「ねぇ今年こそ本命あげたら?」
そんなことを言うのは私の小学校からの友達
「む、無理だよ~」
「まだそんなこと言ってんの?
あの子カッコイイんだからすぐ彼女作っちゃうよ。
それでもいいの?」
「い、嫌だけど...。」
彼女はいつも私の背中を押してくれるけど
勇気が出なくていつもチャンスを無駄にしちゃう。
彼女が言う“あの子”と言うのは私が想いを寄せている彼
頭良くてスポーツできて手が綺麗で
字も綺麗優しくて紳士でカッコよくて
こんな完璧な人に恋しちゃいました。
こんな完璧な人に想いを伝えるとか無理すぎる。
「じゃあ渡せなくても良いから一応作ってみたら?
うちも友達にチョコ配りたいから一緒に作る?」
「うん,作ってみる。絶対一緒に作ろうね!」
「難しいかもだけどドーナツでも作ってみる?」
「え?なんで?」
「ドーナツはあなたが大好きって言う意味があるんだってピッタリじゃん!うちも少しは手伝うから」
「じゃあそうしようかな」
手作りは初めてだったのに関わらず大成功だった。
そして迎えたバレンタインデー
「よ,良かったら帰り一緒に帰らない?」
勇気を出して言った私に笑って
「なに緊張してるの?良いよ一緒に帰ろ」
優しい声でそう言ってくれた。
彼は色んな女子からチョコを貰ってるみたいだった。
「おい,またお前チョコ貰ってんのかよ。
俺にくれよ母ちゃんにしか貰えなかったわ笑」
なんて男子が話すくらいには
「どうしよう渡せないかも」
小声で言ったはずなのに彼女には聞こえてたみたいだ。
「何言ってんの,大丈夫頑張って来たんだよ。
ちゃんと伝えてきな。どんな結果でも私が聞くから」
─────放課後
彼と隣で歩く帰り道
いつも通ってるはずなのになんだか違うように見えて
「あのさ,まだチョコ受け付けてる?」
「受け付けるって何?笑
チョコくれるの?」
「うん,チョコじゃなくてドーナツなんだけど
意味があってね。えっと,なんて言うか,
あなたが大好きって意味なんだけど
私の気持ちとドーナツ受け取ってくれますか?」
「えっ俺にくれるの?ありがとう。
ちゃんと気持ちもドーナツも受け取ります。
俺も好きだよ」
「ホントに?」
「ホントだよ」
今年のバレンタインは
今までで1番幸せで最高な日になった。
後日友達に付き合ったことを伝えると
涙目になっておめでとうと言ってくれた。
本当にいい友達を持ったなと感じたバレンタインの日
─────『バレンタイン』
2/14/2023, 8:53:56 PM