『世界に一つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「世界に一つだけ。あなただけの特別を」
繰り返される言葉と、にこにこと笑う店員に腕を引かれ、少女は店内へと足を踏み入れた。
白磁のティーセット。青の宝石の美しいネックレス。分厚い装飾の本。
外からは何の店かは分からなかった店内には様々なものが所狭しと並べられ、やはり何の店なのかは分からない。
古いからくり時計。牡丹の紋様の描かれた振り袖。黒いリボンの麦わら帽子。
店員に促され、腕を引かれて奥へと進む。物言わぬ店内の商品が店員と少女を見ている気がした。
「さて。ここは世界に一つだけの、あなただけの特別と出会える、特別な場所でございます」
変わらぬ笑みを浮かべる店員は、少女を椅子に座らせて奥の棚から一つの箱を取り出す。
蓋を開けて少女の目の前に中身を置くと、店員は笑みを深めて囁いた。
「これはあなたの特別。あなた以外の誰のものでもない、唯一の特別ですよ」
長い黒髪を一つに結った、あどけない微笑みを浮かべた人形。箱から出され足を投げ出して座る人形は、その虚ろなガラスの眼で少女をただ見つめていた。
「いかがでしょう。お代はあなたの灯火を少々。たったそれだけでこれがあなたの特別になるのです」
にたにたと笑みを貼り付け、店員は尋ねる。
けれど少女は表情一つ変えず、何も言わずに人形へと手を伸ばし。
「いらない。これは私の特別なんかじゃないわ」
否定の言葉と共に指先で人形の額を押し、座る人形を倒した。
ぴしり、と音がなる。
何かがひび割れたような、小さな音が店内に響く。
動きを止めた店員の顔が歪み、亀裂が走る。
「私のあの子はこんな木偶じゃない。偽物なんかいらない」
ぴしりぴしり、と音が響く。
少女が否定を口にする度に音は大きく、店内のあちらこちらから聞こえ始め。
気づけば店内にあるものすべてがひび割れ、店員は音もなく崩れ落ちていった。
「あの子以外は何もいらないのよ」
崩壊する店内には目もくれず、少女は出口へ向かい歩き出す。
ひび割れ崩れていく商品達の、恨む言葉は彼女には届かない。突き刺さる嫉妬の視線を、彼女は意にも介さない。
縋る多くの腕を振り払い、少女は一度も足を止める事なく店を出た。
「すごいな。何も持たずに出てこれたのか」
店から去って行く少女のその背を見送り、思わず苦笑する。
化生に誘われ店に入っていった時はどうするべきかと悩んだが、程なくして身一つで出てきたのだから、それは感嘆に値するものだ。
「あれにとって、必要なものがはっきりしていたというだけの事。執着は時として人間を妖と成らせるのですから、入れ込まぬように」
「さすがにこれ以上、しかも人を増やしはしないさ」
腕にしなだれかかる彼女の頭を撫でながら、大丈夫だと宥め。若干ではあるが機嫌の直ったらしい彼女は、鼻を鳴らしそっぽを向いた。
「それならばいいのです。お前はおとなしくわっちの望む通りに動きなさい」
分かっている、と肯定する。
あえて言われなくとも、こうして望むままに彼女の供をしているのだから今更な事だ。
小さく笑みを浮かべ、ふと改めて少女が出てきた店を見る。
色あせた、テナント募集の張り紙が、ここが長い間無人であった事を伝えていた。
「世界に一つだけの、自分だけの特別ねぇ」
「意味が分かりません。世界には唯一が溢れているというのに、何故人間はこうも愚かなのでしょう」
金と青の瞳が嘲るように歪む。
己自身が唯一であるにも関わらず、新たに己だけの特別を求める事が心底理解出来ないのだろう。
「まぁ、世界に一つとか、特別とかの言葉が魅力的に聞こえるんじゃないか?優越感というやつだ」
「くだらない。人間という矮小なものが優劣を競った所で、何になるというのですか。まったく嘆かわしい」
神である彼女には、人の繊細ともいえる感情の機微を理解できない。くだらないと一蹴したそれが、人を鼓舞し、嫉妬を生み、時には人を簡単に変えてしまう事を、知り得ない。
たとえ理解した所で結局は愚かだと嘲るのだろうなと、意味のない事を考えながら腕を軽く引いた。
「そろそろ行こうか。まだ行きたい所があるんだろう?」
