『半袖』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
制服が半袖になると、
キラキラの夏が来たって感じがする。
スポドリ片手に海ヘ山へ飛び出そう。
(インドア派も水分補給は忘れずに)
半袖/2023.05.28
もう半袖は着れない。
No.51『長袖』
散文/掌編小説
彼女はいつも長袖のシャツを着ている。もしかして虐待されていたり、タトゥーでもあるのかなと思ったら、単に寒がりなだけだった。
お題:半袖
思い出すのは夏の前日
半袖になれない腕を抱えたあの日々
君が淡々と巻いてくれる包帯が眩しかった
痛いのは此処なんだからね、と
人差し指で向かい側の
みぞおちをトントン叩いてさ
触れたいのに触れられるのは
僕の脆く赤いとこばっかりだった
手当ての意味を知った僕が
それからずっと先の、いま
それらを懐かしく
眩いばかりのひかりみたいに、胸に抱える
制服が夏服に切り替わって、斜め向かいの席に座る彼女の腕にほくろが三つ、並んでいるのに気がついた。それが初恋。
オリオン座の三ツ星みたいに、そりゃあきれいに並んでいたよね。星座詳しいのかって?全然。オリオン座と北斗七星しか分かんない。
いや、何もなかったよ。だって、何て声かければいいのよ。あなたの腕のほくろが好きですって、変態か。……変態だな。
あとまあ、正直苦手なタイプだった。あまり誰かと喋ってるの見たことなくて、いっつも何か分厚い本読んでる感じの。それでもさあ、恋する乙女としては何と言うかこの、少しでも相手のこと知りたかったりして、彼女が図書室で借りて読んでた本を自分でも借りてみたりしてさ。あ?ストーカー言うな。
そしたらこれがまた、クッソ難解で。あの頃に比べりゃ本も少しは読むようになったけど、多分今読んでも難しくて分かんないと思う。内容はさっぱりでもタイトルめちゃめちゃインパクトあったからそれだけ覚えてるんだけど。『夜のみだらな鳥』っての。
本当に好きだったのかって言われてもさあ。恋ってそんなもんじゃない?理不尽で不公平で暴力的なの。人柄どころか顔でさえないのよ。オリオン座みたいなほくろがたまたま目についたとか、そんなふざけた理由で。それでも恋してた。
あー、なぁに語っちゃてるかねえ。まあ要するにあれよ、半袖は罪って話。それだけ。
半袖
みずいろの
ワンピースを着て
リボンのかわいい
麦わら帽子で
たいやきたべて
幸せそうに
ほっとしている君
39半袖
誰かの半袖を見て嬉しくなるのも、ちょっと後ろめたくなるのも、きっとそれが恋だからだ。
そんなことを考えながら、駅から妻が出てくるのを待っていた。結婚30年になるが、軽やかな薄手のカットソーに衣替えした姿を見ると、今でもなんとなく心が踊る。今日は久しぶりに、外で待ち合わせて珈琲でも飲みに行く予定だった。梅雨入り直前の重たげな空を見上げる。傘を忘れてしまったので、帰りは年甲斐もなく相合傘になるかもしれない。
半袖
私は着るのには長袖の方が好きだ
自分を隠せるから
でも、見るのでは半袖が好きだ
長袖も悪くはないが
私は半袖からチラ見えする二の腕が好きだ
男らしい太く力に溢れた腕
華奢な折れてしまいそうなほどの細い腕
標準で健康的な腕
程よく肉がついてむちむちの可愛い腕
色々な腕がある
腕を見るとその人への理解が
深まったようで少し楽しい
半袖には可能性があると思っている
半袖から見えるその白い肌が好きでした。貴女が振り返ってふわりと袖が浮くとチラリと除く白色の肌が私は大好きだったのに。貴女は無惨にもその肌をズタズタに赤く染めて倒れていた。屋上にさっきまで居た貴女が消えただけなのに私は叫び喉を潰した。もう貴女の半袖は見えないなんて信じたくない。
半袖のあなたが嫌い
健康的なその褐色の肌も
半袖のあなたが嫌い
この世の膿の欠片も纏わぬ笑顔も
半袖のあなたが嫌い
開けっぴろげのその態度が品がない
半袖のあなたが嫌い
隠すものなどないよとばかりに
半袖のあなたが嫌い
見せられないお守りだらけの私がみじめだから
半袖のあなたが嫌い
この季節が来たことを感じられてしまうから
半袖のあなたが嫌い
この柄にない、新品のスニーカーを履いたような心も
暦のせいにしてしまえば良い気がしてしまうから
半袖のあなたが嫌い
あなたを見てると、
この季節に身を委ねたくなってしまうから
「テーマ:半袖」
お題 半袖
彼はわたしの二の腕が好きだと言って、半袖を着る時期はよく触っている。
