『同情』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
かかとにかかと、脚に脚、お腹にお腹、腕に腕、からめて頬を寄せあい、ふたりしっとりと眠った。なにもかもこわくなくなった。たとえば暗やみ。たとえばかなしみ。するどい黒と、あらゆるかなしみはいつもわたしを包んだけれど、きみがとんとんと赤子をあやすようにわたしの背中を叩くので、その間、平気でいられた。こっそりと、きみの腕のなかで少しだけ泣いていたら、ぐったりとつかれてしまいいつのまにか朝になっていた。
題 : 同情
「同情されるのは嫌だ」
そう思いつつも、心のどこかでは同情でもいいから気にかけて欲しいと思っている。
SNSで承認欲求を満たす日々。
誰でもいいから、「私」という存在を少しでも気にかけて欲しい。もう少し大人になれば、こうした気持ちも落ち着くのだろうか。
まだまだ未成熟な子どものわたし。
別に同情なんかしない
けど、彼女と別れて苦しんでる彼
「興味なんてないけど、後悔だけするなよ、」って
自分も辛いのに、
結局彼の幸せを願う醜い私
どうせ、復縁するって分かってるのに
同情
「俺は精神的にも肉体的にもアイツを傷つけちまった。
だから、どうすればいいのか分からねえんだ…」
サンドラとロード、凱に説得されて少しだけカイの部屋に行くことに前向きになった三四郎がポツリと呟いた。
「俺が自分に向けた苛立ちとか不甲斐なさを、カイは自分への同情だと誤解してて。…アイツ、同情されるの死ぬ程嫌いだろ?エムパスで感じ取るからきっと疑ってない。
俺も言葉で伝えるのが下手だから何言っても信じてもらえない気がする」
三四郎らしくない弱気な言葉にサンドラとロードはお互い目を見張って確認しあう。
ずっと、彼ら二人の雰囲気を見守ってきた夫婦はその言葉を聞いて微笑んだ。
「三四郎、何を言ってもムダだと思っちゃダメ!
確かにエムパスは素晴らしい能力だけれど、そこに甘えてないかしら?
カイにはカイの真実があるように、三四郎には三四郎の真実があるでしょ。それが同じものとは限らない。
どんなに下手でも拙くても、自分の言葉と気持ちでカイに言わないと本当の意味で彼に伝わらないわよ」
「サンドラの言うとおりだ。
エムパスはカイから見たフィルターなんだ。とても便利だけどいつも正しいかと言われるとそれは違う。
三四郎、カイは君を拒否しているんじゃないんだよ」
「…そう、なのか?」
不安そうに、しかし少しの希望を見出して三四郎の声のトーンが明るくなる。
そんな三四郎の背を押すように3人は力強くうなづいた。
「どんな事でもいいから言葉にしてカイに話す。
それが仲直りの一歩です。真剣に話せばちゃんとカイに伝わります。
エムパスであろうと無かろうと気持ちを届ける意思を見せなければ関係は変わりません。その努力はきっとカイも感じ取るはずです」
ようやくカイの部屋へ行く気になった三四郎を励まし、送り出した3人はホッとひと息ついた。
「結局のところ、三四郎の気持ちの問題だね。
カイは三四郎を完全には突き放せないからね」
「私たちの同情と三四郎の同情はカイにとっては意味が違う。カイは三四郎と対等で有りたいから同情されるのが嫌なのね」
「どちらも相手に対して素直になれないところが問題を大きくしてしまうのでしょう。
アドバイス通りにすればすぐに結果はでますね」
すったもんだを繰り返すはた迷惑なバディに思いを馳せながら、3人はゆったりとしたブレイクタイムを過ごすのだった。
「同情」
(2/14「バレンタインデー」と一緒に読むと面白いかもしれません)
ここは罪の国。幼子の悪戯から裁かれていない巨悪まで、
多種多様な罪の数々がコレクションにされる国。
俺はこの国に送られてきた数多の罪を管理する役人だ。
最近、この国に新しい大罪が加えられた。
なんでも、お菓子の国の姫君が猫の国の王子を毒殺したらしい。
噂には聞いていたが、まさかそんな大事件が本当に起こっていたとは。「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったものだ。
姫君は色んな飾り付けをしたチョコレートをバレンタインの日に王子へと匿名で贈ったようだ。それを喜んだ王子は何にも考えずに全部それらを口にして、結局命を落とすはめになったと聞いた。
彼女は自分の好きな相手のことをろくに知りもせず、相手の命を奪ったんだ。少しでも調べたらわかることだろう。猫にとってチョコレートは毒だってことくらい。
とにかく、一国の王女が異国の王子の命を奪うという罪を犯した。理由はひとつ、彼女はあまりにも無知だったのである。
犯した罪は裁かれなければならない。
しかし俺は無知故に生まれた罪について、考えを巡らしていた。
俺たちは知らず知らずのうちに誰かを、何かを傷つけていないと言い切れるのだろうか?
