「はぁ~……最高」
クリスマスイブの夜。目の前では彼女が酔い潰れている。家飲みだからと、甘いワインを調子に乗って何杯も飲むからである。
でも幸せそうな顔をして横になっている姿を見ると、このワインにして良かったなという気持ちになる。
「そのままそこで寝たら風邪引くよ」
起こそうと彼女の肩を軽く揺らす。
「うぅん……」と小さく呟くと、彼女はこちらに向かって両手を広げた。「抱っこー」
子供か! でもかわいい!
彼女を優しく抱き上げ、寝室へ入り、ベッドの上にそっと置く。
「おやすみ。寝たらサンタが来るかもしれないよ」
「この歳で?」
「そうそう。サンタは良い子にしてた人のところに来るから」
「……欲しいもの、あるよ」
彼女がまたこちらに両手を広げた。
その肩の下に両手を滑り込ませ、ぎゅっと力強く抱き締めた。
隣の部屋のテーブルの上には、寝ている間に置いておこうと思っていた、小さな箱に入ったプレゼントが用意してある。
まぁ、それはまた明日渡せばいいか。
欲しいもの、サンタが連れてきてくれるといいな。
遠くからベルの音が聞こえた気がした。
『ベルの音』
12/20/2023, 10:40:00 PM