『善悪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ヒーローは私を救ってくれない。
ヒーローは私を見捨てて世界を救う。
悪役は私を救ってくれる。
悪役は私を救って世界を見捨てる。
皆のために私の事は見殺しにして欲しかった。
ありがとう。さよなら。
『善悪』より
ガラクタのような世界を睥睨し
くだらない理想に唾を吐く
誰かの罪を裁くように わたしの罪もまた等しく
正義の名の下に討ち滅ぼされるのか
天秤の上の欲と正義は揺れ動き
やがて 飽くなき欲の前に正義は燃え落ちる
それはきっと 罰という名の香辛料
呪いを吐いてはナイフを突き立てて
いつかは枯れる花を愛でてなお
仮面の下の焔は燃え盛る
罪なき楽園の扉は固く閉ざされて
原罪の前に 誰もが膝をつく
地獄の釜の中 咎人は踊り狂うのだ
テレビをつけると、戦隊モノがやっていた。
善悪分かれ、正義が悪をやっつける。
毎回同じ展開なのに、子供達は熱くなっている。
、、、たまには誰もが予想しない展開が来ても
いいじゃないか、と思い始める。
結局、正義も弱い生き物だってことをさ_。
『善悪』
嫌なものを凝視しちゃう性分
なんでそんなことすんの
なんでそんな言い方なの
揚げ足取りじゃないよ
おかしいことおかしいって言ってるの
声を上げることが大事って
運動家が言ってる
わかるわかるよ
黙ってることは容認と同じ
でも私の人生はどうなるの
声を上げることで確実に
居場所が狭くなるのよ
スルーできない性分を恨むときがある
もっと強くなりたい
筋トレして格闘技習えばいいって?
そうね、そしたらまず一番にお前をやっつけるよ
状況で変わる善悪じゃない
普遍的な権利を欲しているんだ
軽々しく語ってほしくない
誰が決めていいものじゃないって
わかってほしい
容易く善だ悪だと宣って
呆れちゃう
*善悪
《善悪》
ぼくのクラスにはとっても可愛い女の子がいる。
男の子は苦手みたいで、男子が近づくといつも友達の後ろに隠れてしまう。
クラスの男子の半分くらいはその子のことが気になってて、その中の更に半分はちょっかいを出しては泣かせてしまう。
その度にその子の友達の女子がそいつらを撃退するのがいつものパターンだ。
「好きなら優しくしてあげればいいのに、どうして意地悪ばっかするんだろう。あんなことしてたら嫌われるだけなのに」
ぼくは不思議でたまらなくて、帰ってからお兄ちゃんに聞いてみた。
お兄ちゃんはぼくより10歳上で、ぼくのお母さんのお兄さんの子供……イトコだ。
ぼくのお姉ちゃんに勉強を教えるカテーキョーシのアルバイトでよく家に遊びにきてる。
お兄ちゃんは何でも知ってるから、ぼくは分からないことがあるといつもお兄ちゃんに質問するんだ。
ドリルをやってるお姉ちゃんの横でスマホで動画を見てたお兄ちゃんは、ぼくの言葉にぷはっと笑った。
「そいつらはその子の気を惹きたいんだよ。でも、照れくさかったり、どうやって接したらいいか分からないんだろうな」
「男子ってほんとバカ。やられた方は嫌な思いするだけだし、そんなことする奴らなんか好きになるわけないのに」
お兄ちゃんは拗らせてるなって言って笑ってるけど、お姉ちゃんはドリルの問題を睨みつけながらぷりぷり怒り出してしまった。
お姉ちゃんもぼくと同じくらいの頃に男子に何度もちょっかい出されて泣かされてたんだって。
ぼくは慌てて首を振った。
「ぼくは意地悪してないよ!」
「当たり前でしょ。もしあんたがそんなことしたらもう一緒にゲームしてやんないからね」
「やらないよ!」
意地悪してる男子たちはクラスでもちょっと乱暴な子たちで、ぼくはあまり仲良くない。
