『君の奏でる音楽』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君の奏でる音楽
君の声は、私の心を良くも悪くも動かすもの。
君の声は、とっても優しいけど
聞いていると、胸が締め付けられてしまうんだ。
君のことがずっと好きな、彼女の私の独り言。
放課後の音楽室。
わたしとあなた。
二人きりだけの世界。
そこで緩やかに奏でられるピアノ曲。
今のあなたの唯一のオリジナルらしいけど。
わたしとあなた。
知っているのは二人だけ。
いつかこの音楽は。
誰もが知るようなものになるかもしれない。
そうなったらすごいことだけど。
どことなく寂しくも思う。
君の奏でる音楽はあまりにも素晴らしくて。
独り占めしたいだなんて。
そんなワガママ。
絶対に言わない代わりに。
今だけはわたしだけのために弾いて欲しい。
と、そう願う。
【君の奏でる音楽】
私の世界に、音楽はない。
美しい音楽も、悲しい音楽も、私は持っていない。
ただ、胸が張り裂けるようなこの想いを音楽にしたら、どんな音が奏でられるのだろうか。
君が奏でる音楽を聴くことが出来たら、
私の心は動かされるのだろうか。
やはりアメリカは車がないと不便なので、免許と車を持ってる子にお願いしてみんな夜な夜な運転の練習をするようになった。その夜も男の子たち数人で運転の練習をした後、うちに寄る予定だったから、ずっーと待ってたんだけど、朝になっても来なくて。もう外が明るくなった頃やっと来たんだけど、みんな憔悴しきってた。サカイの説明では、住宅街で運転の練習をしていたところを住民に通報されてしまったらしい。複数の警察車両に包囲され、しかもライフルを向けられホールドアップ。後ろ手に手錠をかけられ、ひとりずつ車に乗せられたのだと。まだ英語で十分にコミュニケーションが取れなかったため、日本語の分かる刑事を呼んでもらい説明して解放してもらったのだと。
手首には手錠の後が赤く残ってた。
あの時は本当に怖い思いしたね。
熱波も過ぎ去り、ようやく人心地つく今日この頃。
寒暖の差が激しいのか、既に庭のブドウは赤紫色に色付いて、ほんのりと秋の匂いを醸し出している。
試しに採ってみたが、まだまだ甘みは薄く梅干しのように酸っぱい。
もう少し待てば良かった、と白い袋ごとザルに入れて流しの横に放置。誰かが食べるだろう。
そのまま夕飯の支度をする。
今日は焼き魚だ、エラと内蔵を喜々としてえぐり出し、流水で丁寧に中を洗う。
鱗とゼイゴを取って、背と腹に包丁で薄く切れ目を入れてから、魚の表面にお酢を塗りたくってからグリルに並べる。
グリルのスイッチを押すとチチチと音がして、青い炎がボアっと奥から吹き出した。
そのまま魚が焼けるのをグリルのガラス面越しに眺めていると火災報知器がけたたましく鳴る。
ぎゃあ、カボチャが黒焦げに!報知器煩い!臭いっ。
焼き上がりを知らせてくれるグリルの音が呑気にピーっと鳴った。
テーマ「君の奏でる音楽」
君の奏でる音楽で私は救われた。
救われたなんて馬鹿馬鹿しく思うかもしれない。
でも私はそう思った。
私も君と同じ何かを作り出す人間になりたい。
今度は私が誰かを救う立場になりたい。
小さな赤いピアノ。いわゆる"おもちゃのピアノ"。
30年前、私が生まれた日に父が買ってきたらしい。
「気が早いのよ、昔っから。赤ちゃんが弾ける訳ないのに、ねえ」と母が苦笑いしながら教えてくれた。
鍵盤に触れてみる。チンとズレた音がする。
幼稚園から小学校低学年くらいまではよく弾いていたように思う。しかし他に夢中になることが増えると、すっかり見向きもしなくなっていた。
弾かなくなってからは、納戸にずっとしまい込んでいたのに、最近父が引っ張り出してきたらしい。
「昔を懐かしんでいるのかしらね」と母が言うから、しみじみ感傷に浸っていたら、玄関が開く音がした。
一緒に出かけていた父と夫が帰って来たようだ。
「ただいま!」とリビングに入って来た2人。夫の手には大きな箱。いそいそと箱を開け始める夫とその横でニコニコしている父。箱から中から出てきたのは小さなグランドピアノ…。
「これは?」驚きながら聞く私に、夫は満面の笑みで「もうすぐ生まれてくる我が子に!」と答えた。
