『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
なんだか胸にぽっかり穴が空いた感じです。季節の移ろいが空虚にしか思えない
セーター
ってなんだっけ?
そこから始まった今回のお題ですが、またやらかして萎えている夜明け前です。
寝ちゃいけないのに寝てしまう。
せっかく書いたのに。
いやそりゃね、もちろんつまらん駄文ではありますが、数十分使って毎日書くわけです。
そのうち何度かある寝落ちバニッシュ。
書いた内容もほぼリセットされまして、まさに途方に暮れるというやつです。
はぁ
ため息すら出ないので文字だけでも。
このまま欠番にしようかどうしましょうね。
セーターをコピペで調べるくらい馴染みがないのであっさり脱線したのは覚えています。
本気でセーター服と機関銃と勘違いしたのも覚えています。
編み物の何かを身につけるって、記憶にないんですよね。
まして手編みとかまったくないです。
皆さんは身近にありますか?
しかもセーターって手入れや保管も気を使うそうですし。
何より暑がりなのでモコモコした感じのものは好みませんし。
手芸も得意じゃないので編み物も通ってきませんでした。
でも仮にですよ。
好意を向ける相手がいたとして、セーターを好きであったのなら。
そこであなたはどうしますか?
A.上手くなくとも自分で編む
B.ちゃんとしたものがいいから既製品を買う
C.誰かに頼んで編んでもらったものを自分が編んだと偽る
D.だからどうしたで気にしない
E.むしろ好きならこっちに良さをプレゼン(ト)しろよ
思いつく選択肢以外は想像力の無さなのでご容赦を。
私ならAが理想ですが、たぶんサプライズは狙いませんね。
だって、愛情があっても実用性がなければ嫌なので。
ちゃんと着られて愛用してもらえるものが作れるのならが条件で、無理ならBですかね。
皆さんはどれを選ぶと思いますか?
もしくはどれを選んできましたか?
恋は盲目になって、相手の名前とかでかでかと編み込んだ痛いセーター作ったりする人もいますかね笑
そこはせめてマフラーとか手袋にしなさいよと、個人的には思ってしまいます。
当然もらったこともないので、贈る側贈られる側双方の気持ちはさっぱり。
そう思うとEも捨てがたいかなと。
結局セーターの話書けとるやんという軌道修正。
我ながら脱線や萎えからの復旧は早いようです。
お題がないとひたすら日記書くことになりますからね。
どうしますよ。
短編集を読むかのようにめくられていく素敵な作品達の中に、突然知らんやつの長文日記が差し込まれてるんですから。
どう考えても乱丁?でしょう笑
そんな時のおすすめ対策をひとつ。
画面下部に次の作品という文字が見えるはずです。
そこを素早くタップしてみてください。
勢いつけすぎると、突き指とか画面割れとかしちゃいますからダメですよ。
あくまで優しくかつ素早くです。
そうするとまた素敵な短編集の世界に戻っているはずです。
次元の狭間に取り込まれることなく、無事に帰還できるはずです。
もし万が一、そんな駄文を最後まで読んでしまった時にはどうするか?
次元の狭間から脱出するには、心の中で助けを呼んでください。
きっと助けが来てくれることでしょう。
和装とは似つかない格好なのに、顔だけは隈取りで仕草は歌舞伎かよという動きの剣豪が。
ただこの剣豪。
一度助けを呼んでしまうと、その後呼んでないのにあちこち現れますのでご注意を。
対処法はただひとつ。
話を聞いてかまってあげてください。
根はいい奴なんです。
ちょっとマイペースが過ぎるのと、他人を信用しすぎるのと、方向音痴なだけでして。
間違ってもセーターあげちゃダメですよ。
たまに腕の本数変わっちゃうので、あげるなら袖なしをおすすめします。
「お揃いの服が着たい」ということでセーターを買った。
白と黒の横縞に、有名なキャラクターが載ったセーター。どちらも普段全くと言っていいほどに着ないデザインだった。
あれから3年の月日が経ち、衣類整理の際に再び手にした。一度着て、それきり箪笥の奥に仕舞い込んでいたのだった。
何となしに着て鏡を見る。……やっぱり似合わない。
絶妙な太さの横縞は着太りして見える上、ピッタリサイズのセーターはピッタリな故にシルエットがイマイチだ。特にでかでかと印刷されたキャラクターが気に食わないほど合っていなかった。
すぐに脱いで不要と書かれたゴミ袋に詰め込んだ。
あの一度きりの時に見せた君の笑顔は、充足の微笑みだったのか、不格好さを見下す嘲笑だったのか。もう覚えていない。
セーター
最近急に寒いじゃん?!なんなのさ…。
いきなり来られても出してないってばもう!