己の無知によって自分の首を絞めてはいないか?
だが、無知であることはある意味幸せなのかもしれない。
「知らない」ということは、悩みが生じないということでもあるから、ある種の心を守る手段でもあるだろう。
それでも、だいたいの場合「無知は罪」とされるのだ。
彼女は、「恋するひとにバレンタインの贈り物を届けた」だけなのだ。しかしそれが仇と、罪となった。
飴細工でできた罪を大きなキャビネットにしまいながら、俺は彼女に同情した。君だって、無知による罪の被害者だもんな。好きな人を失ったんだから。
さて、今度はどんな罪が届くだろうか。
次の仕事に取り掛からなくては。
大きな伸びをしながら、俺はこの部屋を後にした。
同情心が芽生えたからではない。
このまま放置すれば遅かれ早かれ此方に飛び火したから先手を打ったのだ。
そしてこの判断は正解だったと直ぐに判明することになる。一週間と経たずに取引先から該当の資料を取り寄せることができた。
この手の情報はひどく手間なのだ。それがこうもスムーズに進行している。
同情
他人に対して同情するのは、失礼なのではないかと考えている。
そりゃ、大変な思いをして暮らしている人は多勢いるだろうが、
その人達に同情して欲しいかと質問したらば、大きなお世話だと叱られるような気がするからだ。
私が行った最初の外国旅行はインドだった。もう30年以上前になるが、そこにはトンデモナイくらいの数のルンペンがおり、
中には身体障害者の人達も良く見かけたが、彼らは実にエネルギッシュに活動しており、はっきり言って元気だった。
たぶん、彼の地では消極的だったり、引っ込み思案だと、生きて行けないから、必然的に逞しくなるのだと思う。
彼らは、物乞いだからお金を欲しがったが、同情して欲しいのとは全然ちがっていた。
私がまだ20代だった頃(今は60の一歩手前)東京に引っ越した。それまで埼玉県から東京の職場まで1時間半以上かけて通勤していたが、
落語や映画や芝居にすっかりハマって便利な東京暮らしを選んだ。
引っ越して
3日くらいして、帰宅すると私の部屋のドアの前に1羽の雀の亡骸があったのである。
私の部屋はアパートの角部屋であったが、どういう風向きで飛ばされて来たものだろうか?
私は田舎育ちで(埼玉ではない)、雀の亡骸くらいではまったく動じない。しかし、可哀想に思って雀を埋めてやる事にした。(田舎ではごく普通の行為かな?)
しかし、驚く事に、私の家の近所には、雀1羽すら埋めてやる場所はなかったのである。
近所に公園があればと探したが、公園はあってもあまりに整備された小さな公園で、埋めてあげる事が出来なかった。
そうと分かった時の、私の衝撃、情けなさは何とも名状し難い。
私は、心から雀を哀れに思った。
ただ、これはあくまで引っ越してまだ日も浅い頃の私の思った事である。実際には東京は緑の多いところもかなりある。
ミミズや枯葉の話のつづきみたいになったけれど。
私はちっぽけな一部。
誰にも期待されない、そのへんの石ころ。
井の中の蛙。
だけど私には世界が見える。
いい所も、悪い所も、上手くいっているところも、上手くいっていないところも。だから私は小さな世界で、なにも巻き込まれずに平和に生きてる。好きなことをして、好きなだけ生きてる。
妄想でしかない。
けど、妄想じゃない。
外の世界からやってきた友達が、私を憐れむ。
「そんなところにいないで、出ておいで」
ここは居心地のいい、優しい場所。
そんなところなんかじゃない。
そう言うと、友人は怒って居なくなった。
別の友人が、私を羨ましがる。
「あなたは小さな世界で幸せに生きてていいね」
ここは私以外何もいない。外は何でもあって、みんないて、何不自由もなく生きられる場所。だけど、それが苦しいなら、こっちにおいで。
そう言うと、友達は少しの間だけ降りてきてくれたけれど、やがて退屈になって居なくなった。
私は、行かないで、一緒にいてと言えなかった。
ここは、外より素敵な場所じゃない。
寂しくて、何も無い場所。
妄想の中で、好きなものを好きなだけ並べてみるけれど、目が覚めると、何も無い。
当たり前だ。
妄想では簡単だけど、現実で理想を作るのは簡単じゃない。
だけど、頭の中だけじゃ、物足りない。
友達に触れた温かさや、感触が、忘れられない。
実際に見て、聞いて、嗅いで、触れて。
その感動を、誰かと共有したい。
その誰かも、私に冷たい人じゃなくて、私を受け入れてくれる人がいい。
この小さな世界も素敵だねと、言ってくれる人がいい。
