『夜景』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
暗闇に光るネオンやビルの明かり
人々の暮らす家から溢れる灯火
街中を行き交う車や電車
夜の街を彩る光は
高台から見下ろすと
地上に降り注いだ星空のよう
暗闇から見上げる夜空もいいけれど
たまには人々の造る地上の星を眺めるのも
いいかもしれない
「夜景」
『夜景』
「夜景」と聞いたとき、皆は何を思い浮かべる?
…俺は、美人な彼女と一緒に高級ディナーでも食べながら上から眺める都会の夜景かな。
ま、俺金無いし彼女もいないんだけど。
別に、さっきの夜景が理想ってわけじゃない。
そりゃ、憧れないことはないけどさ。
一人でビールとか飲みながら、安いアパートの窓から殺風景な都会を眺めるのもなかなか良いもんだと思うよ。
だから何って言われても…。
ただ、そう思った。
それだけだよ。
【お題:夜景 20240918】
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(´-ι_-`) デバイス切り替えのため、後日up
空いっぱいにあるはずの星が見えない
代わりに光るのはビルやマンションの明かり
それが綺麗。とか、美しい。とか言われる
美的センスを僕は持ち合わせていない
街灯もない真っ暗な田んぼ道に立って
静かに空を見上げてさ
星屑に囲まれた静寂な夜をここでも味わえたら…
なんて、
それじゃあ家を飛び出してきた意味もないわけで
僕はこの地でなんとかやっていく
その覚悟で、この明かりたちとも付き合っていこう
故郷(ふるさと)はいつだって 心の中に
#夜景
下を見上げて見てご覧
赤青黄色のショータイム
風を切って落ちていく
私という名の人生の
終わりという名の幕下げる
若い頃、遅い時間に仕事から帰って家の近くまで来ると
団地一棟一棟の光が出迎えてくれてるように見えていた。
よっぽど疲れてたのか
光り一つ一つにそれぞれ生活があって
何か暖かいものを感じていた。
今や見慣れた、ただの夜景。
別段の感情も起こらない。
(夜景)
百万ドルの夜景を見ながら
お腹が鳴る貴方
ロマンの欠片もないなぁ
夜景じゃ腹は満たされないから
とっとと焼き肉食べに行こうか
頭痛くて学校を休んだ
そんなことで休むな、ただでさえ定時制なのに、
なんて母親には言われたけど。
みんなが授業を受けている間
涼しい風に吹かれ、少し怖い街を見つめる。
午後20時14分
時計が鳴る
・夜景
残業してる社員の光。
荷物を届けるドライバーの光。
夜しか働けない男女の光。
これらが集まって出来てる夜景の何処が綺麗なのか。
なんてつまらない考えは中学生のうちに終わらせるか隠すかしないと昼も夜も真っ暗な人生歩むから気をつけろよー!
大の大人が本質突いた(笑)様なこと言っても面白くもなんともないぞー!!
プラネタリウムを見に行った
アラビアンナイトとというタイトルだった
星の名前を覚えたいと思った
アラビア語由来の星座沢山あることを知った
・リゲル(オリオン座)
・アクベンス(かに座)
・アルデバラン(おうし座)
・デネボラ(しし座)
空は飛ぶーーとまでは行かないが……行き来するものである。というのが、私の認識である。
例によって高く飛翔し、ビルの屋上から街を眺める。
眼下の夜景。
まだ賑わいがある駅前を行く人の往来。
変わらず続く、人の営み。
どこかで君も、同じように時を歩んでいるのだろう。
しかしそれは仮初に過ぎないことを私は知っている。
この場所ももうすぐ、終わりの場所へと変わる。
運命づけられた。または人為的な滅亡によって。
どこにも続かず、終わる景色。
しかし実の所、終わらずまわって、また始まる場所。
景色を眺める。
眺める。
眺める。
廻りくる何度目かの陽光に目を細める。
巡る。
廻る。
繰り返し。やり直し。
違和。困惑。
気付き。
そしていつしか、宙に一つの虹が浮かんだ。
#夜景
夜の女神が素敵なストールを編んでいる。
もう少し華やかさが欲しいな…と思っていたら、下にちょうど良いキラキラがあったので、両手でサーッとかき集めた。
このビーズを編み込めば、もっと豪華になるはず。
地上では人間が、あっ停電だ!と慌てている。
︰夜景
ハッピー・インスタント・アンハッピー
なんでもいい、どうでもいい、インスタントな不幸が欲しい。それっぽいなにかに当てられて気怠く物憂げにしていたい。
夜景なんてもってこいだ。ベランダに出て遠くに見える街の灯をぼうっと見つめて物思いに耽っていれば“それっぽい”とやらだろう。「綺麗」と囁いたのを聞いた記憶がある。酒と煙草があればあの人みたいになれたんかな。俗に言うエモいってやつだ。……エモいのか?
