『ベルの音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
太陽光パネルのついた紺色の屋根とクリーム色の壁の古びた一軒家に長蛇の列。
扉横の看板に白い文字で、“お代はいりません。線香に火をつけて、席に座ってお待ち下さい。”と書かれてある。
線香は、さっき受付でもらったコレのことだろう。
どこかの遊園地的なところに来たと思ったが、やはり少しずれている。
2時間ほど並んで、ようやく中に入れた。
店主は若い女性に視えたが、見る者によって老婆や大男に視えるらしい。
“メニューはこちらで”
三角に折った画用紙の筒と、奥には線香立てが置かれている。
なるほど。此処に設置すると自動的に注文したことになるのだな。
それにしても、この店に小学校時代の友達の家に遊びに行った時の感覚。いえば懐かしいものを感じるな。
「はぁ~……最高」
クリスマスイブの夜。目の前では彼女が酔い潰れている。家飲みだからと、甘いワインを調子に乗って何杯も飲むからである。
でも幸せそうな顔をして横になっている姿を見ると、このワインにして良かったなという気持ちになる。
「そのままそこで寝たら風邪引くよ」
起こそうと彼女の肩を軽く揺らす。
「うぅん……」と小さく呟くと、彼女はこちらに向かって両手を広げた。「抱っこー」
子供か! でもかわいい!
彼女を優しく抱き上げ、寝室へ入り、ベッドの上にそっと置く。
「おやすみ。寝たらサンタが来るかもしれないよ」
「この歳で?」
「そうそう。サンタは良い子にしてた人のところに来るから」
「……欲しいもの、あるよ」
彼女がまたこちらに両手を広げた。
その肩の下に両手を滑り込ませ、ぎゅっと力強く抱き締めた。
隣の部屋のテーブルの上には、寝ている間に置いておこうと思っていた、小さな箱に入ったプレゼントが用意してある。
まぁ、それはまた明日渡せばいいか。
欲しいもの、サンタが連れてきてくれるといいな。
遠くからベルの音が聞こえた気がした。
『ベルの音』
毎日同じ時間、同じ音とともに出発の時を迎える。
朝のホームはひんやりと冷たくて、眠気でとろけそうになっていた自分の体を元に戻してくれる。
思えばベルの音で一喜一憂している。
乗り遅れたことも、ちゃんと乗れたことも示してくれるベルの音。ギリギリの時間に着く電車に乗っているので毎日極限状態なのだ。同じ電車に乗っていると、見知った顔が増えていく。
わたしの使う沿線は、ご老人や、身体、または精神的に障がいを持っている方が多く使っている。だから毎朝何かがおこる。あるときはご老人の昔話に耳を傾けたり、閉所恐怖症の男性と会話して気を紛らわせたり、綺麗なご婦人に声をかけられて舞い上がったり、二重人格っぽい男性のわたしには見えない誰かとの会話を聞いていたり…。
なんだかちょっとヘンテコな毎日
たまに怖いと思う時もあるけれど、人が人といることで人になれるなら、わたしは今日も寄り添おう。
ベルの音
クリスマスが近くなると思い出す音がある
ハンドベルで奏でるクリスマスソングだ
小学校のクリスマス会の出し物での演奏だった
無邪気にクリスマスを楽しんでた日々
遥か遠くなった日々を思い出すとき
ハンドベルの音が微かに聞こえる
ウェディングベルの音が村中に響きわたっていた。
幸せな音がする。
街の人は皆笑顔でお祝いをしていた。
私は笑顔を取り繕ったけど
しっかりできていたのだろうか。
ウェディングドレスを着ている女性は
この中の誰よりも輝いていて
タキシードを着た君は
誰よりも凛としてかっこよかった。
私はそんな君が昔から大好きだった。
君に好きな人がいること知ってたし応援もした手前
私が告白する選択肢は選んじゃいけなかった。
ウェディングベルの音が町中に響き渡った時
2人が誓いのキスをした時
2人が側にいて話してる時
2人に好きが見えて愛もみえて
いつまでもこの気持ちこの片想いを
終わらせないといけないことを感じた。
2人のなかに笑顔が途切れませんように
末永くお幸せに!!
─────『ベルの音』
【ベルの音】
朝焼けに染まる空を眺めながら、白い息を吐き出した。目の前のプラットホームには、時間調整のために電車が停まっている。これに乗れば、もう。私はこの町には帰ってこられない。
生まれ育ったこの町も、両親も、友人たちも、決して嫌いなわけじゃない。だけどそれでも、全ての道を決められた選択肢のカケラもない人生なんてごめんだ。自分の足で、自由に、私は歩いていきたい。
ジリジリと鳴り響く発車ベルの音。それに促されるように、私は電車へと乗り込む。ゆっくりと電車は発車した。やがて速度を上げ、私の生まれ故郷を遥か彼方へと置き去りにしていく。
ほんの少しの寂しさと、それ以上の清々しさを感じながら。私は電車の揺れに身を預けた。
イルミネーションの街並みが
行き交うたくさんの人達が
誰もが耳にする
クリスマスソングのベルの音が
今日だけは 僕と君を
この甘く とろけそうな夜の
主役にしてくれる。
君は 今 幸せかい?
