モンシロチョウ』の作文集

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モンシロチョウ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/11/2023, 9:48:23 AM

モンシロチョウ


初めて幼虫を見た時気持ち悪いと思った。

2回目に卵を見たら発狂した。

うにょうにょ動き出すソレは私の心を不快にさせ、ぶすぶすと包丁を突き立てたくなった。

けれども、そんなことをしたら包丁が汚れるからしなかった。

だから私は知らないフリをした。

でも、むしゃむしゃと小さい口で頑張っている姿は何故か愛嬌を感じた。

私はその子を捕まえ、食べる様子をもっと近くで観察することにした。


きゅうりを与えてみたり、トマトや人参の皮。

でも、1番食べたのはやっぱりキャベツだった。


その子はサナギになったまま旅立った。

あの可愛らしいフォルムをしている蝶にはなれなかった。


私はごめん。そう謝り、庭の隅にそれを埋めた。


翌年、キャベツ畑の周りを飛ぶモンシロチョウが目に入った。


なぜか、自然と涙が出た。

5/11/2023, 9:45:27 AM

#82 モンシロチョウ

季節外れの暑さが
やっと落ち着いた夕暮れ
色褪せた菜の花畑で
白い春のなごりが
弱々しく
でも妖しく
闇に舞っている。

お題「モンシロチョウ」

5/11/2023, 9:42:42 AM

ヒラリヒラリと蝶は舞う
優雅に、美しく
色とりどりの花の上を舞い踊るように飛んでいる

蝶にも色んな色がある
どれも綺麗で、美しい
けれど私は、白が一番綺麗に見える

どれが綺麗かなんて人それぞれ
人の数ほど様々な見方がある

私は白がどんな色にも合うから、一番
花は色とりどりだから、どんな花にも合うのは白
白は何色にも染まるから

私も、あんな風に
自由に、そして優雅で美しく飛んでみたい
飛べなくてもいい、あんな風に生きてみたい
どんな色にも合う様な人になりたい

さて、私の一番好きな蝶は、何でしょう?



お題〚モンシロチョウ〛

5/11/2023, 9:39:53 AM

土が滲みた軍手につっと止まるはモンシロチョウ。 
白地に2つ並んだ黒い紋様が、ちょっとハートみたいだ。
そこに蜜はないぞと笑いかけても、通じていないのか飛び立たない。

ときにこれは本当にモンシロチョウだろうか。
やあそこの昆虫博士、ちょいと教えてくれないかい。
土から引っ張り出したミミズと戯れる我が家の小さな虫博士に寄っていく。
チョウが飛んでいかないように、そおっと。

5/11/2023, 9:38:45 AM

「ねぇねぇ、このちょうちょさんの名前ってなあに?」
 娘が買ってもらったばかりの図鑑を指差しながら、俺にみせてきた。そこには小さくて可愛らしい蝶々が一匹。真っ白な羽に黒い模様がぽつんとある。写真の下には“モンシロチョウ”と記載されているのだが、小学校にあがったばかりの娘には読めなかったらしい。
「モンシロチョウだよ。モンシロチョウ」
 俺は引き出しからメモを取り出して、ひらがなで“もんしろちょう”と書いた。すると娘は「そうなんだあ!」」と嬉しそうに目を輝かせた。
「今日ね、この子がっこうで見たの! ひらひら〜ってね!」
 そうして娘は今日あったことを話してくれた。誰それと昼休みに遊んだとか、宿題ノートに花丸貰えたとか。身振り手振りしながら楽しそうに話す姿がとても愛らしかった。
「そうだ! 今度の日曜日に公園に行ったらこの子に会えるかな?」
「あぁ、会えるかも────」
 ────と、言葉にして、ハッとする。
「やったぁ! じゃあ今度の日曜日はぁ、絶対公園行こうね!」
 なんとも巧妙な手口で週末のおでかけを約束してしまった。妻になんて言われるだろうか。しかし、娘の笑顔を見ると何も言えるわけがないのだ。
俺は妻にどう言い訳しようか考えながら、娘と妻の帰りを待っていた。

