『モンシロチョウ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「虹」かける
晴れ渡る空 通り雨知らせる電子音
走り終えた鼓動がいつもより早い
なんだ?この胸騒ぎ
晴れた先にはそびえたつ雲
ふとボールがきれいな弧を描く
あぁ、そうだ
探しに行かなきゃと思いがあせる
開け放った窓
雨の匂いが通り抜ける
風で朝キメた前髪が崩される
なんだ?このざわめきは
乱暴にめくれたページ
ちらっと「に」と「じ」が輝いた
あぁ、そうか
四角い空に大きな弧を描いてみる
この感じはなんだろう?
この感情の名前がわからない
この風はなんだろう?
この風の行方が見つからない
意味はなに? 目的はなに?
そんなことはいいからさ
意識が遠のく前に…次の呼吸をしなきゃ
さぁ!雲が裂けて光が差す前に行こう!
その感情のそれでいい
その気持ちのままかけるんだ
さぁ!その風に身を任せて突き進もう!
とにかく、いいからさぁ!全力前進 未知創造
鮮やかな虹を見つけに行こう!探そうよ!
空が急に重くなる
あっという間にいつもの土砂降りか
雨は自由に道をつくるけど
雨が止んだら消えてしまう
でも私はどうだろう?
この気持ちは消えそうもない
もうこれ以上待てないや
今から行くから待っててね
暴れ舞う風が問う
雨の後に何があるか知ってるかい?
ああ僕だって気付いてる
ただ踏み出せないだけなんだ
裂けたページをもう一度眺めてみる
やっぱりそうだよな
そうか自由に虹をかければいんだ
そうだ、風に思いを乗せてみよう
どれだけの人が雨の後に虹を探すのだろう?
僕や私だけじゃないはずだ
本当はみんな気付いている
ただ分からないことが怖いだけなんだ
そりゃ、そうだろうと雨が歌う
それでもやるしかない、と風が奏でる
その胸の中にかかる虹を信じるんだ
その強い思いは確かだから
やったもん勝ちだ、さぁ、行こう!
その気持ちのままやってみればいい
全力でまっすぐ 突き進もう!
その勢いで誰も見たことのない
自分だけの虹を描こうよ!
いいから、そんなに考えるなよ
色とか形とか結果なんて…そんなの関係ない!
いいから虹に向かって駆けようよ
思いをそのまま言葉で伝えるんだ
そう自分だけの虹を描けばいいんだ
思いはきっと届く!
風に乗ったノートの切れ端が羽ばたく
そこには虹の中で鮮やかに染まる二人が寄り添っている
以下、背景ウラ話
(設定ストーリー)
<わたし(スポーツ女子)>
夏から秋へと少しずつ進んでいるんだろうけど、屋外でスポーツをするにはまだまだ過酷な気温が続いている。真夏日が減って少し過ごしやすい日が増えたと朝の天気予報でも聞いたけど、天気が不安定でこの頃は帰り際にやってくるゲリラ豪雨にも気をつけてと言っていたっけ。それはそれで困る。
市街地から少し離れたちょっと小高い丘の上にある高校のグラウンドでは、熱中症対策で制限されていた屋外の部活動が解除され、みんな青春を浴びるように思い思いに汗を流している。
今日のグラウンドは金曜日だからサッカー部と陸上部が優先的に広く使う事が許されていて、それぞれが邪魔しないようにキレイにふたつに分かれて使っている。
そんなことはどうでもいいんだけど、ガチ体育会系部活動特有のあの掛け声、なんだかわからないし、なにあれ、鼓舞しているのか?それとも、ヤジなのか?もやはあれは誰にかけている呪文なんだ?いったい何の言語なんだよ…
そんなの真剣に考察する必要ないんだけど、とにかくなんだか頭がおかしくなりそうだ。
ねぇねぇ、アレ見て!なんかいつものゲリラ来そうじゃない?もしかして呼んだでしょ?
