叶うことのない願いと
祈りの虚しさ
届かない想いの
やるせなさに
溢れ落ちた雫は
紛れもなく
あなたへの未練の涙
どれほど
逢いたくても
傍にいたくても
想い出をひとつづつ
反芻することしか出来ない
秋の夜は長く
今日も
わたしの眠りの国は遠い
# 涙の理由
あなたが逝ったことで
わたしの未来は光を失い
夢も希望も憧れも
どれもが
儚く暗闇に消えてしまった
心に僅に残る煌めきは
過ぎた日の
あなたとの想い出だけ
その柔らかで暖かな灯火は
何時もわたしを立ち止まらせ
遠く過ぎた日へと誘う
ああ
一日に何度
過ぎた日を想うだろう
何度
あなたを恋しく想うだろう
今日もまた
わたしは時のほとりで
未来に向かって歩き出せずに
立ち尽くしている
# 過ぎた日を想う
窓の外は秋霖
微かな雨音だけの部屋で
わたしは
今日も独り
昨日も
一昨日も
その前も
そして
きっと明日も
この部屋は
あの日
あなたが逝ってから
全ての色を失くした
無彩色の世界
寂しさに耐えるわたしに
「泣いてもいいよ」と
秋の雨は
寄り添うように
降り続く
# きっと明日も
# 静寂に包まれた部屋
# 秋
#窓から見える風景
空が泣く
あなたが泣く
落ちる雨が
天に昇ったあなたの涙なら
あなたの
此の世との惜別の涙なら
わたしは黙って
いつまでも
この雨の中に佇んでいよう
あなたを愛する方法が
全て断たれた今
せめて
空で泣く
あなたの涙に濡れながら
遺された
想い出を抱き締めていよう
空が
あなたが
わたしが
泣く
# 空が泣く
眠りにつくまでに
僕にください
あなたの優しい声で
おやすみなさいの一言を
あなたを想う長い夜
逢いたくて
逢いたくて
溢れる涙
せめて夢の中だけでも
聴かせてください
僕の名を呼ぶ
あまい声
時の流れの中で
色褪せることもなく
心に棲み続けるあなたに
二度と逢えない哀しみは
今夜も僕を
押し潰す
# 喪失感