5/11/2023, 9:25:50 AM

24 モンシロチョウ   


モンシロチョウは好きだけど、青虫は嫌いなの

それが母の口癖でした。
健康のために穴だらけの無農薬キャベツを買ってきては、うぞうぞと出てくる青虫をそれはそれは嫌な顔でティッシュで潰して捨てていた。私はそのキャベツが嫌いでした。まるで虫たちに栄養を吸われてしまったように、苦いだけのスカスカした味しかしなかった。それを大地の恵みの味だという母親とは、気が合わないとずっと感じていたんです。私の容姿が良くないことをよく「大切なのは中身よ」と慰めてくれましたが、あのキャベツは見た目ばかりでなく、中身である味さえも悪かった。だいいち、お母さんはモンシロチョウが好きなのにアオムシは潰すじゃないか。それは見た目が良くないからではないの?子供なりに、そんなことを考えてもいたんです。


私は20歳のころ、就活に備えて整形をしました。
美しくなった自分を鏡で見るのは楽しく、実際に大手に内定も取れた。母に? 言いませんでした。事後報告です。結果としては大変に泣いて暴れて「軽薄」と罵られ、その頃から、彼女とは疎遠になっています。母が所属していた「大自然の免疫と健康食の会」も、正直狂信者の集まりのようにしか見えませんでしたし、距離を置きたかった。
ですから、母の死についても何も知りません。明らかに流行りの感染症の症状がでているのに、海草や漢方薬を煎じたお風呂につかって、そのまま亡くなって体が溶けた。よくある話…ではないのかもしれませんが、自然の恵みへの信仰に殉じすぎる人というのは、いつの世も一定数いるものでしょう。溶けた母の体は、状態がひどすぎて確認ができませんでした。青虫とどちらが美しかったのでしょうね? などと言ってはあんまりですが、私はあまり、母がかわいそうだとも思わないんです。私が鏡の中の美しくなった自分を見て感じるのと同じ幸福感を、お風呂でゆだりながら、母も感じていたのではないかと思うからです。

何に幸せを感じるどう生きるかなんて、母娘であっても重ならないものですよ。私は、そんなものだと思います。ただ今でも、公園などでひらひらと飛んでいるモンシロチョウを見ると、母の口癖を思い出すんです。完全な他人には絶対になれない。これもまた「そんなもの」だと思います。母については、以上です。

5/11/2023, 9:21:36 AM

#モンシロチョウ

君もモンシロチョウみたいに飛んで行けたら。
君もモンシロチョウみたいに蛹になって生まれ変われたら。

君は、上から飛ばずにいられましたか。
棺桶に聞いても、仕方ないね。

5/11/2023, 9:12:55 AM

「貴方はいいわね、綺麗になることが決まっていて」
ケースの中でキャベツの葉を食べる幼虫に声をかける。
「そうでもないよ。ご飯を食べられなければ大きくなる前に死んじゃうし、サナギのうちに鳥に食べられることだってある」
大きな葉っぱを飲み込むと彼は私に話しかけてきた。
「それでも大きくなれば綺麗だって持て囃されるでしょ?」
「とんでもない!うまく成虫になれたって柄が綺麗に出なきゃみんなに嘲笑われるだけさ!」
小さな手足を動かして彼は抗議する。彼の表情は分からないはずだが、私にはとても怒っているように感じた。
「そっか、貴方も大変なのね。ごめんなさい」
「分かってくれたらいいんだ。それに僕にとっては君たちニンゲンの方が羨ましいね」
「あら、どうして?」
彼の意見に首を傾げ尋ねる。
「オカネというものがあればいくらでも姿を変えられるんだろ?」
「そうね。でも、お金で変わった身体は本当の自分じゃないと思う人もいるわ」
「そうなのかい?繁殖できるのであれば手段なんて関係ないと思うけれど」
「人間も複雑なのよ」
「ふーん」
私の話を理解していないであろう彼の言葉を聞きながら、冷めた紅茶に口をつけた。
「ところでキャベツのおかわりはどうかしら?」
「喜んでいただこう!」

将来がどうであれ大きくなれなければ綺麗もなにもないからね!

