ひらひらが近付いてきて、すぐ体をのけた。
たくさんいたなら、気持ちわるいのは、
分かるよと言われた。
一匹だってきらいだ。
どうしてかわいく見えないのかなんて、
かわいくないからでしかなかった。
みんな小さいどうぶつに
きいろい声をあげるみたいに。
大人になったら、誰もひらひらのことを言わなくなった。
あるとき、花畑に行った。
あ、とんでるね。
ねえ、これ名前、なんだっけ?
そう言われたとき、血の気が引いてきた。
黙っていたら、ほほえまれた。
「こっちがモンキチョウ、
こっちがモンシロチョウ」
「わかんないよ」
「あのね、後ろの羽に、紋があるのが
モンキチョウ」
「!」
「色だけじゃなくても、見分けられるよ」
5/10/2024, 4:03:17 PM