「そうですね。行きましょうか」
しなだれかかっていた腕を掴み、先導して歩き出す。
久しぶりの遠出。行きたい所は決まっているのか、彼女の足は迷う事はない。
彼女に連れられながら、意識を切り替え歩き出す。
足早に遠ざかる二人の影がゆらりと揺れて。
いつしか猫を抱く一人の影に変わっていった。
20240910 『世界に一つだけ』
世界に一つだけ
人が作ったものでも 機械が作ったものでも
世界に一つでないものは
実際どれくらい あるのでしょうか
昔、誰かのことを「変わってるよねぇ」と半笑いで噂する人を見るたびに、「この人は誰かと同じなのかな」と思っていたことを、久しぶりに思い出しました
世界にひとつだけ
それは、わたしの声
動画の中で話す自分の声が、あまり好きではなかった。
社会人になり、人前でプレゼンをするようになって、聞きやすい話し方や声のトーン、速度などを意識するようになった。
人の心に届く話し方を心掛けた。
あれから何年経っただろう。
プレゼンをすることも無くなり、人前で話すこともほとんど無い。
自分の声について、意識することはなくなった。
職場の同僚、子供達の友達繋がりのママ友、ご近所さんなど言葉を交わす人は大勢いたけれど、私の声について評価をされることはなかった。
ところが、今年、初めて参加したヨガリトリートで、私の声を評価してくれる人が何人もいた。
驚いた。
優しい声、話し方がいい、ずっと聞いていたくなる。素直に心を許せる、などお褒めの言葉をたくさん頂いた。
周囲の人に言われたことがない、と伝えると、皆もその事に驚いて、周りの人達は慣れてしまって気付かなくなっているのでは?と言われた。
ヨガは自らの内面と向き合い、心と身体を整えるもの。集まったみんなは、五感が研ぎ澄まされ、感じる心を持っているのだと思った。
あまり好きではなかった自分の声。
褒めてもらい、素直に嬉しい。
世界にひとつだけの私の声。
もっと磨きをかけて、大切に愛してゆこうと思った。
誰かの心に届き、心と身体を緩ませることができたらこんなに幸せなことはない。
夏休み明け。
我がクラスに転校生がやって来るという噂を聞いた。ホームルーム前の教室は、その話題で持ち切りだ。
男か女かすらわからない状況にもかかわらず、盛り上がるクラスメイトたち。男子は可愛い子を、女子はイケメンを望む声が多い。
ざわついていた教室は、ガラガラと戸を開く音によって静まり返った。担任の先生だ。お決まりの挨拶を交わすと、早々に切り出した。
「今日からこのクラスに仲間が加わります。みんなで温かく迎えましょう。じゃ、どうぞ入って」
キュッ
上靴の音を響かせながら入ってきた人物の顔を見て、私はびっくり仰天した。
「はじめまして。〇〇中学から来ました、藤江 海です。よろしくお願いします」
人当たりのいいニコニコ笑顔で挨拶したイケメン、藤江くんは、瞬く間にクラスの人気を独占した。
「岡野くん、ちょっといい?」
昼休み、藤江くんが話しかけてきた。
「うん、何?」
「昼は何して過ごすの?」
「図書室にでも行こうかと」
「いいね。一緒に行ってもいいかな?」
「いいよ」
さっきまでクラスメイトたちに囲まれて楽しそうに会話していたのに、なぜわざわざ私のところにやってきたのだろう。みんなでワイワイやりたいタイプじゃないのかな。
図書室では私の隣で静かに本を読んでいた藤江くん。やはり本来は物静かなタイプなのかも。
部活の時間になると、彼はまた私について部室に訪れた。同じ水泳部だからわからなくはないが、他の部員とすぐに打ち解ける姿を見ていると、やはり活発なタイプに思えて不思議だった。
間近で見る彼の泳ぎはやはり素晴らしい。颯人先輩に勝るとも劣らない美しいフォームだ。顧問の先生も太鼓判を押すほどで、我々1年生は彼を手本にして指導を受けた。
「嗣永先輩!」
部活終わり、藤江くんが颯人先輩に話しかけていた。
「どうも、藤江です。大会ぶりですね」
「ああ、ウチに来るとは驚いた」
「あはは、家庭の事情で。でも僕的にはラッキーですよ。これからあの素晴らしい先輩の泳ぎを間近で見られるんですから」
「よく言うぜ、たった0.3秒差だろ」
