『三日月』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
三日月
三日月には三日月なりの美しさがあるのです。
まんまるではなく尖っていて、凛としているでしょう。
私にも私なりの綺麗さがあるのです。
それはすべて貴方のため、貴方の目に留まるため。
月もきっと私たちに見てもらうために、
形を変えて、変化を楽しんでもらいたいのでしょう。
私たちが飽きないように。
だから私も貴方に会う度に髪型を変えて、
服の系統も変えて、挑戦しているのです。
今日も、月が綺麗ですね。
にこにこ笑う月に見られてる気がして
宙に向けてピースサイン
【三日月】
ふと月を見て
今日は三日月か…と
満月や上弦の月、下弦の月や新月
それらは形がハッキリしてるから
見ていても特に思わない
でも三日月を見ると
どこか怖くて
でも寂しくて
不思議な気持ちになる
三日月って何だろう
『三日月』
教室から最寄り駅までの道中、
ふと空を見上げると月が出ていた。
見てすぐに、月が笑ってるって思った。
素直になれなくて悩んでるのがバレてるらしい。
笑うくらいなら、
私に素直さをプレゼントして欲しいな。
ねぇ、今日も月がきれいだね。
三日月
実際に空に浮き出る三日月は、のっぺりとして、白くて、のもーんという顔をしていて、魅力に欠ける。あとなんか小さいし、電線とか家々に邪魔されてよく見えないというのもある。絵に描くような、ぐるんと巻かれた三日月は見られない。そんなに黄色くもないし。
大人になって、感性が豊かになったらあの三日月のことも、美しい、風情があると思えるんだろうか。だとしたら楽しみかもしれない。
まさにこういう三日月。→🌙
"三日月" すり減った私の心みたい。
誰にも助けを求められなかったあの頃の私は、ただただ暗い夜の道を一人で歩いて、泣き疲れて家に帰る。
そんな日々を繰り返していた。
あの日もいつもと同じだった。何もかも上手くいかなくて、私は無能なんだって改めて気付かされたあの日。
自転車で海が見えるところまで行って、涙が枯れるまで泣いていた。
そんな私に君は手を差し伸べてくれた。
あの頃が懐かしい。君だけが手を差し伸べてくれて、こんな私に優しく微笑みかけてくれた。あの日も確か三日月だった。
君は今、どこで何をしているのかな…。
あの頃みたいに笑っているのかな…。
本当は会いたくてたまらなかった。あの頃みたいに私に優しく笑いかけてほしい。君の笑顔は太陽よりも眩しくて、温かくて。嫌なことを忘れさせてくれる。
三日月を見るとあの日を思い出す。
私は今も君に救われているよ。
「三日月」
「三日月」
あの小池 時折三日月 浮かびたり
大事に掬ひて 君に見せたし
【#8】
満月より三日月が好きだと、きみは言った。
満ちることなく、欠けたままの月。
夜の闇に溶け込むこともできなくて中途半端にぽつんと浮かんでいる。
…なんだか分かった気がする。
彼がああ言った理由が。
たぶん、きっと、満月は隠れられないからだ。
丸くてどこもかしこも明るくて。
どこに行っても照らされる。
…俺も、三日月の方がすきになっちゃったよ。
三日月 #245
三日月のようなハンドル手のひらに
夜へ夜へと漕ぎ出してゆく
(三日月)
「三日月」 #242
欠けているのに、
満たされていないくせに、綺麗。
私もあの月のように
完全でなくても愛してもらえるのでしょうか
#13 三日月
三日月って、コスパいいよな。
満月みたいに気を張らなくていいし、だからと言って新月みたいに暗くない。
しかも、半月よりも注目してもらえる。
三日月がモチーフのアクセサリーは定番だもんな。
彼氏との買い物の最中、女物のアクセサリーケースの前でそんなことを考える。
「深月、決まった?」
おっとりとした、あったかい声が上から降ってくる。
「これにしようかな」
そう言いながら、私が指さしたのは三日月のかわいらしいネックレス。
普段より半音高い猫撫で声。
彼氏の前でしか出ない私。
本当は、その隣にあった、丸いリングのついたやつが欲しかった。
新月みたいで私っぽかったから。
「ほんとにこれでいいの?」
太陽は、私の目をまっすぐ見て聞いてきた。
彼はいつも、私に物を買ってくれるとき、そう質問してくる。
私は決まって頬をかきながら頷くのだ。
そうすると彼は、
「ふふ、深月っぽい」
一拍おいてそう言ったあと、微笑んで私の選んだネックレスを優しくレジに持っていく。
ああ。また、言えなかった。
太陽と付き合って三ヶ月。
私はずっと、可愛い彼女を演じてきた。
