『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜の海、貴方と遠出をした夏休み。
「暑くないんですか?」
夜とはいえ酷暑といわれる日。ハンディファンを持った私に話しかける。
「暑いです」
貴方は静かに私の隣に座る。お盆の真っ只中、帰省の予定はなかったのだろうか。
「家帰らなくて大丈夫ですか?」
「大丈夫です。私がどこで何してようが気にしない人達なんで。」
吐き捨てるようにそう言い貴方は二本目のエナジードリンクを流し込む。
「そうですか」
サンダルと靴下を脱いで、浜辺に向かう。貴方は不安げに私の名前を呼ぶ。
押して返す波。
くるぶしまで濡れた足先。濡れるのも気にせず海に入る。
ぬるい水温、大きく聞こえたバイクの音。
「行かないで!」
ひときわ大きい貴方の声。思わず足を止めた。振り返れば目に入る、貴方の潤んだ瞳から涙がこぼれ落ちた。
「大丈夫ですよ」
珍しく泣きじゃくる貴方を宥めるように頭を撫でた。
「遠いとこ行っちゃうかもって思って、怖くて、それで」
しゃくりあげながら必死に伝える。
「大事だから、どこも、行って欲しくなくて」
「うん」
そっと貴方を抱きしめた。
不安にさせてごめんね。
大好きだよ。
夜の海
静かな夜の海。沿岸の灯りが、湾に沿ってカーブする、夜の海。
宿の窓から眺める静かな海です。
海から遠くに住むわたしにとって、たまに訪れるその宿の夜景は、旅の一番のご馳走です。
夜の海を見てたら星空になった
世界があべこべになったんだ
夜の海
夜の海は静かで
怖いです
なんか引き込まれそう
真っ暗な浜辺
恋人と一緒なら
ロマンチックかもしれない
一人ではたぶん
行かない
黄昏るなら
夕日を見ながらのほうが
いい
ある離島で
真っ暗な浜辺で
一服してた
海を眺めてたら
半透明な足が見えた
恐怖で
その場からすぐ
逃げた
何だっただろう
私には霊感はない
大東亜戦争の
激戦区の
島だった
沖縄
今は夏だと
観光客で賑わう
海がとてもきれい
ダイビングで有名
海で行われた花火大会に行ったことがある。
地元では、なかなか盛大な大会で、
それはダイナミックで華やかな花火が何発も
打ち上がった。
昼前から海水浴をし、良い席を取るため結構な
金額を出し、そうして見れた花火大会だった。
空に水面に色とりどりの花火が打ち上がり、
あちこちから歓声が上がった。
ひとしきり堪能した後の帰り道は、とにかく渋滞で
時間がかかり、1日楽しいながらも苦労した花火
大会だった。
みんなヘトヘトになったけれど、それも一つの
思い出だな。
「夜の海」
「海はね、必ずあなたを守るから」
「海に行くなら、夜に来なさい」
「昼や夕方もいいけれど、夜も意外と綺麗なのよ、"夜の海"っていってね」
「一度でいいから、あなたの目でしっかり見てみなさい」
俺の母親はそう言って死んだ。
母の言った"夜の海"が気になって、沿岸に呼ばれているように足が進む。
着いた。これが"夜の海"か。
綺麗だな。昼や夕方も良いけど、俺は夜のほうが好きかもしれない。
人一人おらず、夜空に瞬く数えきれない星。
今日は満月か。真っ暗な世界に、月明かりがほどよく照らす。
これのことか。母の言っていた意味とは。
海のように寛大な母、なんて言うが、
確かに「必ず守ってくれる」気がするな。
_2023.8.15「夜の海」
花が開くように
密やかに
夜が訪れるとき
記憶された
わたしの中の過去が
ひとつづつ
小さなうねりとなり
打ち寄せる波となって
こころの奥に凍結させた
ひとつの想いを
静かに融解し
空虚な夜の海へと
誘います
遠いあの日
ガラスのこころで拒絶した
あなたの手のぬくもりも
あなたの淋しい嘆息も
今であれば
優しさだけで
包むこともできたでしょう…
想いは
深い海の中
もう
ひとすじの月明かりさえ
届きません
# 夜の海 (246)
テーマ:夜の海 #275
「夜の海は暗くて怖い。
でも満月の夜だけは違う。
人魚が姿を現すんだ」
本当か嘘かはわからない。
私は島で会った同い年くらいの男の子に
教えてもらったことがある。
こうして仕事に疲れて
夜の海を眺めているとその時のことを思い出した。
その少年は小さい頃、私と仲が良くて
