『スリル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
目が痛くなるくらい真っ白な世界に、わいわいキャーキャーとやたらにぎやかな声が響いている。
「チキンレースしようぜ」
「ソリで?」
「ソリで」
悪ぶったような顔を向けてきたが、耳当てやらダウンやらでモコモコになっているせいでいまいち決まってない。
「あのネット手前ギリギリまで滑ったほうが勝ちな」
どうやらチキンレースのルール自体は知っていたらしい。スリルはかけらも残っていないけど。
「そういうのって崖とか壁に向かってやるもんじゃないの?」
なんとなくそう溢すと、あいつは驚いたような焦ったような器用な顔をして見せた。
「そんなことしたら大ケガするだろ!」
さっきまでの悪ぶりが台無しだ。まあ赤いプラスチックのソリを引きずっている時点で絵面は0点だけど。
「ほら早くやろうぜ」
赤いソリが坂の手前へ引きずられていく。ふと辺りを見回すと低学年のやつらばかりで同学年がほとんどいないことに気づいた。
「今思ったんだけどさ」
ソリにまたがり準備万端といった様子のあいつは早くしろと言わんばかりの顔をしている。
「低学年に混じってソリやるのって十分度胸試しじゃない?」
「……それは言わない約束だぜ」
運動音痴二人組はそろって項垂れた。
→短編・良い子も悪い子も真似しないでね。
〜行列の二人・3〜
「本当にスリルに満ちてたよなぁ」と落ち着いた声が、感慨を滲ませて呟いた。
仕事帰り、夕食をファーストフードで済ませようと列に注文の列に並んでいた私は、よく響く声に誘われて声の主を探した。
……。
なんだろう? どういう巡り合わせなんだろう?
一度目はおばんざいビュッフェ、二度目は美術館。そして三度目の今日。
こんなに同じ行列に並ぶ確率ってある?
私の隣の列に並ぶのは、これで三度目の遭遇となる高校生二人組だった。声の説得力と内容が伴わない子と、冷静な子。
先の発言は内容が伴わない子。
もうこうなってくると二人に役を与えたくなる。もちろん……。
「いきなりどうしたよ」
「さっき家を出る前に賞味期限1週間切れのヨーグルトの大っきいパックを母親が見つけてさ」
手でそのサイズを表している。サイズ感からして400グラムのやつか。
あ~、と相槌とも共感ともとれる声が上がる。うん、わかる、難しいラインだよね。
「母親が食うって言うから、奪って全食いしてきた。スリリングな気持ちを今も抱えてる」
「やらかしたな」と、呆れたような声。
賞味期限云々関係なく、普通にヨーグルト400グラムの一気食いは色々と危険だよねぇ。
「だってさぁ、腹痛くなるんなら親よりも自分のほうがマシかなぁって」
……。
「……」
い、いい子じゃないか!!
「お前のそういう所、普通に感心するわ」
そして妙に素直な感想! たまらんな、この二人!
「うっわ、褒められた! 俺、ここの支払いタカられる!?」
「―んで、自分で墓穴掘るよな。奢ってくれんの?」
「ムリっす! さぁせん!」
うん、命名、ボケとツッコミ、コンビ名、ザ・行列。
テーマ; スリル
〜行列の二人〜
・10/26 一人飯(テーマ; 友達)
・11/1 展覧会(テーマ; 理想郷)
スリル…
サラピンのちょっと良い白シャツでミートスパずるずる
日常生活もスリルに満ちている
今日 歯医者に行った
いつものクリーニング
やさしい歯科衛生士さん
でも今 地震が起きたら
この尖った機器が私の
のどおくを突き刺すかもしれない
にごった洗い桶の中の
包丁
おじいさんにとっての
ちょっとした切り株
ドアの隙間の
ねこの白い前脚
その危険を
どうにかすり抜けながら
表面 おだやかな日常は
くりかえされる
戦慄迷宮に行ってみた動画を観たりする。みんなでワーワー騒いでいる様子は見ていて面白いけど、自分一人で行ったらどれだけ怖いんだろう。だが、わたしには恐らくお化けや霊より怖いものがある。それは、虫。この間、お風呂場に蛾がいて大騒ぎした。母が捕まえてくれて助かったが、誰も居なかったらどうしようと本気で心配になる。形が単純な虫ほど恐怖。こういうスリルはできるだけ味わいたくない。
