『声が聞こえる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
隣から
深夜の電車
誰も近くに座っていないはずなのに
僕と先に乗っていた女の人以外
いないはずなのに
女の人の
離れたところに座ったのに
声が聞こえる
子供が泣く
子供なんていないはずなのに
声が聞こえる
子供が泣く
父親があやす
男の人なんていないはずなのに
ずっとずっと
声が聞こえる
さっき、女の人は降りたのに
まだ
聞こえる
声が
声が聞こえる
駅に着く
急いで電車を降りる
改札を通って
街灯もある、いつものみち
でも、まだ、聞こえる
声が
聞こえる
『声の主』
気がつけば迷宮入りの 話が飛び交う洋館で 蝋燭のが眩い灯火が揺れている 大事な一言は何処へ? 主の口から逃亡中 話はまるで噛み合わない あることがなかったことに 奇妙なことが現実に
声が聞こえる。幻聴か。バイトしてる時に裏で作業してて音がしたから客がきたと思って行ってみると誰もいないってのはよくある。
思えばあれは幻聴なのかもしれないというより幻聴なんだろうな。客がくるかもというストレスとかが生み出しているのかもしれない。
でも人の声が聞こえたことはないな。幻聴にもレベルがあるんだろうな。そこまでいったら病院いったほうがいい、そういうやつが。
最近は本当に涼しい。だけどエアコンつけないとやっぱりちょっと暑いんだよね。なので結局つけちゃう。電気代気になるけどこの夏散々つけたんだから誤差だろって電気代への認識がちょっとバグってる。
生活レベルを上げると下げられなくなるってのはよく聞くけどこういうことなんだね。もうエアコンのない生活は考えられない。
今日も一雨きてわりと涼しいのにエアコンつけちゃってる。でも部屋の温度計がエアコン消すと熱中症の危険ありってなるんだよな。だから暑いしつけちゃうけど電気代気になるな。
ーあなたの声をきかせてー
今日も上司が酒をすすめてくる
今日も浴びるように酒を飲まされたあと
上司は上機嫌で帰って行った。
僕は目を開けるのもやっとで
意識を飛ばした。
どのくらい時間が経ったのだろうか
しばらくしたら僕が大好きな声が聞こえた。
「...て...きて...起きて」
はっきりしない視界で声のするほうを見ると
やっぱり彼女がいた。
彼女は笑顔で
「おはよう、おうちに帰ろう」
なんて優しく声をかけてくれるから
やっぱり彼女が好きだなぁなんて
ポワポワした頭で考えて
家に帰る
彼女は
「お酒の飲み過ぎには注意しないと行けないよ」
なんて注意とともに
僕を支えてくれている
─────『声が聞こえる』
偉そうだね
何考えてるんだろうね
もっとしっかりしてよ
誰も言ってないはずなのに
そんな声が聞こえる
私を追い詰めるのはいつも私
//声が聞こえる
声が聞こえない
この情報過多の時代
目立たないように生きてきた
人の声に耳を傾け
言葉の裏を探り
心情を測り
うまく立ち回れていると思っていた
だから自分の心の声が聞こえない事に
気がついていなかった
ネットで検索しても
AIに語りかけても
SNSを見て回っても
どこを調べても他人の声が聞こえるばかり
ひょっとして自分の声なんて
最初からなかったのではないだろうか?
そんな疑問すら湧いてくる
だから今日も他人の言葉に耳を傾ける
そこに自分の声が紛れていることを願って
//声が聞こえる
#85 声が聞こえる
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
声きく時ぞ 秋は悲しき
「…ぃ…おい、起きろ。紅」
ん、なに…バンビの声だ。
せっかく気持ちよく寝てるのに。
「ったく、ノーテンキな寝顔やめろ。いい加減起きろって。電車なくなるだろ」
あ、悪口。いけないんだーうふふ。
許さないもん…ね…
「…やめた。こいつは朝まで起きない。知ってた」
あと少しで浮上できた意識は沈んでいった。
「…あれ、あさ?」
目が覚めた。目線だけ動かして時計を見ると針は午前3時を指している。
「…あさじゃない…」
テーブルに突っ伏して寝ていたせいで痛む体をギギギと起こすと、反対側でバンビが寝ていた。
腕を組んで座ったまま。
「おお…」
座布団だから落ちる心配はないけど…。
俯いている顔をそっと覗き込むと…うん寝てる。
体も壁に寄りかかってるけど、まるで起きてるみたいに見える。
飲み散らかして食べ散らかしていたはずのテーブルは片付けられていて、バンビの前に缶ビールが一本あるだけ。ん?なんで一本?まあいいや。
そっと立ち、台所で水を飲む。
今年もまたすっかりバンビの世話になったようだ。
「なんでだろうなぁ」
秋だなぁ、と思うと。
バンビの「まったくコイツは」って呆れてる声が聞こえる気がする。
なんだか呼ばれてるような。
そうするともう彼氏といるのがつまんなくなって、
我慢できずに別れてしまう。
