『君と最後に会った日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君と最後に出会った時は月が雲で隠れていて
それの真似をしたかのようにすっといきなりいなくなったよね
大好きな弟
空から見ててね
君と最後に会った日。
私は泣いていた。
彼の腕の中で声を殺して。
私だけが知っていたから。
今日が彼と会える最後の日だってことを。
戦争と平和 君と最後に会った日
「君と最後に会った日」この言葉から、私は、戦争や紛争によって大切な人、友人、恋人、家族を奪われる悲しみ…というものをイメージし、平和について考えてみた。
人類は常に戦争を繰り返してきた。それは人々を恐怖で縛り付け、容赦なく尊い命を奪うものだと思う。
我が国日本であっても、そういった侵略、戦争を繰り返してきた時代があり、第二次世界戦争中には自国・相手国共に沢山の命や物が焼き払われていった。
近年のロシアによるウクライナ侵攻については毎日世界各国のニュースで取り上げられ、世界中から注目を浴びている。時折ニュースを見ると、ビルや建物が倒壊した街に自家用車と何台もの戦車が走っており、この現代においてもなお、リアルに戦争が起きていることを実感する。
世界の人口80億人の内、戦争を身近に感じた人の割合は多いものではないかもしれない。だが、身近な出来事に置き換えることで少しだけ気付くことがあるかもしれない。例えば、家族で囲む食卓。もし戦争中の国であれば、家族が揃うことも十分な食事を摂ることもできなかったかもしれない。そうやって仮定して想像してみることで、自分とは無関係の話とは思わなくなるかもしれない。
大切な人を奪われることは耐え難い悲しみだ。それが戦争という不条理なものによって奪われるなら尚更だ。
今起こっている戦争に対して、一個人が出来ることはあまりないかもしれない。だが、多くの人が「平和」について考えることで未来の何かが変わるのではないか、とも思う。そうであってほしいと願わずにはいられない。
君と最後に会った日
僕はなぜ気付かなかったんだろう
なぜちゃんと話を聞いてあげなかったんだろう
もっと彼女の声に耳を傾けていたら、、、
もっと彼女の目を見て話をしていたら、、、
これが君との最期にならずに済んだかも知れないのに。
彼女は春の木漏れ日のような人で
笑った顔がとても可愛らしい
いつもメソメソ泣いてる僕の横で
そっと優しく寄り添ってくれた
学生時代はお互い友達や好きな人が出来て
昔みたいに一緒にいる時間は少なくなったけど
家が近いのもあって
時々二人で話しながら帰ったりもした
その時間が僕は好きだった
あの日も帰るタイミングが同じで
二人で自宅まで肩を並べて歩いてた
僕のしょうもない話に横でクスクス笑う彼女
いつもの帰り道、いつもの日常
これは明日も明後日も当たり前にあるものだと
そう思い込んでいた
彼女の家は僕の家から200m程先にある
2人で歩いていると帰り道もあっという間だ
僕の自宅に着く頃、彼女が何か言いかけた
「...ぇり...くない」
「ん?ごめんもう1回言って?」
「いや、ううん!なんでもない!」
「なんだよそれ笑まぁまた明日!」
「うん、また明日、、ね!またね!」
これが君との最期の会話だった。
君と最後に会った日は一ヶ月くらい前。出不精な私に約束を取り付けた君の所業は忘れちゃいないよ。だからこそ、それにいつか心から感謝できるといいな、なんて思うんだ。
あなたと最後に会った日。
あなたはベランダでタバコを吸っていましたね。
「こんなとこで吸ってるとバレますよ」
「また校長に叱られますよ」
そんなことを言うとあなたは、いつものようにニヒルに笑って
「バレなきゃいいんだ」
と親指でタバコを弾いて灰を落としました。
どうしてか、その日に限って、その笑顔がとても寂しく見えました。
森の木々のおかげで陰る夕焼けが、よりそう見せたのかもしれません。
早く帰れと言われたので、教室を出ようとなんとはなしに扉に手をかけて振り向きました。
珍しく手を振って見送ってくれました。
あれが気のせいではなかったと気づいたのは、翌日の朝でした。
あなたはもうこの世にいないことが、朝礼で告げられました。
/6/26『君と最後に会った日』
君と出逢い 握手をして
君と別れて 手を離した
出逢う時は ときめいて
別れる時は かなしくて
夏の日のこと蝉が鳴いた
運命の悪戯なのか
心が交差した日
縁の切れ目はあるんだね
必要ならば また会える
心のどこかで信じている
月日は流れ 季節は巡る
あの日のままの君が心に
君よ!
