『夜景』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
人間のエゴイズムさの塊を
「浪漫だ」などと、のたまう僕等
テーマ「夜景」
わたしには二つの夜景が見える。
メガネ越しに見るくっきりと鮮やかな夜景と、
裸眼で見る小さな花火のような夜景。
写真にも残せないそのきれいさは、
近視がくれた贈り物。
「夜景」
夜景を見に横浜のみなとみらいに何回か行った
例えひとりで行っても夜景は公平にきれいだ
自分の姿は夕闇で殆ど意識する必要もないから
快適だ
昔はもっと派手な電飾だったが
いつの間にか少しおとなしめになり、その後
いつの間にかロープウェイも出来ていた
仕事帰りの疲れも幾らか癒される
あの夜景は誰にでも優しいオアシス
例え景気がどうであろうと
あの景色はまもっていただきたいと願っている
たしかに、美しくはあった。
しかし、「人生で一度目」用レンズ越しには、落胆が共に映っている。
眼前に広がる、イルミネーションよりはとっちらかって、星よりは奥ゆかしさの足りない、夜景たち。
広がる新雪を、誰より先に踏みしめたような感覚は、やはりない。
「……綺麗だね」
静かすぎる部屋に、僕の声が響く。
しばらく、薬剤と同様のカラーバリエーションをもった夜景を眺めていると、窓に反射してる風呂の扉を偶然に発見した。
そういえば、入室してすぐ沸かしたんだっけな。
明日も疲れる予定だ。
となると……そろそろ切り出すべきか。
僕は一番風呂にこだわりないし、先を譲るかな。
「ふ、……っ」
耳の中で、新雪の踏音が響いた。
足先から、全身まで、ほとばしる熱気に、戸惑いすら間に合わなかった。
……となりにいる君から、目が離れない。
スパークさえ感じる、君の瞳が、コンクリートロードを突っ走る光の粒を、追いかけ、ビルに装飾された輝きを上から下、舐め上げて……
夢中で夜景を見つめる君から。
鼓動がうるさい。
自分が、たった今夜景に夢中であることさえ、眼中にないような、顔をしている君から。
上がる息のせいで君がぶれる。
ああ、まるで蜘蛛の巣だ。
おもしろいほどに目が、離れないのだから!
「さっきからどうしたの」
君の声が耳に入った。
ゾワゾワする程の熱が耳から広がる。
今僕をミンチにすれば、濃厚で鮮やかな血液が、この部屋全体を真っ赤に染め上げるだろうな、それくらい、心臓の拍動がうるさかった。
「うわっ、なに?なにビクついてんの?」
心臓が跳ね上がって、体も震えているんだよ。
地震が起きたのかと思うくらい、ガクガク視界が震えている。
「スゴイガン見してきた時からおかしいとは思ってたけど……
マジでどうしたの?」
「スゴイガン見してきた時」
ああ……反芻したのが悪かった。
頬と額に血が駆け巡っている、きっと真っ赤なトマトになっちゃっている。
「いつの間に、気づいてたの……?」
「いや、気づくよ……
よくあるドラマの“ヒロイン”と違って、人間の視野は“広いん”です」
故意か偶然か、仕込まれたギャグに少し火照りが冷えた。
オヤジ臭いそれには、いつもゲンナリさせられているが、今回ばかりは助かった。
おかげで「それでどうしたのさ」と問いかけてくる君へ、ちょっとはまともな答えを出せそうだ。
「……明日はやいだろ?