スタート地点に戻りながら冗談を言っていると、右腕のスマートウォッチの電子音が遠慮せずに割り込んでくる。はいはい、いつもの雨雲レーダーの通知でしょ。
って今日は何色かな?ヤバ!赤いのがこっち向かってるって!あと15分後に降り始めるらしいよ。
じゃあ、今日はこれで最後の一本だね。
ところでさぁ、最近なんでこんなにゲリラ豪雨が多いんだろう?
えっ、あれでしょ?何だっけ?何とか現象とかってウィキペで見たよ。
でさぁ、雨が降った後って、なーんかアレ期待しない?あぁ、別にその…本気でそんなこと思ってる訳じゃないけど、なんていうのかな…その、なんか見つけると思いが届くような、願いが叶いそうな。そういえば最後に見たのって、いつだったっけな?
あれ?何考えてるんだろ、私は?なんかすっごい恥ずかしい事言いそうになってる…やば、熱中症かも…
その時、今まで全然気にしてなかったのに、急に向かいのサッカー部のイミフな掛け声とともにボールが飛び交っているのが横目に入る。
そのうちの一つが灰色の空にキレイな弧を描いた。
急にドキっとして、鼓動が早まった気がした。
えっ?まだ2、3本しか走ってないし、まだまだウォームアップなのに。
いや、そんな感じとは違うことぐらいさすがに私だってわかる。じゃこれはなんだ?
あっ、ゴメン!なんかちょっと今日は体調が悪いみたい。やっぱり次の一本やめるわ。それにほら、ゲリラ豪雨がマジでヤバそうだし、すぐに止めて撤収した方がいいと思うんだ。
ホントゴメン、先にあっちでクールダウンのストレッチしてゆっくりしてるね。たぶんちょっと休めば大丈夫だと思うから、ゴメン、片付けお願い。明日か明後日か今度一緒に帰ったときいつものあれ、おごるからさぁ…
一呼吸で一気にまくし立てて、最後の「さぁ」が相手に届く前に汗だけ残して校舎の影に溶けてしまった。
<ぼく(ふつうの男子>
放課後のガラガラの教室にポツンと一人で何かノートに書き込んでいる。教室は昼間のざわつきがキレイに片付いていたが、蒸し暑さだけは体にまとわりつくように残っていた。
机につっぷしてぼんやりと外を眺めながら、さっきまでのエアコンの余韻で過ごすのは無理だなと、窓を勢いよく全開にする。と同時に埃っぽい湿った匂いを乗せた風が勢いよく吹き込んできた。当然、優しくもない風はアレンジのかなり効いた髪型へと変えられ辟易する。
風はそのまま机に放置したノートのページをいたずらにめくる。
床に落ちる前に伸ばした手の先で二文字だけ輝いているのに気づく。「に」と「じ」だけが意思を持って飛び込んでくる。
それはすぐに鼻の奥にツンと刺激を与え、外の景色がさっきまで眺めていた雰囲気とは違う感覚にさせる。
あの風は何か叫んでいたような、何か訴えていたように感じたけど、あれは何だったんだろう?
ところで僕はここで何をしているんだ?
いったい何なんだ、この感情は?名前を付けるとしたら何て言えばいいんだろう。
いや、そんな分析や説明を考えてる場合ではない感じがする。
どれくらいの時間考えていたんだろう…いや、何も変わってないし、秒針はまだそこにある。
それよりもなんだか息苦しいな、あーそっか呼吸を忘れていた。危ない、危ない。
これ以上考えてもしょうがない、身体の力を抜いてあの風に身を任せるのがいいみたいだ。
そして、僕は無意識に自然とこうするのが今は一番いいみたいだ。
空に向かってバイバイするように腕を伸ばして大きな弧をいてみた。
<雨と風>
いいねぇ、まさにこれが青春ってやつだね!
でも、それだけじゃまだまだ足りないでしょ!
せっかく気づいたその感情、そのままじゃもったいないよ。
何も考えずに思いのまま飛び出しちゃえばいいんだ。
何も怖がらずに言葉にすればいいんだよ。
だってさ、雨の後には…知ってるだろ?
いいから、先の事なんて考えないで見つけてみなよ!
自分だけの虹をかければいいんだよ!
