『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテン
水色のカーテンがふわっと膨らんだ。微かに金木犀の香りがする。軽く寝返りをうってみる。背中の筋肉が少し痛い。昼食のあと、本を読みながら眠ってしまった。足下で愛犬が寝ている。
ベランダ側のカーテンは呼吸をする様に、膨らんだり萎んだりを繰り返している。
朝、あんなに鳴っていた電話は今はなく、外も静かだ。
初めて無断欠勤した。僕がいなくても特に問題はないと思うが、上司にしてみれば安否確認と、嫌味の一言が必要なのだろう。
明日はきちんと謝罪しよう。仕事を辞める勇気はないし、人生を放棄することなんかしたくない。
ほんの少し、自分のために抗ってみただけだ。
さー上司の嫌味を聞くために電話をしよう。ちょっとした嘘は許してほしい。
、、、呼び出し音、、、
「もしもし、、、◯◯です、、大変申し訳ありません、、、、。
、、、、。明日は出勤します、、、。ご迷惑をおかけししました、、、。」
#カーテン
ひとつの恋の終焉に
ひとつの思い出の終焉に
ひとつの影を追わないように
ひとつの影にサヨナラ告げるために
お部屋のカーテン変えましょう
歩みだす私のために…
ガチャ
「…あれ。誰もいないの?」
玄関から、静まり返ったリビングを覗く。
「おかしいな…。どこ行ったんだ」
リビングを見渡す。
ふと、カーテンの下を見た。
足だ。
中学2年の女の子の足がカーテンの裾から見える。
「………」
「みーつけた」
俺は勢いよくカーテンを開けた。
『あ………』
半泣き状態で、身体が震えている。
「隠れるって…なにしょうもない事してるんだよ」
『いや……誰か、助けて』
俺は、女の子の手足を縛り
車の荷台へ乗せた。
ーカーテンー
#カーテン
ふわりとカーテンが揺れた。
窓の外には君が居た。
「やっと帰ってきてくれたんだね。おかえり」
ミーコ
『カーテン』
シャッと、カーテンを閉める。
遮った光は、どちらのもの?
チラッと、カーテンの隙間を覗き見る。
眩しい光に目を逸らす。
光の届かない暗い場所で、私は三角座り。
カーテンで閉ざした心の奥に、ひきこもっている。
シャッと、カーテンを閉める。
遮った光は、どちらのもの?
ピカッと、眩く照らされた場所でくるくる踊る。
そんな自分を、もう一人が毛布でぐるぐる巻きにする。
怯えに覆われた明るい場所で、私は三角座り。
カーテンで閉ざした心の奥に、ひきこもっている。
カーテンとは、外と内を分ける結界だ。
外の世界には危険なもの、嫌なもの、醜いものがたくさんある。
この大きな布がここに掛かっているかぎり、私がそれを見ることはない。
しかし私は、勢い良くカーテンを開ける。
何故なら、素晴らしいものや輝く宝は外の世界にもたくさんあるのだ。
だから私はそれを探しに行くのだ
いざゆかん。冒険の旅へ。
なんて、かっこいい事を言ったものの、仕事に行きたくない気持ちは変わらない。
無理矢理にでも気分を上げる作戦は失敗である。
成功なんてしたことないから別にいいけど。
別に今日は大事な会議があるわけでもなければ、嫌いな上司がいるわけでもない。
純粋に仕事が嫌いだ。
外を見てもまだ日が昇ってない。
なぜこんなに早く出なければいけないのか。
理解に苦しむ。
いや理解はしている。
お金のためだ。
好きなことをするために、お金が必要だ。
それでも行きたくない。
あーあ。
どこかに嫌なものから守ってくれるカーテン、売ってないかなあ。
目が覚めて
僅かな隙間から
今日が始まる光が差し込む。
朝のニュースがBGM
マグカップにパックのコーヒーを
注いでレンジで2分
10歩 歩いて紺色から白へ
カーテンのページをめくりながら窓を開けた
夕方みたいな朝の空と秋風が心地いい
こんな日はズル休みして どこか遠くへ…
そんな気持ちをあくびと一緒にはき出して
今日という1日に 少しだけ思いを馳せる…
秋の新作スィーツってワードと
レンジの音に呼び戻されて我に返った
また 今日も慌ただしい1日が始まる。
- Have a nice day -
【カーテン】
ぴたりと引かれたカーテンの向こう。僕の親友は薄布一枚を隔てた先からしか言葉をかけてこない。姿を見たことのない、声しか知らない親友だ。
幼い頃、森に迷い込み空腹で倒れてしまった僕を助けてくれた人。森の片隅に立つ小屋で暮らしているらしい彼は、僕が訪ねてくるたびに「もう来るな」と口では言うけれど、本気で僕を拒絶することはなかった。
(ほんと、馬鹿だよなぁ)
絶対に姿を見るな、見たら俺はお前を殺すと、最初にそう言われたから。僕は律儀にも、手を伸ばしてカーテンを捲ったりしないであげているけれど。