「いえいえ、それを縮めるのがどれだけ大変か」
もしかしたらライバルとしてバチバチするんじゃないかと心配していたが、杞憂だったようだ。私は内心ホッとしていた。
藤江くんがすっかり学校に馴染んだ頃、それは起こった。
「あれ?」
「岡野、どうかした?」
私が発した声にすぐさま反応をくれる部員。
「ここにつけてたキーホルダーがないんだ」
「ああ、あのライオンのやつ? その辺落ちてないの」
一緒になって辺りを見回すも、塵ひとつ見当たらない。
鞄の中も机の中も、制服のポケットまで探したが、見つからなかった。
「どうしよう……」
動揺する私を見て、あれが大切なものなのだと察した部員は、落とし物ボックスを見に行ってみたらいいかもと進言してくれた。
ところが落とし物ボックスの中にもライオンのキーホルダーはなかった。
最後の頼みの綱が空振りに終わり、私は本格的に焦り出した。あれは先生と動物園に行って買った、おそろいのキーホルダーなのに。
私があまりに暗い面持ちで帰宅したためか、父にひどく心配されてしまった。
外であのキーホルダーを出したことはないから、校外に落ちているはずはないと思いつつ、念の為足元に注意して歩いて来た。けれどもついぞ見つからなかったのだ。
一生大事にすると心に誓っていた。にもかかわらず、買って間もなく失くしてしまった。先生に何て言おう。
先生はきっと怒りもせず、また買いに行きましょうと励ましてくれる。でもそれは私の望む未来ではない。同じ店に行けば同じ商品は手に入るだろう。だがそれは失くしたキーホルダーと同じとはいえない。
あれは世界に一つだけしか存在しない、完璧で究極の宝物なのだ。
テーマ「世界に一つだけ」
「世界に一つだけ」
「前回までのあらすじ」────────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!
そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!
……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!
それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。
もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。
どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。
……ついに裁判の時を迎え、ボク達はなんとか勝利を収めたよ!このまま控訴されなければいいが……。
そういえば、ほとんど変化はないけどちょっとあらすじを書き換えたよ!!!多少は読みやすくなっただろうか!!!
────────────────────────────────
「⬜︎⬜︎、今日でこのお部屋ともお別れだね。」
「おうちかえるー?」「うーむ……。」「かえろー!」
「……その前に、すべきことがあるだろう!」
「すべきこと てなあに?」「しなきゃいけないことさ!」
「んー。なにすべきこと?」「挨拶だよ!あいさつ!」
「あいさちゅ?」「そう!」
「この部屋の管理人くんには随分とお世話になったろう?だからありがとうって言わないとね!」「わかったー!」
「あ!ありがとうのおえかきしゅるー!」「お絵描き?」
「ん!おにーしゃんとボクと⬛︎⬛︎ちゃんのおえかき!」
そう言いながらクレヨンを手に取る。兄に描画機能は備わっていないから、辛うじて色で判断できるくらいの拙い絵だ。
「できたー!」「おっ、みんな笑っていて可愛いね!」「かわいい?やたー!」「おにーしゃんもよろこぶねー!」
嬉しそうにほっぺたを桃色にして笑顔を浮かべている。
「さて、お片付けしようね!」「ん!」
兄は小さな手でクレヨンと画用紙を箱にしまって自慢げな顔をした。えらいえらい。
「さて、もうこれであらかた片付いたね。それじゃあ管理人くんにありがとうって言おうか!」「んー!」
この牢獄ともお別れか。名残惜し……くはないが悪くはなかったね。もうお世話になりませんように!