あの子への意地悪をゲームみたいに楽しんでるみたいなのが見ていてムカムカする。
「まあ、好きな子に意地悪したくなる気持ちも分からなくないけど……」
「えっ?」
「それはともかく。庇えるようならなるべく庇ってあげな。1人じゃ無理なら友達と何人かで対抗すればいい。撃退してる女子も味方になってくれるだろうし、そいつらも自分達が孤立したらさすがに懲りてやめるだろ。それに、庇ってくれたらその子もきっとおまえのこと良いやつだって思ってくれるよ」
「うん……」
いつも絶対正しいはずのお兄ちゃんが、さっきは何だか少し変なことを言った気がしたけど……きっとぼくの聞き間違いだよね。
お兄ちゃんに限って、好きな子に意地悪するなんてありえないし。
「好きな子に意地悪とか、小学生と同じレベルじゃん」
「お姉ちゃん、今なんか言った?」
「別に! 何も言ってない!」
「……その問題、簡単すぎたみたいだな。次はもっと難易度高いのを出題してやろう」
楽しそうに言うお兄ちゃんに、お姉ちゃんが涙目でぷくっと頬を膨らませる。
それから、お勉強の邪魔になるからって、ぼくはお姉ちゃんの部屋を出るように言われた。
お兄ちゃんの高校のジュケンは難しいみたいだし、お姉ちゃんがお兄ちゃんと同じ高校に入るのの邪魔はしたくない。
「お姉ちゃん、お勉強がんばってね」
「待って! いていいから! 邪魔じゃないから!」
「駄目駄目。すぐ気を散らしちゃうんだから」
引き止めるお姉ちゃんの声と宥めるお兄ちゃんの声を聞きながら、ぼくは手を振って部屋を出た。
階段を降りながら、明日はどうやってあの子を庇ってあげようか考える。
格好良く庇ってあげられたら、もしかしたらあの子がぼくのことちょっとは気にしてくれるようになるかも。
お姉ちゃんは小さい頃、いじめっ子たちから庇ってくれてお兄ちゃんのこと好きになったって言ってたから、きっと可能性はあるんじゃないかな。
ぼくも、お兄ちゃんみたいに、あの子のヒーローになれるといいな。
10年後、お兄ちゃんと同じく、好きな子に意地悪したくなる気持ちを理解できるようになってしまうなんて、そのときのぼくは知る由もないのだった。
善悪
満場一致の善悪なんて決められる物事があるのか
ほんとうの悪は、人伝に見聞きしただけのことを
善だ悪だと決めつけること、それだけだ
それぞれの言い分を公平に聞くべきだ
偏った言い分を聞いて判断してはいけない
一方の言い分だけが伝わり、
無視される言い分があってはならない
何が善とも悪とも言いきれない
人間が一生かけても、生まれ変わって考えても
たくさんの人の考えを聞いても
何も決めきれない
また、人間主体になってもいけない
動物同士の狩りで、どちらが善か悪かなどあるものか
立場が替われば善も悪になり悪も善になるし
善を尽くしても、自分や誰かに、うち勝てないこともある
それでも善を尽くすことで自身や、誰かが救われるのなら
そうすればよい
人間にできる誰にとっても善であることとは何か
道端や海岸のゴミを拾うとか
ゴミを減らそうとか
そんな程度だろう
いくらチャリティー活動をしても
いくら人を殺しても
実行している当人にとっては全て善であるのだから
新型コロナが何だ
少子化が何だ
政治家の不祥事が何だ
芸能人の薬物乱用が何だ
人殺しが何だ
スポーツが何だ
AI技術が何だ
テレビやニュースが早口でまくしたてる善悪とは
なんとも、ちんけなものだ
【善悪】
昨日、たまたま見つけたスーパー戦隊シリーズのタイトルの中に気になるものがあった。
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
え? 怪盗と警察?