制服どーしようかな〜。ベストじゃあさみぃし
えっと、…っし!あった〜"セーター"試しにっと、
…1年前のなのに ちっさぁ
「母ちゃんセーター買って」
「ちょっとだけでも会いたい。」
そう言って
彼女を、彼女の家の近くの学校の運動場まで呼び出した。
コートにマフラーを巻いて来てくれたけど、
それでも寒そうにしながら
「星がきれいだね。」
ときみは言った。
真っ黒な夜空にチラチラと星が瞬く。
僕はそんなきみを自分のコートで包むように後ろから抱きしめた。
きみはなんだか困ったようにしながらも僕の腕の中でもぞもぞと動き、こちらを向いたかと思うと、コートの中の僕のニットのカーディガンのボタンをもぞもぞと外しはじめた。
最後のボタンを外し終わると、きみは僕のカーディガンとシャツの間にするりと両手を入れて、僕に抱きついた。
「あったかい…。」
僕はそんなきみを今度はカーディガンとコートで包んだ。
お風呂上がりなんだろうきみの髪はまだ湿っていて、シャンプーの香りがした。
「セーター」
今、時刻は午前3時を回った。
明日(既に今日)から、いよいよテストだ。
徹夜を覚悟に入れつつ、今日も祖母の編んだセーターを羽織って、勉強に励む。
陰で、一番僕の努力を見てきてくれたのは、祖母だ。
祖母は毎日3時に起きる。
そうすると、部屋で、勉強中の自分に出会う。
自分の部屋を訪れるたびに、お菓子を持って、
「頑張りすぎないようにね。」と声をかけてくれる。
今はただ、その気遣いが嬉しい。
これじゃない。
もう何軒まわったかな。
欲しいデザインのセーターが見つからないや。
わたしは、随分と冷たくなった外で、ため息をついた。
凝り性、というのかな。とにかく、好きでもないものを周りに置くことができないたちだ。なにかを妥協して買って、気に入らず捨ててしまうこともあった。
今年はセーターなしで行くかな?
気に入らないものは、もう、手にしたくない。
流石に疲れた。日曜日の10時からショッピングを試みて、いまは午後4時だ。
はあ、と再びため息をついた。休憩がてらに寄ったスタバの椅子に座り、ストロベリーフラペチーノを飲む。
ふと、少し離れたテーブル席に座る女の子のセーターが気になった。
あれだ!! なんて、しっくりくる気持ちのいい色味とデザインなんだろう!!
聞いてみようかな? どこで買いましたか? 変な人にならないかな?
