『喪失感』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
タイムリーなお題ですね。
妹と絶縁しました。
理由は妹が私の最愛の人(旦那さん)を貶すから。
尤も妹には、夫の愚痴などを聞いてもらっていたから、悪い面だけ誇張して伝わっていた事自体は仕方ないし私の責任でもある。
ただ、それを差し引いても旦那さんのことは好きになれないし、そんなダメ男にくっついてる女(つまり私)との今後の付き合いも遠慮したいと。
妹のことは、産まれてからずっと一番に大切にしてきた。
だからものすごく悲しいし淋しいけど、今となっては仕方ない。
だって旦那さんが、いまではいちばん大切な人になってしまったから。
あえて順位をつけたいとは思っていなかったけど、こうなったからには仕方ない。
私は旦那さんと私の家族を取ります。
いつかまた妹とも分かり合えるといいのだが。
(お題:喪失感)
喪失感
あなたを失ったときの喪失感は一体どれだけのものになるのか…
今の私には想像できないよ…
母レベッカがこの世を去った。
私が家督を継ぎ、戦後処理を終えて一ヶ月もしないうちに。
妹が生まれて間もなく、入れ替わるように父は急逝。夫不在のブレヴォリス家を守るために奔走し続けた彼女に、心休まる時はあったのだろうか。
母には感謝してもしきれない。忙しく、外圧が強まる中で家族で集まることは少なかった。しかし、年に一度、皆の誕生日を祝うのが楽しみだった。
この恩は必ず返すと誓ったはずなのに。
間に合わなかったことがただただ悔しくて仕方がない。いつの日か子を成し、母に孫を抱いてほしかった。
「ロランス……準備はできたかしら」
侍従長であり、母の親友であったフリーダ。
忙しい母に代わり、私たちを育ててくれたもう一人の母。今は落ち着いているけれど、泣き叫ぶ姿に胸を締め付けられた。現に、こうして目を腫らしているままだ。
「皆を待たせてしまっているのなら、申し訳ない。すぐに行く」
母の棺、その前にはたくさんのカーネーションが添えられていた。亡き父の遺志を受け継ぎ、民にも寄り添い続けた母。継承の儀は行わなかったが、彼女も間違いなく歴代当主と同じように責務を果たした。
「亡きレベッカ・ブレヴォリスを偲び……」
皆が喪服に身を包む、長い夜が始まろうとしている。悲しみに暮れ、立ち止まる暇はない。それでも、前に進むために。
『我らの母を偲ぶ』
喪失感
イヤリングをよく落とす
どんなに気をつけていても
気づくと無くなっている
しばらく焦りと喪失感で落ち着かない
また同じ気持ちを味わうかもと思いつつ
やっぱり今日も耳に彩りを添えたい
喪失感
何かを失った時、喪失感に襲われた。
それと同時に、心に穴が空いた気がした。
何も考えることができなくなった。
何もやる気が起きなくなった。
「どうすればこの空いた空間を埋められるだろう」と
思ったが何も思い付かなかった。
ただ、ただ、失ったことを自覚しながら
思い出に浸ることしかできなかった。
嬉しい気持ち、悲しい気持ち。
ありがとう、またね。
たくさんの気持ちと言葉で溢れた。
忘れる事は絶対にできない。
この喪失感がいつか消えた時…
私は大きく変われると信じている。
貴方に出会って恋に落ちてずっとあなたを追って来た。でも何故か喪失感に夜襲われる
元気に庭木の手入れをしていたお婆さん。
もうすぐ花がたくさん咲くよ、と嬉しそうに話していた。
今、アプローチには色とりどりの花が咲いていて、だけども世話をする人はもう居ないので。
