『バレンタイン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『バレンタイン』(創作)
2月14日、わたしはパチ屋にいる。
初めて入った。チョコの紙袋を片手に、システムもわからず、何をしてよいのかもわからなかったから、大きなウインドウ側のソファーに座った。独特の喧騒と不思議な匂いが、わたしを拒絶しているかのように感じられた。
店員に怪しまれないか不安になったが、気にしてる様子もなかったので、ソファーに座ったままスマホを取り出した。
「今、パチ屋にいる。着いたら連絡して」
コンビニで買ったチョコの紙袋が、初対面の男性との関係を嘲笑っているようだった。
帰りたい…
心の片隅で小さな悲鳴が上がるが、わたしはソファーから動けずにいた。わたしはわたしを無視して、これから初対面の男性にチョコを渡すのだ。
バレンタインデーって昨日じゃね? 別にいいけど。
バレンタインと言えばソシャゲのイベントだな。現実では全く縁のないイベントだ。
でもFGOはメインストーリーの更新が最近あったからバレンタインなのになんのイベントもない虚無期間なのだ。さみしい。
バレンタインで実装されるキャラは性能にもよるけど今回はスルーだな。大統領、晴明、サクラファイブ。コラボにプロトギルもいるから回せる石がない。
金があれば全キャラ回すんだけどな。でも金がない。だからこの話はこれで終わりなんだよ。
あとバレンタイン関連だとネットで義理チョコをあげたくない、もらいたくないが共に半数を越えたってのがちょっと話題になってたな。そりゃそうだろう。
チョコなんて食いたきゃ自分で買うし、好みでもないチョコ貰っても困るよな。健康志向の現代で勝手に贈られてもカロリーや虫歯とかあるしな。
前にも日記に書いたけど俺が食うのは一口タイプでパックされたカカオ高めのチョコ。これ以外は美味しすぎて食べ過ぎるからだめ。時代は健康ですよ。
バレンタイン
小さい頃からチョコレートが大好きだった。
チロルチョコの詰め合わせを買って、いつも一緒に帰る男の子に渡そうとしたことがあった。その日はたまたま私のほうが早く帰ったので、自分のお家の近くを通るその子を待っていた。
美味しそうなチョコレート。
我慢できなくてひとつ、またひとつと食べてしまった。待ちきれなくて自転車のカゴにチョコレートの袋を入れて、遊びに行こうとした。
その時、その子が帰ってきた。カゴの袋からチロルチョコを3粒出して、その子に渡した。
その渡し方、今想えばとなりのトトロに出てくるカンタ君みたいだったな。
ホワイトデーの日、3粒のチロルチョコは大きな大きなチョコレートマフィンになって返ってきた。何だか、わらしべ長者みたいだなと想った。
わたしにとって、バレンタインなんてチョコレートを美味しく食べるための口実にしか過ぎない。
ホワイトデーのお返しがチョコレートじゃなくて、飴とか他のお菓子になってしまうのが、とても残念だった。
昔から「好き」「嫌い」の感情が、人と少し変わっていたのかもしれない。大人になってから気が付いた。
女の子たちがキャッキャしながら、チョコレートの話をしている。男の子たちはなんだかソワソワしながらそれを見ている。
わたしは、そのどちらでもない。
だから、少しだけ、みんなの真似をしてみたかったのかもしれない。
あの子に「Like」を伝えて、あの子から「Like」が返ってきた。ただ、それだけ。
小さい頃のバレンタインの想い出。
父と弟にチョコを渡すけどお返しは今年もきっとない。似たもの親子だ。
社会人になるとどうも行事に疎くなる。バレンタインなんて、店頭に多めにチョコが並ぶだけの日だと思っていた。
「な、なんだこれは……」
その時までは。会社に来ると、俺の靴箱に可愛らしい包装をしたチョコが置かれているではないか。誰かのイタズラか、否。社会人にもなって誰がそんな事するものか、だとしたら入れ間違えしかあるまい。困った事になった。