お風呂わいてるから、先どうかなって思って……声かけようと思ったら、夢中で見てたから」
窓を指さす。
君は、チラッと僕の指先を一瞥し、すぐに僕へ視線を戻した。
「アンタは見てないの?夜景」
無心そうな表情で、僕へ聞く。
「っ見たよ、っていうか、見てた?」
「ふーん。じゃ、そのあとは?」
君は、いたずらっぽく微笑んで、窓から一歩後ずさる。
そして、水に浮かぶ魚みたいな、軽やかな仕草で、僕へ近づいた。
おお……位置的に胸に飛び込んできそうだ、受け止めようと腕を上げる。
……結局、受け止めたのはただの空気だった。
君は変な体制で固まっている僕をスカし、背後のベッドがギシッと鳴った。
振り向くと、君は足を揺らして僕を見つめている。
「ココ、来てよかった?」
君は、自分が座ったとなりをトントンと叩いた。
誘われるままに、歩いて向かう。
異常に覚束無い足取りで、ようやく君の隣にたどりついた。
君が、遅い、と目で訴えてくるので、座ろうと体を回す。
……刹那、腕をグイッと引っ張られ、肩がアンバランスに傾く。
「あっ」
体制を崩したところ、ヘソ辺りを手のひらでポンッと押され。
気がつくと、僕は天井を見上げていた。
……引っ張られた方向からして、一連の犯人は、たった今ひょこっと現れた、君だろう。
君の耳にかけられた髪が、ゆらりと落ちてきた。
花弁みたいに柔らかな髪が頬をくすぐる。
「来てよかったですかー?」
尋ねるのが二度目だからか、君は少し眉をひそめていた。
僕はその眉へ手を伸ばし、シワを押し込むと「ぐえー」なんて可愛くない声が出て。
君は傾き、僕の隣に倒れ込んだ。
……突然、静かになった部屋。
天井に君の顔はなかったが。
それでも僕はとなりを見られず、アツイ頬を指の腹で擦った。特に意味もない。
コシコシ……コシコシ……
しばらくやってると、だんだん指の腹に温度が点ってきて、火がおきそうだ、その前にやめようと、ボフッと布団に落としたところ、
君の細い手が、僕の手をつつんだ。
だめだな、さらにアツくなる。
ハミハミと掴む力に緩急が生まれ、かと思えば、ゆるゆる、手のひらで擦ってくる。
しばらくそうされ、やっと離された、と思ったら、今度は君の指たちで弄ばれる。
手汗がでてくれば、君の指はそれを面白がって、汗ばんだところに、繊細な肌を擦り寄せてきた。
気がつくと、片手まんまが君の両手に人質に取られているじゃないか……
片方の手で目元を覆った。
君の質問を忘れた訳では無い。
君はずっと、答えろ答えろと、急かすように触れてきたが、結局、君に触られなくとも、質問さえされなくとも、僕は答えていただろうと思うよ。
「君とこれて良かったよ」
真っ暗で、アツイ顔面とまぶたの裏で、君の微笑みが感ぜられた。
綺麗な夜景は、人の残業で作られている
そんな使い古された文言をまざまざと思い出しながら帰路についていた
僕もまたその残業に苛まれた夜景の粒のひとつなのだ
いつか僕だって、高層ビルのレストランで夜景を眺めつつ愛する人と逢瀬を重ねたい
だけど今の現実は、悲しいものだ
愛する人もいやしない、今日も使い潰されてまるでゴミのように社会に扱われるのだ。
猫がいました。さび柄の可愛らしい猫です。猫は玉遊びが好きでした。なので、猫は飼い主である神様におねだりをしました。
「ねえ神様。まあるい、まあるい、美しい玉と遊びたいのです」
猫の頼み事を断れる飼い主などおりません。それは神様だって同じこと。神様は、猫が欲しがる玉をすぐに用意しました。まあるい、まあるい、美しい玉を。
空から満月が消えた、と侍従に火急の知らせが入ったのは、ちょうど猫が玉遊びに飽きたころでした。
【たまには闇に呑まれてもいいじゃないか】