小さな幼虫は胸を張ってそう言った。

5/11/2023, 9:09:43 AM

野原を白い蝶がふわふわと舞っている

 私は寝そべりながらそれを見る

 風に揺られ

 あっちへふわふわ

 こっちへふわふわ

 花を探して舞っている

 あぁなんて気持ちよさそうなんだ

 私も飛べたらどんなに気持ちいいことか

 風を身にまとい

 空高く舞い

 花と戯れてみたいものだ

 ふと白い蝶が私の鼻に止まった

 おやおや

 そこは“ハナ”違いですよ

 そう話しても

 蝶は何食わぬ顔で鼻にとどまっている

 私は蝶が驚かないように

 わずかに上げた耳をゆっくり下ろした

 私の黒い鼻先にいる白い蝶

 なんて綺麗で可愛いのだろう

 毛並みを風に撫でられながら

 私はゆっくりと目を閉じた

              『モンシロチョウ』より

5/11/2023, 8:58:13 AM

[モンシロチョウ]

「おいで、そう……良い子だね」
彼女の指に一匹の紋白蝶が止まる。
「うわぁ、よく触れんね。俺には無理」
「なんで? 可愛いじゃん」
そう言いながらお前は俺の目の前に蝶の止まった指を持ってくる。
「うわっ、え、いやマジで虫無理だから指近寄らせないで」
目の前に差し出された手を蝶に触れないよう恐る恐る遠退かせる。
「言い方酷いって」
「蝶だって分類的には虫じゃん。ちょっと見栄えが他と違うからって調子乗ってると思うんだわ」
「え、ダジャレ?」
「違うし。ていうかダジャレって言い方やめてくんない? 韻踏んでるって言って。そっちのが格好いいし」
「はいはい。あ、写真撮った?」
「ん」
「うん、ありがとう。もういいよ、行っておいで」
風が吹いたタイミングでお前は指をゆっくりと跳ねさせて、蝶は風に乗って空に飛び立つ。
「どんな感じ?……お、上手く撮れてる。流石プロ」
「WPCで優勝経験のある俺に無償で蝶の写真撮らせるのなんてお前くらいなもんだわ」
「よっ、世界王者。いつもお世話になってます」
「舐めんなって、うおっ」
彼女が5枚目をスライドしようとした瞬間カメラを取り上げる。あっぶな。
「資料としてならこれだけでも十分だろ」
「まぁ、そうだね。ありがとう、帰ろ。帰りは私が運転してあげる」
「あ。じゃあ腹減ったから途中にあった中華屋寄らん?」
「それいいね。ていうかもうお昼なんだね今気付いた」
「蝶に夢中になりすぎなんだよ、お前は。どんだけ好きだよ」
彼女の頭を豪快に撫でると髪がぐしゃぐしゃになったお前は拗ねながら髪を手ぐしで直す。左肩に掛けているカメラの数枚を思い出す。一面の花園で蝶を指に止めようとするお前の姿。白いワンピース姿で指に蝶を止めて微笑みかけるお前の姿はこの世の何よりも綺麗だ。
まるで天使が舞い降りたかと錯覚してしまいそうになるほど。大嫌いな蝶でさえも写真の中では美しさを感じてしまうほどに写真の中のお前に恋い焦がれる。
「なんか考えるとさ、世界を取った写真家に無償で依頼してるの申し訳なさ強いね」
「なら金払うか? 俺結構高いけど」
「うぐっ……研究者は孤高なもんで……」
「おう、随分と良いように言い換えたな」
「ま、まぁ。今日は奢る!」
「朝飯は俺が奢ったんだよなぁ。って冗談だよ、気にすんなって」
「いつもご迷惑お掛けします」
「別にいいけど。あ、じゃあ今度ポートフォリオの制作手伝ってよ。それでチャラでいいから」
「なんでもお手伝いさせてもらいます!」
「よし、言ったな? 前言撤回とか無しだからな」
「え? え? 何させる気? ねぇ!?」
「足止めんな、ほら。早く戻って飯食いに行くぞー」
全く、次の制作が今から楽しみで仕方がない。今まではずっと恥ずかしがって被写体になってくれなかったけど俺は今言質を取った。ようやくちゃんとお前を撮ることが出来る。早く構成を考えて指示書を作り上げないと。

「知ってるか? 写真ってのはその時間、その瞬間を残酷なまでにありのまま映し出すんだ」
そして、写真を撮った人間の心も簡単に映してしまうものでもあるんだ。
お前を撮った俺の写真を見たら、お前の目にはどう映るんだろうか。