〈そして…〉
ゲリラ豪雨特有の風もかなり強かったが、彼女は普段の脚でそれくらいじゃ押し負けない。
いや、豪雨とか強風とか彼女を止めることなんて誰にもできそうにない。今の彼女が持つ信念と強い意志に勝るものなんてあるわけがない。
ただ、今さっきまで走り込みをしていた彼女の服装でこの豪雨の中を走れば、周囲の男子共はそれに目を奪われてしまうのは仕方がない。
だけどそれでも、彼女はそんな露わな自分の姿を知ってるのか、それもまたホントの自分らしさだと思うことにした。そうすることで彼女は全力で前に突き進める。
そう、あの瞬間から待つことなんてみじんも思っていなくて、今から行けば間に合うと信じてそれを走る力にしていた。
突風に惑わされた彼は大きめに腕を振りかざした後、しばらく風と会話していたようだ。
なんとなくだけど、それはこう聞こえた。
「雨の後に何があるか知ってるかい?」
いや、何か違う。聞こえたんじゃなくて、自分の中で歌のように響いたんだ。
そう、そんなことは自分が一番わかってる。
ただ、ちょっとこれまで感じたことないような感情に戸惑っていただけなんだ。
そんなことはいいか僕は何をしたらいい?
手の下にあるノートにもう一度意識を戻して、深呼吸をした。
すぐに白紙のページを開いて、おもむろに破り割いた。そこに蛍光ペンで何も考えずに思いを描いてみた。
一本の弧を描くと、そこから先は急に気分がとても楽になって、同時になんだか恥ずかしいけどこれまで感じたことない心地のよい感情に変わっていのがはっきりと分かった。
それでこそ、青春だね!
それでいいんだ、今の君たちにはその強い感情を正直に受け止めて未知創造の先へ突き進めばいい。
理解できなくてもいい、だって論理や計算で解けるようなものではないから。いや答えは一つではないし、そもそも答えがあるなんて概念を考えることじゃないから。
とにかく、今はその感情のままやればいい。
ただ、ただそれでいい。
そうすれば、どんなことが起きても(結果になっても)この先大丈夫だから…自分を信じて。
〈… End〉
豪雨と風は天気予報の通りすぐに通り過ぎた。
「雨の後には…」
空にはまだ分厚い雲があったが、徐々に雲が避けていく。
陽光はずっとその奥で待っていた。
「今からやるから待ってて」
彼は破ったノートの1ページを折りたたんで、手に持ったまま何気に窓枠に手をかけて空を眺めていた。
風の勢いはだいぶ弱まっていたが「今だ」と、ちょっといたずらに奏でた。
彼の手から奪った1ページはフワリと浮き上がり、窓の外へと舞い飛んだ。
それを見ていた彼は心なしか晴れ渡る気持ちでスッキリしていた。
空を見上げた時、陽光が差し込んできて何かが起きるのだと、そんな期待がこみ上げた。
その頃、校舎の屋上にびしょ濡れの状態で彼女は空を眺めていた。
勢いよく校外に飛び出たして走りながらどこに行けばよいのか考えていたとき、豪雨の中ではずっと歌が聞こえていた。その歌に導かれるように自分の呼吸だけを重ねていくと、気がついたときには見覚えのある高い場所にいた。そこはまぎれもなくいつもの学校のいつもの屋上で、言葉にならない何かに期待を抱いていた。
風のいたずらで彼女の視界にあの1ページが舞い込んで、思い切ってつかみ取った。
ちょっとクシャッとなった1ページを広げると、そこには虹の下で幾重にも重なった色で2人が染められていた。
空には二段に重なる虹がかかっていた。
遠くのその虹の下には寄り添っている2人の幻影がぼんやりと見えた気がした。
蝶って一匹、2匹って数えるじゃなくて、1頭、2頭って数えるんだね。初めて知った。
ひらひらが近付いてきて、すぐ体をのけた。
たくさんいたなら、気持ちわるいのは、
分かるよと言われた。
一匹だってきらいだ。
どうしてかわいく見えないのかなんて、
かわいくないからでしかなかった。
みんな小さいどうぶつに
きいろい声をあげるみたいに。
大人になったら、誰もひらひらのことを言わなくなった。
あるとき、花畑に行った。
あ、とんでるね。
ねえ、これ名前、なんだっけ?