〈最近元気なさそうやけど大丈夫?〉
〈うん、大丈夫〉
『夜景』
夜道を走る車が電灯の下を通る度に窓には暗い景色とそれを見るともなく見つめる自分の顔が現れては消える。運転する父も助手席の母も後ろに乗る私も何も話さず、今さっきまでいた街から逃げるために離れる最中だった。
夜逃げをするのは初めてではない。だから最初の時は友達ともう二度と会えないかもしれない悲しみで泣いては怒られていた。今の私はまたも夜逃げに踏み切るしか無くなった親に恨みのようなものを募らせ、おかしな時期に転校してきた自分に優しくしてくれた人や、邪険に扱ってきた人のことを思い出し、その人たちとももう二度と会えないのだろうと諦めを抱いた。
遠ざかっていく街はあたたかな生活の灯りがいくつも点っていてきれいだった。どうして遠ざからなければならないのだろう、と最初の夜逃げのときに思ったことをまた思ってしまった。
「月夜、真夜中、夜の海、夜明け前。『夜』とも随分長い付き合いよな……」
某所在住物書きは過去投稿分を辿りながら、ぽつり。そもそも「夜明け前」を先週書いたばかりだ。
静かなため息を吐き、ネタを探す。
やがてメモ帳アプリを呼び出し、簡単そうなひとつを閃いて書き始めると、
「都市部や観光地の夜景は大抵高地から低地を見下ろして人口の光を見るけど、
田舎や山間部の夜景はそもそも人口の光がバチクソ少ないから、天を見上げて星の光を見る、
とか考えたけど、ぜってー説教くさくなる……」
それが確実に「自分は書きやすいけど読者はゼッタイ読むのがダルい内容」になると理解し、
文章をタップして、範囲指定して、切り取り。
すべてを白紙に戻した。
――――――
最近最近の都内某所、某ホテルの中にある「少しだけ価格が高め」なレストラン、夜。
曇天ゆえにあいにくの空模様ながら、
そもそも東京はLED照明やデジタルサイネージによる圧倒的な光量のため、前提として星が少ない。
夜景といえば人のいとなみ、人の光である。
このレストランを夜に訪れる客もそれが目当てで、
幸運にも窓際を引き当てた、あるいは事前に窓際席を予約していた男女は、それぞれスマホを取り出すなり、他者に配慮しつつ動画を撮るなり、
あるいは、静かに指輪の入った小箱をテーブルの上へ置いて、結局爆死するなり。
BGMのジャズは共感のピアノと慰めのストリングスを伴って、小箱に涙落とす者に寄り添った。
ドラムはレストラン予約料と指輪デザイン費用、それから失恋に対する慟哭かもしれない。
「見ろよ藤森。アレが普通の、普ッ通ーの失恋だ」
一連の夜の景色をふたつ後ろの席から見ていた既婚男性の名前を、宇曽野という。
「表で『自分もそれが好き』『あなたと同じこと考えた』とか言いながら裏垢で『地雷』『解釈違い』『あたまおかしい』は、相当のレアケースだぞ」
覚えておけよ、藤森。 そう付け足して、同じテーブルの向かい側に視線を合わせると、
「あまり見てやるなよ。傷心中なのに」
『藤森』と呼ばれた「向かい側」は、小さくため息を吐き、あきれた顔で言葉を投げた。
「で、何故わざわざ私をココに呼んだんだ。
私の前の職場で、お前が『表で自分も好きと言いつつ裏で地雷と呟いた人』も勤めていたココに?」
「単純に最近お前とメシ食ってないなと」
「それだけか」
「あとお前の後輩の高葉井に『茂部さんの告白偵察行ってきて』と頼まれた」
「は?」
「そこの、今ひとりで2人分の料理を泣きながら食ってるやつな。ウチの本店の総務課の茂部だ」
「……は?」
「お前の後輩のほぼほぼ同期だとさ。『多分脈無いよ、って忠告したのに見切り発車するらしいから、宇曽野主任、偵察おねがいします』と」
「何故あいつ本人ではなく、お前に?