よく遊んでいたっけ……。
あの子、今もいるのかな。
いつの間にかその子のことも忘れてしまった。
無邪気な私も遠い昔においてきてしまった。
大人になるって寂しい。
今日は満月か。
私はふと見上げると大きな丸い月が目にはいる。
人魚……か。
人魚でも現れてくれたら
あの頃の純粋な私に戻れるかしら。
あるはずのないものに期待している私がいた。
人魚は無理でもいつかまたあの子に会いたい。
あぁいい眺めだ。
ここに越してきて、もう2年もたったのか。
人生は早いもんだな。
俺はここに来て満足だよ。
沢山の金がかかったな。
ーあぁ!?なんだと!?お前やんのか?!ー
あぁまた聞こえてきた。やらなければいいものを・・・
囚人番号862!出房だ。
もう終わりか・・・
「×月×日×時××分。」
冷たい音が 鳴り響いた。
学生時代、どうしようも無い気持ちでいっぱいになったときは1人で夜の海を見に行った。
親には危ないと怒られるから、いつも黙って寄り道をした。
浜辺の波打ち際まで寄って、波の音に耳を傾けながら歩く。
人はほとんど居ない。
というか暗闇でほとんど見えない。
波がざばーん、と打ち寄せては引いていく一定のリズムに耳を傾けて
砂浜の不安定で重たい感じに意識を向けたら
余計な思考が消えていく。
人もいないから人目を気にしなくていいし
暗闇なお陰で五感に集中できる。
そうしてしばらく歩いて、もう疲れたってところまで来る頃には
少し心の余白が出来ている。
私にとって夜の海は
私だけの特別なもの。
深夜3:28海に向かう線路の上を走る一両だけの列車は、まるで深夜の海へと吸い込まれる様に走り去る。
ガタンゴトンバシャバシャ、ガタンゴトンバシャバシャそしてそのまま夜の海の水中へと潜って行った。
海面を照らして潜る。車両その線路を辿って逆方向へと進むと一本の仄暗い街灯は、昔ながらの街灯で羽虫や蛾がウヨウヨたかって集まりヒラリと、街灯の熱に焼けて落ちる。小さな羽虫。
そして次の日も一両だけの列車を駅で待ち。
駅名は、三文字の一文字目は、黒く掠れて消えて見えず。ロ月と二文字も汚れ錆だらけの二本足の駅名標識が佇んでいた。
車両のブレーキ音が鳴り響き乗った。車両内は、割合空いていて反対側の隅っこには、白い鍔が広い帽子を被った女性が座っていて。ガタンゴトンと揺られて走りだした。
こんな夜中に赤いワンピースに白い帽子の女性?何だろ?凄く気になって気が付いたらバシャバシャと水を弾いて水中へと吸い込まれていた。
正面を照らす。丸い二つのライトが魚達を目の前を通り過ぎて遠くで聞こえる。僕の名前を呼ぶ声がして
目を覚ました。
どうやら僕は昨日の寝不足が祟って暗く涼しくて開放的な空間で眠ってしまったみたいだ。
そんな深い眠りに付いていた僕を起こしたのは、今日初めてデートする。彼女、そして耳元で聞こえた不可解な囁き。「良かったね起こしてくれて」
ばっと座っている。ベンチから振り向いてまばらな人々の中に消えた。赤いワンピースの白い鍔の広い帽子を被った女性。
「なぁロ月駅って知ってる?」
「ロ月?う~んそれって如月駅なんじゃないの?」
「あ、そうなんや、なぁそれってその車両に乗ったらどうなるか知ってるか?」
「うん。知ってるよ。消えてしまうらしいよ怖い話しですねぇ~」ニコニコと笑って「次はイルカさん見に行こう!!」「あ、ああ、行こ行こ」
知らず知らずのウチに彼女に救われてたと気が付いて背筋が凍りつきました。
「夜の海」
紫色の空に浮かぶ黄色く輝いている月。
その光に負けないように光る星星。
海はいい。
特に、夜は。
空が水面に反射して、どこまでも続いているように見える。
夜の海
昼間の海は太陽に照らされてキラキラと輝いていて眩しいけれど
夜の海はなんだか吸い込まれそうな……不安な気持ちになる
僕達はまだ友達
まだ暖かな 秋の浜辺
遠く釣り人 夜釣りの準備
電気の浮きが プカプカ揺れる
何が釣れるの 太刀魚だろか
赤い夕陽に 消えてゆく
あの鳥は 見たものを
幸せにする 幻の 赤い鳥
見詰めて二人 まっかっか
ほっぺただけを もっと染めてる
髪切ったんだ 前よりずっと
可愛いよ 君の瞳の
奥にはまだ あいつの陰が
瞳に映る 僕はとっても
悲しそう カモメも啼いて
刹那そう 君は泣くなよ