フリーになるとバンビと会いたくなって家にお酒持って突撃。そんなのを繰り返して、もう何年だろう。
「ねえ、バンビ。なんでだろうね?」
1回会って飲めば、いつも満足だけど。
もう少し一緒に居てみたら何か分かるかな。
とりあえずバンビの布団で寝直してから考えよう。
「座って寝てるくらいだし、いいよね」
---
前話「秋恋」の彼女視点から。
人里離れた奥山。積もった紅葉の上を歩きながら、鹿が鳴くのを聞くと、感情的になっちゃう。それが秋だよねぇ。
大まか、そんな感じです。
大人なのになぁとは思いましたがバンビ限定ということで。
竜田姫と鹿のお話でした。
#声が聞こえる
昔から僕には聞こえちゃいけないモノの声が聞こえてた。
ほとんど何を言っているかは分からないけど、時たまか『殺してやる』とかの強い恨み言は聞こえたりするけれど。
ほら今も、僕を殺そうとするモノの声が聞こえる
「声が聞こえる」
目をこらせば
耳をすませば
わたしのからだ 自分を手放せば
ただ ただ 地球に寄せてみれば
木々の聲の
地中で眠る蝉の蛹の
鳴かぬ蛍の 怯える蛇の
じっとこちらを見る梟の
見上げれば 地球を見守る星の
私を凍えさせる月の
瞬きをして涙を流す星の
胸に刺さる明日の太陽の
すべての 声が聞こえる
聲が きこえる
「声が聞こえる」
【お題:声が聞こえる】
声が聞こえていたのに
聞こえていないも同然だった
そんな魔がさしたような瞬間が
生きている間に 何度か
人には あると思う
手塚治虫の「火の鳥 鳳凰編」
生まれ落ちてから
孤独と不運の境遇を
負わされたかのような我王
やがて そんな彼に
温かく寄り添う存在ができるが
我王にも
その逢魔が時は やってくる
私たち人間は 悪いことに
真に自分を
思ってくれている人の言葉よりも
思惑を持って
近づいてきた人の言葉の方に
飛びついてしまうことがある
激しい動揺は 冷静さを失わせ
猜疑心と怒り、
悪魔のような衝動を生みやすい
そんな経験があるのは
きっと私だけではないだろう
――聞こえる。
私を非難する声が聞こえる。
気持ち悪い、って。
お前に生きる価値なんかない、って。
思わず耳を塞ぎたくなった。
でも出来なかった。
全て向き合わなきゃいけないから。
「どんなに辛くて苦しくても、嫌なことから逃げるな」
誰かの言葉。
「いつかお前が見返す時が来る。だから、じっと堪えて待っていろ」
今はその言葉を頼りに生きている。
〜声が聞こえる〜
声が聞こえる。誰の?
私には、誰の声も聞こえない。聞きたくないから聞かないんじゃなくて、本当に私の耳は聞こえない。
生まれた頃は聞こえていたけれど、今はもう聞こえなくなってしまった。
そんな私は、中途失聴者というのだろうか。
耳は聞こえないけれど、それ以外は、他の人と何も変わらない。
トントン。
私の肩を叩いた人。
「おはよう。待った?」
口をはっきり動かして、手話を使って話しかける彼。
私の為に手話を覚えて、私の世界を感じてくれようとする人。
でも、私の世界は、彼の見ている景色と何も変わらない。変わらないの。
「おはよう、待ってないよ」
私は普通に声を出して会話する。
中には声を出さず、手話だけで会話する人もいるけれど、私は意地でも声を出す。
間違えていようが関係ない。
もし間違ってしまっても、優しく正してくれる人としか付き合っていないと思ってる。
強がりで意地張りな私のくだらないプライド。
それに、彼は気づいていない。
彼は、私の為に手話を覚えてくれたけれど、
私は口の動きで会話はわかる。
百発百中なの。
でも、彼には秘密。
彼の手の動き、綺麗な指先、大きい手のひら
ごつごつと骨ばっていて、血管の浮き出てる手。
その全てが好きで、そんな好きな手を使って手話をしている彼が好き。
だから、もう少し秘密にするの。
私ったら、性格悪いね。
樹海。自殺の名所として知られるこの場所に行くと、至る所から声が聞こえた。成仏できていない人の声は、どこか悲痛なものであった。
やはり仲間を呼ぼうと死にたくなるようにさせるのか、この場所に来ると気分が沈む。こうしてつい死んでしまって、成仏できずに仲間を呼ぶという 循環に陥ってしまうのだろうな、とぼんやりと思った。悪いこととも良いこととも思えないけれど、わたしが感じたのは恐怖であった。
「はしゃぎすぎるな」。わたしの人生のモットーだ。楽しむのも悲しむのもいいけれど、楽しみすぎて周りを見えなくするなというだけの、しょうもないモットー。
はしゃいでしまいそうな気持ちを抑えるために、樹海に来る。そうして、気分を落としてから生活に戻る。何度繰り返しただろう。いつのまにか、声は聞こえなくなっていた。
と、一言だけ声がした。
「おまぇ、全然死んでくれへんやないけ」
なるほどな、とわたしは思った。
#声が聞こえる
声が聞こえる
こんな時に声が聞こえることはあるだろうか
誰もいない部屋 リビング 寝室で聞こえるだろうか
この正体は幽霊なのかお化けなのか?