でも雲のない夜、月明かりが君の影をカーテンへと落とし出すから、僕は君が隠したがっている真実をもうとっくに知っているんだ。
獣の耳に太い尾っぽを持つ、人々が怪物と称する存在――それが君の正体なのだと。
(その程度で僕が君を嫌うわけがないのに)
いつかこのカーテンを開けて、僕は君の目を見て「はじめまして」と笑うんだ。ひっそりと胸に抱いた決意を隠して、僕は今日も明るく君へと声をかけた。
【カーテン】
大切な仕事に一区切りついたからメシに行こう、とおまえはおれを誘った。
何の気もなく応じたら、高級ホテルに連れ込まれた。
清潔な制服のボーイさんに案内され、高層階の豪華なVIPルームに通される。
「メシじゃねーじゃん」
恥ずかしくて悪態をつくおれに、おまえは「ルームサービスでメシ食うの。晩飯と朝飯の両方」と平気な顔だ。
「おれ、泊まりの準備してねーよ。コンタクトとかさぁ」
「大丈夫、用意してるから」
おまえが珍しくカバン持ってると思っていたら、そういうことか。
照れ臭くて多分真っ赤になってる顔を隠すため、おまえに背を向けてカーテンを開けた。
大きな窓からは、まるで夢みたいな夜景が広がっていた。
黒いベルベットに宝石をばら撒いたような光が美しい。
いつも暮らしているトーキョーが、どこか遠くの知らない国の街のようだ。
思わず見入っていたおれの肩を、おまえの優しい腕が抱く。
「ここの夜景気に入った?」
「うん、チョー綺麗。なんか外国みたい」
「本当は一緒に旅行行きたかったけど、スケジュール厳しいじゃん。だから、その代わり、な」
夜景の綺麗なホテルで2人で一晩過ごす。
カーテンは開けたままで。
誰も知らない2人を、誰かに知られてもいい。
#カーテン
猫が登るアトラクション。
明るい内に閉めると…そこは素敵な星空。
ランダムに施された穴によるプラネタリウム。
そろそろ“裂け目”になりそうなので、買い替えを検討している。
【カーテン】#71
一枚の布を隔てたその奥に
底知れぬ気配を感じた。
それがどうにも治らないもので
どこにいようがカーテンの閉まった部屋は
恐ろしさが増しているように思える。
そして今まさに
ノック音のようなものが聞こえた。
布団に包まり、全身を丸めて強引に入れた。
足の一本も出していなく、横向きであった。
それが間違いであった。
背中に感じるはずの布団の重さは
まるで無重力であるかの様に感じなかった。
横向きに寝ているからとはいえ
少しは触れている感覚はあるのが妥当だ。
金縛りにあってはいないが、
自らそれを起こしているように
全身のパーツひとつすらも動かさずに
「すぐに消えてくれ」
と願うばかりであった。
気がつくと
朝日は私の目覚めを知らせていた。
昨晩の出来事など無かったように
華やかに日光を浴びたカーテンが舞う。
舞う?
とことん心配性な私は
毎晩、窓の鍵は閉めていたはずだった。
ロング
初めて会った時から
風で舞う君の髪に見惚れ
顔を見ることができない
※カーテン
夜尿意で起きた私はお手洗いに向かった
お手洗いを済ませて帰って布団に潜る
優しい月光がカーテンの隙間から見える
今日は三日月か、いい日だったな~
今日も私お疲れ様、おやすみなさい そう独り言で
話眠りに入る
窓側の席で眠る君を眺めた
秋の風が気持ちいいね
キラキラと照らされる横顔が愛おしい
早く目を覚まさないかな
カーテン
こどもの頃の異様なまでのカーテンの内側への興味、惹かれ方は、なんだったのだろうか。
グルグル巻きになったり、隠れたり。
ときにはレースカーテンに包まれお姫様みたいになったり。
1番覚えているのは、幼稚園のホールにひかれていた、黒くて大きな遮光カーテンが強い風に吹かれてぶわっと広がった光景は、それはそれは壮大なものだった。
そう思うと、カーテンは幼い身体をすっぽりと包んで隠してくれる、秘密基地のようなものだった。
『カーテン』2023,10,12
淡い光がゆれている。朝が来ているのだ。
微睡みの中で、それまで見ていた夢がぼやけてゆく。
『――んおにいさまー!』
『おだてな――も、わた―がはらう――』
目覚めると、ぺらぺらの薄いカーテンが朝日に透けていた。いつも通りの平日の朝。支度をし、急いで出勤すると、隣の席から、いつもの声が掛かった。おはよう。
『おはようございます。』
今日も先輩より遅れてしまった。気まずくて謝罪をしたら、先輩はうふふ、と笑う。いいよ。私、近いの。と言って。
優しくて、明るくて、いい人だ。入社してからずっと、その印象は変わらない。何度目だったか部署の飲み会で、嫌な事とかストレスが溜まったらどうしているんですか、と聞いたことがある。先輩は目を細めて笑い、
『夢で素敵な男の子に会って癒やしてもらうの。』
と言っていた。はぐらかされたのだと思う。