10分たっぷり悩んで、わたしは、席を立った。そして、そのセーターの女の人のところへ行った。
「あ、あの」
声が震える。女の人は、?、といったふうにこちらを、見ている。
そしてその人がかけだしのファッションデザイナーで、セーターはその人の作品だと聞かされた。
「うん。買ってくれるなら嬉しいな」
「ありがとうございます!!」
わたしは、彼女が販売を主にしてるサイトを教えてもらった。そこから、注文できるらしい。
女の人はそれから、店を出て行った。
わたしは、その姿を見えなくなるまで追った。
ん? これは推しだろうか? 胸の高鳴りを感じながら、わたしも、続いて、店を出た。
セーターをほどいている
あなたから貰った手編みのセーター
ただ1つ残った思い出
ほどいて糸になったら
手繰ってあなたのいる場所へ
わたしを連れて行ってくれる
わたしがあげたマフラーを
あなたはほどかなかったけれど
あなたがくれたセーターを
わたしは丁寧にほどいている
ほどいたセーターを
マフラーに編みなおして
あなたの温もりを感じた気がして
わたしは冷え切っていく
あなたのいる場所に行かなくちゃ
<転生したら…>(セーター)
昨今、小説・漫画・アニメなどで度々話題になる所謂『転生もの』と言うジャンルがある。
トラックに跳ねられ、気づけば勇者として転生しました。だとか、最近では最強モンスターに転生して世界を救うとかって話もあった。
俺も何度かアニメで楽しませてもらった記憶がある。
でも、まさか。
自分がそうなるなんて夢にも思わなかった。
俺の最後の記憶は、大型トラックのヘッドライトで。
あー、俺死んだわ。
と思った直後、視界がホワイトアウト。
次には白いローブを着た髭面のじいさんに会ったような記憶があるが、よく覚えていない。
気づいたら、知らない部屋で目が覚めた。
転生した?と意外とあっさり納得した自分と、さすがに王道過ぎるシチュエーションに、転生後第一に苦笑いをしたい気分になった。
さて、それが数十分前の話だ。
今、俺は最高に絶望している。
何故って?
まさに、俺の転生先の話しさ。
勇者に転生?
モンスターに転生?
最悪、武器に転生とかならカッコ良かっただろうさ。
「もう!せっかくプレゼントしたのに!いらないなら捨てれば?」
「いや、そうじゃなくて…。嬉しいんだけどさぁ…。」
日本人らしき男女が言い合っている。
俺は椅子にもたれながら二人を無言で見ている。
視界にはクリスマスツリーと、ビリビリになったおそらくプレゼントの包装紙。
そして大きめの姿見。
「嬉しいんだけど、俺にはちょっと似合わないとおもうんだ。」
「なによ!かわいいじゃない!このくまちゃんの柄とクリスマスツリーみたいな色合い!似合うわよ!」
「それ、マジで言ってる?」
姿見に写し出されている俺の姿は俺だけじゃなく、俺をプレゼントされたであろう彼にも、絶望を与えただろう。
「こんなセーター買うやついるんだ…」
彼が俺、所謂クソダサクリスマスセーターを見つめながらポツリと呟いた。
まあ、そう言うことさ。
次の死因はゴミ処理場で焼死かな。
泣けないのがこんなに辛いなんて、知らなかったなぁ…。
お前にいっとう似合う服だよ。
あんたにはなんでも似合う。
暖かく過ごしてくれればなんだっていい。
次の冬もあなたに会いたいです。
・セーター
「セーター」
相変わらず今日も寒いな。これだけ着込んでるのにまだ冷えるから、本格的に冬が来た時にはどうなるやら不安だ。
とりあえず、今日はセーターでも着ておこうか。
「だっこ……ん。へへー。」
珍しいこともあるもんだ。だいたいこのおちびの方が早起きなのに、寒いせいかまだ寝てる。
楽しそうな夢を見てる途中みたいだから、起こしたらかわいそうかもな。ただこの子をひとりにするわけにもいかない。
参ったな……。
困りつつも小さな子どもの顔を見つめた。
ふわふわの髪の毛。長い睫毛。マシュマロみたいなほっぺた。
どこをとっても可愛い。
あ、布団が落ちそうだ。
自分は布団を掛け直して、寝息をたてるこの子の様子を伺う。
「んー……。」ゆっくりと目を開ける。
「おはよう。起こしちゃったか?」
「おはよ!きょー、ニンゲンしゃんのほが、はやおきなのー。」
「うん、珍しくね。」「えへへ!」