いつの日かまた
旅の途中で
『君と最後に会った日』
君と最後に電話した日。6年前の9月頃。もう6年もたっていたんだね。元気かな?って今思った。
君と最後に会ったあの日、
君は呑気にマクドナルドのポテトを
幸せそうに頬いっぱいに貯めていた。
君と最後にあった日
本当に突然の再会だった。
なんの気無しに過ごしていた日常に、かつての同級生だった君がいきなり舞い込んできて、何年かぶりの対面をしばし喜んだ。
次会うときはいつだろうなんて、あやふやな未来に心を弾ませていた。
しかしそれきり君とは音沙汰なく、試しにSNSで声をかけたが、どれだけ待っても反応が返ってくることはなかった。
電話をかけた。出る気配はない。
思い切って家まで訪ねてみたが、玄関をくぐって愕然とした。
中はとても人が生活できるとは思えないほど、滅茶苦茶に荒れていた。
完全にガワが綺麗なだけの廃墟となっていた。
異常を感じて自宅へ飛んで戻り、アルバムを開いた。
クラスの電話番号が乗っていたはずだ。
特に仲良しだった女子をピックアップし、うち一人に電話で事の顛末を伝えた。
電話越しに女子の声がする。私との久しぶりの会話をやはり喜んでいた。
しばらく事情を聞いていた女子が一言。
「うちらの友達にそんな娘いないよ?」
ハッとして手元のアルバムに目をやる。
君が写っていたはずの写真など一枚もなく、集合写真にさへ君の痕跡は全く存在しなかった。
一番心を許せていたはずの君の存在が、なぜ突然失われたのか。
学生時代に一緒にいた君とは誰だったのか。
理由も知るすべも、私は今だって分からない。
【君と最後に会った日】
その日は、いつものように一緒に寝て
いつものように眠い眼を擦りながら、朝食を終え、
いつものように身支度を整え、「いってらっしゃい」と見送ったのに…
忘れ物に気付いて後を追いかけた時には、
君はもう…
______________________
この花飾りに包まれた笑顔の写真は一体誰なんだろう
君と最後に会った日。
待ち合わせの日は酷い雨だった。
まるで台風が来てるかのような暴風雨。
02ヶ月ぶりの再会は東京駅。
お互いに地方の人間だから合流するのに少し時間がかかった。
合流の瞬間は今までで1番落ち着いてた。
今までは会えて嬉しくて浮ついてたけど
あの日はどこか冷静で「久しぶりー」なんて軽く挨拶しただけですぐに宿泊先に向かった。
03泊04日の東京旅行。
予定もたくさん詰まってる。
この日のために美容院に行って、新しい下着や洋服をおろした。
この日のために仕事も頑張った。
待ち合わせ時こそ、冷静だったが本当は心の底から楽しみにしていた。
─この01週間後に別れを告げられることになるなんて
私はまだ知らない。
あの日、君と会ったのはたった数分だったかな。
いつもはもっと長く会ってたのにね。
僕はまた次も会えると思ってた。
僕の勝手でごめん。君のこと知らなくてごめん。
もう一度会いたかったよ。
君と最後に会った日
細く、もろくなった君に化粧をする。
初めて君にした口紅は、少し寄れてしまったけど、娘が綺麗に直してくれた。
白い衣装に赤い口紅が映えて、また君に惚れ直した。
別室に移動し、式の準備を進める。
会場に入れば君は微笑んでいて、僕はそっと君に近づいた。
式が終わりに近づき、晴れ姿の君を見れるのは、これが最後だからと顔をのぞき込む。
「ママ、綺麗だね」
「そうだな綺麗だ」
退場する君を、娘と手を繋ぎ見送る。
あの扉が閉まれば、もう君の顔を見ることはできない。
君のことを抱きしめることも、手を繋いで歩くことも、これから先の娘の人生を一緒に喜ぶことも……全てできなくなってしまったんだと、再び開いた扉の先にいた君を見て、そっと泣いた。
彼女は青く美しい。海の一部。
水中を自在に泳ぐ姿は、純粋無垢そのものだった。