5/11/2023, 8:51:20 AM

モンシロチョウ


ひらひらと空を舞う蝶々。
黄色に青に白の羽。
粉を残して去って行く。
肩に白い蝶が止まった。

…彼女の羽も白く美しかったことを、覚えている。


僕は、誰もいない図書室で夕焼けに照らされながら、本を読むのが至福だった。誰にも邪魔されないように、自ら図書委員に志願したが、利用者が少ないのもあり、殆ど一人きりの時間を過ごしていた。
「あ、このシリーズの本、新しく出たんだ…。ちょっとだけ読んじゃおっと」
人気作であろうが、一番初めに読めるのが図書委員の強みでもある。ただ、作業が進まなくなってしまう時もあるので、本好きにはただの誘惑になるのだが。
「やべ!もうこんな時間?!…んーっ…また夢中になりすぎた……」
やめられないとまらない、もうこれだけはしょうがないとすら思っている。
「あの…すみません、これ、お願いします」
「えっ?!わ!いつからそこに…。あっ、はい…どうぞ」
柔らかそうなサラサラとした黒髪が揺れる。目は丸く、白い頬に浮かぶ桃色は花弁が散っているよう。とても可愛らしい印象だ。
「今来たんですよ。ありがとうございます」
優しい声色が心をくすぐる。
「あっ!その本って、鴨平先生の新作ですよね?図書室にあったんだ〜」
「そっそうそう!今日入ったばかりなんです!…僕が一番に借りちゃってます…」
「うふふ、図書委員の特権ですね」
「へ、へへへ…」
彼女の笑い声が鈴の音のようで…とか、小説じみた感想を胸に、僕はこの好機を逃すまいと、一歩踏み込んでみた。
「あの、良かったら、一緒に帰りませんか?」
「…!良いですよ」

「実は図書室に来たの初めてだったけど、すごく静かだよね。もっと何人も居るのかと思ってた」
「お昼だと数人はいるんだけど、放課後はほとんど来ないんだ。テスト勉強してるところも、そんなに見た事ないかな」
「えーっ…漫画みたいに、こっそりカップルがお勉強とか、ちょっと憧れてたのに…現実は違うんだね〜」
いざ話してみると、彼女は気さくで分け隔てのない子だなと、思った。とてもいい子だ。
ただ、こんなに可愛ければ噂の一つや二つありそうだが特に聞いた事がなく、顔も初めて見る。たまたま、すれ違わなかったのだろうか。惜しいことをした気分だ。
「羽鳥くんは、彼女いるの?」
「えっ、い、いないよ…。横井さんこそ、どうなの?」
「私もいないよ」
「そうなの?絶対いると思った…!」
「うふふ、まだ一度もないんだよ」
彼女は少し恥ずかしそうに下を向いてしまった。



「実はね、私、羽鳥くんのこと知ってたんだ」
「えっ」
驚いて私を見つめる彼は、なんとも可愛い顔だと思う。
「猫に引っ掻かれそうになった時、助けてくれた」
「えっと…人違いじゃないかな?それ、僕じゃないよ」
「うふふ、合ってるよ。私、あの時のモンシロチョウなんだ」
背中から羽を出してみせると、舞った鱗粉が彼の顔に付いた。拭うように頬をなぞると、彼は赤面し、目を逸らされた。
「ごめん、理解できないよ…。そんな事、あるハズないじゃないか」
「ふふっ。可愛いんだから、羽鳥くん」
拭った頬にキスを落とすと、更に顔を紅く染める。
「今日はね、お礼と、告白をしに来たの。私のものになって欲しいな…って。…また来るから、考えといてね」
困惑している彼を置いて私は花畑へ飛び去った。

あの日、あのモンシロチョウが助けられているのを見てから私は、彼の事で頭がいっぱいだった。
あのチョウが私だったら良かったのにって何度も思った。

そんな時奇跡が起きた。
人間になれた私は、近づくほかないと、彼の事を調べあげた。

噂であのチョウが死んだ事も知っている私は、ラッキーだと、つくづく思う。

やっと、彼と…。

大好きな羽鳥くん、私を受け入れてくれるよね?





