『夜景』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
・2『夜景』
コスモスのジグソーパズルを完成させたらなんとなく自信
付いた。なんかわかってきたぞ……!
お次は夜景。
夜景………
コスモスの比ではない
ほぼ夜空の画面の左下に湖畔らしきものが見えるが星がポツポツとある以外は蒼い、暗い、いやほぼ黒……
ひとまず最初のピースを選んだ。
【続く】
摩天楼が綺羅びやかに輝いている。
夜景──人類発展の証の一つだ。
地上に広がる光は、空の星々の輝きすら隠してしまうほど眩く輝く。
──人は、明かりを灯さずにはいられない生き物らしい。
およそ180〜80万年前、炎で動物たちから身を守っていた時代から現代に至るまで。夜を照らす「灯り」と「人」というのは、切っても切れない関係にある。
人は本能的に、明かりというものを求めてしまうものらしい。
夜景の美しい輝きには、そんな人の心が現れているのかもしれない。
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夜景
たまにすごく夜景を見に行きたくなる
夜の景色ってなんだか切なくなる
色々考えさせてくれるし、心が落ち着く
街中の光を一気に浴びて、その街の綺麗さに呆気にとられる
なぜあんなに夜景に心を奪われるのだろう
函館でみた初めての夜景は忘れない
─── 夜景 ───
人工的な光より
儚い星空の方が何倍も好きだ
うわああ、、コイツ、マジかよ、
嫌な予感はしていたけど、勘弁してもらえないだろうか
ここはどう考えても夜景の見えるレストラン
エレベーターに乗せられてチラ見すると、明らかにドヤ顔をしている
密室の空間に二人きりで
如何にも尋ねて欲しい空気を醸し出すもんだから、
舌打ちを堪えて仕方なく尋ねる
ここ、よく取れたね
待ってました、と言わんばかりに半歩近づき顔を真っ直ぐこちらに向けて笑いながら応える
ここね、実は中々取れないんだよ、半年待ちがざらなんだけど
おい、
こっちはそれを知ってて聞いてるやろうが、初めからここが人気店のニュアンスで問いかけてんだよ
コイツのこういう所作がムカつくんだよ、マジで
偶々、親父のツテでね
ほら、いらんことを言う
お前の努力、皆無じゃねーか
私はしがないオフィスレディ
この度、何の運命の計らいか
金持ちのボンボンに見初められることとなった
見る人から見れば
千載一遇だとか
なんでアンタがとか
言われたけど
じゃあ、お前らこれを我慢できるのかよ、と問いたい
小一時間、問い詰めたい
席に案内された瞬間から、コイツのオーラはさらに膨らんだ
窓側の最優良特等席
店内から県内全ての夜景を網羅できるのは、この二席のみ、といった演出が施され
次から次へと品のある料理が運ばれてくる
とっとと帰りたい私は
味も会話も楽しむことなく、むしゃくしゃと頬ばる
コースは中盤から終盤にかけてラストスパートで駆け抜ける
随時、金持ち特有の自慢話を仕掛けられるが、
はー、とか
ほー、とか
やり過ごす
夜景は確かに綺麗だった
でも固形物を丸のみにさせるようなコイツの振る舞いがどうにも嫌いで仕方がない
いよいよゴールへ辿り着く
次に届くデザートを腹に入れれば
やっとおうちに帰れる
そう思った、矢先であった
バン、と破裂音
店内の照明が落ちた
他の客達のざわつきが聞こえる
状況が掴めない私は
高層のビルの窓から切り取られた夜が眩しくて
一瞬、見とれてしまった
でも、次に反射した光が向かいに座る男の表情を照らして
全てを察する
暗い店内に明るいBGMが流れる
奥から閃光する花火を刺したケーキを持ってシェフ達が現れる
おめでとう、だの言わされながら
キチガイみたいな笑顔で真っ直ぐ私の席に向かってくる
怖くて自然と息が上がり
耐えられず窓の外を見ると
向かいの高層ビルの各階で異常に窓の照明を変化させているのに気がついた
それが私の名前とコイツの名前と
ハートマークで
夜景を描いていると気づいた時、
私はついに、気を失った
『夜景』
今日の夜景はきれいだ
特に月がきれいだ、、、
そういう意味もあるかも
夜空に向かって語りかける
あなたがそこにいるようで
街のあかりがにじんで揺れる
わたしの声が聞こえるだろか
あなたがいないこの世界で
わたしは頑張れているだろか
夜の街のあかりのひとつ
ここにわたしはいます
どうか見つけて
どうか見ていて
「夜景」
#486
《 夜景 》
都会にいれば煌びやかなビルやテーマパーク
お店などの灯りでなんとも賑やか
思わずわくわくしちゃう景色が見られたりするね
田舎には街灯も建物も車通りも人通りも少ないから
都会のような賑やかさはないけれど
山とか海とか自然のものを
耳を澄ませて見るのもいいものよ
寝転がって満天の星空を見るのもいいね
どちらの夜景がお好みですか?