浅ましいの間違いじゃないか。記憶は美化されがちだからな、酒も煙草も本質的にはエモくないだろう。ただ少し、星空の下、遠くに見えるビル群の夜景をバックに涙を流して、妖しく煌めいていたのが印象に残っているだけ。ああやっぱりあれはエモかったのかもしれない。
「煙草吸って黄昏れてそ〜」と友人に笑われたことがある。なんとも言えない気持ちになったのと少し嬉しいと思っていた気がする。たかが煙草で厨ニ病心を擽られただけだろと言われたらそうな気もする。酒とか煙草とか中毒になってんのいいなあって確かに思った。気を飛ばして忘れられて逃げ道があるって羨ましい。暴れて狂っても「依存症になってるんだもん仕方がないよね」って言えて他人にも思わせられるなんて最高の逃げ道じゃないか。そんな美味しそうなもの手を付けたいに決まってる。
中毒っていいよな、惨めでお手軽に不幸に触れられて。酒や煙草はインスタントな不幸だ。明確に何かに陶酔したいときに使えるもの。不幸と安堵を得られる優れ物。
「嗜好品だから嗜むのがいいんだよ」と多量の酒を摂取してスパスパ煙草吸ってるアンタに言われた時のおかしさときたら。ありゃもう傑作だった。
中毒人間なんて随分変なことばかり言う頭のネジが数カ所ぶっ飛んでる精神的にヤバい人という認識が強い。アンタがそうだっただけかもしれないから過度な一般化はよろしくないだろうけど。
どっちなんだ? 頭のネジが外れたから嗜好品に溺れるようになったんか、嗜好品に溺れたから頭のネジぶっ飛んだんか。卵が先か鶏が先か問題みたいだ。
「卵も鶏も食ったら全部胃に入ってクソになるからどっちでも一緒だ」
問題の本質をぶっ壊すあの人の理屈なら「結局どっちも自分で自分をダメにしてんだ。嗜好品が先だろうが頭のネジぶっ飛んだのが先だろうが一緒だ」と笑うんだろうか。
アンタの不幸を食って雰囲気に浸ってる。アンタを使用してる。なんでもいいから早く不幸に浸りたい。いつかのアンタと同様「心を埋められるのがジュースで口が寂しいからって飴を口にしてるみたいだって思ったら可愛いだろ?」って、幼児退行気分にでもなりたい。あーあ、夜景が綺麗なんて誰が言い出したんだよ。街の灯も星空もクソだ。何が綺麗なんじゃ。
「よくちっちぇ頃泣いたら親がオレンジジュースくれたんだよ。大泣きしてんのに差し出されたコップ見たら素直に両手で受け取ってごくごく飲んでた。そしたら大抵泣き止んでたんだよ。今もそれと同じようなことしてんだ。嫌なことあったら酒飲んでご機嫌になる。ガキの頃と変わらない。大人になると誰もあやしてくれないからな、自分で選んで飲むんだよ。それが酒に変わっただけさ。言ってもジュースも嗜好品らしいけどな。はは! じゃあ昔から変わってねぇなあ」
そう言って缶を傾けてグビッと喉を鳴らしてた。「やっぱビールだよなぁ、発泡酒とかアレとかあんま美味しいって思えなくてさぁ」とボヤいてたのは聞き流して。アレってなんだよ、発泡酒以外になんかあんのか? 尋ねようとしたけどやめた。酒について一尋ねると十返ってくるからダルくてなるべく話したくなかった。その前も焼酎買うときはラベル見ろよとか本格焼酎がウマいからなとか甲を買えよとかそれ以外は体に悪いからなとかあれこれ語ってきた。酒も煙草も体に良くねぇんだからもうあんま関係なくね? とは言わなかったが。
アレって第三のビールのこと話してたんかなあ。
「車酔いするからよく飴ちゃんとか舐めてた。つか車とか懐かしーな。別に飲酒運転なんてしてないのに何回も事故って免停してよぉ、さっぱり運転してねぇや。そうそう、あと起きてる間はなんか口が落ち着かなくてずっとなんか噛んでたよ。それが煙草に変わっただけ。あ〜でも電子煙草は変な臭いするしマズいし吸った気になれんくて好きじゃない。シガーが一番ウマいんだけど、切ったり手間かかるしたけぇから辞めた。ああでもふかしてんのが一番好みなんだよなぁ、やっぱ買おうかな……でも結局どこにでも売ってる紙煙草に落ち着くんだよ」