直に枯れてしまうのだろう。
誰に看取られることもなく、ひっそりと。
お婆さんとともに逝くのだろう。
テーマ「喪失感」
喪失感(過ぎ行く想いとは裏腹に)
―――何がどうしてこうなった、と思う。
三階の教室のベランダの手摺に身を預けながら、俺はすぐ真下を歩いて行く二人の姿を目で追う。
ひとりは幼馴染みの彼女、ひとりは隣のクラスの顔なじみの男子。
見るからに仲睦まじげな彼らの様子に、俺は物憂げに何度目かの溜息を吐く。
「何だ何だ、辛気臭えなあ。何見てんの」
………嫌なヤツに気づかれた。
素早く隣を陣取ってきた腐れ縁のそいつに、俺は憚ることなくあからさまに表情を負の方へと崩してみせる。
「あれ、あいつカレシできたのかよ。どうりで最近やけに浮かれてると思ったら」
彼氏。
直球の単語が容赦無く心にめり込んで、息が詰まる。
あいつとはずっとただの幼馴染みだったはずなのに、なのにどうしてこんなにも二人の姿を見せつけられて俺は動揺してるのか。
「………。悔しいのか?」
「! なわけねえだろ。何もねえよあいつとは。幼馴染みの枠越えたことなんかなかったし」
「………あっそ。俺はただ『幼馴染みを取られたみたいで』悔しいのか?って聞いたつもりだったんだけどな。いやそういう解釈できますか、そうですか」
含みを持たせた言い方が何とも癪に障る。
こいつ、知っていてわかった上で喋ってやがる。
俺は即座に食ってかかろうと構えてはみたものの、―――バカらしくなりやめた。
更に虚しくなるのは火を見るよりも明らかだった。
「………俺はいいんだよ別に。好き同士くっついたんだから、何の異論もねえよ。それにどう足掻いたって今更すぎるだろ」
えー、と不服有り有りの声が隣から漏れる。
「なんて高尚な。俺には無理だわ、その境地には辿り着けん」
―――その、どこか蔑んだ響きを孕んだ声色に、俺は思わずヤツの胸倉を引っ掴んだ。
「お前に何の関係がある? 俺を怒らせて楽しいか? あ?」
胸倉を掴まれてもなお、いやあ、とヤツは飄々としている。
こいつが今程憎いと感じたことは他にない。
「すれ違いの両片想いはもどかしいね」
………。は? すれ違い?
両片想………い?
どういうことか、真相を問い正そうと口を開きかけた俺に、ヤツは意味深な笑みを残して脇をすり抜け教室へ戻って行ってしまう。
そんな大いに戸惑う俺とは対照的に、視界に入る二人は幸せを絵に描いた姿そのもので―――
俺は掌から溢れ落ちた、失ったものの大きさに、打ちひしがれ言葉もなく立ち尽くしていた。
END.
《喪失感》
皆で力を合わせ邪神を倒し、過去に喪われた全てを取り戻したあの時。
旅の仲間の心に住まう貴女が、元の世界へ帰る時が来た。
旅の仲間は、言っていた。
自分が貴女を呼んだのではない。
貴女が皆を、僕達を求めていたのだ。
探している大切なものは、きっと貴女の世界で見つかる。
だから、ここで別れよう、と。
彼女がその時に何を思ったのか、僕には知る術は無い。
それでも僕は心の底から彼女の幸せを願い、笑顔で今までの礼と別れを告げた。
他の仲間達も同じ気持ちだったのだろう。皆思い思いの言葉で彼女を労い、幸せを祈る言葉を伝えていた。
遥か遠い、決して交わらぬ世界。
そこで生きる貴女は今、幸せだろうか。
探しているであろう大切な何かを、無事に見つけ出せているだろうか。
闇の眷属に蹂躙され疲弊しきった帝国の復興に従事しながら、僕は彼女の幸せを願っていた。
人手も足りない。恵まれぬ環境下での日々の生活が如何に過酷かの経験も無い。
