『何気ないふり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
―何気ないふり―
どんなにことが大きくても
どんなに自分が追い詰められてても
何気ないふりをするのが
いつの間にか癖づいてしまった
きっと小さい頃から
人に迷惑をかけないことを
生かしてもらうことの薄利
として生きてきたから
だから彼に出会ってからも
当然のように何気ないふりをして接した
すると彼は私の“ふり”を見抜いてみせた
そして不安げな面持ちで訊いてくる
「どうしたの」と
私は変わらず何気ないふりを続けた
彼も彼で引き下がらない
はっきり言ってしつこかった
でも、そのしつこさが私の真意には
合っていたようで
私は押され負けて
堅かった口もすんなりと開いた
彼は大丈夫だと思った
彼なら私を守ってくれると思った
彼だけは私を理解して
私のために親身になってくれると
そう思った
仮面夫婦ってあるらしいね。
夫婦のフリをしてやり過ごす?
俺はこの歳になるまで、いつも素のままで生きて来たつもりだ。
いや、今となっては、生きて来させていただいたと言うべきなのかもしれない。
正しいことでも言い方によって、相手を傷つけることもある。
それは、他人でも身内でも同じなのだが、往々ににして、身内にはキツく言ってしまうよね。そこは反省する部分がある。
でも、もっと深い溝ができること、
それは、大切な瞬間、大変な瞬間に、その人が居ないこと、その人の言葉がないこと、、、、
そこに居ない君、何も言わない君、
夫婦ってなんだろうって悲しくなる。そして、もう、期待しなくなる、そして、
一緒にいるのが苦痛に、、、、
俺がこんな気持ちになるなんて、この歳でなあ。。。
子供たち、孫たちよ、すまない。
だから俺はまだ彼女と生活するよ。
今はまだ全く考えられない、自身の心の癒を期待して。
多分、どちらが悪いというわけじゃない。
どちらが折れればというわけでもない。
心が叫んでる、今更そんなこと思いついてもよー。
己を納得させる何かを見つけなければ、
周りを含めた全てが、、、、
君はいつも
さりげなく手伝ってくれる
なにげないふりをして
みんなのことをよく見てる
君はきっととても優しい人間なんだろう
だけど僕は言いたい
僕は確かに率先して助けたりはできないし
困ってる人のために泣ける人でもない
でも僕もなにげないふりをして
みんなのことをよく見てる
だから君が僕のこの想いに気づいていないのも
僕は知ってるし
君があの人をいつも見てるのも
僕は知ってるんだよ
《なにげないふり》
#9
自分の存在証明は容易い問題だろうか。
我思う、故に我ありとは有名な哲学者の言葉である。
自分の思考は確かに存在している。つまり、それに伴い自らの存在も立証されるという論であると一般的には捉えられている。
加えて、有名な哲学の一つに、世界五分前仮説という物がある。全ての存在、ついては記憶までもがたった五分前に創られたと唱える説である。この説はあくまで別の論の説明を補足する為に引き合いに出された考えではあるが、自らの存在について再考するには充分な議題であると言えるだろう。現在、私という存在は確かに存在しているとしても、過去の私は必ずしも存在したと言えるのだろうか?過去の存在を証明するものは過去に創造されたとされる建築物や形跡、自らの記憶と他の生命体——ここでは人間とする——との共通意識に限られる。私達人間にはある程度の学習能力が備わっている。私達の祖先が長い年月をかけて培ってきた文化と叡智を享受して、私達は生存している。種の繁栄は、過去無くしては成り得ないのだ。しかし、世界がたったの五分前に構築された物だとしたならば?私達に過去など存在しない。私達は脳に刷り込まれた記憶を頼りに、過去という存在を盲目的に信じているだけだ。過去が存在しなかったという事は、それ即ち、過去の私は『存在しなかった』という事になる。現在と過去を直接繋ぐものは、所詮、不明瞭で形を持たない記憶しか無いのだ。我思う、故に我あり。私の思考は、一体何処から生じたのだろうか。二律背反の問いの中で私達は存在している。