アクセサリーも、メイクも、食べ物も。
かわいさを重視して選んだ。
本当は、アクセサリーだって、ボーイッシュな方が好きだ。
メイクだって肌が荒れるし、時間もかかるからしたくない。
甘いものなんか、全然好きじゃない。
「お店の外で待ってて」
そう言われたから、すぐそこにあったベンチに座る。
太陽が戻ってきた。
「はい、どうぞ」
太陽はそう言いながら可愛くラッピングされた小包みを優しく手の上に置いてくれた。
「ありがとう、家で開けようかな」
そう上目遣いで笑いかけると、彼は嬉しそうに片手を差し出してくる。
手つなご、の合図だ。
私は素直に彼の手に触れる。
彼の大きな手が私の手を包んだ。
そして、二人で歩き出す。
二人の部屋に向かって。
部屋に着いた。
二人でソファに腰かける。
彼が、
「ねぇ、プレゼント、開けてみてよ」
柔らかくて、甘い声でそう言う。
「さっき、一緒に買ったじゃん」
私はそう笑いかける。
「いいから!」
彼に促されるまま、小包みを開いた。
呼吸が止まる。
そこに入っていたのは、私が本当に欲しかった、丸いリングのついたネックレスだった。
「なんで」
思わず、いつもの猫撫で声を忘れてしまう。
「これの方が深月っぽくて素敵だったから」
彼は申し訳なさそうにこう続ける。
「いつも、無理させてたよね」
私は、何も言えなかった。
「気付いてる?深月、嘘つく時、必ず頬かくの」
私、そんな癖、あったのか。
酷いこと、したな。
ずっと騙してたのと一緒だ。
そう思って、謝ろうとする。
でも、遮るみたいに太陽は、
「俺、そんな深月も大好きだよ」
そう言って抱きしめてくれた。
そのまま耳元で、呟く。
「だけど、俺の前で、無理しないでほしいな」
私はそこでやっと口を開く。
「太陽、大好き。」
三日月
空を見た
三日月だった
ずっと見てたいと思った
お題『三日月』
「うーん、疲れたぁー」
言葉にすれば口から白い吐息が流れていった。
私は今朝会社まで送ってくれた同僚に甘えて、帰りも図々しく家まで送ってもらうことにする。だって、送迎するって夕べLINEをくれたから。
だからこうして同僚の車に乗り込んだ。
乗ったばかりの車はちっとも暖かくなくて、シートヒーターの熱だけが救いだなー。
「これどうぞ」
同僚がくれたのは温かい缶。おしるこ、とプリントされている。
「ありがとう。……って、私がお汁粉好きなことなんで知ってるの!?」
「え、そうなんですか!? 海鮮チゲ雑炊のボタンを押したら何故か出てきたやつなんですよ、それ」
そのチョイスは、それはそれで十分おかしいと思ったので、素直にクスクスと笑った。
「笑うことないじゃないですかー。だって昨日のLINEで夕飯がキムチ鍋だって言ってたから、辛いものが好きなんだなと思っただけですよ」
「ごめんなさい、こういうチョイスが意外だったから」
両手で包み込んだお汁粉から手に熱を移していく。手だけじゃなくて、頬もつい緩んでしまう。
「それじゃあ出発しますね」
路肩に雪を積もらせている車道へと車は滑り出していった。
——————
おっとりしているというのは、完全なる俺の思い込みだったらしい。同僚はよく喋った。最近聞いた曲のことからお気に入りの動画のことまで。声のトーンから察するに、この人の胸の中には大切なものがいっぱい詰まっているんだろうな。
「そういえば、昨日ね」
どうやらとっておきの話をしてくれるらしい。「うん」と相槌を打って先を促した。
「とある料理配信者の生配信があったの。男の人なのに手がきれいな人でね、トークは普通なんだけど手の表情がとても豊かでね。とても良き」
俺は動揺した。だって、生配信? 料理? 俺も昨日やってた! 他に料理の生配信をしてた奴いたっけ?
だけどひっそりと世を忍んでいたいので、「そうなんですね」と、自分が思っている3倍くらいぶっきらぼうな声が出てきた。
「あ、ごめん、私ばっかり喋って……」
「いえ、俺こそなんか……すみません」
車内を気まずい沈黙が流れる。
違う、違うんだ。俺はこんな空気を作りたかったわけじゃないのに。
——————
動画の話はこれ以上やめておこう。それはさておくとして……同僚に何か世間話を振ろうと思いつき、話題を探す。
どうやらこの同僚は流行りの曲やら動画にはまったく疎いらしい。これまで蓄積してきた会話でそれはなんとなく察しがついてしまった。
「そういえば、ネットサーフィンが趣味って言ってたけど、どういうのを観るの?」
言ってから、もしもセンシティブな話が出てきたらどうしようかと内心慌てた。
「料理のサイトはよく見ますよ」
よかった、普通の話題だった!