まずはそれを埋めるべく、僕は住民区の土木や建築の作業に加わっていた。
軍での訓練の経験も活き、作業を順調に進めながら色々な人と交流を深めた。
そこでやはり実感したのは、全ての人々の生活を良くするならば然るべき地位に就く必要があるという事。
旅の仲間にその地位が向いていると言われた時は、自分にその資質があるとは感じられなかった。
しかし、そのような弱腰では何も解決はしない。
幸いな事に、僕の家系は代々帝国に仕えてきた家柄だ。一定の地位に就く資格は十分に備えている。
そして先の邪神討伐の件もあり世間の目も上々な事も手伝って、無事に帝国の上層部に就く事が出来た。
ここまで来れたのは苦しんでいる帝国の人々を救いたいという僕自身の希望も勿論あるが、かつての旅の最中に貴女が伝えてくれたたった一言が支えにあったからだ。
『信じてます。』
未だ帝国の術に操られ邪神復活への手助けをしてしまうのではないかと己を全く信じられなくなっていた僕に、旅の仲間の中に住む貴女は彼の中で真っ直ぐに答えたそう。
それだけではない。
彼女は、僕が今まで受けた心の傷から無意識に敵にそれを爆発させてしまうという暗く重い部分まで受け入れてくれた。
旅の仲間が言うには『むしろそこがいい』との事だったらしく、他の顔ぶれは入れ替われど戦いはずっと僕に任せてもらえていた。
どうしてそこまで僕を受け入れてくれたのか、その理由は全く分からない。
それでも無条件で僕を信じてくれる人がどこかにいるという事実は、家族も乳母も全て喪った僕には途轍も無く大きな支えだったのだ。
そして、あの別れからちょうど一年が経過した時。
僕は、気が付いてしまった。
そのどこかというのは、決してこの世界ではないのだと。
貴女がどこかで呼吸をしていても。何かを見ていても。
咲っていても。
強く望んでも、それを見て感じる事は叶わないのだと。
知っていたはずだ。分かっていたはずだ。
理解していた上で、あの時僕は笑顔で彼女の幸せを願い、別れを告げたはずだ。
それだけではない。そもそも彼女とは決して出会う事は叶わないのだ。
旅の最中も仲間の口を借りて話せただけで、姿形すら知らない。
なのに何故。どうして今、それに気が付いてしまったのか。
僕の目からは、涙が一粒零れた。
それは、心の奥底から溢れ出した喪失感の代わりのように。
たった一粒。
だが、喪った大事な人達を悼んで以来泣く事がなかった僕にとっては大きな一粒だった。
その一年遅れの喪失感から、更に二年後。
彼女を名乗る少女が現れた。
ただし、闇の眷属に魅入られた者と同じ髪と瞳の色を持って。
どこからその情報を手に入れたかは知れないが、もし帝国を、世界を害しようものなら容赦はしない。
しかしその行動からは、全く忌まわしさを感じられない。
それどころか、僕に対する真摯な信頼さえ感じられる。
どうしてそこまで、この僕を信用するのか。
帝国復興への忙しなさか賑やかになった生活故か、心の喪失感は薄れてきている。
今は帝国の、世界の未来を守るため、僕は自らの信念を直走る。
気が付けば必ず、その少女の笑顔を連れ添って。
朝に起きる。
食事をとる。
身支度をする。
仕事に行く。
帰り道。
買い物をする。
夕方、帰ってきて。
昨日の残りを並べる。
そして風呂に入る。
ひと息つけば寝る時間。
いつもと変わらない。
そう、変わらないのだ。
けれどたしかに
どこか虚ろで。
死なないように
生きている。
ふわふわと
地に足がつかないのだ。
───『喪失感』(2024.09.10.)
