『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
誰もが寝静まり、波の音がよく響く。
少しむせかえるほどの潮の香り。
足元を照らすのはあまりにも儚げな月の光のみ。
砂浜を歩き、足跡を一つひとつと残してゆく。
あぁ、これだからやめられない。
目の前に広がるのは、月はもちろん星の輝きさえも反射する海。
『夜の海』だ。
__夜の海__
形骸化した砂の城
彫まれた地上絵
誰かの忘れ物
境界線なしの星空模様の真っ黒沼
懐かしい香りと
夏の音
人工的な光をあびて
屋上のフェンスにもたれていた
どこもかしこも、空が狭い。
煙草に火をつけて、パーカーのフードを被った。
自分だけが辛いように見えるように。
孤独に見えるように。
見知らぬ誰かへのアピール。
「だる……。」
今日という日の延長が明日になったのは
いつの頃だったか。
毎日を千切っては捨て、千切って捨て。
そんなことを繰り返したせいで
自分までゴミみたいだな、と思うようになってしまった。
そのくせ、誰かに必要とされていたいし
愛されたいし、見つけてほしい。
空は狭いし、暗い。
星のひとつも見えない。
帰ろう。
生きる場所はここじゃなかった。
コンクリートよりも、砂がいい。
空は広くて、星が見えて。
月が反射した水面を見ながらの一服も
きっと悪くない。
孤独は波音で消すんだ。
夜の海はなんでも包み込んでくれそうな気がして好きだ
もう終わりでいいか。
貴方の瞳は夜の海。そこに浮かぶ光は月の光に透ける海月のように、ゆらゆらと揺れ動く。その潤む深い濃紺をずっと見ていたくて、その光を私だけのものにしたくて。不思議な引力を秘めたその瞳に惹き付けられて動けなくなってしまうその前に。小綺麗な箱のなかに閉じ込めて、中を静かな濃紺で満たしましょう。小さな夜の海の中でゆらゆら浮かぶ海月を眺めながら満足した私はうとうと夜の海へ船を漕ぎ始めた。
砂浜を散歩
昼間は人が沢山いるのに
今は自分だけ
なんだか特別感
なんでも出来そうな気がする
なにしてみようか
足に波が当たる
いつもなら何も思わないのに
今は連れていかれそうな気がして
なんだか怖い
けどそれもいいかもな
どこにたどり着くのか楽しみだ
『その鳥に名前は無い』
夜の海を越える 埋立地が遠くに見える 旋回すれば
想いが霞む 千切れていくのは羽毛のような 似て非なる別の何かだ 私はそれを鳥と呼んで指差した そしてそのまま空を見ていた
❴夜の海❵
ザザザ
波が揺れる音がする
「、、、」
海面に星空が写っている
「綺麗、、」
「宇宙みたいで、、、」
此処に飛び込んだら、、
あの子のいる宇宙(そら)に
私もいけるかな?
『君と見たかった、夜の海』
今すぐこの窓から飛び出して
砂浜の足跡を上書きして
暗くて静かな夜の海に浮かぶ
月影の道を辿って行って
貴方の船を見つけたら
もう迷わず一緒にかじをとるから。
暗くて静かな夜の海を窓から眺めていた時
月影の道の上に大きい船が見えた。
なぜか分からないけれど、
呼ばれているような直感がした。
気がつけば窓から飛び出してドレスを
軽く持ち上げながら砂浜を歩き
船に近づいていた。
静かな波のメロディが聞こえる中
貴方は船の上から私を見て
私は砂浜から貴方を見た。
名前も知らない、何も知らない、けれど
貴方の頭からつま先で全てが魅力的で
目が離せなかった。
もっと触れてみたいと思った。
貴方との距離が縮まるのに
時間は掛からなかった。
毎夜、月影の上に見える船を
心待ちにして、
貴方の船で一緒にかじをとり
星を眺めながら海の散歩をした。
砂浜に付いた足跡にはどんな
物語があるのか見つけたりもした
ずっと夜の海を散歩していたいと思った。
でも日が変わる頃には必ず終わり
船を降り振り返れば貴方の存在が