今夜はきっと 星がいっぱい
じき日が暮れる 僕達はまだ
友達だよね
昔々の 夏の夕べに
恋することは 苦しむことと
決めたの誰 楽しいだけの
恋はないのか 教えて欲しい
夜は明けるな 永遠に
笑ってた 君の顔
見られるならば 太陽が燃え尽きて
消えてしまって 構わない
恋の神々 愛の女神よ
服換えたんだ 良く似合ってる
綺麗だよ 良いセンスだね
君の心に あいつ欠片(カケラ)も
見当たらないよ 僕は大変
嬉しそう 海の佐々波(さざなみ)
楽しそう 君も笑って
今夜はきっと 星がいっぱい
じき日が暮れる 僕達はまだ
友達だよね
作詩:徳博 お題 夜の海
夜の海
深い暗闇が一定のリズムで
波打つのを見ていると
手招きされているようで
目をそらす
多くの感情が混ざり合った海は
より深く黒にかがやく
私は夜に海へ行ったことはない。だから、夜の海に見える景色を知らない。でも、憧れはある。そこでやりたいこともある。三日月なのか満月なのか、空を見上げて静かに時を過ごしてみたい。そう、もちろん大切な人と。やっぱり、自分の時間も大事だろう。「夜」と言われると1日が終わってしまう、明日嫌だなというネガティブな思いをすることが多いだろう。私も最近まで、そう思っていた。だけど、「夜」は「朝」と「昼」よりも時間が短くて、さらに、明日を迎えるためのちょっとした時空として存在している。ああ、時間はとてつもなく早くて不思議だ。なので、私は今の自分を好きになるためにこうして向き合っているのだ。
そんなことを思い出して、
隣に座る人と共に夜の海を眺めていた。
お題 夜の海
【夜の海】
『ここで何してんの、』
私に声をかけてきた貴方
「別に。何にもしてないけど」
嘘。
気づいて欲しい
『ふーん。そっか』
貴方はずっと星を眺めていた
『じゃあ、なんで急に僕から離れていったの』
貴方のキラキラと光る目は、夜の闇のせいか、何も持っていない、私が大嫌いな人間の目をしてた
その目には愛情も、信頼も、全て何処かへ置いてきたんだね
「なんとなくだよ。」
なんとなくな訳ないじゃない
「それに、私じゃなくて、貴方が最初に離れていったのよ」
波音が心地良い
こんなことになるなら最後くらいキスでも何でもすれば良かった
『そうだった』
『あの時はごめんね』
『もう僕も怒ってないから』
「それなら良かった」
心の底から安心した
これで私も深い眠りにつける
『だからさ、もう夜の星にでもなって、僕を見ててよ』
『そしたら君はもう満足なんだろ?』
満足なわけないじゃない
でも、嘘でもここは満足と言わなきゃ言けないのよね
貴方の為なんだから
「えぇ、満足よ」
早く新しい人見つけなさいよ
じゃないと、貴方の記憶から私が消されないじゃない
『じゃあ、バイバイだね。』
私は小さく頷いた
私の人生早いものだな、と感じながら
そして私は、君の横顔を眺めながら波に体を委ね、
夜の海となったのでした。
いつもより波の音が耳に響いて
いつもより少し暗い雰囲気をもつ
そしてどんなものが相手でも受け入れてくれる
夜の海って少し怖いけど、少し安心する
変わらずに受け入れてくれるから
私がどんな格好で来ようと、どんな気持ちで来ようとも
昼の海とはまた違った形で私を受け入れてくれるのだ
夜の海、そこはあまりに寂しい。頼る明かりも人もいない。ただ、打ち寄せる波の音がするばかり…。
「はあ…」
私は何かを言うこともなく、ただ何度目かになるため息をつく。
私は夜の海が好きな質だ。身の丈に合っていると思う。真夏の昼、あのあつくて眩しい世界に私は存在しない。かといって、研ぎ澄まされた刃物のような鋭さもない。どっちつかずで中途半端な存在…。
それが紛れもない自分。
だから、ただなにも考えず、誰の目につかないように心をしずめたくて時々、夜の砂浜を歩く…。
“ピー”
鋭く、どこか寂しい音がしてふと、顔を挙げた。すると、そこには優しく静かに夜の海を照らす月を見つけた。
(ああ、そうか)
と、唐突に感じた。
「別にどちらかになる必要なんてないや」
なぜか、泣きたいような気持ちになって久しぶりに声を出して笑いながら砂浜を走りぬけるー。
潮の匂いが漂っていた
遠くの光をぼんやり眺める
聞こえてくるのはさざなみだけ
吹く風が湿っている
*夜の海