『優越感、劣等感』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
むかしむかし、ゾワメムという尊大な魔女がいました。
ゾワメムは本当はとても劣等感が強く嫉妬深い心を持っていました。
ある日のこと、ゾワメムは、山向こうの白い魔法使いが育てている花の方が、ゾワメムの毒草花よりも美しい色をしているのを見つけました。
ゾワメムは悔しくて、白い魔法使いの美しい花に向かって
「ふん、こんなちっぽけで不細工な花なんか役立たずじゃ」
と悪態をつくのでした。
すると、ゾワメムの目には、自分の毒草花の方が立派に映ったので満足しました。
ゾワメムはいつもこんな調子で、比べては他者をけなすことで自分を上げ優越感にひたっていましたとさ。
「優越感、劣等感」
【優越感、劣等感】
優越感についてはなーんにも思いつかなかった
劣等感は、うーん…学歴とかお金持ちとかの世間的にはわかりやすいものだとあまりピンとこないけど、コミュ力のある人と英語が話せる人はものすごーく羨ましい
劣等感はちょっと言葉が強すぎるか?
羨ましい≠劣等感よね、むずかしー
私が生まれ落ちた時そこには有ったのだろうか
それは雫のようにひとつふたつと溜まった水
気付いたときにはいつも水たまりが有った
繰り返し繰り返し感じていた重さ
誰かがそれを言ったからとか何かを出来なかったからとかそういうたやすい理由じゃない
言葉に出来ないものだから
この一つの単語に頼る
劣等感それはヒトが人として生きていくうえで
当たり前にあるものとして存在しています
なんのためにそれがあるのか
そしてそれは必要なものなのか
私が生まれ落ちた時そこには有ったのだろうか
それは人として生きるためにすでにそこには有ったのだろうか
俺はクラスメイトの深瀬琉生が、この世で1番大嫌いだ。
理由は単純。深瀬は何もかもが俺と正反対で、意見が一致しない度にあっちが突っかかってくるから。
今まで何度衝突を繰り返したか分からない。ある時はテストの点数で賭けをして自分が負けた悔しさに。またある時はクラスみんなで遊ぶ時の場所決めに。しょーもない喧嘩を繰り返しては、クラスのやつらに「琉生と勇またやってるよ」というような目で見られていた。
喧嘩といっても殴り合ったことは1度もない。理由が理由なだけ、殴り合う必要はないし、人を傷つけるなんて度胸もお互い持っていなかった。
ただお互いに「ちょうどいい」距離を保ちながら、「ちょうどいい」具合に学校生活を送っていた。
「なぁ、三島。俺、告白失敗した」
そんな言葉を深瀬から聞いたとき、俺はどきりとした。
深瀬がクラスメイトの相澤咲希を好きなことは、ずっと前から知っていた。
深瀬は柄にもなく俺に恋愛相談をしてきて、人に散々話を聞かせた挙げ句、結局は自己解決して戻っていく。そんなことを3ヶ月前から続け、今日とうとう告白したらしい。
「何がだめだったんだろう……」
珍しく弱音を吐く深瀬。涙目になって、それを隠すように机に突っ伏している。
「別にお前がだめな訳じゃないと思うけど。ただ合わなかっただけなんだろ、色々と」
俺がそう言うと、深瀬はばっと顔を上げて俺を睨みつける。