「管理人くん!」「はい。……もう出られるんですね。おめでとうございます。」「ホッとしたよ〜!全くもう!!」
「それはそうと、今まで色々とありがとう!」
「おにーしゃ、ありがと!」
「これ、ありがとうのおえかきー!おにーしゃんにあげる!」
「これは?」「おにーしゃんと、ボクと、⬛︎⬛︎ちゃん!」
「……ありがとうございます。大事にしますね。」
「だいじだいじだよー!」
「随分と世話になったね。それじゃあ、そろそろ行くよ。」
「⬛︎⬛︎ちゃん!」「ん?」「おててちゅなぐー!」
「あー、はいはい!」
「おにーしゃ!ばばーい!」「さようなら。」
ボク達は宇宙管理機構本部へと向かう。
「⬜︎⬜︎、いい贈り物だったね!あの絵は世界に一つだけの、とっても可愛いプレゼントだ!きっと彼も大事にしてくれるよ!」
「わー!やたー!」
「そうだなあ……次は、宇宙管理機構に謝罪……ごめんなさいしないとね。」「ごめんなしゃい?」「キミは宇宙破損の幇助をした訳だからね。お姉さんも一緒に行く予定だよ。」
管理士整備室に旧型管理士を迎えに行き、偉い連中が集まった部屋に入ろうとしたその時。「⬛︎⬛︎ちゃん、まってー!」
「急に何だい?」「ごめんなしゃいのおえかき!」
「えぇ……。」「おえかき、だめー?」
「もしかしたら別のものの方が喜ばれるかもしれないわね。」
「おねーしゃん、なにがうれちいの?」
「そうね……私がお詫びで貰うのなら、もっと実用的なものが嬉しいわ。でも、思いがこもっていればきっと気持ちが伝わるんじゃないかしら。」「むー!わかんないのー!」
「そうだ!この光を当てるだけで固まる素材で何か作ったらどうだろうか!」「あ!ボク、これでおほしさまつくるー!」
「いぱーいつくってみんなにあげるのー!」
「……というわけで旧型さんも手伝ってくれないかい?」
「ええ、いいわよ。」
「兄の我儘に付き合わせて申し訳ないね。」
「私だって貴方の宇宙に傷をつけたのだから、手伝わなければ。」
こうして手作りの星がたくさん出来上がった。
「おほしさま、せかいでひとちゅだけなのー!」
「ごめんなしゃいのおほしさま!みんなうれちいかな?」
……いや、本当に大丈夫だろうか……。
舐められていると思われたりしていないだろうか。
大分不安だが……。
冷や汗を拭えないまま部屋に入る。
「……失礼致します。」
「この度は兄と旧型管理士が大変ご迷惑をお掛けし、大変申し訳ございませんでした。また、寛大な処置をいただき、誠に有難うございます。」
「……申し訳ありませんでした。この子に誘われたからといって、私は多くのひとびとを傷付けてしまった。いくら謝ったところで、私の罪は消えません。」
「みんな、ごめんなしゃい。ボク、わるいこなの……。でも、いまはいいこです!あちたはもっといいこです!これ、ごめんなしゃいのおほしさま!」
勝手に作った星を配り始める。こらー!