スリル
外国人が動画でやってたりするビルとビルをジャンプしたりビルの壁で懸垂とかするあれは見てるだけでスリルを味わえるな。
あれって多分正式名称があるんだろうけどなんて調べ、バルクールじゃなかったか?なんか唐突に思い出した。
バルクールで調べたらパルクールだった。惜しい。でも多分俺がいってるのはこれだな。思い出せてすっきりだ。
ああいうのやってるのって大体外国人だよな。そりゃ母数が違うから外国人の動画が多いのは当然ではあるんだけど。
ただ日本人は外国人と比べて恐怖遺伝子がどうこうでああいうのは向いてないってどっかで見たからそれが原因だと思ってる。
あとは国民性とかか。基本陰キャだからな日本人は。ああいうガチなのはやらないよな。
それにしても体調が優れない。完全に風邪を引いたな。とはいえまだ初期症状だから薬は使わずに食事で免疫力を高めて回復したい。
薬に頼るのは自分の力じゃどうしようもない時だけで軽い風邪くらいなら自分の力でなんとかしないとな。結局最後にものを言うのは自分の体力と免疫力だからな。
ゾワゾワする心の奥底に
暗い部屋は笑いかける
ドキドキする頭のテレビジョン
汗と涙は平常心
バクバクする体の本能は
恐怖を暖かく歓迎する
さんさんと照らす太陽に
また今日も失敗
――サメの言うことにゃ、
スリル
限界の限界の限界まで
バイオハザードをプレイした スリル
身体を内側から焼く熱が、心臓の裏側を焦がす火が着く。心拍数が上がる、息が浅くなる、手が冷たくなる。それが心地良いなら、今、きっとこれが闘争だ。交感神経を掻き切れるくらいに、そのくらいの強さで弾いたギターみたいに歪んだ音で先に進んでみる。戦える。戦えるって。全てをねじ伏せられる腕が欲しかった?誰よりも大きな一歩を歩める足が欲しかった?言ってる暇はもうない、薙ぎ倒せる、信じるしかない。振り払ってやるって、全部、自分が。温い風も注ぐ日も、喉を通した水も全てが賛歌してるって。迷惑ばっかりかけるし肩を丸めて生きてきたけど、一人きりで平和を目指したいけど、ずっと戦いたいとも思ってた。みんながそうじゃないだろ?世界に降り掛かる火の粉を払うための力で、どこまでも遠くまで、そのずっと後ろで笑ってる人類の一人も見えないところまで行って、そうして守ってやれるかな。勝ってやる、どうにか、少しでも。
お題 スリル (*´-`)
一瞬、マイケル・ジャクソンのスリラーがちらついてしまってなにも思い付かなくなってしまった笑
違う言葉なのに他の事がちらついて離れなくなることってあるよね~
テーマスリル
君といるとスリルがいっぱい
高い所から落ちないか
道路に飛び出してしまわないか
他の動物にケンカ売らないか
病気になっていないか
君を見守る私の使命を
どうかまっとうさせてね
カラフルをまとうのが好き。そりゃあ全身ってわけにはいかないからワンポイントって感じだけど、やっぱり明るい色があると目を引くしテンションも上がるよね。
「待てっ!ドロボー!!!」
それに泥棒するときもこうやって見つかりやすくしておくとドキドキしていい感じじゃん?映えるし。
スリル
戦闘において、スリルは常に傍にあるものだった。それが普通でないと知った時には、既に手放すには惜しい代物になっていたのだから笑えない。血を求め肉を裂き、それこそ本能のままに生きる獣のように。忘れられないあの匂いが、感触と音の全てが掴んで離さなかった。まるでそのために生きているこのように、衝動のまま戦闘に身を投げ出して、気づいた時にはやたら仰々しい肩書きまで背負ってる。
心配そうな顔をする友人がいる。仕方がないと零して、呆れた顔をして頬にこべり着いた赤黒いそれを拭って。はいできた、なんて微笑む姿が心底可愛らしいものだから、その度に頭を少し乱雑に撫で回しては怒られる。スリルとはまた違った安心感と居心地の良さに、これが幸せってやつなのかな、なんてらしくないことを思いながら。
少し湿った、消して歩き心地がいいとは言えないそこに一歩踏み出した。見上げた空は相変わらずの曇天で、それがなんだか、逆に自分らしい気がして。中途半端同士お似合いだね。誰に言うわけでもなく、変えるでもなく。
