されてるわけじゃない。誰かに迷惑をかけてるわけでもない。ただ、好きになったのがたまたま同性の男だっただけなのに。
机に書かれた悪質な落書き。靴箱に入っていた大量の画鋲。ビリビリに破かれたノート。
アイツはそれを「おまえはこんなもん、見なくていいんだよ」と、庇ってくれた。
アイツは人気者だったのに、僕と付き合ってるってバレてから周りから避けられ、虐めらるようになった。
頬を赤く腫らしてることなんか、何度もあった。
僕のせいでこんなことになってしまったのが申し訳なくて、別れ話を切り出したりもした。けど、その度に
「俺はおまえが好きで付き合ってんだよ。つか、周りのことなんかどうでもいいし!おまえも、よそ見なんかすんなよな!」と、明るく笑った。
ーーー嗚呼、太陽みたいな奴だな。
眩しくて、あったかくて、泣きそうになるほど優しくて
そんなこいつに、僕は惚れたんだ
ふたりぼっち。
でもお前となら、怖くないよ
「優しいアンタにこれをあげよう。一日一回。
このアメを舐めるといい。舐めてる間は、幸せな夢を見ることができるよ」
そう言って知らない老婆から渡されたのは、小さな小瓶に入った星型のアメ。赤、青、黄、、様々な色をしていてとても綺麗だ。
幸せな夢を見れる?はっ馬鹿馬鹿しい。おあいにく様。
そんなもの、俺は信じてないんでね。変な押し売りにあったものだ。
だがまぁ、一つ試してみるのもいいかもな。気まぐれに、紫色のアメをくちに含んだ、
甘ったるいブドウの味が、口一杯に広がり舌にまとわりつく。
味は他のアメと、変わりない。身体に変わったところもない。やっぱり、ただのアメ玉じゃねぇかよ。なぁにが幸せな夢をみれる、だよ。アホらしい。
なんだかイライラしてガリっ、とアメを噛んだ。
「なーにしてんのっ!アメはかんじゃダメでしょっ!」
「、は?、」
腰に手を当て、怒ったような顔をする目の前の人物は、去年交通事故にあってかえらぬ人と、なった親友だった。
「なん、でお前が、、死んだんじゃねぇのかよ、、」
「はぁ?死んだ?なに寝ぼけてんの?僕はこのとおり、ピンピンしてますけど??」
勝手に殺すなよなーーっ!!と、あの頃と変わらない馬鹿みたいにデケェ声で、アホみたいにけらけらと笑った
なぁ婆さん。このアメは本物なんだな。またコイツと話せるなんて、
ーーなんて幸せな夢なんだろうか
俺はアメを噛むのをやめ、大切に少しずつアメを舐めた
どうか、なくならないでくれ。