そう言われたとき、血の気が引いてきた。
黙っていたら、ほほえまれた。
「こっちがモンキチョウ、
こっちがモンシロチョウ」
「わかんないよ」
「あのね、後ろの羽に、紋があるのが
モンキチョウ」
「!」
「色だけじゃなくても、見分けられるよ」
モンシロチョウ
ひらひら ひらひら
小さなからだで
何処に飛んで行こう
短い空の旅
光を受けて
飛び立とう
「モンシロチョウ」
蝶は成虫の姿だ
イモムシからサナギになって蝶になる
イモムシが変形して蝶になるわけではないらしい
サナギの中ではドロドロに液体化して
一から作り直すという
人間の姿って
成虫なんだろうか
イモムシなのだろうか
ドロドロの私は蝶になれるのだろうか
モンシロチョウを見つけて喜ぶような優しい生活がしたいです
周りはどんどん進化して行くのに
世界はどんどん未来に向かうのに
私はずっと、進んだと思えば止まって
結局同じ所をぐるぐるしている。
嫌になった時、目の前を通った"モンシロチョウ"が
新しい風を運んでくれたみたいだった。
このままでもいい、よくやってるよって。
認めてくれたような気がして嬉しかった。
3年前くらいかな
酒屋バイトしてた時にちょうちょ入ってきて
私虫がめっちゃ苦手でさ
狭いレジの中ぶつかりながら逃げまくったら
引きながら上司が逃がしてくれた
っていうどうでもいいこと思い出した
マジで苦手なんです
「モンシロチョウ」
「モンシロチョウみたいな肌ね。」
友人にそう言われた。
「モンシロチョウみたいに白くて、儚い。貴方には花が似合うわ、あぁでも赤はダメ、赤は似合わない。」
そう言いながら友人は、菜の花を私の耳元に掛けた。
「うん。やっぱり、モンシロチョウね。」
友人の言っている事はサッパリだか、友人が幸せそうに笑みを浮かべてこちらを見つめるから私も曖昧に笑みを浮かべて返す。
友人の手には「赤」があったことに私は気付かなかった。
私の周りには、友人が「似合わない」と言った、
「赤」が広まっていた。
『モンシロチョウ』
うららかな天気に誘われて、庭先で戯れる白いちょうちょ。
「あーっ、チョーチョ!」
キャッキャとはしゃぐ無邪気な子どもの声。
「チョーチョ、まってぇ…。」
パタパタと羽を動かして、追い掛ける小さな手を躱しながら、チューリップからビオラ、カキツバタの周りを飛び回る。
「蝶々さんに、バイバイしよっか。」
少しだけ距離を置いて、無邪気な子供を観察するかの様に、空中でホバリングする白いちょうちょ。
「ぅん。チョーチョさん、バイバイ!」
手を振る子供を確認して満足したのか、白いちょうちょは空へ帰っていった。
ひらひらと舞う何かを見つけたとき、ボクは首を傾げることしかできなかった。
ほこりとか、花びらとかそういうものの類ではない、まるで自分の意思をもって飛んでいるような白いその姿をボクはこの世界で見たことがなかった。
なんだろうこれは、と手を伸ばしかけた時、それの上から何かが覆いかぶさってそのまま下へと落ちた。
「⋯⋯生き物がこの世界に入り込むとはね」
声も言い方も演奏者くんとは全く違うその人の声を聞いた時、背筋が伸びるような心地がした。
黒いワイシャツに黒いベスト、少し厚手で身体のラインを隠すようなズボンに黒い革靴。
権力者集団の中でも特に偉い人が立っていた。
「お疲れ様です⋯⋯」
「やぁお疲れ。『メゾ』、どうだいやつは」
「え⋯⋯⋯⋯『ピアノ弾き』は今の所、特に目立ったことはしてない、かと」
「なるほど。住人も少しばかり増加量は減ったものの当初の予定よりはいい水準だ」
上機嫌で微笑んだのを見て、ボクは心の中で安堵した。正直演奏者くんと仲良くしているということがバレているかもしれない、なんて不安がずっとあったけど、とりあえず救われたらしい。よかった。
「⋯⋯⋯⋯『ピアノ弾き』はなぜここに来たのかは分かったか?」
「いいえ。相手からも敵対意識を持たれてしまってる面があるので、まずは少し親睦を深めてから聞き出すつもりです」