「合わなかったってなんだよ。お前、けっこう応援してくれたじゃんか。なのに、なんでそんなあっさりしてんだよ」
がたりと音を立てて椅子から立ち上がり、深瀬は俺の制服の襟元を掴んだ。身長の低い深瀬に引き寄せられて、俺は前につんのめる。
「お前、やっぱ俺のこと見下してるよな。今もざまーみろとか思ってんだろ」
吠えるように言う深瀬の手を、俺はやんわりと包みこんだ。
「……当たり前だろ」
「――っ!」
予想した通りの言葉を返しただけだが、深瀬はショックを受けたように息を呑む。
「人にいちいち突っかかってくるわ、恋愛相談とか言っておいて1人で突っ走って失敗するわ……。俺はそーゆーお前が大嫌いだからな」
絶句。そうゆう表現がピッタリだと思った。
「お前の話聞いてるときも、適当に相槌打って、早く終わればいいと思ってたよ」
眉を八の字にして、唇をわなわなと震わせて、深瀬は俺の襟を掴んでいた手を静かに下ろした。
「な、なんで……。だってそんな素振り、全然……」
おろおろと後ずさる深瀬を追い込むように、俺は1歩を踏み出す。
今にも溢れてしまいそうな涙を見て、俺は心の底から何かが満たされていく感覚がした。
優越感というものだろうか。どくどくと自分の心臓を満たしていくぞわりとしたものが、どうしようもなく気持ち良い。
俺はふと思い至る。もっと、もっとこの感情を味わうには、どうすればいいのか。
「なぁ三島、なんか言ったら――」
深瀬の唇は柔らかかった。ふにゃりとした感触が俺の唇を通して伝わってくる。
「なっ、何して……」
口を抑えた深瀬が俺を押す。耳も頬も、夕日で照らされたように赤く染まっている。
「俺にしとけばいいんだ」
「は?」
「お前が俺以外のやつのこと考えてたり、俺以外のやつに振り回されるなんて反吐が出る。俺はクラスメイトとしてのお前が大嫌いだ。深瀬琉生は俺のものだ」
俺が常日頃から感じていた違和感。なんでこんなにも深瀬琉生という男が憎いのか――それは、深瀬琉生が俺のものではないからだった。
深瀬は俺のことだけ考えていればいい。他に深瀬を振り回すものなんて必要ないのだ。
先程感じた優越感は「深瀬が俺のことを考えて、泣きたくなるほど頭が混乱している」ということに対するものなのかと、俺は改めて気づいた。
「深瀬の方こそどうなんだ。俺が嫌いか?」
深瀬の目を真っ直ぐと見つめる。視線がそらされ、深瀬の首は横に振られる。小さく、控えめなその動作に、俺の心臓は再びぞくりと震えた。
「三島のことは別に、嫌いじゃない……」
呟くような、自分に言い聞かせるような、そんな声だった。
俺はふっと頬を緩めた。深瀬が可愛い。どうしようもなく愛おしく思える。
もっと俺で満たしたい。深瀬が俺以外のことを考える余裕を無くしてやりたい。
止めどない欲求が、次々と己の奥底から湧いて出るのに、自分でも驚いた。
これが恋愛感情なのかは分からない。
重すぎる愛が、1周回って劣等感にすらなっているのかもしれない。
けれども、分かることが1つある。
俺はこの深くドロドロとした沼から抜け出せそうにないことだ。
No.1【優越感・劣等感】
スマホを親に没収された。
理由はテストの点数が低かったから、
だから、今は
優越感なんかに浸ってる暇はない。
仲の良い友だちはクラスで1位。
絶対に超えてやる!
