百瀬

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母レベッカがこの世を去った。
私が家督を継ぎ、戦後処理を終えて一ヶ月もしないうちに。

妹が生まれて間もなく、入れ替わるように父は急逝。夫不在のブレヴォリス家を守るために奔走し続けた彼女に、心休まる時はあったのだろうか。

母には感謝してもしきれない。忙しく、外圧が強まる中で家族で集まることは少なかった。しかし、年に一度、皆の誕生日を祝うのが楽しみだった。

この恩は必ず返すと誓ったはずなのに。
間に合わなかったことがただただ悔しくて仕方がない。いつの日か子を成し、母に孫を抱いてほしかった。

「ロランス……準備はできたかしら」

侍従長であり、母の親友であったフリーダ。
忙しい母に代わり、私たちを育ててくれたもう一人の母。今は落ち着いているけれど、泣き叫ぶ姿に胸を締め付けられた。現に、こうして目を腫らしているままだ。

「皆を待たせてしまっているのなら、申し訳ない。すぐに行く」

母の棺、その前にはたくさんのカーネーションが添えられていた。亡き父の遺志を受け継ぎ、民にも寄り添い続けた母。継承の儀は行わなかったが、彼女も間違いなく歴代当主と同じように責務を果たした。

「亡きレベッカ・ブレヴォリスを偲び……」

皆が喪服に身を包む、長い夜が始まろうとしている。悲しみに暮れ、立ち止まる暇はない。それでも、前に進むために。

『我らの母を偲ぶ』
喪失感

9/11/2024, 7:29:52 AM