『冬は一緒に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#84 冬は一緒に
真っ赤なお鼻のとなかいさんと、
真っ赤なお耳の恋人さん
冬は一緒に
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.12.19 藍
[冬は一緒に]
冬は誰かと一緒に過ごすのも良いが、一人で過ごしたい。冬は泣いてしまうから…
寒くなると、心も寒くなる。色んなことを考えて悲しくなってしまうのだ。辛いことばかり考えてしまう。嫌なことばかりだ。
でも、そんな辛いこと悲しいことばかりでも、笑っているのがいいのだ。笑うだけでも気持ちが楽になれる。それで、満足しないのなら運動をすると良い。少しの時間で散歩などすると良い。運動をすることで、辛いこと悲しいことを忘れられるのだ。外に出ると自然がたくさんあって好きだ。小さな花、虫が見られる。
過去のことは忘れよう。前に向かって進むのだ。将来の夢に向かって頑張ろう。
No.8
冬は一緒に寒さを感じて
手を繋いで暖かさを感じて
みかんの剥き方について
寒い日のアイスはアリか
おでんの最強の具は何か
そんな話題で盛り上がられる人と
冬は一緒に過ごしたい
気がする
「冬は一緒にいましょう」
「急に何?」
妻が唐突によく分からないことを言い出す。
妻とは半年前に結婚したばかりだが、こんな脈絡も無いことを言うのは初めてだった。
「説明してくれるか」
「はい、結婚してからは私が責任を持って家計を預かってまいりました。
締めるべきは締め、緩めるべきは緩め、質の高い生活を維持できていると思います」
「ああ、お前が手綱を握ってくれるおかげで、かなり助かってるよ」
実際俺は金勘定が苦手なので、かなりありがたい。
「それで何かあったのか?」
「はい。これまでは順調に貯蓄もでき、旅行に行くこともできました。
ですが、ついにヤツがやってきました」
「ヤツ?」
「冬将軍です」
「冬将軍…」
思わず言葉を繰り返す。
「ヤツがやってきたことで、暖房代で光熱費が高くなる季節が来てしまいました。
油断すると一気に家計は火の車です」
「なるほど。言いたいことが分かった。節約だな」
「はい。ですが必要以上の節約は厳禁です。
この寒い中、お金をを惜しんで暖房を使わないというのは文字通り自殺行為。
そこで暖房は使うが、二人一緒にいる事で効率よく温まり光熱費を節約する、という方針で行きたいと思います」
「そこで冬は一緒に、という話になるのか」
妻はコクリと頷く。
「分かった。お前がそこまで言うならそうしよう。
他には何かあるか?」
「特に理由がない限り他の部屋に行かず、極力リビングにいること。
こうすることで温める部屋が一つになり、節約になります」
「なるほど。だが寝るときは寝室に行かないのか?」
「リビングに布団を敷いて寝ましょう。寝室を使うと余分に暖房代がかかります」
「それもそうだな」
「ありがとうございます」
俺が納得したことに、妻は満足した様子だ。
「言い忘れていましたが布団は一つです」
「えっ、リビングには2人分敷く広さはあるぞ」
「布団を一緒にする事で、効率よく暖が取れて、しかも幸せになれます。
節約と私の幸せのため、ご協力お願いします。
冬の間はずっと一緒ですからね」
『今年の冬は帰れそうだよ』
今朝起きたら届いてたメール。夢じゃないかって、本当にあなたからのメッセージなのかって、何度も何度も見返した。多分、20回くらいは朝の1時間で見返したと思う。それくらい嬉しくて、浮かれ気分になりながら朝の支度をしてたら危うく遅刻するとこだった。
もちろん、私はすぐに返信した。いつ帰ってくる?どれくらいこっちいるの?今月は無理なのかな?全て質問で送った私のメッセージに返事が来たのは夕方になる頃。仕事が忙しいのが分かってるから文句なんて言わないけど、早く返事来ないかなあとはずっと思ってた。返ってきたメッセージは、
『どこに行きたいとか、考えておいて』
という一文のみ。
どこに、行こうか。
あなたと遊びに行きたい場所はいっぱいある。冬の時期だけしか見れない場所や、普通に1日中遊んでいられる場所にも行きたい。沢山ありすぎて絞れないや。それくらい、あなたの帰りが待ち遠しい。でも、とりあえずはいつものカフェテリアに行きたいよ。そこであなたはいつもコーヒーを頼む。ブラックかと思いきやお砂糖2つも入れちゃう甘党なの、私だけが知っている秘密。
