プラシーボ

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(2人ぼっち)同性愛についてのお話です。苦手な方はご注意ください。



「僕、お前のことが好きみたい。」

まだ、茹だるように暑い夏の日だった。
いつものように2人で帰って、その帰り道。何気なく、 ポツリ、と漏れてしまった言葉。


しまった、言うはずなんかなかったのに。


「ごめん、やっぱ今の忘れて、、」

「奇遇だな。俺もお前が好きなんだわ。」

「、え?」


「付き合おっか、俺たち。」

そう言って、奴は清々しいまでに笑ったんだ。
「これからよろしくなっ!」





それから毎日が本当に幸せだった。手を繋いで、色んなところへ一緒に出掛けて、、「大好き」「愛してる」だなんて言い合って、照れあったり。

幸せだった。楽しかった。


ーーでも。そんな幸せが永遠に続くわけなんかなくて




学校で僕たちが付き合ってる噂が流れ、僕たちは次第に周りから避けられるようになった。

男同士とか、気持ち悪っ!


同性を好きになって何が悪いんだよ。別に法律で規制されてるわけじゃない。誰かに迷惑をかけてるわけでもない。ただ、好きになったのがたまたま同性の男だっただけなのに。



机に書かれた悪質な落書き。靴箱に入っていた大量の画鋲。ビリビリに破かれたノート。

アイツはそれを「おまえはこんなもん、見なくていいんだよ」と、庇ってくれた。

アイツは人気者だったのに、僕と付き合ってるってバレてから周りから避けられ、虐めらるようになった。
頬を赤く腫らしてることなんか、何度もあった。

僕のせいでこんなことになってしまったのが申し訳なくて、別れ話を切り出したりもした。けど、その度に
「俺はおまえが好きで付き合ってんだよ。つか、周りのことなんかどうでもいいし!おまえも、よそ見なんかすんなよな!」と、明るく笑った。



ーーー嗚呼、太陽みたいな奴だな。


眩しくて、あったかくて、泣きそうになるほど優しくて


そんなこいつに、僕は惚れたんだ




ふたりぼっち。



でもお前となら、怖くないよ

3/21/2024, 12:43:25 PM