sunao

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11/21/2024, 12:46:41 AM

宝物っていうのは特別なものかしら。
金銀財宝、海賊のお宝、昔話のお土産、特別な美しいものたち。

それともほんとはつまらないような、なんでもないような、日常だったりしないかしら。

なんでもない日常は、実はとても尊くて、美しいものたちでできている。

この世界がぶじに回って、人々が健康で、全ての生き物が生命をまっとうして、その中で自分は今日も息をして、ぶじにそれらを感受できている。

いのちのきらめき。
世界のきらめき。

わたしもその中の小さな一つのように、その中に埋もれる。




「宝物」

11/19/2024, 11:58:07 PM

卵型のキャンドルの見る夢は、
中から雛鳥が出てくることだった。

でもそういえばてっぺんに謎に紐がついていたし、ずっと親鳥を見ないと思っていた。

親鳥を見ないから、もしかしたらこのまま雛が孵らず、腐ってしまうのかな。と。

なので、紐に火をつけられた時、驚いたし、動揺したけど、とろとろとてっぺんが溶け出し、自分が卵型のロウソクだったとやっと理解した時、雛鳥の心配をしなくてよかったことにほっとした。

そしてその火を、自分を、うれしそうに見てる人がいるから。
ほんとうに、ほんとうに、とてもよかったな。
と思った。

卵型のキャンドルには、雛鳥ではなかったけど、やっぱり中には温かくて、とてもすてきなものが入っていたんだね。




「キャンドル」

11/19/2024, 12:04:02 AM

スマホのライブラリを眺める。

色んなところに行って色んな景色を見たみたい。

色鮮やかな写真が並ぶ。

誰かの愛しい可愛い写真もあれば
かっこつけてる写真もある。

スクショも混じってて、あの時こんな話したな。とか。

めんだこのグミの写真もあれば
シマエナガのチーズケーキの写真もあって、
これにシマエナガは入っているのか、とか。

食べかけの棒付きチョコの写真が出てきてぎょっとする。
ポ◯ちゃんの顔が舐められてる途中経過。
あれはなかなかホラーなお菓子なの。

上裸のあいつの写真が出てくる。
夏の間あいつは室内では上裸なのだ。
これは人に見られると気まずい。
パンイチでJOJO立ちしてる写真まである。
やべーやつだ。

そしてまた現れるホラーなF家のぺ◯とポ◯。

これから先も楽しい写真が増えるといいな。




「たくさんの想い出」

11/18/2024, 12:54:20 AM

「もうすぐ冬になるね。」
エゾリスさんが言いました。

「ああ、そうだね。」
シマリスさんが言いました。

「ボクはさあ、冬、きらいじゃないんだよね。
 そりゃあ食べ物とるのが大変になるけどさ。
 空から降ってくる、白くてちらちらするあれに会えるし、世界が真っ白になって、その白いのが降り積もる音しかしない感じとか、ほんと、すきなんだよね。
 木が透明なのに覆われて固まってたり、
 光がキラキラ降ってる時もきれいなんだよなあ。」

「ああ、そうなんだ。」
シマリスさんが、こっくりこっくりしながら話を聞いた後、言いました。

「ボクは、そういうの、なにもしらないから。」
ふわあー、とあくびをしました。

「えっ、なんで?」
灰色ふわふわのエゾリスさんが言いました。

「だってボク、ずっとねてるもん。
 冬の間?1年の半分くらいねてるんだよ。」

「なんだって!?
 冬を見たことがないのかい!?
 そんなにねたら頭ズキズキするよ!?」

「ああ、ごめん。
 せいかくには何度も起きて巣穴でご飯を食べているよ。
 今年も木の実、いっぱいたまったし、そろそろねようかな。」
しましまのシマリスさんは、眠そうに、じゃ、と片手をあげて去っていきます。

「つぎいつ会えるのー?」
エゾリスさんの大きな声がシマリスさんを追いかけます。

「桃色のお花がいっぱい咲くころかなー。」

「………
だいぶ、先だね………」

まだ日差しは暖かく、風が冷たい頃のお話。




「冬になったら」

11/17/2024, 6:07:40 AM

マフラーを巻いて、僕たちは、銀杏の葉がちらちらと降る街を歩く。

桃色のマフラーがきみに似合っていてかわいいと思う。

そんなきみは

「はなればなれにならないように。」

と、まるで子供扱いするようなことを言って僕の手を繋いだ。

人が混んでるわけでもなし、ただ手を繋ごうとしただけだと思う。

なんとなくうれしい。

空気が冷たいから、よけいにきみの手の温度がわかりやすく伝わる。
きっと僕の手の温度もきみに伝わっているだろう。

繋いでる手から温度が行き来してる。

ほんとうに僕たちは今、はなればなれじゃないね。




「はなればなれ」

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