【夜景】
もう、死にたいと思った。
大学卒業後に勤めた会社は自分のやりたい事とは違って、
3ヶ月足らずで辞めてしまった。
たいして明確になってない「やりたい事」を優先して
東京にきた結果は、
低賃金、長時間労働、サービス残業は当たり前ブラック会社、
おまけに彼女なし、貯金もなし、
会社の同僚や上司が、無駄にいい奴らなせいで
やめるに辞めれなかった。
俺だけじゃない。
みんな限界だった。
気づけば4年がたった。
同僚も気づけば半数が居なくなってた。
今月で、また1人いなくなる予定だ。
何か大きな、きっかけがあった訳じゃない。
ただ、限界だった。
どんなに頑張っても終わりの見えない仕事
次々に消えてしまう同僚、
なんで俺は辞めなかったんだろう?
疑問に思えば思うほど分からなくなった
「やりたい事」なんてものはとうの昔に忘れてしまってて
今の「やりたい事」も分からない
1番なりたくない大人になってしまった。
2、3日休めば、冷静に考える事ができるんだろうな。
なんて客観的に考えながらも
足は会社のビルの屋上に向かっていった。
この生きづらさが何なのか、
逃げ出したいのに
自分が逃げた後、犠牲になる人達の事を考えていたら
いつの間にか自分が犠牲を払う側になっていて、
……どこから間違えてしまったのだろう。
階段をだらだら登りながら、
もう、死にたいと思った。
屋上に続くドアを開けた時
足の重さに気がついた。
だけどもう、この終わりが見えない地獄を、
とにかく終えてしまいたい。
終わっていない今日に絶望して、
見てない明日が来ることが怖くて仕方ない。
一歩、一歩、踏み出して、柵に右足をかける。
死ぬ事の恐怖は感じない。
あと一歩……
「〜ですよね !」
下の道路から話し声が聞こえて
一瞬、焦って柵を握る手が緩んでしまった。
この時、屋上に出て、初めて街の騒音に気づく
車の音や、話し声、アスファルトがすれる音
信号の音、これまで聞こえなかった音が耳に入ってきて、
それと同時に、目の前にある夜景に心が奪われてしまった。
別にたいして綺麗な夜景じゃない。
ただ、一つ一つの灯りが、誰かの生きている瞬間に思えた。
東京タワーなんて見えないし、地元の夜景にも及ばない
なのに目が離せなかった。
悔しくて、
辛くて、
毎日逃げ出したかった。
頑張りたかった。
何度も身勝手に辞めていった同僚達を恨んだ。
なのに、羨ましかった。
だけど自分が辞めたら、
しわ寄せがいく同僚達を思うと
自分を犠牲にした方が楽だった。
分かってた。
……分かってた。
自分の為に自分を犠牲にしてた事。
俺は、柵にかけた足が痛くなって、
足を戻した。
「………仕事やめよう」
夜景
地球を取り巻く無数の白く輝く塵に見えるものたち。
それらは大小さまざまで、何層にも重なり地球を取り巻いている。
画像で見れば美しい夜景に見えなくもないが、実のところはロケットや壊れた衛星の残骸である。
いわゆるスペースデプリと呼ばれる宇宙ゴミだ。
人が生活していれば必ずゴミが出る。
海や山へと活動場所を広げれば広げるだけ、人はその場所にゴミを撒き散らしてしまう。
今や恐ろしいことに宇宙までもがゴミだらけだ。
そんなゴミを纏った地球に暮らす私たち。
果たしてそんな愚かな私たちにまともな未来など残されているのだろうか?