そもそも私が呼ばれた理由がどこにも無い」
「野郎ひとりで来る店でもないだろ。
あとあいつが俺に頼んだのは、茂部にあいつの顔がバレてるからだろうさ」
「お前だって、茂部さんとは一応ある程度」
「俺は茂部から恋愛相談なんざされてないからな」
結果としては、「見切り発車によるプロポーズは予想通り、相手側の拒否で終了」ってところか。
スマホを取り出し、スワイプ、タップ。
宇曽野がどこかへ、おそらく告白偵察の依頼者へ、実況のメッセージを送信してステーキをぱくり。
他者の悲哀に我関せず。満面の笑顔を咲かせる。
「なかなか夜景がキレイな店だな。藤森」
宇曽野が言った。
「だろうな」
藤森が返して、ぽつり。
「ところで元従業員として白状すると、実は……」
実はな。そこで藤森の言葉が、一旦途切れる。
前職がこのレストランであった藤森。プロポーズに関する強力なジンクスをひとつ、知っていた。
このレストランの夜景美しい窓際席の中に、
ひとつだけ、「そこを予約して告白すると、朝は必ず成功し、夜は必ずフられる席」があって、
そのジンクスが破られたことは一度も無いという。
夜中に目が覚めた
夜景を見にベランダへ
出ようかと思いつつ
出なかった
水を小さなコップで
少し飲んで
急いでベッドへ戻った
ん?なんだか鳥の鳴き声?
耳を澄ますと
旦那のいびき+ピ~
鳥の声かと思った
起きているかのような
子供の寝言
私のくしゃみで
ゴロゴロ寝返り
我が家の夜景は賑やかだった
✴️154✴️夜景
黒い空に黒いビルに黒い海
そこにたくさんの光が点々としてるだけなのに
とても綺麗だった
高い建物のない広い空が好きだけど
都会の夜景もたまにはいいなあ
でも寂しくもなるからたまにでいい
友だちの失恋旅行という名目で、レンタカーを借りて夜景を見に行った事がある。
免許取りたてだった友だちの運転。真っ暗な山道。
きゃーきゃーいいながら、行ったな。
山頂付近は、有名な場所のため、車いっぱい。
何なら警察車両までお越しだ。笑。
びくびくしながら、車を停めて、2人で夜景が見える場所まで。
恋人ばかりの場所に、友だちと2人。
でもそんなこと気にしてられないくらい、夜景は綺麗だった。光り輝いているって、これなんだろうなー。
そして、寒い。笑。
滞在時間も、早々に。笑。
帰りの山道も、きゃーきゃー言いながら。
また平凡な日常へと、戻っていく。
20240919「夜景」
夜景
いつどこで聞いたか夜景といわれたらまず百万ドルの夜景という言葉を思い浮かべる。
その言葉の意味はそれだけ価値のある夜景か、あるいは百万ドル稼げるような人間でなければその景色は見れないということか。
百万ドルの夜景というとどこかの高層ビルのレストランの中から見るイメージがある。だから個人的には後者のように思える。
それにしても夜景を楽しめるというのは羨ましい話だ。こっちは毎日を生きることで精一杯で夜景を楽しむ余裕なんてない。
なによりも将来の不安に押し潰されそうで夜景どころか生きることすらしんどい。全くこの世は格差社会だな。
《夜景》
保全しておきます。
下に、昨日保全し損ねていたものを載せておきます。
読んでいただけると嬉しいです。
==========
《花畑》
晴れた日の午後。
執務室のドアのノックに応えて出ていた彼が、頭を抱えて戻って来た。
「どうしたんですか?」
彼が態度に出している時はそれなりに話して大丈夫な内容がほとんどなので聞いてみると、
「いえ、先程重要書類を持ち出して脱走を図った兵士見習いを捕らえたそうなのですが。」
聞けば、その兵士見習いは書類と共に白昼堂々逃走をしたらしく、今まで捕物劇が繰り広げられていたとか。
いわゆるスパイなのかな。
それにしては盗んだのは機密ではなく重要書類だし、逃走方法は雑だし、なんだかなぁ。
なんて考えていると、彼が更に事の顛末を話してくれた。
「その見習いなのですが、民家の庭に踏み込んだ挙げ句にリコリスの花畑で顔面から派手に転倒してしまいまして。」
リコリス。
マメ科のリコリスもあるけれど、この季節の花畑といえば。
「…まさか葉のないリコリスですか?」
「そのまさかです。」
あー! まさかの彼岸花の方!