「おはようございます、先輩」
俺に挨拶をして来た彼女は、同じ管轄の部下。入社時から世話係として一緒にいる。愛嬌もあるしよく出来た部下なのだが、最近妙に何かを企んでいる気がする。
「先輩"何か変わった事"でもありました?」
何も無い、と言いかけてたった今鞄にしまったチョコを取りだした。
「そうなんだよ、どうやらチョコを俺の靴箱に入れ間違えたみたいでな」
「あはは、まさか。ネームプレートも貼ってあるし、学校みたいなハプニングは起こりません。正真正銘、誰かさんから貴方宛に貰ったチョコです」
彼女は、小さく微笑むと。
「で、貰った感想はどうですか」
「いや……誰とも知らぬ人に貰っても感想なんて」
「きっとその人は先輩の働きぶりをずっと近くで見てきた人なのでしょうね。ひょっとすると、普段喋っている人からかも?」
イタズラめいた表情で去っていく彼女。もしかしたら、と思い付いた時には既に姿を消していた。チョコをひとつ摘む。
口に入れると、ほろ苦い味が口全体に広がった。
全く甘くない。このチョコはなんだか、学生の頃とはまるで違う、大人の味がした。
溶かそうか
焼いてやろうか
固めるか
最期に見るのはこの私
よろこんで死ね
【バレンタイン】
バレンタイン昨日、だったね。
今年は買って渡す事にしました、若い時は恋愛したいと
燃えていたのに
今は字に恋しています。
字は崩れず、待っててくれる
【バレンタイン】
イベントに左右されないあなたが好ましい。
男の子のあなたも。
女の子のあなたも。
思いはその都度伝えれば良い。
渡したいと思うものを他人と比べる必要なんてない。
もしチョコを誰にもあげなかったとして、誰があなたを冷たい人間だと言う?
もし誰からもチョコをもらえなかったとして、あなたの価値はそれで決まるわけがない。
イベントに左右されないあなたが好ましい。
普段通りのあなたが好ましい。
バレンタイン
いつも、食べているチョコレート
今日は、自分へのご褒美として
特別にいただく
そして、明日はいつも通り食べる
日常のチョコレートと特別なチョコレート
昨日、父に「バカじゃない」って言ってしまった。でも、本心だ。今まで、母が頑張って私たち兄弟4人を泣きたいのに我慢していつも笑顔で「いってらっしゃい。」「おかえり」と言ってくれた母。そんな母を小馬鹿にした父が気に入らなかったから。おかしい…わたし父が好きだったのに。
公園のベンチに座り紙カップを両手で包み込むように持つと、冷えた指先がじんわりと温まる。そのままカップ蓋の飲み口に唇を寄せていくとふわりと甘い香りが鼻をくすぐった。
「やっぱり甘過ぎて飲めない…替えて」
隣に座る君にカップを差し出す。
「飲めないなら買うなよ」
苦笑いでスマホから顔をあげた君は、それでもすぐに自分の持っていた紙カップを「はい」と渡す。
「甘いのが飲みたい気分だったの」
「いつもブラックなんだから…って、ほとんど飲んでないじゃん」
カップを交換するとすぐに呆れたような声。
飲んでないからね、という言葉を君から受け取ったコーヒーで流し込む。
「あー、あまうまー。ココア? チョコ? 何これ?」
チョコという言葉に早る鼓動をなだめるようにスマホを取り出し、さあ何か甘そうだったやつと何気なく答える。
今はこれで精一杯。
まだ甘くない、君と私のバレンタイン。
バレンタイン
高校生の頃、料理が上手な男子がいた。
バレンタイン当日。
女子一人一人渡すのがめんどくさいのか、まとめて
〇〇(クラスメイトの名前)軍団と書いて、渡してたなぁ。
インパクトが強くてワロタ。
そわそわしてるわけじゃない
これは深呼吸してるんだ
言い訳を考える
誰に言うわけでもなく
自分には縁がない
自分には縁がない
縁が
え?
