『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「カーテン」
もうあの部屋、あの場所にはいないはずなのに。
締め切られているはずの無菌室で何故かカーテンが揺れた気がした。フワッと揺れて暖かい風を感じた。
「間違ってないよ、前に進まなきゃいけないよ」って言ってくれたのかな。
思い出すのは動かない直線。無機質な高音。
繰り返されることのない呼吸。
もう帰ってこない。冷たくなっていく一方。
カーテンで仕切られたその部屋には、もう新しい人がいて。自身と治療と日々戦っている。
前を向いて進めない私を励ましてくれたのかな。
助けられなかったという悔しい思いは次へ。
いつまでも泣いていられないね。
清潔で外気の入らない無菌室で私はリベンジしなくてはいけない。
待っててね。いつか必ずこの気持ちは払拭するから。
また私が進めなくなっていたらもう一度フワッと揺れてほしいな。
カーテンに滲んだ憂鬱を見て
太陽は呆れながらも
適当に雨を降らす
一時的に言い訳になったって
ずっとじゃなければ逃げきれない
もう 中途半端にするから…僕が
またうずくまる
眠たくないのに眠るんだ
ひとまず今日は天気のせいだ
カーテン
好きな模様、色で窓を華やかにしたり、シンプルにしたり、可愛くもかっこよくもなるカーテン。
カーテン売り場に行くだけで、ワクワクする。いいものに巡り会えますようにと――
「カーテン」
自分の部屋のカーテンが好き。
1人になりたい時、
それは外の世界との柔らかい隔たりを作ってくれるから。
壁のような頑丈な隔たりでもない。
ドアのような開けばすぐに外に繋がる隔たりでもない。
カーテンは、
外の音、光、温度、振動、全ての情報を緩く伝えてくれる。
外との繋がりを感じられるままに1人になれる。
私は、外の強い日光を柔らかい光に変えてくれる
そんなカーテンが好き。
カーテンの隙間から見える光が
今日も朝を伝えに来て
それはきみと会えるということも
伝えてくれる。
◤カーテン◢
誰もいない教室。大きな窓とカーテンの間。二人きり。
横に並んで、開け放った窓からグラウンドを見下ろす。
「……あ」
隣から小さく声がした。視線を向けると、嬉しそうに微笑む横顔。
ランニングをする陸上部の集団の中に、お目当ての先輩を見つけたようだ。
「よく飽きないね」
この道を通るのは、日に一度だけ。
その一瞬を見るためだけに、毎日毎日ここで待っている。
「好きな人を見るのに、飽きるなんてないでしょ」
「……まあ、そうだね」
真っ直ぐすぎる言葉が、痛い。
「そっちこそ、こんなことによく毎日付き合ってくれるね」
緩い風が吹いて、カーテンとやや長めの髪が揺れる。
外を向いていた目がこっちを向いて、二秒。視線を反らす。
「オレも、同じことしてるから」
グラウンドから目を逸らさないまま、いつもより小さな声で呟く。
視線の先に、その人はいないけれど。
「えっ、誰!?」
「ひみつ」
「なにそれズルい!」
何を言われたって教える気はない。
いつか、気づくまでは。
「わっ……」
突然強い風が吹いた。煽られたカーテンが滑って、大きく開く。
陸上部の集団はもう見えない。
二人きりの時間はおしまいだ。
カーテン。
薄い、カーテンを透かして見る外の世界は、なんだかいつも綺麗だった。
私が住む家は、こじんまりとだがベランダがあった。ベランダは、大して整備もしていない上、昨日の雨で曖昧に濡れている。朝晩と涼しくなってきたこの頃は、日が落ちてから網戸に薄いカーテンを掛けて涼むのが、一日の癒しだった。
今日は道が明るく見える。それが、通り過ぎる車のせいなのか、街灯のせいなのか、久々に晴々している僕の心のせいなのかは分からないが、時計の針だけは明確に示しているのだろうと、思う。
綺麗だな。気持ち悪い。眠いなぁ。人が沢山だ。どこ行くんだろ。虫多いな。わ、刺された。少し寒い。芯に沁みる。柿が熟れてる。煩いなあ。
幾つか言葉が浮かんで、跳ねて、去っていく過程を楽しみながら、今日は外を眺めていた。
明日は、どうしようか。
とり敢えず、カーテンは、開けておこうか。
「カーテン」
外界は奇声に満ちていて
無理やり手を引っ張る奴らや
肩を組みたがる気持ちの悪いやつら
群れて同意を求めて
私を無理やり私でないものにしようと
虎視眈々と狙う奴ら。
誰も彼もが私に群がる。
ゾンビのように。
外界から私を守るものは
濃紺のカーテン。
この内側は私の世界。
今夜も魑魅魍魎や有象無象から
私を守ってくれる。
朝日がこの濃紺を
コバルトブルーに変えるまで。
カーテン
作者:ノワール
うちは山宮 沙奈、ちょっとした話に付き合ってもろて。その日テストの点が悪かったから強制的に学校で居残り補習をしてたんよ。いまは17時、春だからまだ日が落ちるのが早いから夕日が教室を照らしてるんよ。