追記するとしたならば、私の存在は私一人の認識で成り立っている物では無いという事だ。人は長きに渡り集団での生活を行ってきた。現代でも、私達は人と人とのネットワークを介して生存しているのが常であろう。互いの繋がり、互いの認識を得る事で、記憶の中に人は存在している。よりわかりやすく例えるならば、死者の存在だ。死者の存在は、生者の記憶と、生前に遺した痕跡によって成り立っている。しかし死者の存在証明に、より重きを置くべきは生者に残った記憶の方だ。死者に関する記憶が存在しなければ、生前に遺した痕跡も、死を示す墓石すら、只のガラクタに過ぎない。墓石に至っては、何の意味も持たない石の塊に成り果てるのだ。
以上を持って、自らの存在証明を行うには、自らの思考と他者との繋がりが必須となるだろう。如何に考えようとも、結局答えは出ない、というものが私の現在の見解ではあるが、何事も考え様だ。ただ一つ、私からここまで読んでくれた貴方に伝える事があるとするならば、思考を止めるな、ということだけだ。
「私ね、好きな人が出来たの。」
お昼のメロンパンを食べようとした手が止まる。
頬を染めて呟いた親友を見つめにやりと口角を上げる
「え、だれだれ?同じクラスー?」
「うん…」
応援するよなんて笑いながら背中を叩く。
私が男だったら君の好きな人になれたのかな、なんて。
私は何気ないふりをしてメロンパンを一口かじった。
何気ないふり
何気ないと相手に感じさせたら
何気ないことにならない🤭
優しさから行われる
何気なさは、相手の思いやりだよね。
何気ないふりしてあなたへの気持ちを隠すことに慣れてしまった。
私だってこんなことに慣れたくなかったけど、友だちでいる今が崩れてしまうなら、私は現状維持を選ぶ。
ずっと怖い。
いつあなたが「彼女ができた」なんて言ってくるかわからなくて。
そんな気持ちを隠して、今日も何気ないふりをする。
ただたんの幸せ
何気ない日常
そんな生活が壊れたらどうだろうか
彼女がいなくなり
取り残された
やっぱり
幸せなんていらない
いつも通りの幸せは生活を思い出し
何気ないふりをする
女の子は何でできてる? 砂糖にスパイスそれにすてきなものすべて。そういうものでできている。
かの有名なマザーグースの一節。だけど、現実の女の子はそんなに甘くない。煮詰めたカラメルの様に苦い思いも、入れすぎたスパイスの刺激に傷つけられる事も日常茶飯事で、キラキラ綺麗とは程遠い。周りと自身を比べて妬んだり、恨んだり、時には優越感を抱く生き物なのだ。
素敵なものだけで出来ていたなら、こんな醜い感情を持たずに済んだかもしれないのに。そうやってまた、自己嫌悪というスパイスが私を苛む。
そんな醜い感情を悟られたくなくて、服やら化粧やらでコーティングする。私らしさ、なんて分からない。どうでもいい。醜い私を隠すためのコーティングなのだから。ふわふわ甘い香水も、白やビンクのワンピースも、つやつや光るパンプスも、本当は全く好みじゃない。けれど、それでいいの。砂糖とスパイス、素敵なもので作られた、理想の女の子。あなた好みの女の子になれるから。あなたに見つけて貰えるから。
デートも5分遅刻する。だって、彼はその方が喜ぶから。時間に厳しい真面目ちゃんよりも、少し抜けてて守りがいのある、か弱い女の子が好きだから。
約束の時間15分前。少し離れた場所から待ち合わせ場所を確認。腕を組み、周囲を観察しながら彼の到来を今かと待つ。
約束の時間10分前。彼がやって来てそばに置かれたベンチに座る。
約束の時間5分前。そわそわして落ち着かない雰囲気の彼に話しかける女を発見。思わず二の腕に爪を立ててしまうが、女の野暮ったい印象にちょっとした優越感を得る。
約束の時間ちょうど。彼は広場に立った時計を数秒おきにちらちら眺めている。すぐに駆け寄ってしまいたい気持ちをグッと抑え、残りの5分を耐え忍ぶ。
1分1秒がとても遅く感じられる中、ついに時計の針が約束の時間5分後を告げた。最終チェックで髪とワンピースを軽く整え、彼の元へ駆けていく。ちょっと息が上がっているのを演出できれば尚良し。靴音を響かせながらやって来た私を見て、彼は安心したように顔を綻ばせた。
「こら、また5分遅刻」
「ごめんね……明日はデートだーって思うと楽しみで、眠れなかったの」
「遅れるのはいいけど連絡はしないと駄目だよ? 心配で僕も眠れなくなっちゃう」
「うう……ごめんなさい」
落ち込み泣いているフリをする私の背を、彼は疑うことなく撫でる。そんな優しさに少しだけ心がチクリと痛む。