そう言えば、揺れる光の中に居る夢は、入社して今の部屋に住み始めてから見るようになった。いつもぼやけている、でも優しい、多分、いい夢。
先輩のキーボードが軽快な音を立てる。どうしてか、にやりとした悪戯な笑顔を見、自分をからかう明るい笑い声を聞いたような気がして、その横顔から慌てて目を逸らした。
…そんな姿は、見たことがない筈なのに。
まだ人も疎らなオフィスの窓越しに、淡い光がゆれている。
先輩の目尻が濡れたように光っている。
……働こう。
よく働いてたくさん稼いで、いつか、ご飯を奢ると言ったら彼女は頷いてくれるだろうか。
【カーテン】
カーテン
薄い、本物のレース越しに黒髪が跳ねて、陽の光を増幅させるきらきらのぐっしゃり笑顔が飛び出すんだ。
朝方のまだ私しか起きていない時間に、偶々起きてしまったからと遊びをし出す。パジャマのボタンが幾つか掛け違っている、黄色のくまがいく段劣る笑顔でプリントされていた。
かくれんぼだよ、どこにいるでしょう!なんてばればれの問題をわざと見逃してやると、ここだよ!と声が上がった。
そんな日常があった時もあった。と早朝正座し、漆塗りの黒い観音開きを開く。笑顔と対面し、いつまでもここにいるね、かくれんぼだからいつまでもそこにいてはいけないんじゃないと聞いた。笑うばかりだ。
チーン、とおりんを鳴らした。今日も見つけにきたよ。
ピンポーン。
ドアホンで応答すると宅急便の配達らしい。
ご苦労さまです。ハンコを押して荷物を受け取る。
品名:ログインカーテン
そういえば買ったかも。
夜な夜なお酒を飲みながら、変なテンションでポチッた覚えがある。
PCを起動する度に替わるログイン画面の壁紙。
そんなコンセプトの商品でカーテンを開ける度に窓からの景色が替わるとの説明がある。
使用してみると思いの外、満足度の高い買い物だった。
昼間っから観える満天の星空
海中に渦を巻くような魚群
夏なのに深々と降り積もる雪景色
在宅勤務が捗る逸品だ。
ただ一つ、ホラーな壁紙を混ぜるのはやめて欲しいです。
カーテンを開けた瞬間に目が合ってゾッとしました。
カーテン
簡単な任務だと言われて渡された仕事は、思いの外時間がかかった。原因はわかっている。自分の隣で水に濡れた子犬のようなしょぼくれた顔をしているアンネのせいだ。厳密に言えば、アンネが悪いのではなく、部下の力量を正しく量ることのできていないギルド長が悪いのだが。
半日でギルドまで戻ってこれる計算だったが、もう空はすっかり暗くなっている。自分はともかく、疲弊しているアンネをギルドまで無理やり連れ帰る理由は一つもなかった。ナハトはそこら辺で適当に宿を探すことにした。一晩泊まれるのならどんなところでも構わないだろう。
「……とはいえ、これはさすがになァ……」
方々を探してようやく見つけた宿は、ベッドが一つ置いてあるだけの狭い部屋だった。ソファなどはない代わりだろうか、そのベッドは普通よりは一回りくらい大きいベッドだ。
「オレ、適当に外で寝てくるから、この部屋はアンネが使えな」
この世の終わりとでも言いたげなほど暗い表情をしていたアンネは、彼の言葉に弾かれたように顔を上げた。ナハトの服の裾をがっちりと掴むと、もげるのではないかと心配するほど横に首を振る。
「い、嫌です! ナハトさんがこの部屋を使ってください。わたしが外で寝ます」
ナハトは溜息をつくと、アンネの額を指で軽く弾いた。
「バーカ、ここら辺、そんなに治安よくねェし。お前が外に行くのは絶対ダメ」
「でも……今日の失敗はわたしのせいですし、それなのにわたしがベッドを使って、ナハトさんが外で寝るって、気が引けます……」
「あれは別にお前のせいじゃねェよ。どっちかと言うとあいつの采配がアホだったんだ。だから気にすんなって」
ナハトはそう言って慰めるが、アンネは消沈したままだ。
「けど、お前がそんなに気にすんだったら、一緒に寝るか?」
冗談のつもりで口にした言葉に、アンネが身を乗り出して頷くものだから、彼は後に引けなくなってしまった。その方が問題があるような気がしたが、ナハトは深く考えることを止めた。
カーテンの向こうでアンネが寝る仕度をしている。彼も取り敢えず、着けていた装備を外して部屋の隅に置くと、ベッドに横になった。まあ、自分がベッドの中に辛うじて収まったので、小柄で華奢なアンネならば、余裕だろう。
仕度を終えて戻ってきたアンネが、ナハトの横に遠慮がちにもぐり込んでくる。しかし、安心しきったのかすぐに寝息を立て始めた。
その彼女のあどけない寝顔を見ていると、なぜか鼓動が早鐘を打ち始める。今晩は眠れそうにないとナハトは溜息をついて、目をつむった。
ごめんなさい
あなたには毎日、
昼夜を問わず
お世話になってるけど、
じっくりと向き合って
考えてこなかった
今度の休みに
洗ってあげるね!
カーテンへ
まー