お題
夜景
「まさか近くにこんな名所があったとは」
「んだな」
「ほー、めっちゃキレ~」
「な。お前には敵わないけど」
「…」
「……」
「…なあ、そう言うことさらっと言うのやめようぜ…後から効くから、そういうの…」
「…うん、俺もいま思った…恥ず…」
【夜景】
『夜景』
空がグラデーションに化粧する
街に明かりが灯り 君は息を呑む
僕は 夕月に祈る
君との時間が永遠に続くように
「だれ?」
私はいつものお気に入りのスポットへ向かう
キラキラとした街灯りを横目にどんどんと森を抜けていく、そんな夜景も綺麗だとは思うけど私はそれよりも、
もっと大好きな夜景がある
ただ暗いだけの森を抜ける、街明かりが遠ざかる
森を抜ければそこに広がっているのはいつも綺麗な星空たち、ただ純粋に輝いているだけの星空がちょっとした丘に流れる小川に反射している、ただ綺麗…なんだけど
「だれ?」
私しか知らないはずの場所、今までだって誰もいなかったのに、今日は誰かいた
「君こそ、どうしてこんな時間に一人でこんな所まで?早くパパとママの元へ帰りな」
そんな子供扱いされるような年でも無かった私はムッとした
「そんな子供扱いされる年じゃありませんー!」
「はいはい、それよりいいの?もうすぐ日付変わるよ」
確かにスマホを見るともうすぐ日付が変わる時間だった
「いいの、どうせ誰もいないし誰も私を見ない」
「へぇ、一緒だね」
そんなこと言って微笑む、何を考えてるのかサッパリだ
「それよりそこ、私のお気に入りの場所なんだけど」
私はいつも小川の直ぐ側に腰掛けて足を川に着けながら星を眺める、まるで宇宙にいるみたいな、自分も星の一部みたいな、不思議な感覚になるのが大好きで
「いいじゃん、ケチケチしないでよ」
そんなこと言いながら隣を進めてくる、本当に初対面かよとか思いながら腰を掛ける
「それにしてもこの川冷たいね、よく普通に入れるね」
「まぁ、ずっと通ってるし」
「へぇ、じゃあもっと早くにこの場所を見つけたかったな、そしたらもっと早く友達になれたのに」
何を言ってるのかサッパリだった、いつの間にか私は友達ということにされてしまったらしい
「何を言ってるのかサッパリなんだけど」
「いいじゃん別に、似た者同士」
さっきから似た者同士とか言ってるけど、本当に私と同じ境遇なんだろうか
「ねぇ、明日も来るよね?」
「何言ってるの、別に来るけど…」
「よかった、じゃあ明日も会おうね!」
いつの間にか明日も合うことにされた、そのまま帰っていったし、本当によく分からない
「明日からうるさくなるのかな…」
なんて思いながら目をそっと閉じてみた
夜の首都高は心を落ち着かせる。
君を隣に乗せて、湾岸線を羽田空港方面へ。
空港中央で降りて、第二ターミナルの前で君を降ろす。
「じゃあ、また来月、かな」
「あなたが福岡に帰ってきてくれれば、いつでも会えるけど」
「そうもいかないんだよ。分かってるだろ」
「分かってはないわよ。諦めてるだけ」
「分かってくれてんじゃん」
「…お母さんには何て言っとく?」
「そーだな。あいつはお国のために戦って星になった、とでも言ってくれ」
「やめなよ。言っていい冗談と悪いのがあるよ」
「お国のために頑張るのが悪いことなのか?」
「今はそういう時代じゃないでしょ。でもお母さんは…」
「分かった、分かったよ。次の正月には帰るって伝えといてくれ」