フツー考えると、怪盗が悪で警察が善であるはず。
だけど、どちらに「レンジャー」ついてるし。
しかも、作品のキャッチコピーは
「正義のアウトロー VS 絶対のヒーロー」
…う〜ん、よくわからなくなってきた。
Wikipediaでこの作品について調べたところ、異世界から現れた犯罪集団という共通の敵がいながら、目的や信念の違いで互いに相容れることのない宿敵であるという設定なのだそうだ。ということは、その敵方が「悪」であるといえそうだが、この2組は果たしてどちらも「善」なのだろうか。
ちなみに、ルパンレンジャーは「義賊」として民衆から英雄視されていた」という設定とのことだ。義賊とは、権力者から犯罪者とされながらも大衆から支持される存在を指す。警察から見れば「悪」であっても、民衆からはそうではないが「善」であるとも言い切れない。
よくよく考えてみれば、一人の人間でも「善」の部分と「悪」の部分を併せ持っている。同じものをある方向から見れば「善」、また別の方向から見れば「悪」ということもある。善と悪は常に背中合わせなものなのかもしれない。
そういえば数年前、近所で「ゴレンジャー」の目撃情報があったなぁ。学校の裏門近くで、派手な覆面の5人組が何か話し合いしてたっていう…
あれは善悪どちらのゴレンジャーだったんだろうか?
( 嘘をついてはいけないよ。)
先生の口癖だ。
先生は見た目もよく生徒によく囲まれている。
遊びも真剣で授業も面白くしようとしてくれる。
道徳で出来ているような人だ。
そんな先生が給食費を払わないで一人の生徒を説教していた。
生徒は次の日学校を休んだ。
( 昨日言い過ぎでしまったからかな。 )
先生は心配していた。
一日休んだ後にその生徒は給食費を持ってきた。
先生は体を心配をしていた。
私は教室の全てを先生の道徳が決めているような気がした。
私は先生を嫌いになった。
#012 『日和見』
「増援がきたぞーっ」
伝令が走り回り、甲軍は後衛側からにわかに湧き立った。振り返れば視界のすべてを埋めるほどの勢いで軍勢がやってくる。
「美味しい食糧もあるよぉ」
ただ腹を満たすだけでもありがたいのに、その上うまいとは。ポイポイ放られた食糧を受け取り、かじりつき、飲み下す。力がみなぎり、今なら分裂だってできそうだ。
見回せば、仲間たちはとっくに分裂・増殖のターンに入っていた。わらわらと倍々に増えた味方で甲軍は一気に膨れ上がる。
「分裂が下手な奴らがいるなぁ。おまえら丙軍か!」
思うように分裂できずにもがいていたら、甲軍のエースに笑い飛ばされた。近くには他にも分裂し損ねた同郷の仲間がわらわらしている。
甲軍の後衛はすでに後方を埋め尽くし、土壌を丁寧に整えていた。
「いいよ、いいよ。日和見菌ども。こっちについててくれるだけで十分さね」
甲軍の年寄りがヘラヘラ笑いながら脇を通り過ぎていく。
「さて、年寄りはさっさと出て行こうかね。丙軍よ、寝返ったりはしないでおくれよ」
去り行く一群に皆で手を振って見送る。
今日の王国は質のいい甲軍で満たされて、最近では一番のいい日和だった。
《了》
お題/善悪
2023.04.27 こどー
モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~~『善悪』
デパートの屋上企画って良いよね♪︎
本日の催しは、スイーツ&ビアガーデン半分に、
子供向けの特設簡易遊園地&イベントステージ☆
「アイシュのしぇプーチペイメィポレがけ最高」
極甘スイーツに、姉さんもご機嫌全開です。
オレ達三姉弟、たまの外出を満喫しております。
お、ステージから大音量の音楽が流れて来た、
この曲は…女の子向けの戦隊アニメっぽいな、
やっぱそうだ、へぇ顔まで全身着ぐるみなんだ。
満員御礼観客の小さい女の子達と、ウチの姉は、歌って踊るが永遠に表情の変わらない正義のヒロインを、真剣に見ていた。
が、その時、ステージにオッサンが乱入。
オッサンは着ぐるみヒロインを捕まえ、首に
大きめのカッターを突き付けた。
「がんばれプリティーナ~っ」
生々しい演出だと受け入れた女の子達の声援。
何人かの親子はその場を離れ、ステージ脇のスタッフが青い顔して電話をしている、通報だろう。避難誘導に頭が回らない程、混乱してる。
あれ?いつの間にかウチの姉と兄がいない、
視線をステージに戻すと、新たなショーが始まっていた。
まず右側に、さっきまで人質だったヒロインが仲間の元に戻され、刃のしまわれたカッターを
持ち、腰を抜かしている。
中央、さっきまでフードで隠していた大きな獣耳を出した姉さんが、腰に手を当て、仁王立ち。
左、テイちゃん(兄)が、さっきまで暴漢だった
オッサンを人質に取り、隠していた長い尻尾を
出して、鞭の様に床をパァンっ。
え?テイちゃん悪役なの?