母を見ると「お父さんより気が早いわね」と苦笑いしている。父を見ると「いやー、彼に我が娘への初めてのプレゼントの話をしたらな…」と意気揚々と語り出した。
私は大きくなったお腹を撫でながら、困ったパパとジイジね…と我が子に心の中で語りかけた。
―――贈り物
#40【君が奏でる音楽】
微かに繊細で綺麗な歌声が聞こえてくる。
耳が痛くなるほどの高音ではないが、脆くてすぐ壊れそうな歌声だ。
俺はその声で目を覚ます、どうやら俺は、彼女の膝の上で寝ていたようだ。
歌声を奏でていた彼女は、少し申し訳なさそうにしつつ、でもふにゃっとした顔で
「あ、起きちゃったかぁ…ごめんね、寝てたのに私の歌声で起こしちゃって。」
と言った。
俺は彼女の肩にかかる髪を撫でながら少し顔を上げて
「ううん、大丈夫。歌上手いから聞いてて心地よかったよ」
と囁いたら彼女は頬と耳を紅く染めて「えへへ」と笑った。
俺はこんな顔で笑う彼女のこの可憐な歌声、彼女の奏でる音楽は彼女の美しい感情が出ていると思う。
君の奏でる音楽
放課後。
蝉が鳴く真夏。
今となっては使われていない音楽室で、
君はピアノを演奏する。
曲名は無名。
そう、勝手に僕は名付けている。
聞いたことが無い旋律が、僕の耳に届く。
腰くらいまである、長い黒色の髪を揺らして、
君は激しく、かつ、美しく音色を奏でる。
話したことなんて一度もない、そもそも違うクラスだし。
でも、彼女の音楽はとても好きだ。
なんだか、音が生きているような気がするから。
〜君の奏でる音楽〜
「君の奏でる音楽はつまらない」
僕の心は奈落へと落ちた。
君の奏でる音楽のように、この世の世界も自分のこころも綺麗だったらいいのにな
中学高校吹奏楽部の君の奏でる音は、
耳に優しくでも心に響き、
耳に残り何回も聞きたくなる。
大学でも君の奏でる音楽を
聞くことが出来たのは、
とても嬉しい事だった。
でも大学卒業したあと、
君は直ぐに音楽を辞めた。
『どうして辞めたの?』なんて、
聞く勇気は僕には無いし。
それに、音に詳しくない僕には、
聞く義理がない。
僕が聞いたとしても無視されるだけだろう。
でも、今年27歳。
大学卒業から5年は経つ。
今更かもしれないけど、
僕は急に聞きたくなった。
そしてメールで君にメッセージを送った。
『久しぶり。皆森翔葉(カイモリショウヨウ)です。
君の音を聞きたくなったんだ。
久しぶり聞けたりしないかな?
無理かもしれないけれど、
考えてみてくれたら嬉しいです。』と。
数時間待つと、メールが一通届いた。
「お久しぶりです。
音楽はもう辞めたんだ。
君のことだから、
理由を教えてもらいたい、
とかでも思っているんじゃないのかな。」
「でも、、楽器ももうないし、
どうしようもないよ?
会ってみるならできるけど。」
そう返ってきていた。
やっぱり君は僕の考えを見破るよね。
本当にすごいよ。
ありがとう、覚えててくれて。
でも…やっぱりあの音を聞けないとなると、
ショックなんだよね…。
『会えるなら、いつ頃がいいの?』
「今週か来週。かな。」
『僕今週金曜午後空いてるよ。そちらは?』
「すごい…私も空いてる。
◯◯駅近くの𝒻𝒾𝓇𝓈𝓉っていうお店で。」
『15時で大丈夫?』
「大丈夫だよ。15時にしよう。」
『それじゃあ、また、金曜日。』
「それじゃあね。」
会う約束ができた…。嬉しいことだ…!
聞かないようにしようかな、あのことは。
ほんっとうに楽しみです。
96テーマ【君の奏でる音楽】
私の奏でる音楽だけが部屋に響く。
音楽が終わったのと同時に、
1人の拍手が聞こえて、
私は静かに微笑んだ。
あぁ、本当に凄い!
君の奏でる音楽は命が宿ってる!
音の一つ一つが生きているみたいだ!
絵を描くことが得意な親友はそう言った。
部屋には僕の絵が飾られていた。
僕はその絵を見ている親友を見て、微笑んだ。
やっぱりいつ見ても凄いや!
君の描く絵には魂がこもってる!
線の一つ一つ、色の濃淡が生きているみたいだ!
音楽を奏でることが得意な親友はそう言った。
やっぱり、音楽も絵も似ている。
君はいつもそれを否定するけど、
僕は似ていると思う。
…ははっ納得いってなさそうだね。
確かに創り出す工程は全く違う。
でも、結局は
「思いを伝える」
ことが大事なんだと思う。
…何を言ってるんだって?
まぁ、簡単に言えば
耳に伝えるか
目に伝えるか
の違いだろう?