砂糖のように甘くて、スパイスの様に中毒性のある、素敵な素敵なあなた。そんなあなたを騙している事が、時折酷く痛いのだ。心に刺さった棘の痛みを消したくて、私は彼に問いかける。
「……ねえ、私ってかわいい?」
一瞬不思議そうな顔をする彼。我ながらめんどくさい問いかけだ。それでも彼は優しく答える。今日も、こうやって。
「かわいいよ。僕のために靴を鳴らして一生懸命走ってきてくれるところも、ふわふわの髪の毛やワンピースも、君らしくてかわいい」
君らしい、その言葉に安堵する。
あなたは知らなくてもいいの。女の子は甘くないってことも、煮えたぎった醜い感情も。心までコーティングしてみせるから、どうか愛して。砂糖細工の私を。
【何気ないふり】
‐何気ないふり‐
春雨木琴
全てを濡らして
マンション露臺で
燻る煙草が誘ふ夢は
園庭わきの古水琴窟
遠い想ひ出
くぐもる夕陽
想ひ出せない
ラヂオの呟き
記憶の汐音は
濱邊で見つけて
耳を澄ませた
卷き貝謳ふ
生まれ日の記憶
今年度最後の仕事の日。朝の占いランキングで私の9月が微妙な順位だったので、別の局の星座占いも一緒に観た。いわゆる抱き合わせ商法だ。
ふたつの占いを総合すれば、今日は何気ないことが福を呼ぶかもしれなくて、ラッキーアイテムはペールパープルの花の画像。金運を上げてくれるという。
でもあざとい行動は逆効果だとか。
ペールパープルの花って。そもそも花自体、桜くらいしか撮りませんけど。何人居るのよ9月生まれで、その色の花の画像手元にあるの。と、悶々していたら。
「おはようございまー……」
おはようございます。職場の自分の席につくとき、先に席に座ってる先輩のスマホ画面がチラリと見えて、
まさしくペールパープルと思しき花の、どこかの山か森で撮った写真がガッツリ映っていた。
金運だ。私の金運アップアイテムだ。
何気なく見てしまった先輩のスマホ画面が、占い通り福を呼んでくれそうだった。
「おはよう」
先輩はいつも通り、淡々と、平静としていて、
「今月で異動の尾壺根係長から、挨拶のチョコが届いている。一応貰っておけ」
私の机の一点、不自然に置かれているなんか高級そうなチョコの数粒を、視線で示した。
あー。はい。通称「名前通りのオツボネ様」。
今までお世話になりました(棒読み)
それより金運だ。ペールパープルの花の画像だ。
先輩からどうにかして貰えないものか。
「ねぇ、」
最近花増えてきたね。桜ちょっと散ってきたね。
何気なく花の話に誘導して、先輩から花の画像を頂こうと、カチカチ策略を組み始めた矢先。
『あざとい行動は逆効果』
占いの、悪い方を思い出した。
これは「あざとい」ではなかろうか。何気ない話題誘導というより、魂胆ちょっと見え過ぎで、あざとい方に極振りしまくってないだろうか。
「えっと、……あの、」
疑った途端、私は何も言えなくなった。
これ、選択肢間違えれば金運逃げてくパターンでは。
「?」
そんな金運的葛藤を私が抱えていることなど、先輩が知る筈もなく。ただ不思議そうに顔を傾けている。
「ああ、私の分か?」
長考の結果、私が先輩の机に上がっているチョコも欲しがっている、と思われたらしい。
「やるよ。ここのは美味いぞ」
スマホをしまい、チョコをつまんで、私に寄越した。
違う。違うの。そうじゃないの……。
「悩み事か?」
「ちがう」
「なにか、身体の不調?」
「ちがう」
「チョコ?」
「たべる……」
知ってるよあなたがアイドル好きなこと
隠して笑うジェネリック品
題『何気ないふり』
ないしょでプレゼントを用意している時、
ワクワクする。
どんなにちいさなプレゼントでも。
プレゼントを手紙と一緒にさりげないところに置いたりする。
はやく帰ってこないかなぁ。
何ていうかなぁ。
君がプレゼントに気づくまで、何気ないふりをがんばる私。
こういうふりは 何度でもしたい。
喜びは積み上がっていくから。
彼が街を歩いていた。戻りはまだ先と聞かされていたから大事ない姿を見れたことが嬉しく、驚かせようと後を付いていった。
人通りから離れ、暗い路地裏に人と彼が吸い込まれていく。あまりの暗さに戸惑い、耳をそばだてた。
彼と誰かの話し声がする。あんなに冷えた興味のない声を聞いたことない。諍いが起きそうなピリリとした空気はすぐに破れて続いてて耳に届いたのはくぐもった声とぐしゃり、どちゃ。まるで水溜まりに物が落ちたような。