あぁ、目を凝らさないと見失ってしまいそう…
水しぶきを上げる尾、太陽に反射する鱗が眩しい。
揺らめく水面から顔を出す。見つめられて、心臓が飛び出るかと思った…
あ、笑った。
―――これが彼女との最後の思い出だ。
島でのバカンス。
偶然助けた人魚。
次の日も会いに来たので、歌を聴かせてあげた。
でも、そう。
俺は王子様ではないし、彼女もお姫様じゃなかった。彼女はそっと海の底へ帰って行った。
現実はおとぎ話みたいにはいかないんだな。
君と最後に会った日はいつだろう
1週間前とかだった気がする
ただの1週間
だけどSNSで会えてしまうからもどかしい
/君と最後に会った日
※ポケモン剣盾二次創作・マクワとセキタンザン
ちょうど一年前の今日、きみと最後に会った日。
それはぼく自身との別れの日であり、同時にすべての覚悟を決めた日でもあった。
母と袂を分かつ。しかしそれが簡単なことではないことは、ぼくが誰より知っていた。
母はぼくを後継ぎにするために、心血のなにもかも、ありとあらゆるすべてを尽くしてくれていた。ポケモンに関するあらゆる知識、トレーナーとしての心構えや常識は、今も母親からすべて叩き込まれたものだ。ぼく自身の時間のほとんどはぼくの手中にはなく、座学から実践訓練までを行う母が一秒刻みで管理していた。
母はこのガラル地方有数のトレーナーとして名を馳せている。彼女が培ったものをこれほどまで与えてもらえるぼくは、このトレーナーという職業が強いガラルの中で、なによりも強力な剣となり、ぼくをまもる盾にもなりうるだろう。
しかしそれはぼくにとって何物にも耐えがたい拘束の糸が、喉元で呼吸を縛り付けるものだった。
それはどこまでいっても母だ。ぼくと母の境界線が、まるで雪に埋もれてしまったかのようにみつからない。
母の栄光をなぞり続けるぼくはただの母親のこおりの糸に繋がれた繰り人形だった。
だとしてもぼくが独立したいのだと伝えたとして、はいそうですか、と簡単に返事をもらえる相手ではないことも、ぼく自身の細胞という細胞がその身に刻んでいた。
それは経験もあったし、きっと母から別れて生まれた身体だからというのも、少なからず理由として存在していただろう。
シビアで非常に厳格な母だ。まず自分の実力を見せなければ、最低限の説得はかなわない。見せたとして、祝福してくれる可能性はないにも等しい。それはぼく自身の願いとして存在してているもの。
ぼくの細胞の、母とは違う部分のどこかひとかけらにしか存在していない。もっとも母から生まれた身体にそんな場所が今存在するとも思えないが、ぼくがこうして腹を括ったことだけがわずかで力強い希望の破片だった。
だからこそ、ぼくが見つけた新しい出会いは必要不可欠だったのだ。ぼくが選んだそれそのもの。母でもなければぼくでもない、全く新しい外部のいのちの存在。
きみはずっとぼくと共にいた。いてくれた。それだけで何より心強いことか。
きっとこの分厚すぎる親子の癒着に風穴を開けてくれる。
そう、まさに一石を投じてくれるはずのものだった。
だがしかし先ほども言ったように、母に対して実力を見せつけなければいけない。
少なくともきみとぼくの関係が、今まで通りであってはいけなかった。
きみと出会うために……ぼくはきみとお別れをする。ぼくが抱いた憧れに近づくのだ。
その記念すべき日は、ぼくが設定した。そこに至るまでの過程もすべて緻密に計算し、メニューを組んだ。そう、これがぼく自身がトレーナーとして始める第一歩だ。
こんなことは母にだって教えてもらっていない。トレーナーとしての心得も、指示を出すタイミング、動き方のひとつひとつの細やかなものだって、なにもかも受け売りでしかないぼくが。
だからではないが、メニューを作るのは本当に楽しかった(だってポケモンのことを試案するのはたのしかった。これも母の糸の残りかもしれなくともそれでも持ち得て悪くない糸だ)。