「敵対意識か。確かに彼の心意気とは相反するからな。敵対意識を持たれるのは当然のこと、想定の範囲内だ」
「はい⋯⋯」
「そういえばお前、これはモンシロチョウという。教養がおまえは著しく欠けていたからな。いい機会だし教えておこう」
「あ、ありがとうございます!」
「ふ。どうってことはない。それでは引き続き頼んだぞ」
偉い人はそう言うと去っていった。
今の所は対等なのだ、演奏者くんとボクは。
でも、偉い人の集団から外れた時、その時は。
叩き落とされたモンシロチョウを見ながらボクはため息をついた。
演奏者くんが来なければ先にこうなってたのはボクの方だったのだ。
モンシロチョウもボクも大きさは全然違うのに命の軽さは同じ。絶対的な弱者。
「⋯⋯ボクももう少し何かすごいとこがあったらな」
そんな呟きは虚空へと消えた。
本日は彼の目線からお届けします。
「お、モンシロチョウか」
事務所の窓の外、よく晴れた空に一匹の蝶が舞う。
大きな樹が立つその庭は、すでに春の色が薄れつつあった。
「まじ?どこッスか?」
後輩の青年が、俺の独り言を拾って窓から身を乗り出す。じっと空を見つめて、かなり熱心に探しているようだ。仕事にもこれくらいの熱意を持ってくれたらいいんだが、世の中そう上手くはいかないものだ。
「蝶々探しもいいが、仕事は終わったのか?」
俺が声をかけると、青年はクッと肩を動かし、ぎこちない動きでデスクに戻った。大袈裟なため息を吐いて、不満そうにモニターを睨みつける。そんな顔をしているが、今日まで仕事をサボっていたのはお前だぞ?と苦笑をして、俺は休憩に入る。
窓の外にはまだモンシロチョウが待っていた。今度は、二匹。
ずいぶん、昔。
同じような景色を見た。
確かそれは、赤煉瓦のビルの喫茶店で、ステンドガラスからの光が俺たちを輝らして、唯一のガラス窓から、外を覗いた時。街なかには珍しい、緑が茂る空き地、白く輝く二つの光は、ちょうど座った人間の目線の位置に舞っていた。
普段は表情筋が仕事をしないお前の顔が、少し緩んで、瞳に映る光が美しかった。
「なにしてんスか、あんたも仕事してくださいよ」
青年が、口をとがらせて俺に言う。真っ白な室内の壁紙が、思い出も覆い隠してしまうような気がした。ただ、窓辺のチューリップだけが、鮮やかなオレンジ色をしていた。
モンシロチョウは青空を舞う。
ある、春の終わりの、古い思い出。
あいつは憶えているだろうか?
(モンシロチョウ。)🦜
あのね。
・僕は、雑食性、
だから 昆虫が
大好きなんだよ。🦜
(でもね。)
「モンシロチョウの
幼虫が
成虫に 成って
お花と、お話しているところに、
すごく、感動
したんだよ。」🦜
・・(何故か。)
蝶というのは死者を表す生き物だとかなんとか、聞いたことがある。
俺の村も、そんな蝶にまつわる伝承がある。
満月の美しい夜、食糧を目当てに村に忍び寄ってきた鬼が、金棒を振り翳す。その角で威嚇し、その体躯が俺たちに危害を加え、その武器で人間を襲う、あの鬼だ。
昔々から鬼は恐れられ続けていた。
ついに俺たちの村にもやってきてしまった。
もう何十年も昔、俺の父が子供の頃にやってきたそうだから、つまるところ祖父の時代だ。
鬼は金棒を肩に担いで、何かに対し怒り狂い、その金棒を蝶に振り翳した。
人々は当然困惑、襲われる対象は俺たちだと思っていたからだ。
だが蝶が身を呈して俺たちの村を守ってくださったのだ、と分かると、村は蝶を称えた。
ひらり、ひらり、ひらり。
独特な翅の音を立てて、その蝶は飛んだ。
あれ、あれが、あれは…。
「あ、あああ、」
吸い込まれていくように足が動く。
頭もよくはたらかない。
「ああ、綺麗だ」
「ああ…」
「鬼、霊…?」
#2024.5.11.「モンシロチョウ」
昨日に続けて創作蝶の話。
最近hrakにハマりつつある。実は夏に友達と映画見る約束してから追ってた。
なんか、観てると自分もすげえ動けそうな気分になる。分かりません?