あちこち飛ぶよく分からない話をゲホゲホ咳き込みながら隣で聞いてた。酒と煙草の話をする時だけやたら饒舌になるのはなんなのだろう。普段はめっきり口を開かずボーっとどこかを眺めているだけなのに。ボーっと酒飲んで辛うじて袋ん中に嘔吐してまた酒で洗い流して、空っぽの胃に酒入れるからまたゲロって。煙草も吸うから酔いが回りやすいのか気分が悪くなりやすいのか悪酔いしてうなって。全く換気しないから空気が濁りまくってて死ぬぞって言えば「あー」だか「んー」だか返事とも言えぬ返事して。
「とりあえずさあ、ジュースとか飴がちょおっと変化しただけなんだよ。だから別に変なことでもないでしょ。美味しいよ」
美味しいから何だと言うのか。言い訳しているみたいに聞こえたのは自分がそんなの言い訳だと感じたからか。
羨ましかったな、お前そのままぶっ壊れちまって。心を蝕み体を蝕み、不幸を摂取して。アンタは幸せだったか。
ああいいな、カッコつけて酒や煙草やってギャハハハ騒いでる奴らより、そんなの体に悪いし臭いし良いことないよと言ってるまともな人間より、ああいいな、アンタってホントいいな、酒と煙草の中毒者。妬ましいとかの意味じゃない、イイなってヤツ。好ましいの「いいな」だよ。
友人に煙草吸って黄昏れてそうと揶揄われた時少し悲しいとも思った。自分は煙草が吸えないから。小さい頃から気管支が弱かったし、副流煙ですらゲホゲホ咳き込んでしまう。吸えない。吸いたくないだけかもしれない。酒も飲めない。アルコールの臭いでベランダに出たことを鮮明に思い出して吐きそうになるから無理だ。結局どこまでいっても変なところでクソ真面目なまま。
ああいいな中毒者。人を夢中にさせる、本人がアディクトにさせてるみたいだ。
まてよ「夜景が綺麗」なんて聞いたことないぞ。アンタが眺めてたのは夜景じゃなかったんか。じゃあなんだったんだろう。あの人は何が「綺麗」だと言っていたんだろう。てっきり夜景だと思っていたからふ〜んだかへぇだかそうだなとか答えた気するけど、なんだったんだろう。夜景を「綺麗」なんて形容する感性があること自体が妙だと思っていたが、やはり夜景ではなかったのだ。夜景じゃなかったんだとしたら何が見えていたんだ。
夜景を見て「わーきれい」なんて言うはずがないと思っていたさ。夜風に当たれば少しはスッキリするんじゃないかって少ない知識でベランダまで引きずった。自分らにそんな感受性があるとも思ってなかったさ、ろくでなし。最初からろくでなしなのかろくでなしになっちまったのか、そんなのも腹の中に入れりゃ一緒だろ。
アンタなんで泣いてたんだっけ。知らないな。
ほんとはアンタのこと知ろうともしてないことがバレたからか? 泣いてる理由も知ろうとしないほど関心が薄いってのがバレたからか? それとも「いいな」って思われるのが嫌だった? バレても別に良かったけど、アンタは知りたくなかったんかな。そんな弱ってたか? どうでも良かったろ。ただ何かを見て素直に綺麗だと呟いた声にしか…………。
何かを感じた? 何を。夜景、キラキラ、夜風、涙、悲しい、懐かしい、喜び? 酒、手から滑り落ちてた、カツンカランカランカラン、見向きもしてなかったはずだ、じゃあどこを見てた? 頭の位置は変わってなかった、顔の向きも、遠くを見つめていた? 遠くを見て「綺麗」と。綺麗、感情、感覚、内面的な何か、心象風景。嗜好品、中毒、溺れる、崩壊、精神的な崩壊、現実逃避、苦痛から逃れられた一瞬。周りから見ればただ痛々しく、醜く、あれは薄ら笑いするような状態で……いいやあれは純粋な陶酔の声だった。アンタもしかして、自らぶっ壊れていくのが美しいものにでも映ってたのか?