嘘のように無く、1人暗い海を見ていた。
貴方と私の居る世界は別物だと
気がついていた。
知ってしまえば、
貴方がもう現れない気がして
分からないふりをしていた。
ある夜、一緒にかじをとる私の手を握り
涙ながら貴方が言った。
「ごめんね、愛してる」と
気がつけば1人暗い海を見ていた。
暗くて静かな海に浮かぶ月影の道を
ずっと窓から見ていた。
あの夜以来貴方の船は現れない。
これが正しい結末だとわかっていても
こんなにも涙が溢れ、貴方が恋しい。
夜の海は真っ暗だった。
当たり前だけど
ただ波の音がそこにはあって
この波に飲み込まれてしまうような何とも言えない怖さと神秘さがあった。
今ここでこの波に飲み込まれて居なくなったとしても誰も気が付かないだろう
普段食べてる魚たちはこの広い海の中で生きてるんだって思ったら
海の中では生きられない自分がなんともちっぽけで情けなさすら感じる。
夜の海には考えさせられる何かがある。
夜の海
その夜の海は暗くおそろしかった
昼間の明るく輝きに満ちた海は精霊の祝福に満ちていたが
その夜の海は荒々しくうねり
まるで生きもののように
そのくせ生きているものを拒むかのように
隙あらば海中へ引きずり込もうとする魔物のようでもあった
私は海を見にゆくのが好きだった
今までに見てきた海はどんなに荒れていても
その夜の海ほどには狂ってはいなかった
美しい夜の海を見たことがあるかい
どんなに言葉を尽くしても語れないほどの美しい夜
その話はまたいつかする事にしよう
変な夜だった
私は海の変化に気づかぬふりで
いつものように海を眺めながらアルコールを飲んでいた
私は海をなだめるかのように夜の海と対峙していた
とうとう友だちが堪えられなくなり
もう帰りたいと言いはじめた
私はもう少し居たいと粘った
睨み続けていれば
いつものようなリズムを刻む
いつものような海に戻ると信じていた
その夜の海は私の足を絡め取るように
繰り返ししつこく這い上がって来た
嵐が来るはずもないのに潮位が異常に高かった
友だちは帰りたがった
その夜の
触手を伸ばし獲物を絡めとるかのように這い上がって来る生き物のような海と
友だちに負け
真夜中を過ぎたころ
私はようやく海を後にした
それ以来
夜の海には行っていない
夜の海
サンダルを脱いで
波打ち際に立つ
月を写してできた道を
そっと踏み込んで歩いていく
風と共に音を立てた波が
素足にあたり
去っていく
月へ帰るように
今日は、特段綺麗な形の月じゃなかった。
満月でも三日月でもない。中途半端で歪な月。
それでも何故か、目が離せなくて。
夜の海に浮かぶ孤独な月を、抱き締めたくなった。
誰もいない浜辺をゆっくりと歩いてみる。
夏とはいえ、夜の海辺は肌寒かった。
街の喧騒も、煌めきも、ここには何も無い。
あるのは打ち寄せる波の音と、月明かりだけ。
ひとりぼっちの海は、ただただ広かった。
足先を海に浸した。冷たい。
一歩、もう一歩。
揺らめく月に誘われて、身体は冷たく重くなっていく。
感覚が鈍くなってきた。でも不思議と怖くはなかった。
別に死のうと思って来たんじゃない。
ただ、月を眺めていた。それだけだったのに。
口に海水が入る。塩辛い。
涙と同じ味がした。
気が付けば泣いていた。
大声で泣きじゃくった。
誰もいない海の中で、気の済むまで泣き叫んだ。
理由なんてない。なのに、涙は止まらなかった。
泣き止まないまま、月明かりを求めて手を伸ばす。
届いた光をそっと抱き寄せた。微かに暖かかった。
夜の海
それは静かな夜だった。
水面には夜だけが映る、そんな時間。海に着いた時ちょうど月明かりが出てきて、夜だけだった海にぼんやりと儚い光がさす。
そこに浮かんだ色素の薄い髪が月明かりに光って息を止めた。
「_ッ!!!」