だってきみのことを堂々と考えて、しかも実践までしていられるのだ。これほど幸せなことはない。もちろん初めてのことだ、組んだメニューも実際に行ってみれば、やれ詰め込み過ぎだの、今度は運動量として偏りがあっただの、組み直さなくてはいけないこともままあった。
もちろんプレッシャーはあった。必ずこの最初にセッティングした別れの日程だけは絶対だ。
あまりの不甲斐なさに部屋にこもって奥歯をかみしめ続けたときもあった。
ただきみと一緒にいたいからだ。ぼくがきみのことで把握不足があることが悔しかった。きみのことで予想できなかったことがもどかしかった。
それはそれまでのぼくになかった知識だ、当然のことだろう。
ぼくはこおりタイプのポケモンについての知識と経験は他人よりも深いと自負しているが、いわタイプのポケモンに関しては完全に初心者だった。
きみに届かないような、遠い距離があるような、そんな気持ちさえ抱いていたことだってあった。
それでもきみはずっとぼくと一緒にいてくれた。それがなによりぼくの自信になったか、きみはきっと知らないだろう。
だからぼくはきみとの約束は必ず守る。少々強引だが、必ずきみを強くするという盟約だ。
きみは戦い慣れしていない、どちらかといえば和平を望む種族のポケモンだ。それを戦いに繰り出しているのはぼくに他ならない。もちろんポケモンはみな強さを求める生き物でもあるけれど。
ガラルはそんな彼らと強さを臨める環境を整えてくれたひとたちがいるのだ。その良さをきみにも伝えていきたいと思っていた。
きみはそんなぼくたちの世界で共にに生きてくれると肯いてくれた。
峻厳なトレーニングを幾度も乗り越えて、ぼくが指し示す羅針盤の先、その日はやってきた。午前中に野生のポケモンたちから連続で20回ほどもぎ取って、突然変化は現れた。
戦いを終え、去っていくポケモンの背中を見送り、次の場所へ移動しようとした。だがきみの車輪はうまく動かずその場の砂をぐるりと巻き取った。そうしてぎゅっと目をつぶった。まばゆい光が黒い体を包み込んだ。
「……やってきたんですね。予定通り……です」
きみは肯いた。とうとうお別れだ。ぼくはその石炭の頭を撫でた。
ごつごつした感触が手のひらをほのかに温めた。
きみは連れていく。ぼくの迷いも未練も、そして母の影でしかないぼくのことも。
「……さようなら。……そしてようこそ、新しいきみ。ぼくが出会いを待ち望んでいたきみ」
身体を包む光がいっそう強く激しくなり、見つめる目が痛くなり始めてきたころ、その輝きは突然ぱたりと消え去った。
そのあとには、もうきみではないきみがいた。背に積まれた石炭の山はぼくの背よりうんと高く、辺りの空気を歪ませるほどのほのおを抱いている。ぱちぱちとはじける火の粉は時折岩の埃っぽい香りと焦がした香りを運んだ。
その体はぼくなんかよりもずっとずっと重たくて、ずっしりと落ち着いていて猛々しい。
両手と両足が出来たのがうれしいのか、両腕を握りしめたり開いたりしたかと思うと、今度は大きく開いて見せた。
黒くて丸い目が弧を描き、ぼくを見下ろした。
『きみ』でなければ、あの母に到底勝てるとは思えない。そしてきっちりポケモンを育て、進化させることが出来る自分は、立派なトレーナーの証に違いなかった。
実績は、ぼくの胸を輝かせる勲章だ。その裏にある戻れぬ心には目を向けぬよう、青いサングラスを掛けることで閉じ込めた。
「……尖った目、お揃いですね」
「シュポォ!」
俯いたぼくはつるを抑えて、もう一度きみを見た。
「……改めてはじめまして、セキタンザン。ぼくとともに……ガラルでいちばんのトレーナーとポケモンになりましょう」
「ボオー!」
「ありがとう……ぼくの人生の剣のきみ。かならずきみの輝きをたくさんのひとたちに届けます。……だからまずは目前の試合で強さを見せつけましょう」
