せつか

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昔の編物の本は何故か芸能人がモデルになっているものが多かった。
自分の彼、もしくは憧れの〇〇に着てもらいたいセーターを編む、というコンセプトだったのだろう。

私自身は編物なんててんで駄目で、子供向けの編み機のオモチャもろくに動かした事が無い。綺麗にマフラーが編める母を凄いと思っていた。
だからなのだろうか、誰かが編物をしている姿を綺麗だと感じる。
最近だとオリンピックで話題になった海外の選手。
周りが歓声や何かでざわつくなか、黙々とセーターを編んでいる姿が印象的だった。
そうして完成したセーターの、可愛らしくて鮮やかなこと。何かに集中している姿の美しさと、完成した時の笑顔。彼が満たされている事が伝わってくるエピソードだと思った。

〝着ては貰えぬセーターを〟は昔あった歌だけど、編物にしろ刺繍にしろ、手仕事というものには想いが込められている気がする。
お気に入りのセーターは手編みじゃないけど、工場で作られたものだって暖かさは変わらない。それはきっと、「安価で暖かいセーターを寒さで困っている多くの人に着て欲しい」という想いがあるからだ。


END


「セーター」

11/24/2024, 3:53:14 PM