名前を呼んで転がるように砂浜を蹴った。足がもつれようと、砂が行手を阻もうと構わず、砂を蹴り走り続けた。息を切らす途中、何度呼んでも振り返らなかったその人は、まるで月夜に導かれるように振り向いた。
「…ごめん」
そういってくしゃりと笑って、目尻から一粒の雫が落ちた。まるで、消えるさだめ定めの星屑の様なそれ。
そうしてまた顔を背けようとする。これを逃したら今度こそ、もう、本当に逢えなくなると思った。
だから、全ての力を振り絞って海へ入った。絵の様に動かなかった水面が、バシャバシャと汚く音を立てる。それでいいと思った。
そうして引き寄せて、もう離さないと誓おう。
このまま海に溶けてしまってもいいと言おう。
だから今は、ただ、己の胸に抱かれて欲しい。
静かになった水面には、ひとつになった影がだけが映っていた。
【 No.1 夜の海 】
暑苦しい祭りから抜けだして、海辺に出た。
なんか駆け落ちみたいでテンション上がるね、
なんて言ってはにかむ君。
柔らかく、儚く、少し乱暴すると消えてしまいそうで、
怖くて。自分でも驚くほど優しく、頬に手を添える。
長い髪が潮風になびいて美しい。
潮の匂いと共に鼻をかすめる香水の匂いに満たされて
思わず緩む顔を、君はクスリと笑って好きだと言った。
その行動全てにまた惹かれ、愛おしくみえる。
「俺さ、今日を記念日にしたいんだ。」
俺たちが出会った特別な日だから。
「俺と結婚して下さい。」
「喜んで。」
少し頬を赤らめて、一筋の涙を頬に伝わせた君は
嬉しそうに笑って目を閉じた。
俺は彼女に軽く啄むようなキスをした。
夜空に咲いた華やかな光の花が、俺たちの影を真っ暗な夜の海に映した。
どんなに静かな夜の海であっても、君と一緒なら特等席。
肩を寄せ合い見上げた空を、俺達は一生忘れないだろう。
「……」
ザーッ__
塩水が波寄る音の背景に、打ち上げ花火の音が騒ぎ立てる。
〈だいぶでかいのが上がったな笑〉
〈花火綺麗ー!〉
〈見て!あれ星形になってる!〉
遠くから人の声が聞こえる。
『現在、4年振りの打ち上げ花火がこの海に打ち上げられました。皆さん、花火をどうぞ思いきり楽しんでいってください。』
嬉しそうな女性のアナウンスが響き渡る。
海の波紋が壮大に広がる。
「海…」
久しぶりにタンスの奥から出した浴衣と、綺麗に整えた髪型を満足気に見る。
「無駄にしちゃうな、」
海へと足を踏み入れていく。
『間もなく、スターマインです』__
騒がしいはずの外野の音が、私には聞こえなかった。
目に広がる景色は海の中の澄んだ青色。
手を伸ばしても、月は掴めなかった。
海の中から泡が吹き出していく。
私は、そっと目を閉じた。
瞼の裏には見てもいない打ち上げ花火が浮かんできた。
夜凪だった。
音が遠くなって、次第に意識も遠のいていく。
今目を開けるべきじゃないことはわかっていた。
「(浴衣…溺れずらい。)」
『△✕街、夜の海の打ち上げ花火を終了致します』
"夜の海"
夜の海
静かな波の音
暗く遠い水平線
少しだけ明るい月あかり
砂浜は誰もいなくて
ひとり歩く僕の
前に伸びる影と話す
メランコリックな夜の海
「夜の海」
夜の海は、暗くて 波の音だけが聞こえて静かだ。
私は夜の海は少し怖いが好きだ。
一度、夜の海を散歩してみたいと思った。
夜は怖いが静かで私は好きだ。
夜の海も夜の空もすごく綺麗で、落ち着く。
海なんて久しく行ってないけどもきっと涼しくて誰もいなくて静かで綺麗で悲しいんだろうな。自分の姿が海面に反射することも無くただそこにいるだけなんだろうな。波の音を聴き、いつもより鮮明に見える光を見て砂の上を歩いて自分の何かが嫌になるんだろうな。暑くないのだけが救いかな
夜の海
『夜の海』は不安や恐怖が湧き起こされるけど、月が反射しているから美しさも同時に感じられて、不思議な気持ちになる。