「出来るだけ、有言実行でお願いね」
「出来るだけ、な。ほら、飛行機の時間遅れるぞ」
君がターミナルに向かう後ろ姿を見送って、車をスタートさせ、夜の首都高を、さっきとは逆のルートで走らせる。
助手席に誰もいないことに、一抹の寂しさを感じながら。
誰が間違っている訳でもないのに、人生はうまくいかないことばかりだ。
会いたい人に会えなかったり、伝えたいことが伝わらなかったり。
遠く離れて暮らす、大切な人達。
それぞれの生活。それぞれの事情。
妻を乗せた飛行機は、今頃、南アルプス上空だろうか。
無事に向こうに到着して、子供達に父親の無事を伝えてもらいたい。
車窓に流れる東京の夜景は、何故か心を落ち着かせる。
きっと、その明かりの中に人々の暮らしを感じ取ることが出来るからだろう。
この街で日々を送り続けている人達の中には、きっと自分と同じように、大切な人と遠く離れて生活している人も少なくないはずだ。
どうやって孤独と闘っている?
私には、会えた時に出来るだけ軽口で返すくらいしか、この切なさを乗り越える術は思いつかない。
一人で住むアパートの部屋に帰って、私もひとつ、明かりを灯そう。
この東京の夜景に、彩りをひとつ加えるんだ。
それを見て、心に安らぎを感じてくれる人がいるかもしれない。
たとえ、今は家族と遠く離れて、会う度に別れの切なさを感じているとしても。
夜景は綺麗だな。
窓から除くと家の光が沢山見える。
みんな頑張ってるんだなと実感できる。
みんな生きてるんだな、と。
地獄、賽の河原。
親より先に死んだ子どもたちが来るという場所。
子どもだちは、ここで石を積み上げ塔を作り父母の供養をするという。
だが鬼がやって来ては石を崩し、永遠に塔は永遠に完成しないという……
子供の頃、なにかの番組で見て、しばらく夜満足に眠れなかった。
『一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため』
そんな悲しげな声が耳を付いて離れない。
子供の俺は、親に駄々をこねて一緒に眠った。
だが子供は飽きっぽい物。
いつしか怖い事を忘れ去り、再び一人で眠れるようになった。
そして大人になってからも、二度と思い出すことは無かった。
地獄に落ち、鬼に『今日は賽の河原に行く』と言われるまでは……
とは言っても俺は、親の供養をしに来たわけではない。
親より長生きした孝行息子だからだ。
まあ、別口で地獄に落とされたけどな。
俺の罪は『詐欺』。
一応悪い奴だけ狙っていたのだが、閻魔にとっては義賊行為もNGらしい。
地獄行は覚悟していたが、問答無用な裁判は今も根に持っている
それはともかく、地獄に落ちて俺は思った。
『このままじゃいかん』と……
地獄には何も無い。
つまらないのだ。
それに地獄の拷問も趣味じゃない。
痛みを快楽に変える特技なんて持って無いのでなおさらだ。
だから閻魔や鬼など地獄のやつらに取り入って、地獄の運営に関わっている。
報酬は無いが、暇しているよりかはだいぶ充実していた。
閻魔は別の思惑があるみたいだが、どうでもいい。
今日も、仕事として賽の河原に行く事になったのだが……
◆
「おい、鬼!
ここはなんだ!?」
俺は相棒兼監視役の鬼に叫ぶように尋ねる。
あまりにも目の前の光景が不可解だったからだ。
だが鬼はバツが悪そうに目をそらす。
「……賽の河原だが?」
「どこがだよ!