『しょの手をぱなしぇい!』
マイクにより、大音量で響く姉さんの声。
「がんばれニャンコおね~さ~ん」目の前の奇妙なリアルを素直に受け入れた女の子達。
人質のオッサンはポカーン。
スタッフもポカーン。
笑顔のヒロインも微動だにしない。
『オラぬテイちゃんぬ、手をじゃすとわ…!』
いやいやキャラ設定どうなってんの?
『こにょ……じょろぼぅ猫!!』
ドロドロドラマの観すぎです。
姉さんは軽く飛び上がり、斜めに一回転した後、テイちゃんが抱える人質へキックを繰り出した。鮮やかにかわして、ステージ中央に来たテイちゃん、オッサンをお姫様抱っこして、見つめている。
オッサンは完全に乙女の顔になっていた。
気持ち解るよ、テイちゃんに囚われたら、
オレもそうなるよ…。
テイちゃんは、オッサンをその場に降ろし、寝かせると、両手をその辺の紐で軽く縛り、その手を両手で包んで『もう、こんなことしないでね』といったニュアンスで優しく頬擦りをした。
『こにょ!うわきゅもにょぉぉぉ!!』
拳を突きだし迫る姉、当たったフリして場外に跳んでったテイちゃん。
「わぁぁぁ~~~☆」これで良いのか拍手喝采。
警察官が到着、と同時に姉も跳んでった。
数秒後、獣耳と尻尾を隠し、何食わぬ顔で、
席に帰って来た、姉と兄。
「お帰り…すごい盛り上がったね」
「じゃろ?オラどテイちゃんにかがるば、
こんにゃもんよっ」
テイちゃんも、とっても楽しそうだ。
オレ達、いたって善良な、
モンスター姉弟です☆
…ものにもよるかもだけど。
#善悪
子供と観に来たヒーローショー
善悪分かれて正義が悪をくじく
たまには悪が勝ってもいい気がする
現状維持で少数派が淘汰される
悪がこの世の全てを破壊する
そんな願望が社会人の疲れた自分の脳によぎる
それだと子供が悲しむか
最後は必ず正義が勝つ
健全な子供達にはやっぱりそのほうが良いい
――こないだ、落とし物拾ったんだけどさ。
昼休み、弁当箱を開けるわたしに向かって、彼女は出し抜けにそう言った。それから?とわたし。
学校と駅の間に竹藪があるでしょ、あそこに黒いスポーツバッグが置いてあったの。たぶんうちの生徒のかなと思ったんだけど、そうとも限らないだろうし、一応、交番に届けたのよ。善行でしょ。ふうん。わたしは箸でミニトマトをつまみ上げ、口へと運んだ。で、一応書類書いてって言われたんだけどさ。口の中で果肉がはじける。書類持ってくるから待ってろって言ったきり戻って来ないわけ。舌先に酸味が纏わりつく。じれったくなっちゃって、悪いとは思ったけど、鞄の中身が気になってきたのよね。すべらかな触感を咀嚼する。何が入ってたと思う?嚥下される真っ赤な実。何?――冷たくなったわたしの身体。
――っていうのは冗談。どう?びっくりした?――くだらない。呆れた顔で、彼女を見据える。それで、何処から嘘なのよ。わたしは卵焼きに箸を伸ばす。黒い鞄が藪に置いてあったところまでは本当。でも、本当の中身はあなたの――
空の弁当箱と箸がカラカラと音を立てて床の上を跳ねた。
---
善悪
わたしは善だ
そう言われるほどに
悪を感じるあなたの言葉
振りかざすものではなく
滲み出るものであってほしい
さて、問題。
“ある少年がいた。彼は戦争により、両親を早くに亡くしてしまった。
幼い日々を、孤独に生きてきた少年は願った。
『世界から争いがなくなりますように』
成長した彼は科学者の道を進み、世界を平和にするために尽力した。
その結果、世界は「平和」になった。
彼は、何をしたのだろう?”