その正体はお楽しみに…
声が聞こえる
【声が聞こえる】
真っ暗な洞窟の中を、手元のランタンの明かりを頼りに歩いていく。まるで迷路のように入り組んだそこへ入る時には、いつも義兄が一緒だった。洞窟の管理者を務める一族に生まれたあの人は、小さな横道まで含め複雑怪奇なこの洞窟の構造を完全に理解している。鉱石でも薬草でも、いつだって迷うことなく欲しい素材の場所まで俺を連れて行ってくれた。
孤児だった俺を、なんの気まぐれか拾い『弟』として育ててくれる人。盗みも脅しもどんな汚いことでもやって生を繋いできた俺からすると、どうしようもないほどに馬鹿げた善人。
いつもニコニコと笑っているあの人の苦しげな呼吸を思い出し、採取した薬草を詰めたウエストポーチをギュッと握りしめた。どうにか目当てのものは手に入れたけれど、帰り道がわからない。だけどそれでも、一刻も早く帰らなければ。高熱に浮かされながらも、俺を安心させようとするように「大丈夫だよ」と微笑んだあの人の元へ。
気持ちだけが焦る中、どれだけ暗闇の中を出口を探して歩き回ったか。喉が渇きを覚えてきた頃になって、不意に遠く響く誰かの声が俺の鼓膜を揺らした。
耳を澄ませる。必死に俺の名を呼ぶ声が聞こえる。男性としては少し高めで甘い、あの人の声。
「っ、兄さん!」
大声で呼び返し、声の聞こえた方角へと走った。貴方の声はいつだって俺の道標だ。走って、走って、走って。
「馬鹿っ……! 何で一人で洞窟に入ったりしたの……!」
目の前に光が差し込んだ瞬間、勢いよく体を抱きしめられた。触れた肌が火がついたように熱い。
「無事で良かった……」
まだ熱が下がっていないのに、それでも貴方は俺のことばかりを心配する。安堵したように呟いて、そうして糸が切れたようにその場に座り込んだ。
「……ごめん、なさい」
じわりと視界が滲んだのは、ようやく洞窟を出られた安心感からか、それとも結局貴方に無理をさせてしまったことへの不甲斐なさからか。大きな背中をギュッと抱きしめて、俺は滅多に口にすることなんてない謝罪の言葉を囁いた。
どうしても気持ちが晴れなくて
車を走らせた
行く方面は横須賀の方
海岸線を好んで走る
いつもの駐車場に車を停めて降りた
波の音が聞こえてくる
ネオンを反射させ揺れる海を眺めたら少し
気持ちが落ち着いてきた
ようやく自分の心音も聞こえてきた
君を誘えばよかったと今ごろ気付く
「馬鹿ね」って言う君の笑顔を思い出す
声が聞こえる、海が聞こえる
三叉路では、はよ行けま…
天気が良いと、ママどっか行こっせ
入院中は、ルーと遊んでね
具合が悪い時も、ママとどっか行く
今もその場面で、聞こえてる
一人で、あっそうか
私にない部分を穴うめしてた人
だいぶ長くやってもらった
楽しかった
これからも心にいつまでも
生きている間ずっとここに聞こえているよ
舞
声が聞こえる
わたしの名前を呼ぶあなたの声が聞こえる。
なんて幸せなんだろう
俺には幽霊が取り憑いている。
顔をはっきり見たことはないが、長い髪、少し小柄な体型からして、女の幽霊だろう。
特に何か悪さをしてくるわけではない。
ただ、急に暗闇から現れたり、ふと顔を上げると離れたところからこちらを見つめていることがあったり、夜目が覚めるとじっと枕元に立っていることがあるくらいだ。
最近は慣れてしまって、髪に隠れた顔が可愛いといいなぁなんてことを思っていたりする。
そんな幽霊の声を、今日初めて聞いた。
何かぶつぶつと呟いている。
俺のすぐ背後で、今も。
今までただ見てくるだけだった幽霊が何か言っている。さすがに少し怖くなった。
何だ。こいつは何を伝えようとしているんだ。
声はただずっとぼそぼそしていて、はっきりと聞こえない。言いたいことがあるならはっきり言え。きっと、こんなぼそぼそした小声だから怖いんだ。
出先の、一人になったタイミングで、俺は背後にいるであろうその幽霊にとうとう告げた。
「何が言いたいんだ! はっきり言えよ!」
すると、さっきまで薄らぼんやりしていたその存在が、はっきりと背中から右肩に頭を乗せているように感じた。いつもより高い位置にいるから、少し浮いているのかもしれない。
幽霊の頭がすぐ右にある。
思わずひゅっと喉が鳴った。
そして、幽霊は口を開いた。
「チャック開いてますよ……」
も、もっと早く、はっきり教えてくれ――!
『声が聞こえる』