俺の知っている賽の河原と全然違うぞ」
「人間界と地獄は遠いからな。
間違って伝わることもある」
「そんなレベルじゃねえだろ!」
俺はもう一度、鬼の主張する『賽の河原』とやらに目を向ける。
本来石しかないはずの場所。
だが俺の目の前に広がる景色は、一面花畑だった。
しかも子供が楽しそうに遊んでいる。
賽の河原どころか、地獄かどうかすら怪しい光景である。
「ここは地獄だろ?
罰を与えるんじゃないのか?」
「あー、そのことなんだが……」
鬼は言い辛そうに口ごもる。
よっぽど話にくいことなのか?
だがこれを聞かない限り、話は進まない。
もう一度問い詰めようとしたところで、鬼が重い口を開く。
「コンプライアンスだ」
「コンプライアンス?」
この場に似つかわしくない言葉を聞いて、思わずおうむ返しする。
あったのか……
地獄にコンプライアンスという概念が……
「人間界で色々厳しくなっただろう?
その波がこの地獄に押し寄せてな」
「押し寄せて?」
「簡単に言うと、天国の善人たちからクレームが来た
『児童虐待』『ひとでなし』『子供は宝』とかな」
「なるほど?」
『ここは地獄だぞ』と思わなくもないが、言っていること自体は理解できなくない。
かく言う俺も子供は可愛いと思っている、こどもは大切にすべきだ。
でも、もう一度言う。
ここは地獄だぞ
「最初は無視していたんだが、地獄に乗り込もうとするやつも出てきてな。
事態を重く見た天国と地獄の重役が集まって、話し合いが持たれたんだ」
「それでここを花畑に?」
「そうだ。
他にも不用意に恐怖を与えないような配慮がされている」
地獄は罰を与えるだけの場所だと思っていたが、いろんな苦労があるらしい。
これも時代の流れか……
「もちろん罪は償わせるぞ。
ここは地獄だからな」
「そこは譲らないのか。
誰も何も言わなかったのか?
場所が綺麗になっただけで、虐待は続いているぞ。
……いるよな?」
「そこは問題ない。
罰の内容も変えた」
「つまり?」
「罰は花冠を作る事だ」
俺は鬼の言葉に、大きなため息をつく。
そんな気もしていたけど、信じたくなかった。
ここまで来たら、地獄じゃなくて天国で引き取れよ
本当に。
「なお、制作の邪魔はしない
コンプライアンスだ」
「コンプライアンスの使い方あってんのか?
しかし、罰の意味ねえな」
「そうでもない。
アレを見ろ」
俺は鬼の指の先を見る。
遊んでいる子供たちの手には、それぞれ花冠があった。
遠目から見ても、完成しているようにしか見えない。
にもかかわらず、罰は終わっていない……
どういうことだ?
「花冠は作ったら終わりじゃない。
誰かに被せて完成なんだ」
「なるほどね」
花冠は誰かのために作るもの。
たしかに作って終わりとはならない。
けれど一つ疑問が残る。
「だが誰に被せるんだ。
話の流れ的に親だろうが、地獄に都合よく親が来るわけないしな。
まさか鬼に被せるわけでもあるまい」
「たまにやって来る地蔵菩薩に花冠をかぶせるんだ。
ある意味では親代わりだからな」
そう言えば、そんな話も聞いたことあるな。
石積みを邪魔する鬼を、邪魔するヒーロー的な存在がいると……
都合よすぎる存在だと思ったが、実在したのか。
「今日は来ていないみたいで良かったよ。
あいつ嫌いなんだ。
石積み時代から、やって来ては俺たちの仕事を邪魔しやがるくそ野郎だ」
誰かの正義は、誰かの悪。
そんな言葉を思い出す。
「話は分かった。
理解できたとは言わんが、後でじっくり考える。
だが、なぜ俺はここに連れてこられたんだ?
