ツバメ

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深夜3:28海に向かう線路の上を走る一両だけの列車は、まるで深夜の海へと吸い込まれる様に走り去る。

ガタンゴトンバシャバシャ、ガタンゴトンバシャバシャそしてそのまま夜の海の水中へと潜って行った。

海面を照らして潜る。車両その線路を辿って逆方向へと進むと一本の仄暗い街灯は、昔ながらの街灯で羽虫や蛾がウヨウヨたかって集まりヒラリと、街灯の熱に焼けて落ちる。小さな羽虫。

そして次の日も一両だけの列車を駅で待ち。

駅名は、三文字の一文字目は、黒く掠れて消えて見えず。ロ月と二文字も汚れ錆だらけの二本足の駅名標識が佇んでいた。

車両のブレーキ音が鳴り響き乗った。車両内は、割合空いていて反対側の隅っこには、白い鍔が広い帽子を被った女性が座っていて。ガタンゴトンと揺られて走りだした。

こんな夜中に赤いワンピースに白い帽子の女性?何だろ?凄く気になって気が付いたらバシャバシャと水を弾いて水中へと吸い込まれていた。

正面を照らす。丸い二つのライトが魚達を目の前を通り過ぎて遠くで聞こえる。僕の名前を呼ぶ声がして

目を覚ました。

どうやら僕は昨日の寝不足が祟って暗く涼しくて開放的な空間で眠ってしまったみたいだ。

そんな深い眠りに付いていた僕を起こしたのは、今日初めてデートする。彼女、そして耳元で聞こえた不可解な囁き。「良かったね起こしてくれて」

ばっと座っている。ベンチから振り向いてまばらな人々の中に消えた。赤いワンピースの白い鍔の広い帽子を被った女性。

「なぁロ月駅って知ってる?」

「ロ月?う~んそれって如月駅なんじゃないの?」

「あ、そうなんや、なぁそれってその車両に乗ったらどうなるか知ってるか?」

「うん。知ってるよ。消えてしまうらしいよ怖い話しですねぇ~」ニコニコと笑って「次はイルカさん見に行こう!!」「あ、ああ、行こ行こ」


知らず知らずのウチに彼女に救われてたと気が付いて背筋が凍りつきました。





8/15/2023, 11:51:50 AM