この世界に対する漠然としたモヤモヤ。
日常に対する理不尽。
「なんか嫌」
「なんか嫌い」
この〝なんか〟をうまく説明できない。
語彙力の問題じゃなく、感情の整理がつかないだけ、な気もする。
END
「言葉にできない」
爛漫の〝爛〟には光り輝くさま、という意味があるそうだ。それ以外に〝爛〟という字には〝ただれる〟という読み方もある。
桜をはじめとする春の花の色や浮かれた空気も相まって、春という季節にどこか淫靡な印象を受けるのは私だけだろうか。
春、桜といえば有名な『桜の下には死体が眠っている』、『願わくば 花の下にて 春死なん』といった、死や眠りを想起させる言葉もある。
エロスとタナトスを春に感じるのは、何故なんだろう?
絢爛と咲く花が数日と経たない内に儚く散るからか。
花の色に目を奪われて、何かが隠されてしまうからか。
なんにしても、春は不思議な季節だと思う。
END
「春爛漫」
努力は報われるとか、挫折は無駄じゃないとか、
そういう綺麗事はもうたくさんなんだわ。
彼はそう言って行儀悪くしゃがみこんだ。
「現実は残酷だって、お前も分かってんだろ?」
髪を鷲掴みされて、顔だけ無理矢理引き起こされる。
「努力したって駄目な時は駄目だし、一度挫折したらそれはレッテル貼られたと同じなんだわ」
口汚く罵りながら唾を吐く。
「誰よりもずっとその言葉を信じてきた俺が、今ここにいるのが一番分かりやすい理由だろ?」
メキメキと音がして、着崩したスーツの背から真っ黒な翼が現れる。
「救いはねえし、依怙贔屓はするし、ロクなモンじゃねえよ」
三日月に開けた口の、真っ白な歯がやけに目立つ。
――あぁ、そうか。
誰よりも、ずっと。
君こそが奇跡を待ち望んでいたんだね。
END
「誰よりも、ずっと」
ぼくのたびはまだつづいている。
これからも、ずっと。
きみたちとどれだけはなれても、ぼくのたびはおわらない。
このせかいのどこかでだれかが、ぼくをみつけてくれるまで。
ぼくにたくされたきみたちのことばを、だれかがみつけてくれるまで。
たくさんのうた。
たくさんのこえ。
たくさんのことば。
たくさんのけしき。
とおいとおいせかいのはてで、だれかがこのきらきらしたものをみつけてくれるまで。
ねえ、まだみぬいせいのあなた。
このはてしないせかいに、こんなにきれいなものをつくりだす、すてきなあおいほしがあるんだよ。
ぼくはこれをいつかであうだれかにつたえたくて、ずっとずっとたびをしているんだ。
たびはつづく。
これからも、ずっと。
ねがわくば、いつかであうだれかとふりむいたとき、あおいほしがきれいなままでありますように。
END
「これからも、ずっと」
沈む夕日も昇る朝日も、じっくり見たことがない。
絶景と言われる風景を立ち止まって見たことがない。
なにかが欠けているのだろうか。
END
「沈む夕日」