題材変更『モンシロチョウ』
↓
『Miracle』
唐突だが
私は…この年齢には珍しく
流行りの歌を知っているし、毎日のように歌う
どうやら、同世代、10以上離れた人より
音楽に触れているようだ
昔流行った曲だけではなく
今の曲にも心が躍る
最近、それに気がついたのだ
物心ついた頃から歌が好きだったし
ピアノを習わせてもらえなかった私は
幼稚園児で両手で、見様見真似でオルガンを弾けた
楽譜を読めるようになったのは小学校高学年
その頃には
ピアノを習っている人を差し置いて
校歌や合唱の伴奏もした
独学でだ
未だに楽譜はスラスラは読めない
から
ドレミを書き出す
が、不思議と右手は勝手に
メロディーを奏でる事が出来る
中二病だからか?
流行りの歌も身に沁みる
この表現自体がBBAだけどw
いつの日も時代を超えても
恋愛ソングが響く
応援ソングも勿論響く
最近は昔のアーティストの曲も流行り
音楽って…
時を越えても尚、誰かしらの心に響く
こんな素敵なことはないんじゃないか?
とさえ、思うのだ
そこで、恋愛ソングでよく出てくる
沢山喧嘩もしたね
みたいな歌詞が気になった
それでも仲良しだったねってパターンと
お別れしたパターン
大抵この2つ
私は…お別れパターンだ
すれ違ったまま、戻ることはない
なのに
君とは喧嘩すらしたことがないことに
驚きを隠せなくなった
こんなに沢山の音楽に触れてきたのに
そのパターンの曲には出会ったことがない
教科書がない!そんな感じ
こんな穏やかな人がいるんだ…
こんな無茶苦茶な中二病に
イライラする素振りさえしたことがない君
仕事をしているときでさえ
みんなピリピリしているときでさえ
声を荒げたことがない君
スゴイね!本当に…君って人はスゴイよ!
だから私は…君に惹かれたんだね
だって
こんな人と私は…初めて出逢ったんだ
衝撃だよ
『miracle』なんだよ
私の人生は、いつも誰かかしらがピリピリしていて
それを鎮めるのが私の役割だったから
私が泣くことさえ許されなかった
だから…ごめんね
いつも君の前でワンワン泣いちゃうのはさ
今までの痛みも少しずつ
解れていくのが分かるからなんだ
だから…ごめんね
泣いてしまうのは同時に嬉しさも溢れているってこと
どんどん癒やされていくのが分かる
だれかさ…
こんな曲作ってくれないかな?
ん!?
私ならひょっとして出来るかな!?