外の世界を見てみたい。
この場所を失うことなく。
私は、わがままで、欲張りだから。
全部手に入れられない冒険はしたくない。
私はちっぽけな一部。
だけど、小さな世界では、私以外のものが小さくて、自分だけが特別だと勘違いしそうになる。私がちゃんとしないと、この小さな世界が壊れてしまう、なんて、不安になる。
そんな私が、大きな世界の中の一部だと思い知らされた時。
特別ではないと、絶望するだろうか。
私はもう頑張らなくてもいいのだと、希望を抱くだろうか。
ただ、小さな私の言う全部なんて、世界から見たら高が知れているだろう。
外の世界とは、どんなものだろう。
私が思ってるより酷くて、美しいものかもしれない。
少なくとも、そこはちっぽけな私の想像をはるかに超える世界だ。
同情されることが大嫌いだ。
可哀想だね、って、同情ばかりしてくる
だから僕は…呪ってしまったんだ。
僕に同情の言葉をかける奴らを……昔、祖父から聞いたんだ。
僕の住んでるこの村には、山猫神というものが存在しており、可哀想なに人や物には救いの手を差し伸べてくれるのだとか。
だから僕は山猫神に助けを求めた
『パイナップルサンド』
季節を三つ越えたような 甘っ酸っぱい夢うつつ
いつかのピクニック パイナップルサンド持ってった
バスケットが果汁で濡れた 二人で遠く遠い世界のことを考えてた 曇り空が感傷を誘う 幸せだけどなんか違った 幸せだけどこうじゃないんだ
仮に、私に対するそれが同情から来るものだとして。
きっとそれでも。
あの時声を掛けてくれた貴女は、
消しゴムを貸してくれた貴女は、
移動教室に誘ってくれた貴女は、
いつも笑いかけてくれた貴女は、
私にとって、太陽の様な存在でした。
-同情
一、同情
身の丈に合わない恋であることをもう長いこと自覚している。断捨離するにはまたとない機会であったことは間違いなかったはずだ。彼女にとっての最善を選んだ。そこに自分の存在は不必要だったというだけの話。だから手放した。想いは棄てた。巣立つ雛鳥の門出を祝わずして何になる?後悔先に立たずということわざが世に存在するくらいだ。死してなお僕は僕自身を赦しはしないだろう。明白だった。飛び立つ彼女の後を決して追うことのないように背中に生えた透明な翼を自ら手折る。血は流れなかった。
愛に鳴くはずの籠の中の鳥は、その時たしかに哀に泣いていた。貴方の傍にいたかったとしゃくり上げる彼女の頬を伝う滴を拭ってやることなど出来るはずもなく。彼女のことをまるで分かっていなかった。分かったような気がしていただけだった。己の愚かさと不甲斐なさを心底呪った。僕は彼女を、どう愛せばよかったのだろう。
--手記 xxxx.xx.xx
時折、自分が惨めで残酷な状況にいるような気がしてならない時がある。
そんな時、自分の人生そのものを話すつもりであった心を開いた人間にそんな感情をかけられてしまったら、私はもっと自分が惨めで堪らなくなると思う。
同情することが悪い事だとは決めつける訳では無い。
だが、時に人を惨めにしてしまう程には酷な感情であると私は感じるのだ。
――慰みよりも酷なもの
お題【同情】
「同情も憐れみも結構だ」
「そんなつもりは無いんだけどな」
「気付いてないなら余計にタチが悪い」
「何かで苦しんでいる人がいて、自分がその苦しみを軽くする方法を知っていたら伝えたい、と思うのは傲慢なのかな」
「誰もそんなこと頼んでいない」
「·····君こそ気付いていないなら、余計にタチが悪いな」
「何がだ」
「同情も憐れみもいらない、と言うのなら·····」
冷たい手が頬に触れる。――いや、私の顔が熱くなっているのか。
「どうしてそんな、捨てられた子犬みたいな目をしているんだい?」
その甘ったるくて低い声を聞いた途端、頭の奥に焼けるような熱を感じた。
END
「同情」
同情なんて大嫌いだ。
哀れんだ目。哀れんだ言葉。
可哀想と思われる事がつらい。
慰めなんて要らない。
話を聞いてくれるだけでいいんだ。
いつも周りのばかり気にしてる。
可哀想。そう思われないように。
同情するし冷静に、私みたいな女にイラつき隠せずに私のことが、大キライいい加減で考えがなく生きてる価値なしってそこまで赤の他人言える口そこにあるなって可哀想な哀れなさみしい
お方
47才にもなって痛いた女々しい
全く世界真逆の
鬼の形相
人の顔した頭いかれて心なし、きっと
そこまで言っても謝るわけもなく
ケロッとして笑ってる
悲惨なお方
共感と同情は違うよ。
気持ちを聞いてあげること。