彼に怪我はないだろうか暗がりに一歩踏み出すとガラス片を踏んだらしい。慣れない暗闇に彼のジャケットが見える。
「この先は何もないよ」
私が付いてきたことを分かっていたような口ぶり。
「でも」
「お願いだ帰ってくれ、君に見てほしくない」
人影が…、怪我はないの?と聞けなかった。振り向かないけど威圧的で見たことない彼に気圧されて
「…わかった」
何かおかしい、怖いと訴える心を『何気ないふり』をしてひた隠して、来た道を戻るしかなかった。震え始めた自分自身を抱きしめて焼き付いてしまった光景を振り払う。追いかけてはいけなかった。
あんなに人が吸い込まれて行ったのにひどく静かで、彼のブーツに鮮やかな赤が付いてたなんて、奥から広がって「見てほしくない」なんて…。たどり着いてしまう答えは…
「そんなの、嘘。」
何気ないふりをして君と手を繋ぐ
緊張が君に伝わってるような気がして
なんだか焦っちゃうな
何気なく彼は私の手を取って歩く
彼はきっと緊張してる
あなたは貴方らしく居ていいのに
そういう所も君らしくて良いね
少し寒そうな君に何気ないふりをして
ブランケットをかけた
ありがとうの言葉に
当たり前でしょって感じで
どういたしましてと言った
君は笑っていた
彼は私にブランケットをかけてくれた
ありがとう、そう言うと
当たり前のことをしただけという感じで
どういたしましてと言っていた
何に影響されたのか分からないけど
あまり見ない彼の姿に笑ってしまった
どんな君も好きだから
何気ないふりなんてしなくていいよ
─────『何気ないふり』
俺には年上の彼女がいる。
俺は高校二年生、彼女は大学三年生だ。
現在就活であう頻度がとても減った。
「おいウエダ、気ぃ抜けてんぞ!」
三学期始まってすぐの頃、もう俺は彼女のことで頭がいっぱいだった。
まわりには迷惑かけないように、バイトも部活も勉強も頑張って、何気ないふりをしていたが、限界がある。
そんなある日、部活中に一人の女の子が明らかに教室の窓から俺を見ていることに気付く。
気のせいではなく、文字通り食い入ってかじりついてみているのだ。
別の日、バイト先のレストランでは、ディナータイムでウエイティング用紙に名前を書いて、お客様を待たせていた。
「お待たせ致しました、二名でお待ちのミナ様」
そうご案内をすると、あの窓から見ていた女の子が元気よく返事をした。連れは短髪のボーイッシュな女の子のようだ。制服姿が別なので他校の友達の様子。
こちらへ、とご案内をし、水まで出してから、気になりすぎて俺から声をかける。
「あの……ミナ様は」
「様じゃなくていいです! ちゃん、で大丈夫です!」
「えっと……ミナちゃんは、俺に何か御用ですか?」
ミナちゃんは顔を真っ赤にさせる。文字通りの、真っ赤だ。
「いえ!? 別に!」
「いいの?」
「いいの!」
友人の言葉も切り捨てるようにする。
「ええっと……じゃあ、何年生?」
「1年◯組です!」
一つ下で◯組といったら、部活の後輩に一人いることを思い出す。
その場はそこで席を後にし、何気ないふりをしながら勤務していたが、俺は後日、後輩を呼び出した。
「お前のクラスのミナちゃん? だっけ? あの子、最近、俺のバイト先に来たりよく俺の事見てる気がするんだけどさ……俺には年上の大学生の彼女がいるから、ごめんねって言ってくれないかな?」
まだ告白された訳でもない思い上がりかもしれないけれども、間違いなく、あれはそういう態度だ。
それを後輩に向かって伝えてというのも変な話ではあるけれども。
これ以上付きまとわれていては、何気ないふりは難しい。
【何気ないふり】
※【伝えたい】の前の話にあたります
何気ないふり
カミングアウトするのもいいけどさ
前科のカミングアウトは聞きたくなかったよ
それも1番ヤバいやつ
冷や汗出たし
どんな顔していいかわかんなかった
何気ないふりするのも限度あるよ
本当は好きなのに、何気ないふりをして誤魔化すのに慣れてしまった。
素直に好きって言えればいいのにな。
私はこの会社が本当に大嫌いだ
ほんとうは足を運ぶことだってしたくない
でも、それじゃ私が生きていけない
だから何気ないふりをして
最後に刃物を突き立ててやるんだ
「 一身上の都合で退職いたします 」
何気ない「ふり」ってことは、
心の中は穏やかじゃないってことね