「バズってるレシピからイタリアンのシェフまで、いろいろ」
「へー! 料理、好きなんだ」
「まぁ……一人暮らしもそれなりに長いんで」
へへ、っと笑っている同僚は頬を手でポリポリ掻いている。
その手に私は釘付けになった。見覚えのある気もしたけれど、いや、まさか……ね?
私は浮かんできた疑問に蓋をした。
「話は変わるんですけど、今日の三日月、きれいですね」
フロントガラス越しに空を見上げれば、弓張り月が細く姿を現している。
「本当だ……あ、そうだ。三日月に纏わるお話をひとつしようか?」
返事を待たずに私は続けた。
「お祈りすることで幸運に恵まれるんだって」
「へぇー。何かお祈りしたいことってあるんですか?」
興味ないのかと思っていたら、思いのほか食いついてきた。
でも……お祈りしたいこと……うーん……あ、そうだ!
「件の料理配信者のごはんをいつか食べられますように!」
同僚は盛大に咽せた。咳き込んで、それから「らしすぎます!」と笑った。
「三日月」
やけに暗い夜だった。雲一つない空にはポツポツと星が瞬いている。低い位置には三日月がポツンと浮かんでいて、ぼんやりと薄く光っていた。
その日は、男にとって厄日だった。朝はなぜだかアラームが鳴らなかったせいで遅刻してこっぴどく叱られた。寝坊のせいで朝食もろくに食べられず、昼休みまで空きっ腹を抱えて働く羽目になったし、昼休みは昼休みで後輩に泣き付かれたせいで落ち落ちと食事も出来なかった。
そんなわけでとっくに夜も更けた今まで、ろくに食べられないままだったのだ。空腹を通り越してもはや痛みを感じるまである胃を摩りつつ、ふらつく身体を引きずってどうにかここまで帰ってきたのだ。家まではあと五分ほど。暗い夜道に目を凝らし、先を急ぐ。
マンションの隙間から三日月が視界に入った。ぼんやりと光る月に視界を奪われる。月を見たまま、一歩、二歩足を進める。
視界が上になったせいで足元が疎かになったのか、男はふらついて電柱にぶつかった。額を強かに打ち付けた衝撃で蹲る。蹲る拍子に膝まで打ち付けたせいで足まで痛い。
月なんか見ていたせいだ。地面に這いつくばったまま、月を睨みつける。黒い空の上、三日月がニヤニヤと笑っていた。
「なに描いてるの〜?」
俺がベランダで夜空を見上げながらスケッチしていたのを後ろから翔くんが声をかけてきた。
「あれ、ほら」
暗闇の中に輝くあの三日月を指差す。
しばらくキラキラとした月に見惚れていると
「月が綺麗ですね」
とイケメンスマイルで言ってきた。
「もう、なんだよ」
「あれ?智くん知ってるんだ」
口角を上げそれこそ三日月のように口元がニヤッと動く。
「はあ…?俺だって分かるよそれぐらい」
なぜか余裕じみた翔くんに苛立ちが覚える。
じゃあどういう意味?と聞いてきたから、得意気に言った。
「あなたが好きです」
あ、と思ったときにはもう遅かった。
言った瞬間、口を塞がれた。
「俺も」
そう言って部屋に戻っていった。
今はまだ、三日月のスケッチに集中できそうにない。
三日月
真っ暗闇の中で三日月がぼんやり光る。仕事を終え、ふらつく足はまるでそれに誘われるように道を進む。倒れないように見守られている気すらした。ふと顔を少し上げると、腹のすく匂いが鼻をかすめる。キョロキョロと辺りを見渡すと、赤い提灯をつけたいかにもな屋台が少し先の方にあった。
……今どき屋台のおでん屋なんかあるのか?