花や茎にもアルカロイドが含まれる、あっちですか!
「おかげで民家への補償もですが、よりにもよってその見習いは肌が弱かったらしく、折れた茎の汁が触れた顔の皮膚が齧れてしまって治療しながら尋問する羽目になっていると。」
彼は困ったというより、呆れてたのね…。
まあ、その気持ちは分かるなぁ。
人様の庭に踏み込んで花畑を踏み荒らした上に転倒して汁で肌を齧らせるとか、そのお家の方は災難でしかない。
本当に早くその見習い兵士が捕まって、よかった。
「この後は尋問内容の確認と見習いの処遇、被害を与えた民家への対応が入ることになりました。」
少し萎れた感じの彼に、私は心から
「お疲れさまです。待ってますね。」
と伝えると、彼は
「ありがとうございます。手早く終わらせてきますよ。」
と、ふんわり笑って答えてくれた。
スムーズに彼の業務が進みますように。
皆さん、綺麗な花でも触るなら気を付けてくださいね。
夜景を眺めて空を飛ぶ
空には満月と雲が少し
箒にまたがり中秋の風
君は高い所は好きだけど
箒はあんまり好きじゃない
だからゆっくり飛んでいる
夜はずっとイルミネーション
クリスマスとか特別な日に
イルミネーションされてるなぁ
って思うけどさ
ビル、家、ショッピングセンター
いろいろなところに光は灯ってる
君と眺める夜景
いつでも僕らはイルミネーション
〘 夜景〙(※歌みたいな感じでもう一度読んでみてください)
夜景だとかそう言うロマンチックなものに興味はないけど、ぼんやりとした光に手が届かないこのもどかしさは、何だか特別な気がして。
【夜景】
あなたといつの日か見た夜の景色。
この景色を見るたびに胸が苦しくなる。
夜景
「街の灯りがとても綺麗ね ブルー・ライト・ヨコハマ♪」と母が鼻歌を歌っていた日を思い出す。思い出す母は決まって台所に立っていて後ろ姿で味噌汁の匂いがする。
夕刻、外に出ると空はとても澄み渡り高くて夜の帳が下り始めると十五夜の夜は群青色の空に白い月がくっきりと浮かび、どこからともなく鈴虫と蟋蟀の声がきこえる、仕舞い忘れた風鈴の音はつい最近の涼やかさとは変わって、物悲しくきこえる、彼岸前の田舎の宵の風景。
私は、母の鼻歌を聞きながらテレビを見ている
夕暮れの街の灯りは少し寂しい気分になるよなんて思いながら、都会の夜景はブルー・トパーズみたいにキラキラ光るのだろうかなんて都会の夜景に想いを馳せながら、「世界名作劇場」を観ていた。
それから、いつか背中越しに聞いた母の鼻歌の都会の夜景に憧憬て、現実に淀屋橋から見た夜景はとてもとても寂しかったことを思い出す憧憬た景色はそれほど美しくもなく、澄んだ高い空と夜の帳が下りた群青に浮かぶ白い月が想出されて泣いた、あれがホームシックと言うやつか。時はバブル夜明け前、夜明け前が一番暗くて寂しいってやつなのか。木綿のハンカチーフじゃないが、足早に過ぎる都会の日々は真っ白なキャンバスを都会の絵の具で染めて行った。
けれど、季節が変わるたびに思い出す。
母の背中と味噌汁の匂いと、高い空と澄んだ月と一番星。都会で大事な何かを無くさないように、母の根っ子が私を引っ張り支えた、「この子の花が咲きますように」母の声が聞こえた。
私は、お母さんに近づけたろうか?いつもそんな思いで子供たちの背中を見送って来たけれど
それぞれに巣立って行ったけど、今、それほど美しくもないと思った都会の夜景は、そこで生きた日々と共に温かなものになった。
お母さん、あの日の私、私は今ここにいます。
結構楽しく生きています、ありがとう。
令和6年9月18日
心幸
夜景
(本稿を下書きとして保管)
2024.9.18 藍