「あの時助けた、モンシロチョウ…?」

確かにそんな事をしたかもしれない。
だが、あのチョウは…

「…羽、もぎ取ったはずなんだけどな…」

まあいいか。
楽しめそうなチョウが現れたんだ。
遊ばないと失礼だよな。

「あの羽、取りがいがありそうだなー。でっかい天ぷらにしてもいいかも」

しばらく暇つぶしは、しなくて済みそうだ。



おわり

5/11/2023, 8:43:25 AM

#モンシロチョウ

     家庭菜園で植えていたキャベツを
        すべて食べられた。

5/11/2023, 8:26:15 AM

首裏には真白の蝶が住まう。
流行りのバーコードではなく、旧式のAnalogSerial。バーコード形式のSerialならヴィジュアルトレースされた自らの分身(アバター)を具現化できるのだが、いかんせんバーコードは殺風景に過ぎた。見た目でアバターがわかるのはAnalogSerialの利点だが、最新形式には動きが劣る。

首を撫で、熱を与えることで仮想現実にダイブできるシステムは画期的だ。
旧式であれ、彼女は自らに刻まれた蝶を愛していた。
すでに絶滅へとたどり着いた太古の昆虫、誰も生体を目にしたことはない。
データの中にモンシロチョウは生き続ける。
彼女が失われるまで。

5/11/2023, 8:04:57 AM

【モンシロチョウ】

「とおしゃん、みてみて! かあしゃんのちょうちょ、いるよ!」

そう言って、ハヤトが庭先でひらひらと舞うモンシロチョウを指差した。

「ぼくのおべんとぶくろといっしょだ!」
 
嬉しそうにはしゃぐハヤトの手には、菜の花の周りを舞うモンシロチョウを刺繍した手作りの弁当袋が握られている。ハヤトの母、つまり僕の妻チハヤが彼に遺した唯一のものだった。

我が子を身籠ったとき、チハヤは既に自分の生命が長くないことを知っていた。それでも彼女は僕の目を真っ直ぐ見つめてこう言った。

「私、この子を産みたい。自分の生命と引き換えになっても、縁あって授かったこの命を守りたい」

覚悟を決めた彼女を前に、僕がそれを止められるわけもなかった。彼女は無事にハヤトを産み、2年という限られた時間をともに過ごした。

ハヤトが生まれて間もなく、チハヤはあの弁当袋を作り始めた。もともと超がつくほどの不器用さで裁縫の類いは避けて通ってきたという。

「でも私、この子が幼稚園に行くころはもういないから。せめて、私が母としてできることを1つでも遺したいの。モンシロチョウって、幸運を運ぶといわれてるんだって。ハヤトにも、幸せがたくさん運ばれてるようにいっぱい刺繍しないとね」

そう言いながら真剣な眼差しで刺繍する彼女は、苦手なことのはずなのにとても嬉しそうだった。こうして彼女の想いがつまった弁当袋は、この春幼稚園に入園したハヤトの手に渡ることとなった。

後から知ったのだが、モンシロチョウはこの世を去った者が姿を変え、ひらひらと舞いながらこの世に生きる者たちを見守っているとも言い伝えられている。おそらく、チハヤはそれも知っていたことだろう。