「せかいでひとちゅのおほしさま!ごめんなしゃいのおほしさま、だいじだいじなのー!」
その様子を見て、偉い連中は口々に兄を可愛がる。
「かわいい子だね。あと50年は公認宇宙管理士の受験資格はないが、きっと頑張ってみんなの役に立つんだよ。」
「うん!がんばるー!」
「上手に作れたねー!」「がんばたよー!」
「ちっちゃ……!本当に700兆歳?」「わかんない!」
「見た目に騙されはしな……可愛いな。」「んー?」
……あんまりにも小さいからいくら偉くても強くは言えないのか。大人も大変だなあ……。
「おにーしゃんおねーしゃんも、がんばてねー!」
「……それではこのあたりで失礼いたします。」
「みんなばばーい!」「……皆さま、さようなら。」
こうしてボク達は部屋をあとにする。
「旧型さんはまた整備室に戻るのかい?」
「今のところは。でも、これからのことは分からないの。」
「まあゆっくり決めたらいいさ。」
「あら、私はこっちなの。また会いましょうね。」
「ああ、気をつけてね!」「おねーしゃん、ばばーい!」
「⬜︎⬜︎、キミにはもう一人謝るべきひとがいるよ。」
「あ!ニンゲンしゃん!おけがちてたのー。いたいいたいなのー。」「だから謝りに行かないとね。」「んー。」
……果たしてボク達はニンゲンくんに謝りに行けるのだろうか……!
To be continued…
世界に一つだけ
さぁ、今回みなさまにご紹介するのは、
緑豊かな地方都市で育まれた
30代女性の右手小指のホクロです!
このホクロ、ただのホクロではございません。
なんと小指の第一関節のシワのど真ん中に
ついているという、大変珍しいホクロとなります。
天然ものでこのホクロを生み出すのは何万分の一、
いえ何億、何兆分の一の奇跡と言えるでしょう。
しかも、女性の成長とともに皮膚が伸びて
ホクロも少しずつ形を変えていきます。
歳を重ねるごとに色形が変化するので、
いつ見ても飽きが来ないですねー
さてこのホクロ、一体おいくらだと思いますか?
そう!こちらは世界でたった一つしかない1点もののため
価値をつけることはできません!
世界でたった一つしかないこのホクロは、
世界でたった一人、私だけのものなのですから!
「どうしたんだ、エリオ。そんなしょげた顔して。地面なんか見てもなんもねぇぞ」
「……ボス、オレやらかしちゃいました。ボスの大切な写真、シュレッダーにかけちゃいました」
「写真って……あっ!あの、俺の貴重な家族写真か!」
「はい、すみませんボス……」
「エリオ……」
「なんの罰を受けてもかまいません……」
「そんなことで落ち込むなよ、かっこいい顔が台無しだぞ。たしかにあれは俺にとって大事な写真のひとつだ。でも、俺にはもっと大事なものがある。何だか分かるか?」
「……わかんないです」
「……お前だ、エリオ。俺の世界で1人だけのバディだ。」
「……」
「俺はお前を大切に思ってる。が、そんな顔をされると俺まで悲しくなっちまう。だからもっと明るくいろ。いつものポジティブを取り戻しとけよ」
「……オッケー、ボス!」
雪の結晶 水の流れ
光の加減に気紛れな風
手を振った君の表情すら
何一つ何一つ変わらない
同じ事など二度と無いのだから
‹世界に一つだけ›
時間ない〜!また後日書きます!!
『世界に一つだけ』(2024.09.09.)
世界に一つだけ
「この絵、みことちゃんに向けて描いたんだ」
「え!ほんと!?すちくんありがと〜!!」
小さなキャンパスに描かれた黄色い花。
「これはなんて言う花なの?」
「ナランキュラスだよ」
花びらが何枚も重なってふわふわしてる感じがしてすごく可愛い!