……やめよう。こんなパラグラフを展開しても意味がない。あの人は幻覚とか幻聴とかの域に達してたんだ。ベランダの床にビールぶちまけて空気中に喋りかけてフラフラ踊ってたのがいい例だ。どうせなんか違うもんでも見てたんだろ…………あーーーーーーー………………。
――――――――どうでもいい。
煙草を消費して酒を消費して心を消費して人を消費して不幸を消費して、ただただ表面的に消費して。ああハッピーインスタントアンハッピー。お手軽な不幸に導いてくれるならなんだっていい。エモいなんて自分にとってはどれもこれも使い勝手のいい逃避の道具で虚飾でしかない。感情の麻痺、空虚への恐怖? 自暴自棄とかそんなんじゃないよ。そんなんなんか? そういう濃度にいるのがただ心地良くて、ただ重苦しくて、ただ慣れ親しんでいて、ただ安心できるだけ。導いてくれるなら別にチープな夜景でもいい。誰かが残業しているただの電気の光で構わない。うす雲に霞まされている名前の認知すらされていないようなちっちぇ星屑でも構わない。夜景を綺麗だと思うことは今後しばらくないだろうし、こんなに夜景は遠いのだから、ああそうだよ、アンビバレント、自分も十分中毒者、だからこの際なんだっていい。インスタントなアンハッピーを三分で作れるのならハッピーだからどうだって。
夜空舞う 君らも見るか 渡り鳥
衛星が 写した我らの 輝く国
暗闇を 恐れる姿が 詰まっている
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また、来春にね。
________________
ツバメ去る(玄鳥去)の季節。燕や大型の鳥は基本昼間に渡るけれど、より小型の鳥は夜間に渡るらしい。
星が一等星くらいしか見えない闇はいいけれど、街灯がないくらいの田舎にくると、急に暗闇を歩くのが怖くなる。鳥目なんて言葉がありながら(鶏は視力よくないらしいが)夜の渡り鳥より、よほど暗闇を怖がる人間の明かりを彼らはどんな気持ちで眺めるんだろうな。
なお、空に溶けるような全面ガラスのビルはバードストライクの原因になるらしい。知らずにビルのガラスが時に夜景を含む風景を写すのを美しいとさえ思っていた。(いや困ったことに美しいは美しいのだ)
でも、また春に無事に来てほしいと願うのは偽善かなと空を仰ぐ。
#57 夜景
[夜に包まれて]
夜になると寝静まるかと思いきや、
寝れない、と言って夜な夜な歩き回る人。
寝る時間だからもうやめてちょうだい、
と周りに言われても、
そうなんですけど、ちょっと話聞いてください、
と話しかけることを止めない。
そんなこんなで話し相手を探しては
土下座して語り出す。
1人が寂しくて仕方ないようだ。
夜は長い。
深海のような深い青色の空に包まれて、
静かな夜をお迎えしよう。
高速道路、基本山の間を通っているそんな田舎の道だから昼はともかく夜は特に面白いものなんてなくて
助手席に座る私は
ただぼーーっと深い夜の色を見ていた。
走ってる途中で遠くの方にぼんやり明るい街の光が見えた。
闇の隙間から見える優しい光に私の心が穏やかになる。
「ああ、もうすぐ家に着くんだな。」
都会の明るい世界よりも何よりもあなたの助手席で見るこの景色が愛しい。
【夜景】
田舎に住んでいた方が長いワタシにとって
【夜景】とは華やかなものに感じる
田舎の夜は店終いも早くとても暗い
そして幼い頃のワタシにとっては
恐ろしさえ感じたものだ
いや
大人になってからでさえ
疎な街頭とチカチカ点灯してる街頭
街頭と街頭の間隔でさえ
とても長く感じる
その代わりと言ってはなんだが
夜空はとても綺麗なのだ
街頭が少ない分
大きな建物が無い分
星と月は輝きを失わない
こんなはずじゃなかった!