「あ!ニンゲンしゃん!そのおよふく、かわいい!ボクもきるー!」「セーター、欲しい?」「せーたー?ていうの?ボクもきたいのー!」「よし、探そうか。」
「でもその前に、朝ごはんだな。」「んー!」
「おや、ニンゲンくん、⬜︎⬜︎!おはよう!……どうしてボクがいるのかって顔だね?実はボク、真夜中に帰ってきたのさ!キミ達を起こさなかったみたいで良かったよ。」
「そろそろ起きてくる頃かと思って朝ごはんの準備をしていたのだが、ちょうどよかったみたいだね!」「⬛︎⬛︎ちゃ、ありがとー!」「よしよし、かわいいねー。」「んー!」
「……にしても、ニンゲンくんと⬜︎⬜︎、仲良しになったねぇ!感慨深いよ!」「ん!ニンゲンしゃんはねー、とってもだいじなこなのー!」「だってさー!」「よしよし。」「ん!」
「あれー、ねこちゃ、いない?」「あぁ、あの子は一旦しまったよ?なにせボク本体がここに戻ってきたんだから、小型偵察機は必要ないかと思って──「ねこちゃ、だっこちたい!」
「あー、わかったわかった!ちょっと待ってて!その間に朝ごはんを食べておいてよ!」「んー!」
「子猫、好きなんだな。」「ん!かわいいもん!」
「ニャー」「あれ、帰ってきた。随分早いな。」
「ねこちゃ、おかえり!」「ニャー!」
この子も猫も、ふわふわで柔らかいところが似てる気がする。
よしよし、よく食べてえらいぞー。
不思議そうな顔で頭を撫でられている。
「そうだ、どんなセーターがいい?」
「ニンゲンしゃんとおしょろいがいーの!」
「まぁ、よくあるデザインだから、きっと見つかると思うよ。」
「やたー!」「あとねー、⬛︎⬛︎ちゃんのも!おしょろいみんなで、ちよー!」「探してみるよ。」「わー!」
嬉しそうにはしゃいで、子供らしくてかわいいな。
「それじゃ、行ってくるよ。」「ボクは、だめー?」
「猫ちゃんとお留守番しててくれないか?小さいの置いてくの、心配なんだ。」「んー……。」
本当はおちびの方が心配なんだ。
自分のせいで事故に遭わないかとか、風邪ひかないかとか。
ごめんな。
「わかたのー。」しょんぼりした顔も可愛い。
「ありがとう。じゃ、行ってきます。」
「いってらちゃーい!」「ニャー!」
一方その頃───
「あれ!!!小型偵察機が!!!いない!!!」
「もう!!!どこに行ったんだい?!!返事をしたまえ!!!」
「前回までのあらすじ」───────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!
……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。
その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?
それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。
小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?
もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!
というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。
そして、構造色の少年の名前と正体が分かったよ。なんと彼は、父が考えた「理想の宇宙管理士」の概念だった。概念を作った本人が亡くなったことと、ボク以外の生きた存在に知られていないことで、彼の性質が不安定だった原因も分かった。
ボクが概念を立派なものに書き換えることで、おそらく彼は長生きするだろうということだ。というわけで、ボクも立派に成長を続けるぞ!
─────────────────────────────
「君はセーターよりもカーディガンが似合うのに。」
彼女の口癖だった。父親の仕事の都合で急遽転校が決まった年、君といた最後の年の雪が溶けてきた時期でも、相変わらず彼女は僕に言った。
そして僕は今、セーターを着てる。いつか彼女に会える日まで、あの口癖をもう一度聞くまで、僕はセーターを着る。
今年も冬がやってきた。
外は静かに雪が降り続け、数日の間にホグワーツはすっかり銀世界に包まれた。
城の周りの湖も凍って何人かの生徒がスケートして遊んでいるのが窓から見える。