「シュ ポォー!」
ぼくはもう、試合の上に立っていた。これがきみと最後に出会った日。
そしてぼく自身との別れと、二度目のきみとのはじめましてを続けた日。
ぼくは今もこの剣とともに、ぼくのいのちの居場所を切り拓き続けていく。
磨かれた赤い輝きと鋭い炭黒が、こおりを溶かしては砕き、勇ましい色を輝かせる。
彼は大泣していた。
一方で、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
彼曰く、「もう会えなくなる」とのこと。
彼女曰く、「また会える」とのこと。
お互いの君はこう思う。
――どこかですれ違っていたりしないのかと。
〜君と最後に会った日〜
[君と最後に会った日]
会った日?
いや、会ってないや。
あの子…いや、
仮名に『愛人ちゃん』とでも呼ぼうか。
あれは4月
「あたし…
あなたのこと…好きなの」
いきなり愛人ちゃんに告白された。
愛人ちゃんはネットでの相互フォロワーだ。
もちろんオレには結婚相手がいることを知っている。
愛人ちゃんにも恋人がいた。
それにもかかわらず オレは告白をされた。
オレは罪悪感ながらも彼に内緒で
コッソリと愛人ちゃんと連絡を交換し始めた。
まずは『仲の良い友達』として
愛人ちゃんはオレに恋人の愚痴を話し、
オレもその時は彼との結婚が不安で
愛人ちゃんと話し、現実逃避をしていた。
愛人ちゃんとは趣味が合うので
趣味等を共有し合っていた。
「いつか会って楽しもう」とも話していた。
ある日、愛人ちゃんが恋人と別れた。
「別れた」と言っても『自然消滅』すると言っていた。
「あなたの為に別れたの!
だからあなたも恋人と婚約破棄して
あたしと結婚して!」
オレは驚いた。
愛人ちゃんは『本気』になっていたのだ。
もちろんオレは断った。
そしたら愛人ちゃんは泣きついてきた。
しかしオレは条件を出した。
それは『突然の別れを覚悟すること』。
愛人ちゃんはその条件に賛成し
これからも繋がることになった。
オレと愛人ちゃんとの関係は
次第に『友達』を超えて
『秘密の関係』となっていった。
日付が終わる頃に彼との通話を終わらせ、
愛人ちゃんと通話を繋げた。
それ以上の関係を望んではいけないとわかっていたが
オレ達はもう遅かった。
「愛してるわ」
「オレもだよ」
通話を重ねる度にアチラの話も多くなり、
写真等もお互いに交換して
電話越しに甘い言葉を吐きあっていた。
「あたし あなたのことで頭がいっぱいで
体が熱くなっちゃうの…あなたが欲しいよ…//」
「なんてこった…それは嬉しいね
このことは誰にも秘密だよ?//」
…なんて甘く熱くお互いに求め合いながら話していた。
またある日、
いつものように愛人ちゃんと通話をかけたら
「あたし、女の子と付き合う事にしたの
だからこれからはその子を優先に過ごすわ!」
「…え?」
衝撃的だった。
話を聞くと愛人ちゃんは友達に3年前から告白され
「恋人がいるから」という理由で断っていて
恋人と別れたからその友達と付き合う事にしたらしい。
オレはもちろん困惑しながら
「良かったね」と言った。
愛人ちゃんはいつものように
「愛してる」と言った。
オレの気持ちも知らないで…
オレも平気なフリをして いつものように
「オレもだよ」と言った。
その日は眠れなかった。
ただひたすら『なぜ』と考えるしかなかった。
そしてオレは頭が冷えたのか
これから愛人ちゃんには
今までのような愛情表現をするのを
辞めることにした。
愛人ちゃんへの
連絡も控えることにした。
翌日、またいつものように
愛人ちゃんからのメッセージが来た。
愛人ちゃんは付き合い始めた女の子の事を
嬉しそうにオレに話し始めた。
今度はオレが『自然消滅』をはかる番だと思った。
オレは真面目に話し始めた。
「なあ、気づかないのか?