そういえば、ハヤトが幼稚園に行くようになってから庭先でモンシロチョウを見かける機会が増えた気がする。もしかすると、あれは…

「とおしゃ〜ん!」

ハヤトの声にハッと我に返った。そろそろ幼稚園に行く時間だ。今日もまた、あのモンシロチョウ達が彼を見守ってくれることだろう。

5/11/2023, 8:04:04 AM

付き合ってる人より友達として話してる人の方が話しやすいのはなんでなんかな

5/11/2023, 7:55:54 AM

●夢の石の墓標●

生まれ変わるのなら
アゲハチョウになりたかった。


こんにちは!
モンシロチョウの
モンちゃんと申します。

元人間です。
サナギの時までは悠々自適に
眠ってたんですけども、
目を覚ましたら、
モンシロチョウになっていまして、

まぁ、小さいながらもフヨフヨと
飛べるのは気持ちがよいものです。

ですが、先日の事、
呑気に飛んでおりましたら
人間の少年に捕獲されまして、

少年の部屋の机の上に、
1LDの住居を構えていただきまして

窮屈ながらも、外敵から襲われる
心配もなく、生活している所です。

その時、モンちゃんという名前も、
頂きました。単純な名前ですけど、
私はとても気に入っているんですよ。

机の前には窓がありますので、
空は見えます。飛ぶ者として
空が見えれば十分です。

少年は私の事を不憫に思ったのか、
一回だけ、私の事を離そうとしましたが、
元人間の性なのか
良く分かりませんけれど、

少年の事が何だかほっとけなくて、
そこに留まり続けたのです。

そうしたら、少年は諦めて
側に居る事を許してくれたのです。

その日から、私の住居は、
立派な吹き抜けになりまして、

家と少年の部屋を
自由に出入りできるようになったんです。

少年の部屋は私の住居より広いですので、
自由に飛び回るには十分。

少年は雨の日以外は
窓を開けてくれるので、
外の風が入ってきてそれはもう快適です。


そんな、
少年と生活を続けて
どれくらい経ったのでしょう。

人間と蝶では時間の経過が曖昧で
すごく長く感じます。

私が、少年をほっとけなった理由が、
少年はいつも寂しそうな顔をしていて、

なんと、今日は泣いているでは
ありませんか。

何故泣いているのか
理由はわかりません。

私がここにやって来て少し経った時の事、

少年が部屋から出て行って、
また部屋に戻って来た時、

その日はずいぶんと長く、
寂しい顔をしてたんです。

私は、そんな少年を励まそうと、
少年の周りをフヨフヨと飛んでみました。

そうしたら、少年は笑ってくれて、
それから、彼が寂しそうな顔をしていたら、
彼の周りをフヨフヨと飛んでみせるんです。


でも、今日は
いくら彼の周りを飛んでも、

膝を抱えて泣いていて、
全然笑ってくれません。

ねぇ、私をみて。
ほら、私、彼方の周りを飛んでるよ、
そして、笑って。

私は彼方の笑顔が大好きなの。

ねぇ、泣かないで。
私も悲しいよ。

こんな時、
私がモンシロチョウじゃなくて、
キレイで大っきな
アゲハチョウだったなら…

彼方は私の事を見てくれたかな。

ねぇ、泣かないで。

…泣かないで、ほら、
フヨフヨと彼方の周りを
ずっと飛んでてあげるから。

顔を上げてごらん。









「…ゆ…ゆめ…?」

私は、目が覚めると、
病院らしき施設のベットの上にいた。

『目が覚めましたね、ご家族を呼んできますね』

白い服がまぶしい、
ベテランっぽい看護師が、
テキパキと何かをPCに入力しながら言った。

「あの…私…蝶に」

私はさっきまで見ていた夢の話しをしようとした。

『まだ少し混乱してるようですね、もう少しお休みになられていいですよ』

看護師はそういうと、心が落ち着く薬ですよ。
と、点滴の管からそれを注入されて、
私は再び眠りについた。

夢の続きをと願ったが
続きを見る事はなかった。


結局、退院まで数日を要した。
家族は何も教えてくれなかったが、

そんな事より、
気がかりな事があった。

あの、蝶の夢の事である。

あれは、本当に夢だったのか?

ずっと、あの夢の事が気になって
モヤモヤする。


退院した翌日、
私は家族の目を盗んで外に出た。

1時間ほど歩いただろうか、
時間を気にすると急に疲れがやって来て、

どこかで休もうと、ふと視線をやった先に、

見覚えのある公園があった。

正確に言うならば、
見覚えはないけど見覚えがある公園。

ここは、
私が蝶だった時に、飛び回ってた公園だ!

と、瞬間的に思った。

そして、その公園にある花壇の片隅に、
私が夢の中で蝶だった時に、
少しの間一緒に居た少年の姿があった。

よかった。泣いていない。
と、私は思った。

「こんにちは」

私は、思わず声をかけてしまった。
これでは不審者ではないか。

『こんにちは』

少年は屈託のない笑顔で挨拶を返してくれた。
少年の足下には石で作った何かがあった。

「何してるの?」
変な事を気にする事を辞め、話しをする事にした。
いや、話しをしたかった。

少年は石で作った何かを見ると、
少し泣きそうな顔になった。

『もんちゃんのお墓』

「…もんちゃん?…お墓?」

『うん、モンシロチョウのもんちゃん。
ここで、捕まえて、お家で飼ってたんだ』

これは…夢の…。

『でも、何日か前に死んじゃった…。
もんちゃんは、とっても優しい子だったんだけど、僕のせいで…』

少年の大きな瞳から、
今にも涙があふそうだった。

“私のせいで泣かないで”