お題「優越感、劣等感」
自分は、自分と同じ特技を持った誰よりも優れているのではないかと思う時がある。
ただ、それ以外の自分に価値などあるのかと
いつも、ふとした瞬間に考えてしまう。
その不安が、苦しみが、怖くて、辛くて、
何も出来やしないのに、劣っているのに、
必死に心の中の自分が、「痛いよ、寂しいよ」と叫んでいる。
自分の力を信じている者ほど、この寂しさに気づくのではないのだろうか。
「それ」以外で、自分に価値を見いだせるのかと。
「それ」ではなくて、「自分」を見て欲しいと。
辛く、寂しいものはどうしても消せない。
どんなに優れていようとも、優れていなくとも。
心の中の孤独だけは、1人前に叫んでいる。
だから、強くならなくては
心を、鍛えなくては
自分に自信を持つこと。
自分の才能ではなく、自分自身に。
努力を身につけた者も、才能を開花させたものも、
次も、その次も努力をしなければならない。
誰にも認められて、自分を認められるようになるまで。
自分の孤独は、きっと自分でしか埋められないと私は思う。
誰に認められようと、自分の鍵を持つのは自分だけなのだから。
合鍵を作って、渡すのも良し。
一緒に開けてみるも良し。
きっと、何もかも認められて抱きしめられたなら
その時は、優越感も劣等感も自分の心の中でひとつにして、幸せにしてみせよう。
(追記) 毎回、ぐちゃぐちゃの文章ですみません
優越感…
人は それぞれ個性があって
同じ人は存在しない
確かに 他人を 羨ましいと
思う事はあるかも知れないけど
比べる必要は ないよ
個性があるから 面白いのよ
他人に無いものを 自分が 持ってる筈だからね
その逆で自分に無いものを 他人が持っては 居るけどね…
自分は自分
他人は他人なのよ
私は貴方になれないし 貴方は 私になれない…
だから寄り添って生きて行くのよ
「優越感、劣等感」
人は些細な事で優越感を感じたり、劣等感に苛まれたりするよね。
私も頻繁に上がったり下がったり。周りは関係ないのに自分の内面世界ではジェットコースターの様。
聞きなさい 貴方の疑問 答えるわ
な〜にそれ そんなことも 知らないの
観察し わかって無いなと 一人ごち
怒られた 昨日も言われた 事なのに
イケメンで 外車に乗って ドラマかよ
還暦だ 内面ハタチ 笑われる
No.58『優越感、劣等感』
自分と他人を比べて優越感に浸る。
同時にそんな自分に劣等感を感じる。
こんな人間をあなたは受け入れてくれますか…?
『優越感、劣等感』
優越感に浸ったのは一瞬で
ほとんどが
劣等感との戦いだ
優越感を得るために
勝てる相手
得意な分野にしか手を出さない
自分の劣等感と向き合うことは
恐怖でも恥でも暗いでもなく
強い者にしかできない
幸福感を得られる道である
【優越感、劣等感】
あの子は知らないのでしょうね。
どれほど私があの子のこと
羨ましいと思っているか。
あの子は知らないのでしょうね。
私が輝いて見えるのは
私がそうしていないと
怖くて立っていられないから。
あの子は知らないのでしょうね。
あの子の持ってる全てのもの
私は羨ましくて仕方がない。
転んでも立ち上がる姿
貧しくても暖かい笑顔
私の周りとは違う
信頼で繋がった友人達
だから、お願い。
胸を張って頂戴。
どうか私を真正面から見つめてよ。
そうしてくれたら私も
少しは今の私に胸を張れる気がするの。
私は周りの人間よりも少しばかり出来のいい人間だった。
顔も決して悪くはないだろう、むしろ良い方だ。それに身長も高い方であると自負している。
何をしても平均以上を取るのは当たり前だった。むしろ満点が日常だった。
怒られたことなんてなかった。ただあるのは称賛のみだった。
話を変えよう。勝負といえば、スポーツの世界もそうだが学力でも勝ち負けが生まれる。
私は学力での勝負が一番好ましいと感じる。
なぜって?考えてみてくれ、チームプレイなんてもの、私以外のろくに動けもしなかった無能までもが勝利の快感を得る不必要なものだからだ。
学力での勝負のとき、私は周りの反応を見るのが好きで好きで仕方がなかった。
あの自分だけが優秀だという高揚感。
そして周りの私を称賛しつつも瞳の奥に眠る妬み!あぁ、思い出しただけで顔がニヤけてしまう。そして私は小中高と、何事もなく進学していった。高い進学実績のある学校、素晴らしい教師、切磋琢磨し合うライバル達。私は恵まれている。私は優れている。
私は周りにいる奴らよりも素晴らしい!