オレと、君の恋人と、女の子と、オレの恋人を
君の『都合の良さ』に巻き込んでること。」
「え?どうしたの?」
オレは続けた。
「なあ、確か恋人とは『自然消滅』なんだろ?
それって恋人は『別れた』と
思ってないんじゃないのか?
それなのに別の恋人を作るなんて
ただの『浮気』じゃないのか?」
「あっ…」
愛人ちゃんはハッとした。
「オレはいいよ…
『恋愛』と『遊び』が区別できるから。
でも君はまだそれがわかってないだろ。」
オレは愛人ちゃんを叱った。
「オレの心も踏みにじりやがって」なんて事は
言いたかったが言わなかった。
正直オレも少し愛人ちゃんに
『本気』になりつつあったからこらえた。
愛人ちゃんは泣き崩れた。
「あたしはただ1人になるのが怖かったの…
『平等』に愛したかっただけなの…」
愛人ちゃんは話せばわかるいい子だから
そうだろうとオレは予想していた。
「『平等』に愛すことなんて出来ないよ。
恋人と女の子にこの事を正直話してごらん
ちょっともめるかもしれないけど
気持ちは伝わるはずだよ。」
オレは優しくアドバイスをした。
「うん…話してくる」
「よしよし
話してきたらまたオレに話してよ。
待ってるね」
オレはもうそろそろ愛人ちゃんとの関係が
終わるとわかっていた。
だからせめて最後まで優しくしてあげようと決めた。
愛人ちゃんは寂しかったのだろう。
しばらくすると愛人ちゃんから
「話してきた」とメッセージが来た。
「あたし決めたの!
もう『浮気』しないって
大事な人を悲しませたくないから!
叱ってくれてありがとう!」
やっぱりいい子だ。
そしてオレは愛人ちゃんとは
『普通の友達』に戻った。
元から愛人ちゃんとは『何も無かった』。
そう、『何も無かった』んだ。
愛人ちゃんとは会ってもいないし
口約束だけだった。
オレは今までのように恋人と
イチャイチャする生活に戻るだけ。
失うものは何も無い。
今まで火遊びは男ばかりだったオレに
久々に女の子と良い恋ができてよかった。
おかげで良い夢が見られた。
楽しかったよ 愛人ちゃん。
良い夢をありがとう。
オレはそっと
愛人ちゃんの写真と連絡先を消した。
でもオレは今後
どんな気持ちで愛人ちゃんを見ればいいのだろうか
今でもフォロワーには愛人ちゃんが居て
オレは複雑な気持ちをしながら見守っている。
あれが最後の別れになるなんて
夢にも思っていなくて
また、あのやわらかな笑顔を見せてくれる
やさしい声を聞かせてくれる
そう愚直に思い込んでいた
どうして引き止めてあげられなかったのか
どうして気づいてあげられなかったのか
助けて、あげられなかったのか
君がいないこの生に
いったい何の意味があるというのか