ある人は、彼を説明するのにこう言った。
“彼は、科学の力でもって、世界にはびこるあらゆる争いを無くそうとした。
そのためには、あらゆる力を超えたものが必要だ。どんな争いをも終止させることのできる、強大な力が。
彼は、「核兵器」を生み出した。
世界は「平和」になった。”
またある人は、彼を説明するのにこう言った。
“彼は、有名な科学者となり、様々な成果を上げた。
それらは人々の生活を豊かにした。
苦労も、悩みも、煩わしさも、科学が解決してくれた。
便利な生活は、人々から、争う理由を消し去った。
彼は、「豊かさ」を生み出した。
世界は「平和」になった。”
また別の人は、こう説明した。
“彼は、小さいころの記憶を忘れることが出来なかった。
家族を失った悲しみから、救われることがなかった。
だからこそ、人一倍、平和を願う気持ちが強かった。
日々、祈り続け。日々、訴え続け。日々、願い続けた。
誰よりも、平和が叶うことを望んだ。
そんな彼を見た人々は、心を動かされ、平和の歩みは、彼を中心に広がっていった。
彼は、「希望」を生み出した。
世界は「平和」になった。”
物事の善し悪しを決めるのは、いつだって他者だ。
物事の真実を知る当事者は、善も悪も決定することは出来ない。
それを、この問いは教えてくれる。
ちなみに、彼自身はみずからをこう説明した
“わたしは、争いのなかに生きていた。
両親をうばわれ、孤独な幼少期を過ごし、不穏な毎日だった。
けれど、それは「仕方のないこと」だ。
その時代が、そうだからだ。
争いの時代に生きているならば、争いのために生きることが、最適だ。
だから、わたしは科学者を選んだ。
そうすれば、争いに貢献できるから。
いち早く、「平和」を求めるならば、争いが終わればいい。
自ら争いに踏み入って行くことこそ、最適だ。
争いの兵器を生み出し、早くこの世界に「平和」を。
優れた兵器はその使用者を助けた。
戦地で功績は称えられ、重宝された。
それも、各地で。
優れた兵器の産出国として、国は豊かになった。もう国内で争う必要もなくなった。
そうなっても、常にわたしは胸に抱いていた。
早くこの世界が、「平和」になるように、と。
……これでよかったのだろうか”
彼の、善悪を決めるのは、本人ではなく、やはり他者なのだ。
『嘘つきになれたら』
ほんの悪戯だって放っておいたら 手のつけられない化け物がそこにいた 綺麗な水は残っていない心さえも枯れていく 実直に生きて疑うことを知らずに歩いてた 化け物を否定する気にはなれず佇んだ せめて
そうだなわたしが嘘つきになれたらいいのに
「善悪」
善悪を語る
私には語れない
何が善で悪なのか
あなたは語ることが出来ますか?