無邪気に笑う横顔に
声に出さずきいてみる。
素敵なきらめくベルの音に
使い古した 愛してるよりも
幸せだなぁ…
不器用な僕の
そんな本音が
吐く息と一緒に
夜空に消えていく…。
- Xmas -
ベルの音
チリチリン
リンリンリン
シャンシャン
カランコロン
ジリリリリ
ゴーン
ベルの音をちょっと想像してみたら
色んな大きさや形、シチュエーションによって発する音色やスピードがほんとに多様だと気づく
人も同じようにみな違う響きを持っている
さらにその時々で色んな音色を奏でているみたい
そんな多様な響きに気づいて
自らも様々な音色を発する事ができたら
もっと優しくなれそうな気がする
クリスマスはべルの音が聞こえらしいが正直一度も観たことはないけどもしいつか夢の国みたいなところにいケルだろ
耳を澄ませて
微かに香るは
小さく光る色
心へ刻む響き
美しく静かな
余韻に浸って
その時を待つ
『ベルの音』
『ごめんください』
宮沢 碧
まるで絵に描いたようにビクッと背筋が揺れる。
「熱っ!」
持っていたカップがテーブルに跳ねて床にダイブし、見事にホットミルクを溢した。出窓の陽だまりにいた猫は棚の下に飛び込み、猫がいた窓辺は土が散らばって、割れた鉢からにょろりとのびたサルベリアの根っこと私の目が合う。
台拭きを取りに行くべきか、扉を開けるべきか。
もう1匹の白猫は興奮で部屋を走り回っている。爪がすごい勢いで床を奏でている。
私の心臓はバクバクだ。
ものすごい音で鳴り響いた玄関ベルは、家人を素っ頓狂にさせた。引っ越してから初めて鳴ったが、設定が爆音だったようだ。…驚いた。早く直そ。
この汚れた有り様で出るわけにもいかないというのに2度目のベルが鳴る。
2023/12/20
お題 ベルの音
焼きたてのクッキーに適温の紅茶
早く来ないかそぞろに待つ
ベルの音
ベルの音
リンゴンリンゴン
やつがやってくる
僕は見つからないことを祈りながら押し入れに隠れた
ランドセルに今日の教科書を詰め込むいつもの朝、お母さんが曇った顔で言った。
「電気もガスもつかない」
僕も部屋のスイッチをカチカチしたが何も反応がなかった。そこでお母さんに携帯でニュースが何か言っていないか提案をして、ニュースを見た。それが始まりだった。ニュースの記事は異常事態を知らせるように同じような内容を示していた。
「赤い服を来た何かが各地で発生」
「厚手の赤い服の男が人を襲っている」
なんだコレ、
お母さんと怪しんでいるとチャイムが鳴った。
しかしチャイムとは別にベルのような音もなっていた。
リンゴンリンゴン
ギイイギイイ
部屋を歩くあいつの音がする
ガシャン
ダンダン
バコンッバコンッ
僕を探している。
ズズ…ズズ…ズズズ
近づいてきた。僕は息を潜めた。瞬間音は僕の前で止まった。死にたくない。死にたくない。鼓動が漏れてしまわないか心配で仕方がない。
ズズズ…ズズ
僕は息をした
良かったバレて…
ドカあああああああああん
轟音とともに押し入れにあながあきやつの手が僕の首を掴んだ。僕は引きずり出され、部屋の真ん中へ放り投げられた。僕はなんとか体制を整え逃げようとした。しかしその時やつを見てしまった。真っ赤なコートに黒いブーツ目や顔のある部分から毛が無数に生え、毛をかき分けるように歯茎と血まみれの歯だけが見えた。
僕は腰を抜かし這いずったがすぐに何かにぶつかった。テープだった。お母さんが僕にプレゼントを作るために買っていたテープ紐だった。
「お母さん助けて」
やつが近づいてく来て僕を持ち上げた。醜い口が僕の首に噛みつこうとした瞬間、僕は隠し持っていたハサミでやつの顔の毛を切った。やつは、とんでもないうめき声を上げ床にうずくまった。
「お母さんのかたきだあああああああああああ」
僕はテープ紐を持つとやつの首に巻き付け窓から飛び降りた。ガクンとやつはベランダで引っかかりビクビクとしたあと動かなくなった。
やった僕はやったんだ。やつの死体を見ていると外から悲鳴が聞こえてきた。僕はハサミとテープを持って走った。
「サンタころーす!」
この丈夫な身体は君を守るためにある。
オレは陽気で低姿勢でいつも笑っているように心がけていた。
怖がらないで欲しいからオレは君に「怒り」を見せない。
「怒り」は誰にも見せたらダメでしょう。
もしオレが牙を剥き出せば、きっと周りをひどく傷付け君を失う。
「我慢せず怒っていい」とか「怒りは自己表現」とか「理由のある怒りは主張や希望なのだから」とか。ほんとにそうなのかな。
好きな人にも見知らぬ人にもできるだけ見せるべきではない「感情」のひとつだと思うんだけどな。
あたしの胸が音色を奏でたとき、来訪者はやってくる。
招き入れる覚悟は、まだない。
#ベルの音
わたしだけ置いてけぼりのまま
地球が回るなんてほど
わたしは特別じゃないので
明日も明後日も
わたしを連れて地球は回ってる