そんなこと考えてたら、今以上に会いたくなった。早く帰ってこないかなあ、と冬の空に独り言を呟きながら私は家路に向かってます。今年の冬は一緒にいろんなところに行こうね。
ことさらこの冬がそうであるようにと祈り続けている。普段祈りなどしないので祈りの作法に準じているかは知らない。
名も知らぬ神よ、私の声は、あるいは視線はそこまで届きますか。この2人が分かたれることがありませんように。ただそれだけです。この2人が互いを抱きしめ合う日が多くありますように。ただの2人でいても孤独であると知っている2人です。ただの2人でいても互いを分かち合えないと知っている2人です。だから隣り合うと決めた2人です。愛など知らないと嘯きながら、いまこの世で一番慈しみに溢れた2人です。
冬は一緒に
冬は一緒にコタツに入ろう
家族一緒にペットも一緒に
ほら、あなたも一緒にね
ミカンとあったかい緑茶を用意して
おしゃべりしましょ
心も身体もほっこりと
冬のちょっとした贅沢
分かっちゃいるけど
もう皆コタツから抜け出せない
それも御愛嬌
皆の楽しそうな声が聞こえてくる
空気の澄むと人の言う。冷えた空気は最初、心地いい。そこが瀬戸際、じわじわとなにもかもを凍り付かせんとして、少しずつ判断が鈍っていくのが、神経系が機能を停止していくのが、それと判る遅さで分かる。
水は凍りつく。その中に誰かを入れるのを拒絶するかのように。確かに水の冷たさは致命的で、ぼくらがいなくなるまで時間はかからない。氷は慈悲なのかもしれないと思うことすらあるほどに。
それでも、一緒に?
『冬は一緒に』
君と肩を寄せて笑い合ったのは、遠い冬の記憶。
「寒い」と独り言ちる声の残響。
白い息が弾む。
溜め息が部屋に溶ける。
触れた指を絡めた。
伸ばした手は行く当てもなく。
君がいれば春模様。
一人の冬は痛い。
彼女は、中国の貧しい農村に生まれた。多くの子供達が中学や高校を中退する中、勉強が好きだったことが幸いし、上海の大学に進み、その後、北京の大学院に進んだ。学生時代から付き合っていた青年と結婚するも、直後に彼の浮気が発覚。彼女は許すつもりだったが、彼の心はもう別の女性に向かっており、彼女は傷心のうちにやむなく離婚。そんな辛い時にたまたま北京に赴任した私に一目惚れし、精一杯のアプローチ。赴任直後に25歳も歳の離れた女性からのアプローチに、ハニートラップ?やけになってお金目当てに走った?はたまた頭がおかしくなった?などと心配したが、それは全くの杞憂であった。深く強い愛情を常に捧げてくれ、もう8年近くの長い付き合いとなった。この冬も彼女と一緒に新年を迎える。
冬は一緒に
冬の匂いがする。真っ白でどこか懐かしい空気の匂い。冷たい風が鼻をつんと刺して痛い。寒さで赤らんだ頬に風がぶつかる。手先も足先も頭のてっぺんでさえ寒いのに隣の体温だけが温かくっていじらしい。
「今年の冬は例年以上の寒さなんだって」
「どおりでこんなに寒いんだ」
有り触れたなんて事ない会話も貴方だから特別で愛おしい。くつくつと笑う楽しそうな横顔が、陽気なイルミネーションの光も無機質な夜景の光も淑やかな月光も敵わないほど美しくて眩しい。貴方がいるだけで僕のモノクロの世界は虹色に輝いて、ちっぽけな事さえもかけがえのないものに変えてしまうんだ。卑屈で弱気な僕だけど、いつまでも僕の心のど真ん中にいて欲しいという我儘を貴方なら許してくれるだろうと本気で思っているんだよ。冬は寒いからね、って理由を付けて手を繋ぎたい。身を寄せあって上手く歩けなくなるくらい近づいて笑い合いたい。春も夏も秋も、無理に理由を引っつけてどうにか隣にいたい。いや、理由なんかなくたってそう願うよ。貴方の存在丸ごと理由になるから。
「手、繋いでもいい?」
僕らは恥ずかしがり屋だから人前であんまり手は繋がない。けど、今日ばかりは貴方を想う熱に浮かされてしまいたかった。貴方がいいよ、ってとろとろの優しい瞳で言うから僕は溶けちゃいそう心地だった。白魚の様な繊細な手を取って、指を絡める。頬を桜色に染めて、嬉しそうに笑う貴方の姿に僕は心臓は大きく跳ねて、つま先からじんわりと貴方色に染っていく。
冬は一緒に#24
夜9時、私が学校から帰って来て一息ついた頃。
スマホが通知音を鳴らした。