こんな所にいる人間では無い!
こんな所で終わってたまるか!
こんな所に居場所はない!
こんなに人に監視され
責められる筋合いはないのだ!
そう…
そう思いながら夜空を見上げて思ったのだ
【夜景】のないこの街に
ワタシは居てはいけない
自分を見失ってはいけない
星と月が
自分が余りにも小さいことを
教えてくれたのだ
別にこの場所で
自分を殺してまで生きる必要はないんだと
だから
お別れをした
全ての薄っぺらい人付き合いも
お別れしてきた
それでいい
ワタシはまだここから
新たな人生を作っていく⭐︎
お鳥様が夜空を飛んでいると、灯りの寂しい村の夜景が目に映った。
ここはお年寄りが多く、若者たちは次々と他の町へと移っていき、住んでいる人々は減り続ける限界集落である。
お鳥様は金色の紙で花を折り、その花に優しく息を吹きかけ、空から村にそっと放った。
折り紙の花はくるくると舞い降りふわりと地面に着地すると、そこから金色の花が咲いた。
夜空からのその光景は、とても美しく映し出された。
翌年、その金色の花の隣に、若者の夫婦が戻って来て家を建て、子どもを産んだ。
しかし何年かが過ぎ去り、
若者夫婦は再び村を後にしてしまった。
それでも、金色の花はその数を増し輝き続け、美しい夜景が村を照らし続けている。
「夜景」
地元の美術館は田舎だからか
写真展が開催されることは少なくて
SNSが写真好きの私たちの唯一大きな写真展だった。
そんな折、
友達と東京の美術館に足を運んだ。
最近、頭角を表した私たちと同世代の若手写真家の写真展だ。
早速、中へ入ってみるとそこは無にあふれていた。
モノクロの写真が私たちに何かを訴えかける。
本来ならカラーで魅力が引き立つはずの花畑の写真も
モノクロにすることで各々の頭の中で違う色が咲く。
ただの風景写真ではない。
ビー玉の中の歪んだあの景色。ほとんどがそれだ。
最後の一枚は不思議な夜景の写真。
左側はリアルの夜景、右側は鏡のような反対の夜景。
私は困惑した。
本来のこの夜景を知らないから双子のように見える。
隣にいる友達はこう言った
「これは人間の生と死の世界で別れた夜景だ」
「家に帰りたくないんだけど」
学校が終わって、一緒に帰ろうと誘ってくれたフォルテに対してボクはそう答えた。
家が嫌だとか、親が嫌いとかそういう訳ではなく、ただなんとなく家に帰りたくなくてもう少し外にいたくて、フォルテとも一緒にいたい…………とは口には出せないけれど。
でも、彼がボクのワガママに付き合ってくれる見込みもない。真面目な彼はきっとボクをおいて一人で帰ってしまうことだろう。
そんなボクの思いと裏腹に、いたずらっ子のような笑みを浮かべて彼は言った。
「じゃあ、夜景が見れる時間まで一緒にいようか」
学校にずっとはいられないからと、カフェに行ったりショッピングモールでお店を回ったりしていたらあっという間に夜になってしまった。
夏の終わりがけだから、少しずつ日没が早くなっているのが原因なのか、彼との時間が楽しかったからかボクには分からないけれど。
高い建物の最上階から外を見渡せば、店やビルの明かりが綺麗な夜景を作り上げていた。
イルミネーションとかとは違う毎日見れる普通の光景だけれど、フォルテと二人で見ているという事実が夜景をより綺麗にしていた。
夜までいられて幸せだけど、今から帰るのは憂鬱だな……。
「ところでメゾ」
フォルテがそう口を開いたから彼の方を見つめれば少しだけ意地悪な顔で言った。
「僕と一緒にいたいからってワガママを言っていたみたいだけど、これじゃあ逆効果になってないかい?」
「…………え」
「顔、赤くなってる」
彼は余裕そうにそう言ったけど、ボクの頭は大混乱で。最初の思惑も、今の気持ちも全部全部彼にお見通しだったらしい。
「…………フォルテは、楽しくなかった?」
「きみと一緒にいて、楽しくなかったことがないよ」
彼はそんなキザなセリフを吐きながら笑った。