優越感に浸っていたはずなのにあるときから劣等感に変わっていた。僕がすべてだめにした。「生きるが下手だからこうなるんだよ」と吐き捨てて出て行ったあの子の声も顔も今じゃよく思い出すことができない。やけに消毒液剤の匂いが漂う部屋で、窓の向こうに広がる鈍色の空をぼんやり眺めている。あの人の葬式を思い出す。火葬のとき、煙突から吐き出された煙の色によく似ているから鈍色を眺めていると落ち着くんだ。冬の寒い曇りの日が延々に続けばいいのにと思いながら蒸し暑い季節を淡々と意味もなく生きている。
7/14/2024, 12:33:06 AM