きっといつまでも埋まることはないのだろう。
当たり前にそこにあった。心の中を、自分を占めているとは思っていなかった。消えてしまってから気付いた。気付けただけ幸いなのか。大事だったのだろう。失われたものは戻らない。
ぽっかりと空いた穴。そこにあったものの代わりに何が入れられるだろうか。代わりなど存在しない。わかりきったことだ。だから、何もないことを感じている。
空虚。それを抱えることはできるのだろうか。
《幼馴染》
軽快なリズムの音楽の音が聞こえる。
僕はなんとなく踊る気にはなれなかった。
だって_______
初恋の人がこの国の王子と一緒に踊っていたからだ。
僕は、数合わせか知らないけど、微塵も興味のない舞踏会に、強制的に行かされた。
最悪だ。なんのためにこんな面倒なことをしなくてはならないんだ?
時間と金と労力の無駄!!!
はあ、もう帰ろう。バレなければいいのだ。
帰ろう。
そう思って振り向いた瞬間、僕は帰るのをやめた。
そこには僕の幼馴染で初恋の姫___________エラがいたからだ。
長い金色の髪をふんわりと束ねて、耳にはダイヤの耳飾り。白い肌に薄く化粧をして、唇には紅がさされている。透き通るような水色のドレスにはラメがついていて動くたびに眩しい光を放つ。何よりも見惚れたのが_____ガラスの靴_____その靴はエラの足にピッタリで、神々しい光を宿していた。ドレスのスカートがふわりと浮き上がる時に微かに見えるガラスの靴はなんともロマンチックで美しい。
美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美(省略)
そうだ!ダンスに誘えば…もしかしたら…なんか進展が…
「ねぇ、エラ、あの…」
「そこのお嬢さん、僕と踊ってくれませんか?」
はぁ!?お前なんだよ、僕の方が先だっただろ!?横取りはずるいぞ!!!
エラを横取りされたことに対する怒りで僕は何も考えずにその男に言った。
「ごめんなさい、僕の方がさ…き、に……なんでもありません、人違いでした。申し訳ありません、"王子殿下"」
まさか横取りした奴が王子だとは思わないじゃないか。だろ?
そして僕はもうここにいる理由もないし、帰ろうと思ったが、エラの姿を目に焼き付けておきたい、と思い帰るのはやめにした。
そして、今に至る。
ヤケクソになって今はその辺にあった菓子を平らげることに取り組んでいる。今はもう四皿目だ。
はっ、すごいだろう?(ドヤ)
ぜってー王子はこんなことできないだろ?はっはーん!
「ん?」
調子に乗ってエラと王子の方を向いたらあまりの光景に喉を詰まらせそうになった。
(それでぼくが死んでたらあいつら殺人だぜ)
僕が目にして死にかけた光景は…
エラが赤面して王子と密着しているところだ。
(浮気者め!エラ、あとで覚えてろよ)
僕はある計画を実行することにした。
いつか忘れたが、自分の妻が浮気した場合に実行する計画を作っておいたのだ。
え?
エラはまだお前の妻じゃないと?
わかっているよ、そんなこと。だが、こんな過去があったら妻同然なんだよ。
春のこと。
エラは僕を野原に連れてきた。
そこでエラはこう言った。
「わたし、あなたのことすき!けっこんしましょ!」
エェェェェェェェラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ忘れたとは言わせんぞ…!‼︎
あいつは、はっっっっきりと「結婚しましょう」と言っている。
しかもこれが僕の初恋のきっかけだ。
浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮(省略)
で、その計画というのが…
お祝いとして菓子を渡すがそこに毒…ではなく、睡眠薬を入れて少々説教をする。
はあああああああ、なんと優しいんだ、僕は。
家に帰ってまずは、母の部屋に行き、こっそり睡眠薬を取り出す。母は不眠症なので、部屋に常備している。
そして親戚からもらった菓子に睡眠薬をまぶす。
綺麗に包装紙に包んで…
よし!準備OK!