「ついこの間までハロウィンパーティーしてたのに、もうあっという間に冬だね。」
「...ん~?だねぇ...」
窓際の向日葵に水やりしながら部屋に遊びに来ていた幼馴染にそう声をかけると、間延びした返事が返ってきた。
さっきまでマルキンの新作衣装がオシャレだっただの、ハニーデュークスに行くと必要以上にお菓子を買ってしまうだのと、楽しそうな近況を話していたはずなのに一体どうしたんだとそちらを見やると、彼女は暖炉の前のロッキングチェアに揺られてウトウトと船を漕いでいた。
手元にある編みかけの編み物はすっかり動きを止めてしまっている。
「....おーい?」
「...ん~なぁに...」
「眠いなら部屋に戻った方が...」
「......ん~....?んん...そ...だねぇ...」
返事は返ってくるも寝落ちる寸前の様子。
...そういや最近不規則に寝てしまうせいでまとまった睡眠が取れてないって言ってたっけ。
このままここで寝かせるのもどうかとは思うがせっかく眠気が来てるなら無理に起こすのも良くないか...と少し思案した後、ブランケットを杖で呼び寄せる。
起こさないようにそっとかけてあげると幼馴染は既にスヤスヤと寝息を立てていた。
「......全く、困ったもんだよ。」
どうにもこの幼馴染には甘くなってしまう自分に苦笑する。
恐らく互いに自分が一番近しい存在で、同時に一番堅実な存在だと分かっているからだろう。
それが僕らにとって最適解だということも。
心地の良いこの関係に名前をつけることは最早無粋な気さえするのだ。
「だからといってあまりにも無防備過ぎるのは良くないと思うんだけどさ。」
眠りの妨げにならないようかけている眼鏡をそっと外してやり、傍らのテーブルに置く。
意趣返しのつもりで頬をつつくと、うにゃうにゃ...と形にならない寝言が返ってきた。
「ふふ、...おやすみ」
幼馴染の反応に満足し、そっと頭を撫でて再び水やりの作業に戻る。
寝かせてあげたかったから...というのは建前で
本当はもう少しだけ一緒に居たかったから。
...だから起こさなかった、ということはここだけの秘密にしておこう。
“ピィ”と相棒であるフクロウがひと鳴きして僕を見つめる。
「しぃー....分かってるよ、そろそろ準備しないとな。」
時計を確認して手紙を書き始める。
どうか貴方の記憶に残る楽しい一日になりますようにと願いを込めて。
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“ピィー!ピィーッ!キュルル...”
「んん...?あれ......寝落ちてた...?」
フクロウがプレゼントを運んでくる声で目を覚ました幼馴染が僕の書いた手紙によってあちこち奔走するのはその後しばらくしてからの話である。
HPMA side.S
かわいい羊の柄が大きく描いてあって、
ふわふわなポンポンがついているクリーム色のセーター。
小さい私にはとても眩しくて大きい
セーターに目を奪われる。
数少ないお金を貯めて、
お母さんから借りて。
やっと手に入れたセーターは
少し大きくてぶかぶかだったけれど
とても暖かかった。
「セーター」
セーター
セーターに くるまる 夢を見る
真昼の 南向きの 部屋の
どことなく 冬の 匂いが 立ち込める
あの 明るい 午後は
私を もう 迎えては くれない
なくした ものが
そこに わだかまる こともなく 消えた
あの 明るい 声が 聞こえない
私を 待っていて くれるかの ような
私を どこかで 見守る 太陽の 日差しの ような
あの 明るい 声は 聞こえない
私が 遠い 昔から 探した あの 声は
南向きの 部屋に 再び あの 優しい 声は
もう 聞こえない
そこに こだました あの 優しい 犬の 声も
昔に 聞こえた あの 声は
聞こえない
子犬の ように ブランケットに くるまって
長いとき 冬の 匂いが 染み込んだ
君の 置き忘れの セーターを
ハンガーに 掛けて 南向きの 部屋の
太陽に くるまって 懐かしい 景色を
冬の 匂いと 南向きの 部屋の 太陽に
あの時の 声を 思い出し ため息 ついた
邂逅した 天使
羽の ような 柔らかさ
なくした 翼を どこかで 私は 探していた
あなたは 忘れていた 心を
優しい 羽の ような 日差しの 午後に