どこからか声が聞こえた気がした。

「それは、違うよ!」

とっさに出た言葉。

『え?』

「えーと、お姉さんね、
あ、えっと、不審者じゃないよ!」

『う、うん…』

「その…。もんちゃんから、
伝言を頼まれたんだよ」

『本当?!もんちゃんから!?
…でも…もんちゃん、怒ってたでしょ…?』

少年の輝く瞳が陰る。

「ううん。そんな事全然言ってなかったよ!
君に“出会えて、幸せだった”って。
“楽しかった”って。“ありがとう”って。
私に夢の中で教えてくれたの
そして、伝えてって」

『本当!?もんちゃんが?

…あのね、僕も少しの間だったけど
楽しかったよ、お家で寂しく無かったよ、
ありがとう、もんちゃん』

一瞬、自分に言われた気がしたけれど、
少年は、石で作ったお墓に話しかけていた。

そう、
私はモンシロチョウの
もんちゃんでは無いのだ。

でも、少年は笑っている。何だか私も嬉しい。

“彼方、やっと笑ってくれた!
嬉しい!”

また、どこからか声が聞こえた気がした。


「ところで少年、アゲハチョウとか好き?」

『え?アゲハチョウ?
うーん、モンシロチョウの方が、
小さくて可愛くて好きだよ。
アゲハチョウも好きだけど、1番はもんちゃん』

「よかった」

『?』

少年は私の独り言にキョトンとするも、
もんちゃんのお墓に、また手を合わせ、

後からやってきた友達と、
どこかへ行ってしまった。

少年に何の事情があるか分からない。
だけど、ずっと笑っていてほしい。と、
私は思った。

『バイバイ~!お姉さん、ありがとう~!』

少年は振り返って、手を振ってくれた。

私も手を振って、
その後もんちゃんのお墓に
手を合わせ、
また1時間かけて家路についた。

モヤモヤはとっくに消えていた。


その後、家をこっそり抜け出した事に、
烈火の如く叱られた事は、
私ともんちゃんの秘密である。



もし、また生まれ変わるなら、
モンシロチョウがいいなって
ふと思った。




fin.



#今回のテーマ(お題)は
【モンシロチョウ】でした。

5/11/2023, 7:14:01 AM

モンシロチョウ

真っ暗な世界。そんな中が光がいた。真っ白な光。ヒラヒラと舞い、美しい光。
そんな光に、僕は救われた。真っ暗だった僕の世界に、色をくれた。
ヒラヒラと舞う美しい髪、白い光のような肌、まるで羽が生えてくるかと思うほどの美しい姿、そして可愛らしい笑顔に、僕は不思議な気持ちに襲われた。
モンシロチョウのように舞い踊り、可愛らしい光に
僕はきっと “恋” をしてしまった____。

5/11/2023, 6:41:00 AM

『モンシロチョウ』


ふわり一対、白小花
たまの黒子を端に寄せ
行ったり来たりのマイペース
悩む合間に降りたって
羽を休ませ蜜を吸う
ゆーらりゆーらり
もー、まんたい

5/11/2023, 6:40:31 AM

モンシロチョウを飼い始めた。
幼虫である。
残り物のキャベツの芯ばかり与えていたら、何となく白っぽくなった。白虫はサマにならないと思い、キャベツの外側を与えたら少し緑色にもどった。
青虫は蛹になった。
いつチョウになるのだろうか。
楽しみにしているうちに日が経ち、ある朝、飼育ケースは空っぽになっていた。
チョウはいなかった。
おそらく飼い始めた時にはすでにハチかハエに寄生されていたのだろう。
わたしが飼っていたのは何か、今となっては謎である。

#モンシロチョウ

5/11/2023, 6:37:51 AM

モンシロチョウって

なんとなく、幸せを運んでくれそうじゃない?


理由なんてないよ。
なんとなくだからね笑

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