せつか

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「同情も憐れみも結構だ」
「そんなつもりは無いんだけどな」
「気付いてないなら余計にタチが悪い」
「何かで苦しんでいる人がいて、自分がその苦しみを軽くする方法を知っていたら伝えたい、と思うのは傲慢なのかな」
「誰もそんなこと頼んでいない」
「·····君こそ気付いていないなら、余計にタチが悪いな」
「何がだ」
「同情も憐れみもいらない、と言うのなら·····」

冷たい手が頬に触れる。――いや、私の顔が熱くなっているのか。
「どうしてそんな、捨てられた子犬みたいな目をしているんだい?」
その甘ったるくて低い声を聞いた途端、頭の奥に焼けるような熱を感じた。


END

「同情」

2/20/2024, 3:29:35 PM