私は今日も、優越感に浸っている。
俺は周りから見ればただただ普通で平凡で、いてもいなくても変わらない。映画では通行人Cなどになる、そんな人間だ。
優秀な人間、周りに意識される人間、なんてものは俺とは同じクラスという共通点しかない、あいつのことを言うのだろう。
あいつはきっと覚えていないけど、俺は昔からずっと同じクラスだったし、いつも席は近かった。だからふと分かってしまうんだ。あいつが俺のことなんてなんとも思ってない。それどころか記憶の隅にすら入れてもらえないってことに。それに気づいた俺は無性に苛立って、あいつの背中を追いかけ必死に勉強にも食らいついて、スポーツは休みの日を削ってでも練習して、もう最後らへんは意地だった。だけどそんな俺の必死の努力もあいつは軽々と超えていくし、俺にはまるで初めて会ったような、あの愛想のいい何も感じていない笑顔を向ける。それがひどく妬ましい。だけれど俺がいくら妬ましく思ったってあいつは何も気にしない、それどころか気づいていてもあのなんとも思ってない笑顔で笑う。なにそれ?俺がすごく惨め。勝手に意識して、勝手に妬んで、勝手に落ちこんで。
あぁ俺は今日も、劣等感に渦巻かれている。
優越感に浸っていたはずなのにあるときから劣等感に変わっていた。僕がすべてだめにした。「生きるが下手だからこうなるんだよ」と吐き捨てて出て行ったあの子の声も顔も今じゃよく思い出すことができない。やけに消毒液剤の匂いが漂う部屋で、窓の向こうに広がる鈍色の空をぼんやり眺めている。あの人の葬式を思い出す。火葬のとき、煙突から吐き出された煙の色によく似ているから鈍色を眺めていると落ち着くんだ。冬の寒い曇りの日が延々に続けばいいのにと思いながら蒸し暑い季節を淡々と意味もなく生きている。
優越感や劣等感、それに縛られると生きづらくなる。
誰よりは優れてるけど、誰よりは劣ってるというものを考え始めれば、勝手に他人と比較して、勝手に自分で苦しむことになる。
人それぞれ別の人生を生きている。本来そこに優劣はないはずだ。人それぞれ選んだ自分の人生だから。
しかし何故か、勝手に他人と比べ、自分よりも下を見て優越感に浸る人は少なくない。優越感を感じている時は心は安定するが、劣等感を感じる時は心は不安定になる。
そして、優越感を感じる場所に安心を覚える。
これが非常に良くない。自ら成長する気持ちもなくなり、優越感を感じる場所にとどまってしまう。劣等感を感じることを恐れ、新たなことを始めることができなくなる。
そういう人には心にとどめておいてほしいのだが、人と比べるところに本当の幸せはない。他人軸で生きるというのは、本当の自分の望みを一切無視しているものだからだ。
自分を満たしてこそ幸せはあるのだから、自分と向き合うことこそ必要なのだ。
あの人が私にだけ見せてくれる顔を貴女は知らないのよね
優越感さんと劣等感さんとはもう長い付き合いになりますねェ。
彼等は毎日毎日四六時中入れ替わり立ち替わり賑やかにやって来てくれるんで退屈しないんですよねェ〜。
モノの見方が180度変わっちゃいましたねェ〜。
彼等から離れて静かな日々を過ごしたいと思うことも有りますが私の脳が気に入っちゃったみたいで離れてくれないんですよォ。
へ?ソーウツビョウ?なんですかソレ???