土気色の顔つき
混ぜこぜに
脚が当たっても謝らない
メラニン這い出す山の裏
落ちてもゆかしき階の樹祭
砂瓶から汲めども 地獄
飢えた女と裸の男
伸ばしたその手に
善と悪 歪む魂の貌
🕊️『いまここ』
人の欠点が気になった時は
自分の欠点を反省する時
人の長所に惹かれた時は
自分の中の魅力を掘り下げる時
人生で苦しいとき
物事がうまくいかないときは
人生の軌道修正のサインで
自分の殻を破り
新しい世界に足を踏み出す時
幸せは【いま】ここから生まれ
答えは【いま】の心の中にあり
未来は【いま】の行動から始まる
しみず たいき✨
🕊️🌿🕊️🌿🕊️🌿🕊️🌿🕊️🌿
「善悪。イイねぇ!シンプルなお題は制約が少ないから、自分で選べる幅が広い。バチクソ好みよな」
二元論、グレーゾーン、「悪には悪を為す理由や大義が在る」への賛同ないし反論、あるいは単に嫌悪。
どれで話を書いてやろうと、某所在住物書きが、悪い企み顔でスマホの通知画面を見る。
「……問題は好みに自分の力量が追いついてない点」
好きと、書きやすいと、それから書ける。皆似てるけど少し違う。物書きは首を傾け、ため息を吐いた。
――――――
「先輩の初恋のひとの話、聞いても良い?」
「随分と久々なネタを引っ張ってくるな。メタな話をすると、3月10日以来の」
先週の頭に、職場の先輩からチョコを貰った。
「初恋の話は私の古傷だと言った筈だ。何故?」
「『包み紙』の話聞いちゃった。製造元から」
17日だったか18日だったか、日付は覚えてない。キレイな、春の花の写真が薄く印刷されたオリジナルのワックスペーパーで、ちょっと崩れてたけどすごく丁寧に包まれた、散る桜の香りがするチョコだった。
「偶然だったの。顧客情報だから詳細伏せるけどって。『日頃世話になってるひとに礼がしたくて、って真面目で優しそうな人から、注文貰った』って」
先輩は先々週、13日、上司に一方的に押し付けられた致死量手前の仕事のせいで、職場で倒れかけた。
当日の仕事を引き継いで色々対応しておいた私へのお礼だって。いつも助けてくれる、自分にはもったいないくらいの後輩なのに、今までまともに礼をしたことがないって。先週のハンドメイドマルシェでわざわざ包み紙をオーダーして、準備してくれたらしい。
私に隠れて。店主相手に、私のことちょい褒めして。
その背景を私が知ったのは23日頃だった。
「嬉しかった。先輩、私のこと頼ってたんだって」
詳しく知らないけど、この真面目な先輩を、その優しい心を、4回もズタズタにした極悪人がいたらしい。
こんな、ちょっと不器用でどこまでも善良な人の心を、バッキバキにへし折った極悪人がいたらしい。
どんなクズだったのか、怒りと一緒に興味が湧いた。
「ホントに初恋の人がクズだったら、呟き垢特定して火種まいて、もし新しい恋人とか家族とか居たら、」
「『怪物と戦う者は』、」
「っ、」
「『その過程で自分も怪物とならぬよう注意せよ』。……フリードリヒ・ニーチェ、『善悪の彼岸』の一節だ。お前のそれは、動機と理由がどこであっても、画面の先にいる人の心を同様に傷つけてしまう」
「先輩が、そもそも傷つけられたんでしょ?!」
「頼む。やめてくれ。あのひとの話は本当に、本当にまだ苦しいんだ」
すまない。
ポツリそう結んで、先輩は申し訳無さそうに目を細めて、うつむいた。
私の中には酷いモヤモヤが無駄に残って、でも先輩に「ごめん」も何か少し違う気がして、
ただ、先輩と同じように、私も視線を下げた。