忘れていた どこか 遠くの 彼方から
飛来 してきた
セーターに くるまった 私は
しずかな 風の ような
君の 指先に そっと 触れている
まるで 長い 年月 解けることない
氷の 山が 溶けたかの ような
明るい 日差しに 歌い出す
鳥たちが 南へ 向かい
飛び立つ ような
長い 眠りから さめたような
また 深い 吐息に 包まれた ような
光の 中の 邂逅に 目を覚ます
忘れていた あの時が 心に 去来して
あなたが ここに来た
本当の 意味を 探してる
日差しに 微睡み 頬杖を つきながら
ニットワンピース。
あれってキャバ嬢の家着っぽくてエロいよね。そう言ったら君は、偏見すげえ、と思い切り笑い飛ばした。
ひとしきり笑うと落ち着いてきたらしく、涙まで拭いながら言った。
「でもあれだね。出てるとこ出てて締まるとこ締まってる人じゃないと、なかなかそういうふうには着こなせないね」
そんな赤の他人事みたいに。今の自分のカッコ鏡で見てごらんよ。
昔の編物の本は何故か芸能人がモデルになっているものが多かった。
自分の彼、もしくは憧れの〇〇に着てもらいたいセーターを編む、というコンセプトだったのだろう。
私自身は編物なんててんで駄目で、子供向けの編み機のオモチャもろくに動かした事が無い。綺麗にマフラーが編める母を凄いと思っていた。
だからなのだろうか、誰かが編物をしている姿を綺麗だと感じる。
最近だとオリンピックで話題になった海外の選手。
周りが歓声や何かでざわつくなか、黙々とセーターを編んでいる姿が印象的だった。
そうして完成したセーターの、可愛らしくて鮮やかなこと。何かに集中している姿の美しさと、完成した時の笑顔。彼が満たされている事が伝わってくるエピソードだと思った。
〝着ては貰えぬセーターを〟は昔あった歌だけど、編物にしろ刺繍にしろ、手仕事というものには想いが込められている気がする。
お気に入りのセーターは手編みじゃないけど、工場で作られたものだって暖かさは変わらない。それはきっと、「安価で暖かいセーターを寒さで困っている多くの人に着て欲しい」という想いがあるからだ。
END
「セーター」
「セーター」
新品のセーターをおろす
1日過ごし、いざ洗濯となり
いやでもまだ一度しか着ていないし。冬だからあまり汚れてもいないし。これで縮んだら立ち直れないし。今回は辞めておこうかな
結局、初回は物怖じしてしまうのである
7セーター
秋から冬にかけて寒がりな私はよくセーターを着ている
けど、布団や炬燵、暖房等をつけ始めたり、使い始めると
すぐ着なくなってしまう
1人が思いを込めて作る手縫いのセーターも
機械が作るセーターもきっと同じ
少しの時間しか使われないんだろうなぁ
セーターを編んでみた。
ちくちく。
喜んでくれるかな。
セーターのプレゼントって重くないかな。
かわいいセーターを編みながら
ふと思う。
ちくちく。
あの人の事を考えるだけで胸がいっぱい。
大好きだなぁ。
まだ、まだ。
早く出来ないかな。
編み物はいつもしてるけど、
セーターは結構やった事あるけど。
あの人の事を考えてると
待ち遠しくて、待ち遠しくてたまらない。
私より一回り小さいあの人。
ふわふわして小動物みたい。
だけど、しっかり怒るとこは怒る。
あぁ、かわいくてかっこいよくて。
私だけのお姫様にでもなってくれないかな。
大好きだよ。愛してるよ。
あなたが私の事忘れても、
一生、一生。
憶えて、愛し続けるよ。
怪我をしたらすぐ駆けつけるし、
泣いていたらすぐ慰めに行くし、
辛い思いなんて絶対にさせない。
だから。
あの男より、
私を選んでよ…。
なんて思ってしまう。
あの男は
あなたのこと都合のいい女って言ってたのよ?
ねぇ、ねぇ。あなたはどれだけあの男に泣かされたの?
私が1番近くであなたの涙を見ていたから、
あなたの辛さは分かるよ。
お願い。ねぇ、
なんて言っても、あなたはあの人の事が好きなんだものね。
そもそも、こんなこと考えてるからかしら。
だから、私は…。
でも、私、あなたの笑顔が見れたらいいよ。
私、あの笑顔に惚れたんだっけ。
ね、でもさ、私も。都合のいい人でいいから。
こっち見てよ。
なんて贅沢言ったらまた困らせちゃうし、
優しさにつけこむみたいになるね。
涙で視界が揺れた。
セーターはまだ編めない。