気分屋の現実逃避日記

Open App

【カーテン】#71
一枚の布を隔てたその奥に
底知れぬ気配を感じた。
それがどうにも治らないもので
どこにいようがカーテンの閉まった部屋は
恐ろしさが増しているように思える。
そして今まさに
ノック音のようなものが聞こえた。
布団に包まり、全身を丸めて強引に入れた。
足の一本も出していなく、横向きであった。
それが間違いであった。
背中に感じるはずの布団の重さは
まるで無重力であるかの様に感じなかった。
横向きに寝ているからとはいえ
少しは触れている感覚はあるのが妥当だ。
金縛りにあってはいないが、
自らそれを起こしているように
全身のパーツひとつすらも動かさずに
「すぐに消えてくれ」
と願うばかりであった。
気がつくと
朝日は私の目覚めを知らせていた。
昨晩の出来事など無かったように
華やかに日光を浴びたカーテンが舞う。
舞う?
とことん心配性な私は
毎晩、窓の鍵は閉めていたはずだった。

10/11/2023, 9:05:31 PM