sunao

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「ちょっとだけでも会いたい。」

そう言って
彼女を、彼女の家の近くの学校の運動場まで呼び出した。

コートにマフラーを巻いて来てくれたけど、
それでも寒そうにしながら

「星がきれいだね。」

ときみは言った。
真っ黒な夜空にチラチラと星が瞬く。

僕はそんなきみを自分のコートで包むように後ろから抱きしめた。

きみはなんだか困ったようにしながらも僕の腕の中でもぞもぞと動き、こちらを向いたかと思うと、コートの中の僕のニットのカーディガンのボタンをもぞもぞと外しはじめた。
最後のボタンを外し終わると、きみは僕のカーディガンとシャツの間にするりと両手を入れて、僕に抱きついた。

「あったかい…。」

僕はそんなきみを今度はカーディガンとコートで包んだ。

お風呂上がりなんだろうきみの髪はまだ湿っていて、シャンプーの香りがした。



「セーター」

11/24/2024, 7:15:40 PM