ちゃんと幸せだった。けれど、まだスリルを忘れられない。
ホーム画面やロック画面が好きなアニメキャラに囲まれていたいな♪
初めてスリルを感じたのは高校生の頃だった。
当時付き合っていた同級生の彼氏の家に
お互いの親には内緒で潜り込んで
抱き合うという大人だけど子供らしい初体験だった。
お互いの親には自分たちのことを隠していた。
だから、彼の家に入るだけでも
ドキドキハラハラのミッション。
計画は無事に成功した。
かと思ったけど、
二人で家を出るとき、
パートから帰宅した彼氏のお母さんと鉢合わせた。
私は心臓が飛び出しそうなくらい驚いて
過呼吸になりそうだった。
彼は言った。
友達ではなく、彼女だと自分の母親に。
その日以来、彼のお母さんとも少しずつ仲良くなった
でも、お母さんが家にいない時を狙っては抱き合った
あの時のようなスリルはもう味わえないかもしれなけど、
とても楽しい思い出となった。
私は辛いものが嫌いだ
口に入れたときの刺激
ツンとしたピリピリとした
食後もしばらく残るなんとも言えない感触
とにかく嫌いだ
だけどピーマンは大好き
それと似ているシシトウは
いつもドキドキハラハラしながら口にする
当たって美味しい時は本当に嬉しい
だけどハズレた時は失望感が半端ない
食べ物に文句を言うのは
罰当たりなのはわかっているけども
シシトウだけは
そのロシアンルーレット感が許せない
だけど当たりの子は美味しいから
やめられないのは仕方がない
「スリル」
【スリル】
「うそだろ、10円足りねえ」
財布の中を何度か確かめて、ようやく事態を飲み込んでから、ウツツは声に出した。
親に無理やり入れられた学習塾。そこに備え付けられた自販機の前の出来事だった。今時電子マネーが使えない自販機なんて、と思わずにはいられない。
余談にはなるけれど、この数日後にはしれっと電子マネー対応のものになっていたので、本当にタイミングが悪いとしか言いようがない。
「ほら、使って」
横からやけに白い手が伸びてきて、硬貨が自販機に飲み込まれる音がした。途端に自販機のボタンが光る。当たり前だがゲンキンなヤツだ。
「え、でも」
「いいよ、それより早くしないと休み時間終わっちゃうよ」
私も飲み物買いたいし、と急かされて、ウツツは自販機のボタンを押す。がごんとやけに大きな音とともにペットボトルが吐き出された。
「悪ィ、助かった。後で返すから……」
改めて向き直った先には、見慣れない女子の姿があった。彼女はさっさと自分の分の飲み物を購入する。長めの髪がさらりと揺れて、正体のわからない甘い匂いがウツツの鼻腔をくすぐった。シャンプーなのか、柔軟剤なのか、なんなのか。問題はそこではなかったのだけれど。一瞬思考が止まってしまった。
「……返すから、名前とクラス教えて」
「えー、どうしようかな」
「どういう意味だよ?」
なんだか可笑しそうにする彼女の意図がわからなくて、ウツツは少しムッとする。
「ここで教えなかったら、塾に来るたびに『こんな顔のヤツ』をなんとなく探しちゃうじゃん。それってめっちゃおもしろくない?」
自分の顔を指さして、ニヤニヤと笑っている。見た目は割と美人だし、大人しそうなのに。言動は真逆なものだから、ウツツはそのギャップに良い意味で興味を持ってしまった。
「ちょっと塾来るの楽しくならん?私も『今日こそ見つかっちゃうかも』てドキドキするし」
「お前の暇つぶしじゃん!」
「別に返さなくても全然いいから、ノッてくれない?」
「いいぜ、ぜってー見つけてやる。覚悟しとけ」
そうこうしている間に予鈴が鳴ってしまう。彼女はヒラヒラと手を振って、その場から離れていった。ウツツも自分の教室に急いで戻る。
その日以来、ウツツは律儀に10円を余分に持ち歩いている。ようやく彼女を見つけたのは2週間後で、「うーん、思ってたより早かったな。上手く隠れてたつもりなんだけど」なんて言われてしまった。
「隠れるなよ、素直に受け取れよ!」
「や、なんかいつもキョロキョロしてるのおもしろくて」
「性格悪ッ」
