夕づつ

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  花が開くように
  密やかに
  夜が訪れるとき


  記憶された
  わたしの中の過去が

  ひとつづつ
  小さなうねりとなり
  打ち寄せる波となって

  こころの奥に凍結させた
  ひとつの想いを
  静かに融解し

  空虚な夜の海へと
  誘います



  遠いあの日

  ガラスのこころで拒絶した
  あなたの手のぬくもりも
  あなたの淋しい嘆息も

  今であれば 

  優しさだけで
  包むこともできたでしょう…




  想いは
  深い海の中

  もう
  ひとすじの月明かりさえ
  届きません





           # 夜の海 (246)

8/15/2023, 11:59:00 AM