事実を受け止めてあげること。
外野はそこまで。
気持ちを肯定してあげるのはいい。
けれど、可哀想というレッテルを貼ってはいけない。
同事してるあなた。
あなたは無意識に上から見てる。
相手にも伝わってるから改めた方がいい。
自分が可哀想な人になる前に。
『同情というよりも、言葉にしにくい感情/実体験』
「貴女、恋愛ドラマも映画も見ないの!?」
信じられないという顔をして、私の上司が大きな声をあげる。思わずという風を装っているが、この場にいる全員に聞こえるように計算された演技である事は間違いない。
「ああ、だから貴女は人の気持ちがわからないのね。よく優しい優しいとお客さんに言われてるけど、私から見れば偽善でしかないのよね。上っ面だけ。私みたいな百貨店経験者や、丁寧な接客を受け慣れている人だとすぐにわかるわ」
ねえ?と、意地の悪い顔で笑うこの上司なのだが、とにかく仕事は出来すぎるほど優秀で、誰からも好かれていないが誰もが彼女の能力を認めているという厄介な存在である。さらに厄介なことに、仕事の面では皆が認めているのだから、それを誇りに思っていればいいものを、とにかく自分より格下だと認識した者より何か一つでも劣っている事が許せない性質をしていて、格下認識した相手に対しての嫌味が抑えられないのである。
今日のターゲットは私かと、最早こうなると適当に話を合わせて、さすがです、知らなかったです、すごいですね、そうなんですね、勉強になります、やってみますねと、合コンマニュアルに載っていそうな言葉を返して、嵐が過ぎ去るのを待つのみだ。
「ちゃんと恋愛ドラマや映画を見て、相手の気持ちが想像できるようにならないと駄目よ?私のオススメはね──」
「あー、これ懐かしい」
それから数年が経ち、もうすでに退職した身であるにも関わらず、その強烈過ぎる上司は、強烈過ぎた故に、様々な事柄で私の脳内にラ◯ュタのように何度でも蘇ってくる。今回は、上司がオススメだと言っていた恋愛映画が地上波で放送されるというCMが記憶の鍵であった。良い映画ではあると思う。ありきたりの人物背景、ありきたりの内容、話のオチが読める展開、それらが綺麗にまとまっていて「作品」として優れているのは間違いないと思う。しかし、思うにこれは「作品」なのである。この作品を見て恋を学びなさいというのは、小学生が少女漫画を読んで「大きくなったら、こんな素敵な恋愛をするのね」と思う事と大きな違いはないと思う。
幸いにも人の気持ちがわからないと評された私は、良い人と巡り合い、親になる縁を持つ事が出来た。恋愛映画やドラマを好き好んで見る事はついぞ無かったが、それでも手に入れる事が出来たのは運が良かったからか、教本を間違えなかったからなのか。
このご時世、恋愛や結婚をしなくとも楽しく生きていけるが、この中の誰よりも恋愛に詳しい、誰よりも情熱的な恋をしてきたと語っていた上司が、今も出生時の名前で働き続けているのを知っている私は、彼女を思い出すたびに何とも言えない気持ちにさせられるのだ。
了
泣いちゃった。あの人の前で。
別になんでもないのに。なんか泣いちゃった。
困った顔も素敵だな。不器用な所かわいいな。
頭撫でて。その腕で抱いて。
洒落た香水でも大人な煙草でもない
あなたが大好き。
ねえ理由はわからないけど
同情でもなんでもいいから
もう少しそばにいて。
同情
親切な優しさが
時に人を 惨めにも
知らずに してしまう
惨めさは恥さ抱かせて
親切に人相手を内心苦手と
なる または何もわかってないくせに と 憎んでしまうも
だが 私にしたって
知らず 知らずに
傷つけるつもりはない言葉を
他者に 傷つけていたりも
あるのは確かだ
あいつ は 私を哀れむ
なんて と 許せなさは
しんどい
自分と対等といれるは
互いに 全てが
親友だとしても
親友の全て気持ちさえ
完璧完全にわかるはない
互いにそれを思いあってる
だが 親友が私に同情するわ
私も 同情するわ
辛い出来事打ち明け話しなり
思いあうは 惨めとは
違う
人 噂は 勝手なもの
私だって 人噂に
他者を見下すやらだから
あら 勘違い親切さ
参ってしまうな 軽く流し
言われでていいや
なり まっ悪意はないな
なんて 許したいかな
だが時に酷い勘違い
噂 また、酷い私はこうした
人ですとされた 真実でもない
事柄 同情まで
許せる は 難しく
多数が ただ1人の
その人言葉だけで
多数から 噂や 同情は
許すは 難しく
その世界から 離れるが
いいだろう
それさえ 出来ない時がある