作ろうかな?w
「もう春だね。」
俺は今日も、彼女を探す。
「入部ありがとうございます!」
俺の前には嬉しそうにしている女の先輩。俺は可愛らしい先輩に惹かれ、気付いた時には廃部寸前の【写真部】に、入部していた。後悔しても、もう遅い。先輩は仲間ができたと喜んでいた。そんな先輩に現実を話すのは酷だ。俺は諦めて、部員二人だけの写真部に入部した。
あれから半年が経った。先輩との部活動は大分楽しいかった。先輩の事もよく知れた。彼女は蝶、特にモンシロチョウの写真を撮る事が多かった。来世は蝶になりたいな~。なんてよく言っていた。来世なんて現実離れしている。その時は思っていた。それなのに。
先輩が交通事故に遭って亡くなった。俺はまだ、先輩に好きを伝えていないのに。何度も後悔した。だが、先輩は戻らない。泣き疲れた時、俺は自殺を決意した。
最後に先輩の墓を訪れた。そこには先輩が待っていた。先輩は生前と変わらぬ、可愛らしい笑顔で居た。
『やっと来た〜。待ってたんだぞ。』
涙が出る。でも、先輩の前では格好つけたい俺だ。
「すぐに、そちらに向かいます。また一緒に写真を撮りましょう。」
俺は下手くそに笑った。しかし、彼女の笑顔はなかった。
『駄目だよ。命を大切にして。まだ生きてよ。』
「貴方が居ない日々になんの価値もないですよ。俺はこれからも先輩が好きです。」
先輩は泣いていた。嬉しそうな、悔しそうな表情だった。
『私も好きだよ。でも、もう手遅れなんだ。だからさ。私は来世では蝶になる。そして、君は私を撮るんだ。』
先輩は本当にずるい。その瞳を見て、断れるわけない。俺は先輩に小指を向けた。
「約束ですよ。」
先輩の顔には、俺の大好きな笑顔があった。
俺は先輩を探して色んな所を訪れた。しかし、どこにも居ない。そこで俺は二人だけの部室に向かってみた。俺は、部室に入るなり、シャッターを切った。小さくて儚く、それでも確かな強さがある可愛いらしい先輩の姿があった。
う、嘘だろ。
全員で、俺をドロ4で狙い撃ちしやがって。
分かった。
分かってるよ、『UNOで負けた奴は面白い話をする』だよな。
覚えてろよ。
で、お題は?
『忘れられない、いつまでも。』?
また変なお題を……
と言っても忘れられないことなんてないぞ。
俺の人生に特に波乱もなく、お前らと違って堅実な人生を送ってるから、別にそういうのは――
あ、一つあったわ。
でもあの話は……
いや待て、そんな前のめりになるな、分かったから、話すから。
まったく……
なんなんだよ、その食いつきは……
コホン。
えー、俺が中学生の時の話。
俺、中学生の時は電車通学だったんだ。
自転車か電車かっていうギリギリの距離だったけど、まあ、ちょっとだけ背伸びたくてね。
電車通学にしてもらったんだ。
それで毎日、通学の時、駅で乗り降りするわけなんだけど、あったんだよ。
『開かずの扉』。
学校の最寄り駅の待合室に。
なんの扉かというと、駅員が待合室から窓口の中に入る、いわゆる業務用ドアってやつ。
その扉、雰囲気がそれっぽくてな。
錆が浮いてるし、ペンキもはがれてて、特に扉が開いた時なんか、ギィー……って地獄の底から音がするような――
え、何?
『開かずの扉だろ』って?
いや、開くよ、当然じゃん。
それ開かないと、駅員さん困るからね。
全然開かずじゃないって?
まあ、そうだな。
さっきも言った通り、『いかにも』それっぽいから、俺たちが勝手に『開かずの扉』て呼んでたの。
子供だったからな、楽しければよかったわけ。
で俺達が勝手に盛り上がって、いろんな噂をしたわけよ。
あの扉は開かない、いや開けたら連れて行かれる、とか。
で、それを聞いてみんな『怖い』とか『やべえ』とか言って楽しむんだ。
みんな嘘だと知っててね。
電車通学じゃないやつは信じてたかもしれないけど、まあ怪談ってそんなだよね?