「これ、すみくんが俺のために描いてくれたんだよね!」
「うん、そうだよ?」
「じゃぁこの絵は世界に一つだけしかないね!俺だけが持ってる宝物や!」
「宝物?」
「うん!宝物!すちくんありがとう!」
世界に一つだけしかないこの絵は今まで見たどんな絵よりも暖かくて優しくてきらきらした絵だ。
すちくんが俺を大切にしてくれてる証だ。
この世界に一つだけ伝えたい。
「今日も悪くない日だった。」
明日も伝えられるような日だと嬉しいな。
2024/09/16 #世界に一つだけ
世界に一つだけ
*BLです。
「はぁー、俺にもなんか、才能とか特技とか、あればいいのに」
リビングのソファで一緒に青春映画を見た後、膝を抱えた恵(めぐむ)は眉を下げて小さく呟いた。
恵は出会った時から、いや、それよりもずっと前から「特別」という言葉に憧れているらしい。
「俺って普通だし」が恵の口癖だ。
恵の兄はバンドのボーカルだし、恵を取り囲む友達も才能や目標のある人が多いから、自分と比較して昔からずっとその気持ちを燻らせて来たみたいだ。
それで言うと、日本とイギリスのハーフでイギリス人でバンドでドラムを叩いている俺はすごく特別なんだと言う。
だけど俺はずっとどこにも属せない感じが落ち着かなくて、居場所が欲しかった。その上恋愛対象も男で。それは特別なんかじゃなくて、マイノリティってやつで。すごく嫌なこともなかったけれど、いいことなんてなかった。
それを全部覆して俺の居場所になってくれたのは、恵だ。ヤバい言い方をすると、恵はこの世界に一つだけの俺の居場所だ。
恵みたいに特別な人に、生まれて初めて会ったんだ。
そういうことを、全部伝えたい。全部伝えて恵がどれだけ特別で大切で、どこにも代わりがいないって、言い聞かせたい。だけどいつも上手く言葉にできなくて、恵には少しも伝わらない。
「え? なに? 突然」
もどかしくて、気がつくと恵のさらさらの黒い髪をかき回していた。
「ちょ、なに、なになになに」
それから、特別な恵の体をぎゅっと抱きしめて、特別なほっぺにキスをする。
「レン? どうしたの?」
「可愛くって」
「またそれ、なに? 俺なんかスイッチ押しちゃった?」
恵は少し体を離して俺の顔を覗き込む。困った顔で耳を赤くして。探るように俺の瞳をみつめる。そのなにもかも全部がスイッチを押してるっていうのに。
「あああーっ、無理っ、可愛すぎて無理」
「だからー、なんなの?」
「恵、恵がどう思ってても、俺には恵は特別だから。知ってるよね」
「……うん……そんなこと、言わなくても」
「言うよ。わかって欲しいから何回でも言う。それに恵のやりたいことならなんでも応援するし、手伝うよ」
真剣に、視線を合わせて。いつも思っていることをきちんと声に出して言う。
「ん……ありがと」
「個性って、知ってる? 恵が、恵として生まれた時から、恵であることが個性なんだよ」
「それは……なんか目からウロコだけど……」
「だけど、そういうんじゃないんでしょ」
「うん……ん、なんで今?」
急に我慢できなくなって、恵の柔らかい唇に自分のを押し当てた。
学校でも外でも手も繋がないし、いちゃつかないように、なるべく自分を律している。だから放課後ふたりになると、頭がおかしくなるって、恵にいつも注意されてしまう。これでも、急がないようにスピードを緩めているつもりなんだけど。
「恵、好きだよ」
「お、俺も。レン、好き」
はにかむようにふにゃっと笑う。
照れていたって、気持ちを言葉にしてくれる恵に、何度も感動してしまう。
恵はまだ気が付いていない。
恵は俺の恋人になった時点で、ある意味マイノリティになった。なにか嫌な思いもするんじゃないかって、本当は心配だった。俺なんかと関わらない方が恵のためになるって、自分に言い聞かせようとした時期もあった。
だけど、恵の周りにはいつも優しさが溢れていて、友達も家族も、恵にそのことを感じさせない。
恵のいる場所がそういう世界で本当によかったと思う。
「お、おお、レン? どうしたの?」
「んー、大好きが高まっちゃって」
力を込めて抱きしめると、耳元でからからと恵が楽しそうに笑う。