数時間前、ひとつの通知が届いて。
他の溜まりまくった通知の中に、余白の多さで際立つそれは、疲れ切った私の目にふと飛び込んできた。
『今日のお題 ベルの音』
数時間前にも、私はこの通知を見た。
ベルの音というと、おおかたクリスマスを意識したお題だろうな、なんて思いながらスマホを閉じた。
いや、その時は本来そんなことを考えている場合ではなかったのだ。
もうそろそろ良い子は寝る時間だったが、私はそこから23:59までに提出する課題をやらなければいけなかった。
真面目にやれば1週間くらいかかるやべえ大物なのだが、その時点ではまだ何もやっていないので死ぬ気でやるしかない。ついでに言えば、課題の存在ごと忘れていた自分を感情的に責めても何にもならない。あとで課題の管理方法について自己会議で話し合おうと思う。
一応自分の専門分野はデザインなのだが、とにかく今回はまだ完成品ではなくデザイン案の提出なので、使えそうな写真やデータをあっちこっち探しまくって色々拝借させていただいた。ギリギリのギリのギリまで戦った。
そして今に至る。
今どんな気持ちかと問われれば。「虚無」である。
うちの大学は提出期限やファイル名のミスにありえんほど厳しい先生が多く、場合によってはほんのコンマ1秒遅れれば0点になるケースもあると聞いている。
かろうじてこの課題の先生は優しい方なのだが、それでもしれっと未提出者やファイル名ミスをしている人の氏名を晒しあげるくらいには容赦ない。
念のため断っておくと、私はこれを嫌だとは思わない。むしろ好感すら持てるし、社会に出る以上そうしてもらえたほうがありがたい。
ただ同時に、「それに賛同すること」と「それを実行すること」の間には、もはや埋めることのできないような差が存在していることも事実ではなかろうか。
で、私は今日、0:05に提出した。
書いていること全てが情けなさすぎて読むに耐えないかもしれないが、私も全然耐えられない。
23:55にベル音でタイマーを設定していたが、約4分の間にファイルをPDFに変換して名前を変えて、確認したらミスしてて繰り返してなんてやってたら、余裕で過ぎていた。
私は正直「責めること」を完全に不毛なことだと考えているので、過去の自分にああだのこうだの言うつもりはない。むしろとりあえずギリギまでやろうとして諦めなかった姿勢と選択は認めたい。
とはいえ、やはり後悔くらいはちょっぴり湧いてくるものだ。課題自体を忘れていたことが悔しいし、もう少しタイマー早く鳴らしておけばよかったと思ったりもする。なんて、私の中では文字に起こす価値もないような言葉だが。
だからその代わり、反省を徹底する。
まず課題自体を忘れていたことに関しては課題の把握と進捗・期限確認がうまくいっていなかった問題がある。これはリマインドの方法に改善を求めたい。個人課題表は作っているが、毎日見なければ意味がない。
次に、5分前での提出は不可能ということがわかった。本当に最低最悪でも、15分前には提出作業に入らなければ確実にミスが生まれる。画像などのデータが用意できてない場合は特に重要だ。
とりあえず今回の事件から言えることはそんな感じだろうか。やり場のない気持ちを文章という形で噛み砕いてみたが、書いてみると改めて変わっていく覚悟を決めることくらいしかできないなあと感じた。もう今日は頑張ったので寝る。
あでも結局ファイル名ミスってたので再提出した。
(※課題やタスクの進行は計画的にしましょう。)
小さい時は、目覚まし時計ではなく、勝手に起きたか、母親に起こされた。
今は、携帯に起こされている。
たまには、誰かに起こされたいものだ。
2.『ベルの音』
私にとってベルといえばスガキヤ
呼び出しベルでラーメンの完成を知らせる形式の店
私の地元のチェーン店
これまで100回くらい食べたことがあると思う
親に口に運んでもらって食べたあの日
お金を握りしめて友達と食べに行ったあの日
部活のグチを言い合いながら食べたあの日
オンライン授業の合間に駆け込んで食べたあの日
物理的にも近い位置にあるソウルフード
でももう少しで地元を離れるときがくる。
ここ最近は食べれてないから、お腹を空かせて食べに行こう
読んでくれてる人も私の地元に来る機会があったら
是非食べてみてね
生きたくとも生きていられない。
そんな最期が見えている人は
なんて美しい文章を綴るのだろう。
そして、その最期を迎えるにあたって関与している、
それもまた、
もうその時を戻せないのだと悔やむ人もまた美しくて。
何事も最期に近付けば近付く程、
その価値は輝き始め、手の届かない所へと行って仕舞う。
だからこそ人類は手を伸ばすのであろうか。
その手の行先を邪魔する事はきっと許されるものではない。
そう思わせるほどの何かが有るから、
私たちの目に写るそれらは
最も輝く何かになり得るのかも知れない。