《優越感、劣等感》
他者をいたぶり、貶める。そんな残酷な行為は後を絶たない。
人間はおろか、賢いとされる霊長類や穏やかそうなイルカですら集団で残虐な行為にすら及ぶ。
他者より優位に立つ事で、幸福感や優越感が刺激されるのだろう。
そして、その刺激による快感を覚えた者は、また更なる刺激を求めて他者をいたぶる。
加害者達の優越感と引き換えに、被害者には劣等感が降り積もる。
それはあたかも豪雪地帯の雪のごとく、積もっては冷えて固まり、また降り重ねられる。
かつての彼の心は、まさに被害者のそれだった。
旅の最中に大事な物が紛失し、それが盗難ではないかとされた時。
彼は、誰かを疑う事はしなかった。
ただ、自分は盗みに手を染めてはいないと。
「やはり僕のことを信じられませんか?」
彼はあの時、相棒の中の私にそう問いかけた。
「信じてますか?」ではなく。
自分で自分が信じられなかったんだろうな。直前に祖国の者から掛けられた術に操られ、もう一つの大事な物を奪わせられたから。
そして、彼は幼い頃から家族に虐げられてきたせいか、自分は何はなくとも疑われる立場にいると無意識に思い込んでいる。
その無意識は、長い間彼の中で幾度も降り積もり冷え固まってしまった雪のようで。
冷え切った心は、思考の芯も冷え固まらせる。
それでも彼の元来の心の暖かさと芯の強さのおかげで、優しくも力強く前を向き歩いている。
彼のそんなところを尊敬してるけど、時々ふと見せる苦しそうな様子に歯がゆくなる。
相棒の心の中にいた私は、姿が見えない事からかなりの人達に存在を疑われてきた。
でも、あの時彼…あなたは私の名前を呼んでくれた。淀みなく、まっすぐに。
私を信じてくれたあなたを、私は信じた。だから一も二もなく答えた。
「信じています。」
あなたの事を、心から。
あの時迷いなく答えた想いは、あなたの傍にいる今はなお強くなった。
例えあなたが自身を信じられなくても、私は未来永劫あなたを信じ続ける。
何があっても、かつての相棒すら敵に回しても、私はあなたの味方であり続ける。
他者の歪んだ優越感と引き換えに降り積もったあなたの劣等感は、必ず私が取り去ってみせる。
行き過ぎた優越感は驕りにもなる。
だけど、堅実なあなたは絶対にそんな事にはならない。
自らの苦い経験を糧に、どこまでも優しく誰かを守れる人だから。
だから、冷え固まった雪が少しでも溶けて流れていきますように。
優越感、劣等感
優越感
「お前は良いよなぁ。勉強もスポーツも出来て。背は高いし、顔も良いとか」
人生勝ち組じゃん?
なんて、お前が俺に羨望の眼差しを向けてくるのが。
俺は嬉しくて堪らない。
お前に褒めらると、顔がニヤけそうになる。
正直に話すと、彼以外にも俺を羨ましがるヤツは大勢いて。
みんな、俺を羨ましいと言ってくるんだけど。
そんな時は何とも思わないどころか。
ちょっと煩わしささえ感じる。
でも、お前の言葉だけは他と違って、嬉しくなる。
これは、親友のお前に、俺が優越感を感じてるからだと思ったりもしてたんだけど。
どうやら、違うらしい。
「俺、好きな子いるんだけど。その子さ、お前のことが好きらしいんだよなぁ」
この前、話してたら、お前の連絡先知りたいっぽかったし。
と、肩を落とす彼に。
俺は何だかイライラしたんだ。
お前に好きな子がいることも。
その子が俺を好きらしいのも。
だって、お前が俺を羨ましがるのは。
その子に好かれたいからなんでしょ。
……そんなの、何かムカつく。
と、この時、俺は気がついてしまった。
俺がお前に褒められて嬉しいのは、優越感からじゃなくて。
俺が、お前のことを好きだからだ。
好きな子に褒められて、嬉しくない男なんていない。
……でも、そんなの意味ねぇーじゃん。
好きな子に振り向いてもらえないなら、全然、人生勝ち組じゃねぇーし。
そう思うと、隣で肩を落とす彼がやっぱり腹立たしくて。
「バーカ。俺の連絡先、勝手に教えたりすんなよ?」