「俺もーっ」
そう言って同じ力で抱きしめ返してくれる。
「あー、俺も相当頭おかしいかも」
恵はまだ楽しそうに笑っている。
ずっと、恵にこんなふうに笑っていて欲しいんだ。
世界に一つだけ
己の存在というのがまず、世界に一つだけということを意外と人はわからない
それ故に己が
たった一つの宝石にもなり
たった一つの剣にもなり
たった一つの書にもなり
という
それぞれが己という最高に一つだけの
ただ、それ故に
他の誰かを必要以上に傷をつけてはいけない
『世界に一つのものを持つ 己』を喪うのだから
世界に一つだけ
見たことあるような絵は評価されない。
聞いたことあるようなメロディはどうでもいい。
使い古された格言なんて誰にももう響かない。
ありふれた作品なんて、目には入らない。
それでも、世界に一つだけの個性がどこかにあって。
それに気づいた誰かにとっては、世界に一つの作品で。
誰かにとっての、世界に一つをつくれるかな。
『世界に一つだけ』
今年の夏休みは、週末と連なって、1週間の休みだった。
旅行に行くのもいいけど、お互いの家に泊まろうと決めて、出かけるのも近場にした。
目の前の夏目は、カフェの窓際の席でアイスコーヒーをおいしそうに飲んでいる。
しかも、わざと左手でグラスを持つ。
左手の薬指に光るリングが見えるように。
ふとこちらを見た夏目が目を細めた。
あーやっぱり好きだな。
昔からの自転車を今になるまで、幾度も修理を重ねて、現在も愛用をしている。
このマウンテンバイクは、買った当初の頃に比べ、
姿、形が変わってしまったけれども、この愛チャリが世界1カッコいいと僕は、思っている。
買い替えるなんて、考えられない。
自分は絵が大好きだ
白いキャンバスに色とりどりの絵の具
「凄い…!ほんとの空みたい…」
世界に1つだけの僕の絵
それは僕にしか書けない僕の色だ。
題名「世界に一つだけ」
世界に一つだけ
目の前にいる恋人や友人、家族そして私は世界に一つだけのもの
世界に1つだけ
今、貴方には何が見えますか。
人、夕空、星空、お家の天井やインテリアですか。
それとも何気ない日常の風景かいつもと違った場所の景色ですか。
人それぞれ同じもの見ているようでも色や見ているものが違うと言われています。
こればかりは、その人になって見ないと分からないです。
もし、違うのであればこの景色は貴方だけの特別なものですね!
明日もいい日にな〜れ!
『世界に一つだけ』
土曜日の午後。
私は壁に飾ってある一枚の絵を眺めながら、紅茶を飲む。
手元のグラスが夕日を反射して綺麗だった。
絵の中には、夜空を走る列車が描かれている。
銀河鉄道。
いつか彼が言っていたのを思い出した。
繊細なタッチと鮮やかな色使いは、彼の絵の魅力だ。
***
2年前の夏、この絵みたいな満天の星空の下、私は彼にプロポーズされた。
指輪の入ったケースを私の手に乗せて、恥ずかしそうに笑う彼。
私は、彼と結ばれることが信じられないほど、幸せだった。
彼は私の、最初で最後の運命のひとだった。
その数ヶ月後、彼は事故にあった。
即死だった。
私は目の前が真っ暗になった。
なんで。なんで彼なの。
やっと幸せになれたのに。
誰にも愛されたことのない私に愛を教えてくれた、唯一のひとだったのに。
私はまた空っぽになった。
そんな時、彼の遺品整理をするために、足を踏み入れたアトリエで見つけたのが、この絵だった。
アトリエに一枚だけ飾ってあったそれを
一目見てすぐ、目が釘付けになった。
きれい。
絵のあまりの美しさと、彼を失った悲しみで、初めて涙が溢れだした。
この絵だけは一生大切にすると決めた。
彼が遺した、世界に一つだけの絵なのだから。
***
いつの間にか、日が暮れていた。窓の外はもう真っ暗だ。
たくさんの星たちが、宝石のようにきらきらと輝いている。
空になったグラスを片付けて、カーテンを閉めようとした
そのとき
ガタンゴトン、と音を立てて、1本の列車が星の間を走り去った。
目を擦ってもう一度見ると、列車はもうなかった。
でも確かにこの目で見たのだ。
列車の窓の向こうで微笑む彼を。