「綾瀬さんクリスマスイブって何か予定ありますか」
という内容だった。
普段の私ならすぐに既読をつけるけれど今回のは少し既読をつけるのをためらうものだった。
なんで躊躇っているのかわからないけれどスッと返せることではなかった。
クリスマスなんて家族団欒の日だと思っていたからびっくりしてるのかも。
まぁ予定はあるようでないから相手を知るためにも行ってもいいかも。
私は翌朝、「クリスマスイブ空いてるよ」と返信した。
(緊張して当日返せなかった)
冬は一緒に
朝日がのぼって
星月が浮かぶ空
毎日移ろいでいる季節
同じだと思っていた毎日も
よく見れば、いつも違う毎日
重ねてきた思い出は
いつしか過去に変わる
そんな当たり前のことを教えてくれた君は
ふと、どこかに行ってしまう。
それがどこかは分からない。
ただ、君は帰ってくるから。
春の、桜が満開に咲く公園も
夏の、きらきら輝く海も
秋の、落ち葉の絨毯の上で見る紅葉も
そんな、大事な思い出に
君はいなかった。
君のいない過去なんて要らないのに
冬は一緒にいれたらな。
秋、流れ星に願う。
お題 冬は一緒に
今日はとっても寒いね。こんな日はお鍋に限るね。
身体の芯まであったまるお鍋。
なに鍋が一番好きかな?昔なら昆布で出汁を取った鍋を思うよね。
今では、豆乳鍋、カレー鍋、トマト鍋などたくさん種類があるね。
最近はお一人様で食べてる方もいるけれど、やはり何人かでつつくのが楽しいね。
寒いのは苦手だけど、身も心も温まる鍋を誰かと食べたいな。
冬は一緒に……
「今年の冬は一緒にホタテを食べたいな。君と」
そう言いながら男は私の前で跪くと、目の前で小さな箱をパカっと、まるでホタテの貝殻みたいに開いてみせる。
「えっ」
箱の中には大きな真珠のついた指輪が一つ。
おいおい…まさかとは思うが、これは_______
「僕と、結婚してください」
夕暮れの公園で、日課のランニングをしていた私は、突如人生最悪のハプニングに出会してしまう。
なんということだ。まさか人生初のプロポーズをこんな悲惨な形で迎えてしまうことになるなんて…。
今、目の前でしたり顔で跪いているこの男は恐らく、先日隣町のスーパーで、私が半額のホタテを譲った男だ。
男はあの時と同じ色褪せた汚いジーパンと、同じく色褪せて汚いパーカーを着ていた。
「この真珠は、あの時君に譲って貰ったホタテの中に入っていたんだ」
そんな訳あるか。
仮に真実だとしても、そんな物を婚姻指輪に使うな。
たかだか半額のホタテ如きで、ここまでの事をしてくる男の行動力と哀れさには恐れ入ったが、そのエネルギーをほんの少しでいいから、こんなクソみたいなプロポーズをされる私の気持ちに当てて貰いたかった。
それに今ここで断っても、何となくだが、今後もこの男はめげずに何度もプロポーズを仕掛けてくるような気がしてならない。
ならば、私もここで一発何か仕掛けなければ、後に取り返しのつかない事態を招く可能性がある。
そして私は、なるだけ最大限の笑顔を作り、男へ視線を向けた。
「ありがとうございます。気持ちは嬉しいんですけど…実はあの時、貴方にホタテを譲ったのは、別のものが食べたくなったからなんです。それは…」
「ヒキ肉でーーす!」
男はぽかんと口を開き、しばらくすると何処かへ去っていった。
冬は一緒に
冬はずっと嫌いだった
寒くて…寂しくて…凍えてしまいそうで…
でも、君と出会ったことで少しだけ冬が好きになれたような気がする
冬は一緒に
冬は一緒に暖かい部屋で温かい食べ物を家族で食べるのがいい。
好きな鍋料理を作って食べるのもいいし、他のレシピもいいよね。
あとは、一緒にみかんを食べるのもまた醍醐味があっていいよね。
冬は家族で一緒に仲良く団欒(だんらん)するのが鉄板になっているのだ。
真冬の夜、君をバイクの後ろに乗せて、遠くのお家まで送ったことあったよね。
背中にくっついてたから、少しは寒さ凌げたのかな。怖くなかった?
君は免許取り立ての僕に、父親のデッカいクルマで、危ない道を何度も練習させてくれたね。怖くなかった?
『かっちゃんといっしょならなんでも我慢できる、、、』
君は、ママチャリの後ろに乗って、僕のポッケに手を入れそう言ってくれたね。
オレは何故こんな子を泣かせたのだろう。
40年の時が流れても今尚、後悔の念が消えない。
ひとみ、ごめん。
どうか幸せになっていて下さい。