と、彼の頭を、手でクシャクシャにしてやれば。
「ちょっ、何すんだよっ?今日、髪のセット良い感じにキマったと思ってたのによぉ」
「そんなの知らねぇーし」
お前が、俺の気持ちを知らないのが悪いんだから。
劣等感
俺と並んで歩く彼は。
誰が見ても振り返るような、長身イケメン。
対して、俺はというと。
チビで、顔は別に普通。
そんな俺達が並んで歩いていれば。
俺はお前の引き立て役か、って。
当然、劣等感が湧いてくるんだけど。
でも、それでも、俺が彼の隣にいるのは。
気が合うし、一緒にいて楽しいからだ。
勉強もスポーツも何でも出来る彼は。
意外と子供っぽくて。
俺もスポーツは得意だから、勝負をすれば勝てる時も、たまにあるって。
一度や二度の負けぐらい、諦めたら良いのに。
俺に負けた時は決まって、直ぐに再戦を申し込んでくるところなんかは、負けず嫌いで。
完璧な彼の可愛らしいところだし。
俺も負けず嫌いだから、おんなじだな、って嬉しくなる。
そんな感じで、彼といるのは劣等感を感じることも多いけど。
楽しくて、嬉しいこともいっぱいあるから。
俺は彼と過ごす時間が好きだ。
まぁ、目の前で女の子に呼び出されて、告白されに行く彼を見送るのは。
正直、複雑な気分になるんだけど。
それは、彼ばっかモテて、羨ましいからだと思ってた。
でも、どうやら違うっぽい。
だって。
前から好きだと思っていた、女の子に。
彼の連絡先を知りたい、みたいな話をされて。
俺はもちろん、ショックだった。
でも、それは。
俺の気持ちが、その子に届かないとわかったからじゃない。
彼を、その子に渡したくないと思ってしまったから。
その気持ちに気がついて、俺はショックを受けたのだ。
……俺って、アイツのことが好きなんかな。
けど、そんな気持ちは受け取ってもらえないに決まってる。
アイツは人生勝ち組なんだから、相手は選びたい放題なんだし。
俺はチビで、勉強はさっぱりで……何より可愛い女の子じゃないから。
俺ががっくりと肩を落とす。
そうしたら、隣の彼がバーカ、なんて。
頭をクシャクシャにしてくる。
頭に触られた瞬間、彼の手の大きさと温もりに、ドキドキして。
……こんな惨めな気持ち、早く忘れなきゃ。
慌てて、彼によって乱れた髪を直すと同時に。
煩く騒ぐ心臓を落ち着かせるのに、必死になるのだった。
End
ある価値観というか尺度(物差し)で評価すると優劣が出るものだし、その価値観に依存した集団ではやむを得ないことなんだけど、だからもちろんその価値観や他者の評価は一面的なもの。
そこで優れているヒトがきちんと幸福なのかというとそれは全く別で、優れているけれど幸福ではないとか、優れているためにさらに熾烈な競争が続く負荷なんかもあるんだろう。
それに価値観よる評価は相対的なものなので、ある基準を満たしてもさらに上はあるもので、やっぱり現状には満足できない。これは、何かの価値観を条件に幸福を見てるときには実は同じで、達成感は得られてもそれは幸福とは違っているかもしれない。
優越感、劣等感…
今の職場に就いて一週間、強烈な上司の下に居た。
美しく強気なナイスミドルの彼女は
事あるごとにMさん(30年ベテラン)と私を比べた。
私はどんどん疲弊していった。
一週間がたち、上司は私に言った。
「使えない。上履きとタイムカード持って帰りな」
私は何も考えられず、上履きとタイムカードを持って事務所に行った。
知らないうちに泣いていた。
劣等感というより、敗北感だった。
事あるごとに比べられたMさんは、
のらりくらりとほとんど仕事をしない人だった。
私は自分なりに一生懸命尽くした。
けれど及ばなかったのだ。
事務所で泣く私に、部長が違う部署を用意すると言ってくれた。
泣きながら私は、自分に足りないものを考えていた。
それから半年、資格をとるために
働きながらスクールに通った。
あれから六年。
今も同じ職場に居る。
ただ、あの女上司とは、一度も顔を合わせていない。