ユキ

Open App

これじゃない。

もう何軒まわったかな。
欲しいデザインのセーターが見つからないや。

わたしは、随分と冷たくなった外で、ため息をついた。

凝り性、というのかな。とにかく、好きでもないものを周りに置くことができないたちだ。なにかを妥協して買って、気に入らず捨ててしまうこともあった。

今年はセーターなしで行くかな?

気に入らないものは、もう、手にしたくない。

流石に疲れた。日曜日の10時からショッピングを試みて、いまは午後4時だ。

はあ、と再びため息をついた。休憩がてらに寄ったスタバの椅子に座り、ストロベリーフラペチーノを飲む。

ふと、少し離れたテーブル席に座る女の子のセーターが気になった。

あれだ!! なんて、しっくりくる気持ちのいい色味とデザインなんだろう!!

聞いてみようかな? どこで買いましたか? 変な人にならないかな?

10分たっぷり悩んで、わたしは、席を立った。そして、そのセーターの女の人のところへ行った。

「あ、あの」

声が震える。女の人は、?、といったふうにこちらを、見ている。

そしてその人がかけだしのファッションデザイナーで、セーターはその人の作品だと聞かされた。

「うん。買ってくれるなら嬉しいな」

「ありがとうございます!!」

わたしは、彼女が販売を主にしてるサイトを教えてもらった。そこから、注文できるらしい。

女の人はそれから、店を出て行った。

わたしは、その姿を見えなくなるまで追った。

ん? これは推しだろうか? 胸の高鳴りを感じながら、わたしも、続いて、店を出た。

11/24/2024, 6:20:38 PM