「なんでだよ!なんでこうなったんだ!!!!」
僕の震える手にあるのはエラの遺体。
睡眠薬と間違えて猛毒を入れてしまったようだ。
エラの綺麗なドレスには血がべっとりとついている。
苦しかったろう
ごめんなさい。許してくれないよな。だってこんなことしたから…
嗚呼、思い浮かぶ。
エラの笑顔が。
このお菓子に、猛毒があるとは知らず、受け取った時の嬉しそうな笑顔が。
小さい頃に結婚の約束をした時の笑顔が。
僕はあまりにも大きな喪失感に襲われてそこを動けなかった。
お題 喪失感
ほんとに失ったときは
なにも感じないんだね
その瞬間が解るまで
守ってくれているんだ
わかってからが辛いなんて
聞いてないんだけどな
踏み越えて大人になるとか
言っておいて子供に戻り
希望を持たずに生きていく
これが最善策なんじゃないかと
刺激も躍動もない毎日を
安心して生きる
それじゃダメなんだ
負けたくないんだ
なんとか踏みとどまって
正解で気持ちを埋める
君を踏み台にして歩く
喪失感
食欲が止まらない。コンビニに行って手当り次第食材をかごに入れる。パスタ、グラタン、おにぎり、菓子パン、プリン、ゼリー、ああこのお菓子も美味しそう、アイスはこれとこれはマストね…。
帰宅後すぐレンチンタイム。とりあえずパスタを温めながら買ったものをしまっていく。どうせすぐ取り出すんだろうけど。チンが終わって食べ始める。パスタはすぐなくなり、おにぎりを頬張りながらグラタンを温める。温めて、食べて、食べて、食べて。まだ足りない。甘いものが、次はしょっぱいものが、足りない。足りない。お腹は限界を迎えている気がするのに、辞めようとしない。なんだか、足りない。
あれだけ買ったのに全部食べきった。徐々に食べた方が幸せなのに。全部、なくなっちゃった。ああお腹が痛い。お腹いっぱい、どころじゃないくらい。でも、なんだか寂しい。
#喪失感
喪失感
なくしてばっかり
今は喪失するものがなくなって
デフォルト喪失感な気がする
逆に言えば何かを渇望し、受け皿はたくさんあると捉えられるのかな。
・喪失感
ガチャ大爆死。
カビちゃった食パン。
溶けたラスイチのピノ。
期限切れのクーポン。
河に集まった中3個。
「昔は好きだったよ」報告。
全部嫌い。
何かを真剣にやりすぎると終わったあとの喪失感が否めない
それを達成感と表すか、喪失感と表すかは自分次第
テーマ「喪失感」
アイスクリームを買った。
楽しみに冷凍庫に入れておいたんだ。
そしたらどうだ、風呂から上がると
そのアイスクリームは無かった。
問いただした、旦那に。
そうしたら、食べてしまったというのだ。
自分に買ってきてくれたと勘違いしていたのだ。
腹ただしさを通り越して呆れた。
こんなことで、怒っても仕方ない、と
深呼吸をした。
外で何か食べるたび、あの人が好きそうな味だとか。テレビでニュースを見るたび、あの人が怒りそうな話だとか。そういうことがふと頭をよぎる。ひとりでいても、ひとりでいなければならなくても変わらない。影のように付き纏うのだ。あの人のいない人生を、今から練習する必要があった。どのみち人間は死ぬときにはひとりだ。そう何度も説いたというのにまだあの人は言う。ずっと一緒、だと。失くしたものと共に生きていけとはご無体な。冷酷なくせに眩しくて、おまけにひどく温かくてかなわなかった。この影になら食い殺されてもいいか、と少しだけ思ってしまったくらいには。
(題:喪失感)
・6『喪失感』
大切なものを作らなければ失った時に悲しまなくて済む。
期待しなければガッカリすることもない。
私はもう学んだ。
神様の子供になりたい。それが叶わないなら
『今の』父親から離れればいいんだ。
私は決心した。
私の染めたハンカチは恥ずかしいと言われ
父親の車のメンテナンスでオイルを吸うのに使われた。
悲しくない。
私は母を探さない。
父を持たない。
大丈夫。生きていける。
私は私を信じる。
【終わり】