「ごめんて、お詫びとお祝いを兼ねて飲み物買ってあげるよ」
「……?、それってあんま意味なくね??」
「さあ、どうだろうね」
迷いのない手つきで彼女はこの前ウツツが買っていたものと同じものを購入して、手渡してくる。渡される時に少しだけ指先同士が触れ合ってしまって、胸の辺りがそわりとする。
「てか、いい加減名前教えろよ、ここまで付き合わせといて」
「トワだよ、お兄さんは?」
「俺はウツツ。2年生」
「あっマジか、私3年」
「マジか……」
運動部のウツツとしては、つい年上には身構えてしまう。けれどそんなウツツの心境を見透かしたように、トワはニヤリと笑った。
「違う学校だし気にすんな。何か悩み事とかあったら遠慮なく『お姉さん』に相談していいよ?」
じゃあまたね、そういってトワは小走りで行ってしまった。またねとは言うけれど、次に会うことなんてあるのだろうか。
「……」
手に持った炭酸ジュースをぼやりと見つめる。周りの音がどこか遠くなっていた。
なんとなく、10円を返したことを後悔していた。その理由までは、今のウツツにはわからない。
※※※
登場人物
ウツツ:「もう来年3年生でしょ」と母親に言われ塾に入れられた。成績は下の上くらい。好きな科目は体育。
トワ:高校受験のために塾に入る。成績は中の上。調子がいいと上の下くらいまでいける。好きな科目は音楽。
少年はじっとその草に目を凝らしている。細長く尖った葉を持つ雑草の前にしゃがみ込んで動かない。霧が出た朝の散歩道。少年は朝ごはんも食べずに駆け出して、この草地に舞い込んだ。
少年は不意に手を伸ばす。目線の先にはヨシの葉先に載ったまあるい水滴。朝露だ。ゆっくりと慎重に、手を出して、指先の震えを抑える。
その人差し指が、ついにヨシの葉を捉えた。
葉先を指でちょんと押すと小さな粒がするすると葉脈を流れて先端に集まってくる。水滴が指に触れる直前、ぱっと手を離す。しなった葉は反動で大きく跳ねて、大きな水の粒は ぱちんと弾けた。
大きな粒が弾けて小さな粒に分かれ、放射状に飛び散っていく。
この一瞬のスリル。この光景をその目で見るために、少年は霧の出た早朝を起き出してくるのだった。
スリル
この前自分の前書いたの振り返ってたらスリルについて書いてた。彼氏のスマホ勝手に見たけどスリル感じなかったとか言ってた。そんな彼氏とは今別れそうだよーー、はあ
よく日焼けしてて根明な上司と、二回目のツーリング。赤紫の海沿いを走って、オフシーズンの海水浴場の駐車場に向かう。彼は、よそ見をして、綺麗だと感動しながら、走っていく。僕は、ひたすら彼の背中を追いかけて、目を逸らせず、肩に力を入れていた。
駐車場に着くと、缶コーヒーを奢ってくれる。あまり好きではないが、わざわざ言い出すような関係性でもなかった。感謝の言葉を口にして、海を見る。赤く焼けて、恐ろしかった。
「綺麗だなあ。」
彼のその言葉に、僕は共感できなかった。
「この景色見るために、走ってるよな。」
彼のその言葉に、僕は共感できなかった。
「平和な毎日にちょっとしたスリルを与えてくれる、バイクってのは最高の相棒だよ。」
彼のその言葉に、「根本的に相容れない」と思った。
僕がバイクに乗っているのは、恐怖を克服する日を夢見ているからだ。死にそうになるくらいの恐怖に自分を慣れさせれば、日々生きる恐怖なんて軽くなると思ってた。
だけど、そんなことはない。むしろ、歩道を歩いているだけで、後ろから迫り来る四輪車の駆動音によって、喉がつっかえるくらい、動悸がするようになった。
僕はただ生きるだけでスリルフルだ。そんなにスリルが欲しいなら、こいつに分けてやろうか。
そう思いながら、僕は、
「そうっすね〜。」
と返答した。
帰りは真っ暗で、僕を追い越してバイクがスピードを出すから、輪郭さえあやふやになって、僕はこのまま横転して、海に投げ出されたかった。
「また来週、同じ時間な。」
上司は満足そうに言う。上司に逆らって、職場に居られなくなって自主退職して、次の仕事が見つからなくって毎日不安と恐怖を抱えながら布団を被る、そんな「スリル」は欲しくないから、
「そうっすね〜。」
と返答した。