不審に思いながらも、その匂いに抗えずに俺は暖簾をくぐっていた。
「らっしゃい」
にっと笑うのは三十代後半くらいの短髪の男だった。すらっとした見た目をしており、想像していた店主像とは真逆だなと思いながら、お辞儀をしてから椅子に座る。机にメニュー表があり、俺はとりあえず大根と卵、それから牛すじを頼む。店主は慣れた手つきでそれらを菜箸で取り、綺麗な皿にもって「辛子なんかはお好きにどうぞ」と調味料を指差した。
「ありがとうございます。……あの、いつもここで屋台を?」
「いえ、場所は決まっていません。ふらふらとね、月が綺麗な時にやってるんですよ」
「……月が?」
俺は牛すじを一口頬張り、店主の返事に首を傾げながらついそう言ってしまった。いやしかし、“月が綺麗な時にやってるんですよ”なんて言われたら少し気になるだろう。
「そうです。お客さんも今日の月にふらふらと誘われていたでしょう? だからうちに来れたんだ」
「は、はあ……」
人懐っこい笑顔を浮かべてサラッとそう言うものだから、自然に流されてしまう。
「あー、店主さんあれですか。詩とか好きなタイプ?」
「はは! まあ、そうですね。人が書く物は私達と視点が違うから面白い」
俺は疑問が浮かびながらも、曖昧な返事をして大根を口にする。じゅわりと口の中に味が広がり、それが腹の中に入っていくと不思議な安心感が広がった。
「……お客さん、余計ですが食事はちゃんととっていますか?」
「え? あ、ああ。まあ……」
言われてみたらここ最近、栄養食のゼリーや固形の物ばかりを口にしていた。きっと今食べている物が“ちゃんとした食事”に入るだろう。
「……時間が無けりゃ、飯を作ろうとは思えませんよね。すみません」
「あ、いえ。俺も言われるまで食事の事なんか考えてなかったです。……ただ、胃に入れば良かったので」
「…………なら、今日は私が奢りましょう!」
「へ?」
「まあ、道楽でやっているんでね。良ければ色々食べていって下さいよ。苦手な物はあります?」
「い、いえ。無いですが、いや、え?」
新しい皿に新しい具が乗せられ、机に置かれる。俺は断るが、店主があんまりにも悲しそうな顔をするので、有り難く頂く事にした。
「……私はねえ、人は仕事ってやつにあまりに生を支配されている気がするんですよ。いや、きっと子供達でも学校に支配されて藻掻いている子もいるんでしょうねえ」
店主はどこか遠くを見る目でそう言った。俺はただ黙って言葉の続きを待つ。
「私みたいな奴にはね、こんな事しか出来ないですよ。もどかしいったらありゃしない。人にとって生きるという事が、苦しいばかりなんて、そんなの何が人生なんだか」
鼻の奥がツンと痛む。辛子を入れ過ぎたとかではない。鈍くなっていた感情が何かに照らされたみたいに浮かんできているからだ。
「貴方は偉い。十分やっていらっしゃる。だから好きなだけ食べて腹を満たして行ってくださいな」
視界が揺らいだ。名前も知らない誰かの前で、俺は声を殺して泣いた。
「お月さんの下ではねえ、辛いって言っていいんですよ」
――不思議な屋台の名は月下堂。月の綺麗な晩、誰かがまた誘われる。
日々家
#三日月
みかづき むつき はづき
違和感なし
「お月さまって、なんでひとつしかないんだろう」
遠くを見つめて先輩は言った。その一言だけで、僕は宇宙を旅する猫みたいな気分になった。月って、ふたつ以上ほしいものだろうか。
月は北極星なんかと違って動くから、道しるべには向かないけれど、それでも、行き場のない暗闇を照らしてくれる光ではあるはずだ。縋れるものがいくつもあったら、どれを頼りにしていいかわからない。
そんな夜をこれっぽっちも知らない先輩は、言う。
「だってふたつあったら、三日月の夜は笑ってるみたいに見えるでしょ?」
屈託なく笑うその顔を見て、僕は知る。夜空が笑っていると、先輩は嬉しいのだ。それなら月がふたつあったっていい。満月の夜はぱっちりおめめだし、新月の日はどこに目があるのかすらわからないけど、空も笑う日があるというだけで、明るくなる心もきっとある。
「右の月には私が住むから、左の月は君にあげよう」
「当然のように所有権持ってますね、先輩」
「地球が滅んだら移住する予定なんだ」
目に住んでしまったら、笑っている夜空を自分では見られなくなる。そういう細かいことをきっと先輩は何も考えていない。先輩はいつも適当だ。
そして先輩はひどい人でもある。とてもひどい先輩は、僕と一緒の月には住んでくれないらしい。月と月の間を行き来するロケットが、その頃には出来上がっていてくれないと少し困る。
くろわっさんさくさく
ほしをちりばめて
とけたまーがりん
かんぺきなすがた
みあげたよるは
ほそぼそくとげり
かげるさかさくろわっさん
くろっさわんさか
かたちをかえる
こんがりばたー
ちでちをあらう
どこからのぼり
どこへしずんだ
くろくさんかくろわっさん
みかづきだけで
おかおをえがくと
なんだかぶきみねくろわっさん
【三日月】
三日月 2026/1/9
まん丸だった月がどんどんすり減って
あんなに細くなってしまって
私がまん丸に治してあげなきゃ
そう思って見たけど治すってどうやって治すんだろう
どうやら月はしばらく待つとまたまん丸になるみたいだ
毎日みて、観察して、寄り添ってあげるのが
欠けてしまったあなたをまん丸に
完璧な状態にする方法だったのね