さすがに人前じゃ触らないけど、家にいるときや車の中ではだいたい触られている。
触るというか、つまむ、つねるに近いので
ひどいと二の腕が真っ赤になっている。
わたしはそれを家庭内DVと呼んでいるのだが
当の本人は、『内側の肉は白くて柔らかそうだから』という理由で、まるで今まで正体を隠していた人喰い鬼みたいに
突然二の腕に噛み付いてきたりするので、いい加減うんざりしている。
基本的に苦しいのは得意だけど、痛みは痛みでしか感じられないので勘弁してほしい。
昨日のお題 天国と地獄
優しい男は死んだら天国に逝けるけど、
悪い男はわたしに天国を見せてくれる。
そんな感じの和訳をした人がいて、200回くらい頷いた。
地獄を見るって分かってても、悪い男って沼よね。
嵐のような週末が去って、一安心する。
今日は朝から雨が降っていて、今週はもうずっと雨らしい。
玄関で彼を見送って、そのうち梅雨入りだなと思いながら防水シューズどこにしまったっけ?と考える。
しあわせなんだろうか?しあわせなんだろうな。自分の中で行ったり来たり、そんな自問自答を繰り返す。
半袖について思ったこと
・半袖を着ると、何だか解放されたような気分になる。肩の重くなる上着、セーターから解放されるのだ。
・半袖になると、行動の自由が許される。両腕を真上に上げて背伸びをしたり、バレリーナがやってるような、片足を頭の上まで上げるあのポーズだって気楽にできる。
半袖を着ただけで何でもできるスゴい人になったような気分だ。半袖は着る人に行動の自由と無限性を与えてくれる。
これから半袖の季節が続く。秋まで。自由の始まりだ。
あの遠い夏の日。
貴方は私を置いていってしまった。白い無地の半袖Tシャツと一緒に。
貴方は海辺で私に言った。「俺ちょっと泳いでくるから待ってて。このTシャツ預かってて。」まだそう親しくもない私達の関係などお構いなしに貴方は脱いだTシャツを私にポイと軽く投げた。真夏の海辺の風は貴方が投げたTシャツを違う方向に空高くなびかせた。私があっと声を出しながら遠ざかるTシャツを追いかける。風がおさまりやっと私はひらひらと舞い落ちてくるTシャツを手に取った。もうホントに、貴方は人使いが荒いんだからって冗談交じりに思いながら貴方が走って行った海辺を見る。しかし、そこに貴方の姿は無かった。辺りを見回してもどこにも貴方はいなかった。あの日、あの時、なぜ貴方が私に何も言わずいきなり姿を消したのか。その理由は何か。どこへ消えてしまったのか。
それは永遠に解けない謎だ。
もうすぐで夏。Tシャツを着る時期。また私はあの夏の日の永遠の謎を思い出す。
ユートピア -理想郷-
死後の世界があるかなんて、実際に死んでみないと分からない。
死者が口を開き、そこがどんな場所だったかわたしに教えてさえくれればいいものだが。
それは叶わない。絶対に。
はるか太古から、あらゆる生命体は死んでいった。
数えきれない、星の数ほどの生命体が。
人間はどうやら他の動物よりも賢いそうで、死を恐怖する意識が備わっている。
そして、死という絶対に逃れられないイベントの恐怖から逃れるべく宗教を信じたりした。
また、死を最終手段として使って苦痛から逃れた者もたくさんいた。
もしもエデンや極楽があるとするなら。
そこにわたしの家族や知り合いがいるなら。
そこは人類の、あらゆる生命体にとってのユートピアに違いない。
わたしはそこへ行けるだろうか?
悪い子は地獄へ堕ちるのかな?
もしも死が無への入り口なら。
無こそが理想郷なのではないだろうか。
こうしている間にも、わたしは死へと確実に突き進んでいる。
100年後の世界に、わたしは居ない。
わたしが死んだら。
わたしの魂はどこへ行くのだろう?
ユートピアだといいな。
肉体を捨てて、自由になるなら、どこへ行こう?
逢いたい人がいる。
見たい場所がある。
戻りたい時間がある。
わたしが死ねば。
存在がこの世界から消えるだけ。
それは避けられないイベント。
夏は少しねぇ…
袖すりあうも他生の縁ってあるじゃん
半袖ですり合うって…
そうとう近いと思うんだ
引っ付きたがらない夏が来る。
五月晴れ とも言えない暑すぎる4月。
GW近いからって 出しゃばり過ぎな太陽。
気温優先 4月だって 半袖?
まだ4月 暦では春 肌を出すにはまだ早い?
めちゃくちゃ迷った 初デート服。
落ち着いたのは ニットの7分袖。
私たちの関係が 中途半端になっちゃったのは
中途半端な7分袖のせい?