今思い出しても懐かしい。
俺の忘れがたき故郷の思い出だな。
ああ、そんな顔すんなって。
ここまでは前座。
俺が本当に忘れられないことは、これから話すことなんだ。
そんな感じで楽しく、『開かずの扉』で盛り上がった学校生活も3年目。
季節は……たしか今ぐらいだったと思う。
学校の近くのコンビニで漫画を立ち読みしてたら、電車の時間が近い事に気が付いたんだ。
慌てて駅に走ったわけ。
都会では考えられないけど、故郷は田舎で、電車が30分に1本なんだよ。
だから遅れまいと、全力で走ったんだけど、待合室まで行ったところで、なんと目の前で電車が出発。
俺、その場で力が抜けて、その場でへたり込んだのを覚えてる。
少し放心した後、地面に座るは行儀が悪いと思って、這って近くの椅子に座ったんだ。
電車が出発したばっかりで待合室はガラガラだったから、椅子は選び放題だった。
次の電車まで、何をして時間を潰そうかと考えていた時に、一人のおっさんが走って来たんだ。
おっさんも電車に乗り遅れまいと走って来たみたいなんだけど、まあ、俺と同じで乗り過ごしたんだ。
でもおっさんは、俺と違う反応をした。
キレたんだ。
『なんで、俺が来るまで待たないんだ』ってね。
遠くから見ていただけなんだけど、アレは酒を飲んでいたね。
で、突然のクレームに駅員が驚いて、窓口から出てくるわけよ。
『開かずの扉』を通ってね。
駅員さんも酔っ払いに慣れているのか、『マアマア』とか『落ち着いてください』ってなだめていたんだ。
でも、おっさんにはそれが不満だったらしくて、『お前じゃ話にならん、駅長と話す』って言って、窓口に入ろうとしたんだ。
『開かずの扉』からね。
そこで、駅員が止めるわけなんだけど……
「そこは開きません。『開かずの扉』です」
って、それこそ、本当に地獄から響いてくるような、とても低い声で……
顔こそ笑顔だったけど、得体のしれないものを感じてビビった。
さっき『開いてたじゃん』とか反論を許さないような、妙な気迫があった。
おっさんもビビったらしくって、『そっか、じゃあ仕方がないな』って駅を出ていったんだ。
どこ行ったかは知らん。
興味なかったからな。
それで駅員は、おっさんが去った後、俺のほうに向いて、
「お騒がせして申し訳ありません。 何かありましたら窓口へ」
って言って窓口に戻っていったんだ。
一番近い『開かずの扉』を使わず、わざわざ遠回りしてホーム側にある扉まで行って……
俺、そこで思い出したんだ。
確かに、駅員があの扉を使ったところは見たことがある。
けれど、内側から出るのは見たことあるけど、外側から入っていくのは見たことが無いって……
俺、今気づいたことがとんでもなく意味不明過ぎることに怖くなって、そのまま駅を出て、家まで走って帰った。
外は暗くなるくらいに家について、帰ってからは自分の部屋で布団に包まってガタガタ震えていた。
俺、怖くなって、電車通学を辞めて、自転車通学にして、そのまま卒業まで自転車で通った。
それ以来あの駅に行ってないんだけど、地元の友達に聞いた限りでは『開かずの扉
』はまだあるらしい。
肝試しに行くって?
場所は教えてやるから、おまえらだけで行け。
俺はいかない。
俺、今でも怖いんだ。
目の前で起こった意味不明な出来事。
自分が知っていると思った事が、全然得体のしれないものだと気づいた時の恐怖。
あの時に感じた、現実感が急になくなる浮遊感。
忘れられないんだ、いつまでも。
ずっと。
俺はあの扉が怖い。
モンシロチョウ
色々な色にそまらずに真っ白で
自分らしく生きる小さなその姿
凛とした強さと愛らしさを感じる…
君はいつまでもそのままで
変わらぬままの小さな勇者
モンシロチョウ
蝶は儚く見えるから美しい。
「儚い」ものは「美しい」のだ。君にはわかるか?
あの、白い翅を持つ小さな蝶も美しい。
儚い命だ……私たちから見れば、の話だが。
そう。私たちも「儚い命」なのだ。
例えば、木は長生きだ。1000年も生きる。
私たちの10倍生きる。
地球は46億年生きている。
この宇宙はもっと長く。
世界は連続している。
私たちもモンシロチョウとして羽ばたいているのだ。
モンシロチョウ
いつもの空き地は、色々な草がところ狭しと茂っている…蒲公英やヒメジョオンや茅だの…そんな高く生い茂る所々に、クローバーが、拡がっている…
子供の頃は、良く四つ葉のクローバーを探していたのを、思い出す…飽きっぽい私には珍しく、根気良く一つ一つ見定めていた…そんな直ぐ側には、白い蝶々がひらひら舞っていた…まるで、私を誘う様に…咲いている、白詰草も、風に揺れ乍ら、何かを囁く様に…