子供たちの邪魔はしないんだろう?」
「それなんだが……
おお、来たな」
鬼の言葉の目に促され、横を見る。
そこには数人の子供が、花冠を持って整列していた。
「人間、その花冠を受け取れ。
それがお前の仕事だ」
「意味が分から――
うわっ」
鬼に無理矢理上から押さえつけられて、膝をつく格好になる。
突然の暴力に抗議しようと顔を上げようとしたとき、ふと頭に何かが乗せられる感触があった。
呆然としていると、次々に乗せられていく。
だが乗せそこなったのか、ひとつだけ目の前に落ちてくる。
それは子供たちの花冠だった。
「お前にだそうだ」
「なんで?
俺に子供なんていないぞ」
「そうだな、お前の子供じゃない。
だからガキどもの罰も終わらない」
「だが」と鬼は言葉を続ける。
「こいつらはな。
悪人どもに騙され絶望して自殺、あるいは暴力の果てに死んでしまったヤツらだ」
「それが俺に何の関係が?」
「そしてお前は、その犯人をターゲットにして詐欺を行った。
徹底的に、欠の毛までむしり取った。
そうだな?」
「被害者のためじゃない。
自分のためにやった」
「それでもだ。
このガキどもはお前に礼を言いたかったそうだ。
地蔵菩薩の救いを蹴ってまでな」
鬼の言葉に視界が滲む。
たしかに感謝されなくてもいいと始めた悪人限定の詐欺。
自分勝手な義賊行為。
だが直接礼を言われると、こうも嬉しい物なのか……
「なんでここまでしてくれる?
俺は地獄に落ちた罪人だぞ」
「コンプライアンスだ」
なんて?
再びこの場に似つかわしくない言葉が出てくる。
この流れでコンプライアンス関係ある?
俺は疑問を胸に抱いて、鬼の言葉を聞く。
「労働に対して報酬を支払わなければならない。
お前はこれから地獄のために働く。
これは、その労働に対しての前払いの報酬だ。
しっかり受け取ってもらわないとこちらが困る」
義理堅いのか、それとも悪魔の契約か?
どちらにせよ、自分の行いが間違ってなかったことに、心から安堵する。
だが俺のそんな感傷を吹き飛ばすように、鬼は冷酷な事実を告げた
「だが貴様には罰もしっかり受けてもらう。
今日一日ガキどもの相手だ。
大変だぞ、遊び盛りのガキの相手はな」
滲んだ視界の中で、鬼が笑った気がした。
君と見る夜景は夜景のようで違った。
君が太陽みたいだから夜景に勝っていたんだ。
日はとっくに沈んでいるはずなのに太陽みたいな君が夜景にも勝る明るい笑顔を見せてくれていた。
今日も君と家から見える夜景を見る。
なんだか今日は日どころか全てが沈んだ感じ。
太陽はどこへ行ってしまったのだろうか。
僕が想像する空よりもはるか高い所から照らす君の光が僕に届くのはいつ頃かな。
ーーーー夜景ーー
夜景とは日によってどこで見るかによって違ってくる
そんな夜景を同じ日に同じ場所で君と見れることは奇跡に近いだろう
窓から見える都会の夜景に感傷的になって泣いてしまったって。
酒も煙草も暴力も、全部全部、人間のせいなんだって。
ママの言うとうりニンンゲンは醜く脆く法螺ばかりで、僕には何で生きているのか理解出来なかった。死んだ方が楽なのにね。
ボクみたいなのを呼ぼうとするけど、電気でできた夜景より、月に照らされた海の方がボクみたいな透明な生き物は大好きなんだよ。だって、静電気が怖くてね、感電死しちゃったらどうしようって思っちゃうんだ。
その他にも、樹海からボクにあいにくるヒトが多くて、ボクは困るんだよ。確かに自然は好きだけど、ボクの出身は海だからね。
海に行けば、月も星も空も水も見守ってくれるし、ボクは何時でも君達を待ってるからね。
お題 夜景
君は上から見下ろす夜景が好き
僕は下から見上げる日の出が好き
君は多分あいつが好き
僕は一生君が好き
君を純粋と捉えるのなら
僕はそこら辺のドブ水だ
僕たちが繋がる一瞬の青春はきっと来ないね