まぁ 今だから なんとでも言えるけど。
#半袖
半袖だった。
真っ黒の無地の半袖。さりげないシルバーアクセサリーが左腕に嵌っていて、健康的な肌色と骨張った腕がペンを持っている。
風はなくて、君の奥二重は伏せられたまま静かに紙に向かってペンを走らせていた。
覚えているのはそれくらいで、名前も、何にも知らなかったけれど、少し肌寒い日に半袖だった君のことはよく覚えていた。
湿った空を君越しに見上げては、視線を戻す時には君の見かけによらず数のあいたピアスを盗み見るのだ。
君の声はどんな声をしているのかな。
どんな風に笑うのかな。
どんな音楽が好きなのかな。
どんな風に好きな人を呼ぶのかな。
「なに?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
「大丈夫? ここ、わからない?」
君がそう言って指を指したのは、問6の問題で。すでに解き終わった君は首を傾げて私をのぞいていた。
君は空いたルーズリーフを取り出してペンを走らせた。
『ここに、xを代入。その式とこの公式をBで合わせる。そうしたらこの図のここが出るから。そうしたらあとは、この定理を使ったら解ける』
すっと紙を差し出してきた君の半袖からのぞいた肌が少し鳥肌が立っていた。
「寒いの?」
君は奥二重の目を見開いた後、顔を背けてしまった。数学の解説を無碍にしてしまったからだろうか。君の肩を叩いて振り返った君に「どうしたの?」と聞く。
「寒いの? って手話が……かわいくて」
恥ずかしそうに君は顔を赤らめて、曖昧な手話で返してきた。きっと声で話していたら、消え入りそうな声ってやつなんだろうな。
一気に暑くなったのか、顔を手でぱたぱたと仰ぐ君にほんの少しの風が吹いた。
半袖の君に会いたい…
会いたい!会いたい!君に会いたい!
あの日…君を見つけて…
半袖でない長袖の君を…見つけたよ…
駆け寄り…話したね…
高鳴る鼓動…二人の鼓動…
君の薄い桃色のシャツ…すき…可愛いミーチャン
半袖
5月の、蒸し暑い日
自転車に乗って
暗い雲の下を横切る。
ポツポツと当たる
大きな雨粒が
ペダルを漕ぐ足を催促させる。
腕に張り付いたシャツが
湿った空気を直に伝える。
手前を横切った小学生たちが
高い声を出してはしゃいでいる。
傘を持たずに走っていく。
彼らを見て
夏服で来ればよかった
なんて思った。
今日のテーマ
《半袖》
「寒くないの?」
「平気だし」
半袖ブラウスの袖口からのぞく腕にはうっすら鳥肌が立っている。
強がってるのは見え見えなのに、絶対に「寒い」と言おうとしない意地っ張りに呆れてしまう。
6月になって夏服に衣替えした途端、この時期とは思えないくらい低い気温になってしまった。
他の生徒は長袖のワイシャツやブラウスを着たり、カーディガンやセーターを着たりで温度調節しているというのに、隣を歩く幼馴染みは拳を握り歯を食い縛って寒さを我慢しながら半袖のまま登校している。
理由はたぶんいつもの兄妹喧嘩だろう。兄に煽られて引くに引けなくなった様子が手に取るように思い浮かぶ。
鞄にこっそりカーディガンかセーターでも入れてきて、学校についてから着てしまえばバレないだろうに、素直で真面目な彼女はそんなこときっと思いもしないんだろうな。
いや、そんなズルをするのは負けたみたいで悔しいのかもしれない。彼女はとても負けず嫌いだから。
そして俺は、そんな彼女の意地っ張りなところを誰よりも分かっている理解者でもある。
彼女を呼び止めて道の端に寄り、すかさず鞄からカーディガンを出してそれを羽織らせた。
「何これ」
「見てる方が寒いから今日はそれ着てて」
「別に私は寒くなんか……」
「うん、でも見てるだけで寒そうでこっちが風邪引きそうだから。俺のために、着てて。ね?」
強がる言葉を遮り、あくまでお願いの姿勢で頼むと、昔から俺にはお姉ちゃんぶりたがる彼女は満更でもなさそうに、でもあくまで渋々というポーズで頷く。
はっきり言ってチョロい。だがこのチョロさがたまらなく可愛い。
「でも、なんでセーター着てるのにカーディガン持ってるの?」
「急に寒くなる日とかあるじゃん。だから教室のロッカーに予備で入れとこうと思って」
「そのわりに、サイズ合ってなくない?」
「あ、間違えて去年のやつ持ってきたかも」
「ああ、あんたこの1年で背が伸びたもんね」
わざと今のより1サイズ小さい去年のを持ってきたことは当然言わないでおく。
去年の秋くらいにも同じようなことがあったからと念のために持ってきてた俺グッジョブと思ってるのも勿論ナイショである。
今の自分サイズのを持ってきても良かったけど、だぶだぶの男物のカーディガンなんか着せたら他の男子共からヨコシマな目で見られそうだし。
「あったかい……」
若干大きめなカーディガンから指先だけ出して、寒さで青白くなってた頬を仄かに色づかせながら小さな声でぽつりと呟くその姿は眼福もので、俺はニヤけてしまいそうになる口元を必死で引き締めた。
こんな地道であからさまなアピールを重ねてる俺の気持ちに、1日も早く彼女が気づいてくれますように。
そんな俺の祈りが成就するかどうかは神様だけが知っている。