バレンタイン
お題:バレンタイン
帰ろうかと思い廊下を歩いていると、誰もいない食堂に雄二がいた。
もちろん学食はもうやってない。
興味本位で近づいてみる。
足音で気付いたのだろう。
本に目を落とした雄二がこちらを向いた。
「よお。こんなとこでどうしたんだ?」
気さくに話しかけてくる。
でも僕はたまたま通りかかっただけなので、むしろこちらが聞きたかった。
「特に何もないよ。雄二はどうしたの?」
「本読んでる。というか、篠崎さんのとこ行かなくていいのか?」
「いつもいつも会うわけじゃないよ。今日は夜バイトだし。」
「……。」
雄二は少し驚いたような、呆れたようなそんな顔をした。
「……今日バレンタインだぞ。」
……全く考えていなかった。
他に友達もいないから教えてくれる人がいなかった。
確かに雄二の前にはお菓子の包み紙がいくつか置いてある。
もらったチョコレートなのだろう。
「バイト前に顔出しとけよ。」
「はは……ありがとう。」
何も言われてなかったから何もないかもしれないけど、忠告は聞いておこう。
「それにしても雄二はたくさんもらったね。」
大小様々な包み紙は5つほどあった。
どれにもまだ手はつけられていない。
「ほとんど義理だけどな。」
ほとんど。
本命もあるんだろうか。
と、雄二がその中からチロルチョコをつまんでこちらに差し出した。
「やるよ。」
「え、いいの?」
「おう。なんかさ、チロルチョコみると思い出しちまうんだよな。」
雄二は少し悲しげな顔をして続ける。
「昔、チョコレート好きな俺のために兄貴が自分の小遣いからチロルチョコをよく買ってくれてたんだ。
小さなチョコだけどすげー嬉しかったのを覚えてる。」
雄二の手が少し震えているのがわかった。
言葉が切れる。
……少しの沈黙の後、彼は言った。
「でもさ、その兄貴が……
高3の時いなくなって、まだ見つかってねぇんだ。」
女性から男性へチョコレートやプレゼントを渡す。
その時にもし彼氏彼女の状態であれば、愛の告白をするその日だけはときめき感が違う。
バレンタイン、彼女が笑顔でくれた
お菓子詰め合わせセット
え、どれ?
「ねぇ今年こそ本命あげたら?」
そんなことを言うのは私の小学校からの友達
「む、無理だよ~」
「まだそんなこと言ってんの?
あの子カッコイイんだからすぐ彼女作っちゃうよ。
それでもいいの?」
「い、嫌だけど...。」
彼女はいつも私の背中を押してくれるけど
勇気が出なくていつもチャンスを無駄にしちゃう。
彼女が言う“あの子”と言うのは私が想いを寄せている彼
頭良くてスポーツできて手が綺麗で
字も綺麗優しくて紳士でカッコよくて
こんな完璧な人に恋しちゃいました。
こんな完璧な人に想いを伝えるとか無理すぎる。
「じゃあ渡せなくても良いから一応作ってみたら?
うちも友達にチョコ配りたいから一緒に作る?」
「うん,作ってみる。絶対一緒に作ろうね!」
「難しいかもだけどドーナツでも作ってみる?」
「え?なんで?」
「ドーナツはあなたが大好きって言う意味があるんだってピッタリじゃん!うちも少しは手伝うから」
「じゃあそうしようかな」
手作りは初めてだったのに関わらず大成功だった。
そして迎えたバレンタインデー
「よ,良かったら帰り一緒に帰らない?」
勇気を出して言った私に笑って
「なに緊張してるの?良いよ一緒に帰ろ」
優しい声でそう言ってくれた。
彼は色んな女子からチョコを貰ってるみたいだった。
「おい,またお前チョコ貰ってんのかよ。
俺にくれよ母ちゃんにしか貰えなかったわ笑」
なんて男子が話すくらいには
「どうしよう渡せないかも」
小声で言ったはずなのに彼女には聞こえてたみたいだ。
「何言ってんの,大丈夫頑張って来たんだよ。
ちゃんと伝えてきな。どんな結果でも私が聞くから」
─────放課後
彼と隣で歩く帰り道
いつも通ってるはずなのになんだか違うように見えて
「あのさ,まだチョコ受け付けてる?」
「受け付けるって何?笑
チョコくれるの?」
「うん,チョコじゃなくてドーナツなんだけど
意味があってね。えっと,なんて言うか,
あなたが大好きって意味なんだけど
私の気持ちとドーナツ受け取ってくれますか?」
「えっ俺にくれるの?ありがとう。
ちゃんと気持ちもドーナツも受け取ります。
俺も好きだよ」
「ホントに?」
「ホントだよ」
今年のバレンタインは
今までで1番幸せで最高な日になった。
後日友達に付き合ったことを伝えると
涙目になっておめでとうと言ってくれた。
本当にいい友達を持ったなと感じたバレンタインの日
─────『バレンタイン』
すごく嬉しかったね。