だからきっと、僕らは仲良くなったんだよ。
ロックであり、ワルツ。
未熟な魂を奮い立たせ、歓喜と笑顔で意欲に満たす。
その後、ワルツで安定した生活のリズムを作り出し、押し出す。
俺は満足して、ひとりラブソングを歌う。
叶わぬ思いを込めて、君の幸せを願う。
このバラードは、俺を癒し、君の未来を照らす。
思いは細かな粒子となり、遠く君の元へと届く。
君は同時に俺を思い出す。
楽しかったこと、辛かったこと、分かり合えなかった思い出。
未来へ進むために、リセットして新たな道へ進んだあなた。
そんなあなたの心の支えの一つに。
まだ見ぬ未来。ぼんやりと見据え、一歩を進める。
雨が降る東海道。新幹線の窓は、その凄まじい勢いで水滴が小さな蛇のように走り抜けていっていた。私はぼーっと無数の蛇が生まれ続けるのを見つめた。低気圧のせいで私は頭が重かったのだ。新幹線内の気圧変化により、イヤホンを耳に挿し込み音楽を聴くのも億劫である。
先程まで私は友人のエンディングダイアリーを読んでいた。彼女は先月、死んでしまったのだ。若いのに、癌であったのだ。三カ月前に彼女を見て、痩せたとは思っていたが、彼女はダイエットよと言って笑っていた。
彼女の葬儀が終わり、彼女の夫が私に貸してくれたエンディングダイアリー。読んでわかったことだが、彼女は日常の中でぷつんと死にたかったらしいのだ。張った糸がハサミで切られるように。彼女は死の準備を密かに進めながらも、愛しい日常の陽だまりにできるだけ長く浸っていたかったのだ。
私はエンディングダイアリーの半分を過ぎた辺りで、彼女が隠していたどうしようもない苦しみに耐えかね、それを閉じた。自分は凄まじい苦しさに犯され解放されるのは臨終の時。夫には献身的に支えられつつ生きることを望まれた。
君の奏でる音楽が
僕を励まし
僕を潤し
僕を少し切なくさせるんだ
君の奏でる音楽
なんか
ロマンチックな
題名
中学生の頃
好きな女子がいた
彼女と普通に
おしゃべりしてるときは
楽しかったけど
彼女が
何か歌を歌うとき
声が違う感じして
ドキッとした
とてもきれいで
高い声で聞こえていた
ますます
好きなった
ずっと片思いだったけどね
彼女は早くに
結婚して
子だくさんって
風の便り聞いた
私も結婚して
長いけど
今じゃ
かみさんの小さな
イビキが
奏でる音楽(笑)
健康で生きてる
小さなイビキ
君の奏でる音楽は僕の心の一部となってともに成長する
絶対に離れないし絶対に忘れられない
『君の奏でる音楽』
今まで吹奏楽に費やしてきた長い長い時間を、たった十二分間で表現する。それが吹奏楽コンクールだ。恐らく、全国の吹奏楽部員はこの十二分を短いと感じたことがあるのではないだろうか。僕は今まさにそう感じている。
今日はコンクールの県大会本番。三分程度の「課題曲」は大きな失敗もなく終わり、次は各団体が自分たちの持ち味を考慮して選ぶ「自由曲」だ。僕たち○○吹奏楽部の武器、それはなんといってもソプラノサックスの彼だ。彼は音大志望でプロを目指している未来の音楽家であり、僕らのリーダー的存在である。
思えば僕らが県大会まで進むことが出来たのは彼のお陰だと言っても過言ではない。彼はいつだって一人一人の苦手を分析し、適切な練習内容を考えてここまで一緒に頑張ってくれた。彼と共に吹部人生最後のコンクールに臨めることがとても誇らしい。
トランペット、トロンボーンのファンファーレで自由曲が始まった。その華々しさを受け継いだクラリネットの繊細なメロディーがホールに響き、スネアは軽快なリズムを刻む。と、ここで全体が急に静かになり、場面の雰囲気が一変する。低音楽器とアルトサックスが不気味な不協和音を重ねてゆく中でいよいよソプラノサックスのソロだ。
彼が大きく息を吸い、そのままそれを音にしてゆく。最初は周囲に溶け込むような細い音だが、徐々に存在感を増してゆき、ソプラノサックスが彼という人間の色をホール全体に響かせる。最早、誰一人として顧問の指揮など見ていない。吹いている僕らも、観客も、審査員も、ここにいる全ての人は彼の音を追っていた。繊細で美しく、何処か寂しさも感じさせる彼の音色。練習で何度も聴いたソロだが、この本番という環境で、彼の音楽はまた更なる高みへと進化する。
演奏中だというのに、僕は自分の涙腺が緩んでいくのを感じた。慌てて自分の楽譜に集中する。曲もいよいよ終盤に差し掛かっていた。各々の音が勢いを増し、十人十色な音色が生み出されるが、それでも僕らの音は確実に一ヵ所に集まっていく。彼のソプラノサックスが今、全ての音を受け止めて僕らを繋いでいた。
最期のフェルマータ(程よく伸ばすという意味の記号)が顧問の指揮と共に収められた。胸が苦しい。この苦しさはきっと、今僕の心の中にある色々な感情がぐちゃぐちゃに混ざって生まれたものだ。この感情は、僕と、彼と、皆が作り出した音楽に似ていた。
#君の奏でる音楽
イヤホンからピアノの音色が聞こえる。
昔、録音した、ピアノの音。
もう何年も前のことなのに、
君のピアノを聞かずにはいられない。
ねぇ、今どこにいるの?