君からのチョコレート、僕の誕生日のすぐ後だったから、よく覚えているよ。
部屋で渡された。
見たこともないくらいのチョコレート達。
今日は、辛かった。
もう居ないから。
あんな日は、もう二度こないよね。
君は、多分今頃、違う誰かの腕に抱かれている。
夢の続きは終わった。
バレンタイン
朝、昇降口のガラス越しにA子の姿を見た。手にラッピングされた物を持っていて、それを素早くロッカーに入れて立ち去った。なるほど今日はバレンタインだった。
自分のロッカーを開ける。昨日の放課後から全く変化のないことを確認し、靴をしまう。A子が入れていたのはこの隣だったな、とさりげなくYのロッカーであることを確認する。
1限がすぎ2限がすぎ、昼休み。
自席で昼食をとっていると、Yとその友人の会話が聞こえてきた。
「お前チョコはもらったか」
「いいや一つも」
「俺は今日これがロッカーに入ってたんだよ」
ちらと見ると、中の見えない赤い小袋から四角いケースを取り出していた。クオリティ高いよな、とYが話す。どうやら手作りらしい。
「でも誰からなのか分かんないんだよな」
メッセージカードも何も、贈り手を示すものがないらしい。
「誰がくれたものか不明なのは怖いね」
「だよな。そもそも手作りの物自体が苦手だし、輪をかけて得体のしれないこれはとても食えない。だから捨てることにする」
そう言ってYは元通りにラッピングし直し、教室後方のゴミ箱にチョコを捨てた。
そして、そろそろ昼休みも終わろうかという頃。なんだか教室後方が騒がしくなったので振り返ると、B美が床にへたり込んで肩を震わせていて、数人の女子が励ましていた。覗くと、B美の膝の先に赤い小袋。
なぜB美が泣くのだろう、あれはA子のあげたものだよな。そう思っていると、騒ぎを聞きつけて寄っていったYが謝り始めた。誰のか分からなかったから捨てたのだ、しかし配慮が足りなかった申し訳ない、と。
すると、B美はきょとんとして、困惑した様子で言った。
「あんたにあげた覚えはないけど」
そうだよな、と僕は理解した。B美が二の句を継ぐ前に、3限開始のチャイムが鳴った。
すべての授業とホームルームが終わり、放課後。
帰ろうとして教室を出ようとしたとき、A子に声をかけられた。来て、と言われるままに廊下を歩き、ひとけのない辺りに出る。A子は鞄に手を突っ込み、長方形の箱を取り出してこちらに押し付けた。何事か言い訳しながら。
足早に去っていくA子の背を見送りつつ、箱を手の中で弄ぶ。
これはこれで怖くて食べられないな。家で捨てよう。そして、なるほど、B美のフォローをしないと疑われるのは僕なんだな。
なんとも苦い心持ちで、もらった箱を鞄にしまった。
2023/02/15
バレンタイン
バレンタインが近づくと、いくつになってもモテない男ほど欲しそうな態度や言動を始める
面倒臭いからくれてやると、まるで自分に気があるかのように周りに話す
これぞ、モテない男たちのマウント大会
くれてやらなければハラスメントが始まるから、くれてやっただけなんだけど??
義理でもなく、ハラチョコなんだけど??
※ハラチョコとはモテない男が知り合いの女性にチョコを欲しいとは言わないがくれるように精神的に追い詰め、それでももらえなかった時は嫌がらせ(ハラスメント)をするので、それを回避するための義理より遥かに低い意味するチョコである(私が作った言葉)
学生の頃ならまだしも、社会人になってからもチョコの数でしか自分の(間違った)価値を見出せないとか…
しかも脅迫めいた事してもらったチョコとか価値もないのに…
バレンタインって年齢とともに意味が変わっていきゃ良いのになぁ
ハラチョコより本命1個の価値の尊さよ
ハラチョコ100個より本命1個よ
最近は友だち同士でも交換したり、自分にも買うんだから大昔のような意味のバレンタインでもないだろうに
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高校の頃だっけ?
大好きな読モが彼氏にバレンタインに手作りケーキを作ってて、私も真似て当時甘いものが嫌いだった彼氏に作った事がある
感動して、めちゃくちゃ食べてたな
甘いもの苦手だけど美味しいとか言うて
食べて欲しいよりも作りたかっただけなんだけど
あれ以来バレンタインにケーキ作った事は1度もないなぁ
今まで私が作ったケーキを食べて、1番良い反応だった
普段クールで無表情なのに、笑顔だったし
初めて作ったし、1番下手だったのに
きっと気持ちが通じたんだろな
やっぱり本命は1個は尊い
ちなみに彼とは別れて何十年経っても友だち