沙奈「はよ帰りたいから早くカーテン元通りにせなあかんなぁ…」
そんときな?風がブワーって吹いてきてカーテンが舞ったんよ、夕日に照らされてカーテンがなんだか神秘的に見えたんよね。
そんで一瞬小学校の頃思い出したんやけど、幼なじみがちょうどこんくらいの時間、季節にうちに告白してきてな?その頃はまだ恋心がまだわからんくて断ったんやけどね…今考えると複雑なんよ。
だからーー
だから、その幼なじみが今また告白してくれたらOKしたのにって思いながら目の前にいる幼なじみに、今度はうちから。
あとがき
こういうの本当に中々慣れないので変だったら申し訳ありません。また良かったら見に来てください。 ノワール
カーテン
いーち、にぃーい、さーん、よーん、ごーぉ、ろーく、なーな、はーち、きゅーう、じゅう。
もういーかーい? もーいーよー。
私は妹を探しに扉のドアを開けた。
そこには足の生えたカーテンがあった。
最近片方の靴下が見当たらない。いいや靴下だけではない。
友達に貰った、ちょっと自分じゃ買わないお高いハンカチまで行方不明なのだ。
ベッドの下クッションの裏ソファーの脇。隙間という隙間を執念深く探す。遂に服のポケットまで探すも見当たらない。
「……ねぇ、どこいったと思う」
見つからなすぎて愛猫に話しかける始末。
お姫様は知りませんことよと言うように一言鳴くのみ。それもそうか。
もう探せる場所は全部見た。
一度頭を冷静にさせるため換気をしよう。いつもは猫の定位置の為たまにしか開けない窓がある。今日くらいいいだろう。そうカーテンを開ける。
するとそのカーテンの裏には探し物が詰まっていた。
私は犯人を尋問すべく部屋に戻った。
カーテン
何時も通る道沿いに、一寸古い一軒家がある…2階建てで、広い庭があり、山茶花の生け垣で囲われている…何時もひっそりしているけれど、時々車が停まっているのを見掛ける…そして、2階の窓は、何時もカーテンが閉まっていて、だけど、少しだけ隙間がある…ある昼下がり、何時ものように、近くに差し掛かると、ピアノの音が洩れてきていた…思わず、目を向けると、何時も閉まっているカーテンが大きく開放されていて、ピアノと演奏している女性の後ろ姿が見えた…
カーテン
「もーういいかーい?」
そう問いかければ、元気な声が遠くから聞こえてくる。
「もーいいよー!!」
閉じていた目を開けて、声の主を探しに行く。どこかなー、と言いながら、寝室やキッチンを軽く見つつ、本命のリビングへ。
「どこかなー? 机の下かなー?」
もちろん、机の下には誰もいない。というより、リビングに入ってきてすぐわかってしまったのだ。
カーテンがぐるぐる巻きになって、中に人がいることが。可愛らしいな、なんて思いながら、イスの下かなー、とまだ探している振りを続ける。
カーテンの中からはくすくすとした笑い声が聞こえてきた。
「んー? なんか笑い声が聞こえたぞ。ここかな?」
カーテンごと抱きしめるように覆い被されば、あはははは、と楽しそうな声が上がる。
「みーつけた」
その言葉が、かくれんぼの終わりの合図。ぐるぐるのカーテンから救いだし、ふぅ、と一息つけば、キラキラとした瞳でこっちを見つめてきた。
「もういっかい! つぎは、わたしがさがす!」
君は夜、カーテンを閉めたがる。
「高層マンションじゃん。気にすんなよ」
「やーなの。だって夜は…」
「夜は?」
「…おれらだけが良いから」
夜さえも邪魔者だって? お前ホントに…
「俺のこと好きすぎるな」
うるさいなー!!
君は照れまくって顔を真っ赤にして、そんな君を俺はケラケラ笑いながら抱きしめて。
わかったよ、朝までこうしていよう?
そして朝になったらさ、カーテンを音を立てて思いっきり開けて、そしてベランダでコーヒーを飲もう。君が俺のためだけに淹れてくれたコーヒーを。
それまで幕開けはお預け。
▼カーテン
自分におはよう
カーテン開ける
それだけでしあわせやん
ふわりと揺れるカーテン
優しい風が入ってくる秋の昼下がり
ほんの少し冬の気配を感じる
春の風と秋の風
どちらが好み?
私は秋の風が落ち着く
四季を感じる事ができるのは幸せだとふと思える
心地よい
靡くカーテン
茜色の夕焼け
其処に一つの影
一つの涙
涙が下に落ちた時
世界は真っ暗になった
# 149
カーテン
ゆるやかに、風を含んだ布端が、つまらなそうな私を誘うよう、肩を寄せて見せてくれました。頬杖をしながら今日の空について、贅沢な時間でした。
【カーテン】
子供達にお化け屋敷と呼ばれている家があった
その家は汚れてくすんでおり、木々が生い茂っていた
カーテンはいつも閉められていて誰が住んでいるのか
知る者はいなかった
茉莉はいつもその家を通って出勤していた
ある日、茉莉はあることに気付いた
カーテンの隙間から誰かが茉莉を覗いているのだ
茉莉は恐怖で固まり、動けなくなった
すると窓が開き、中から青白い男の顔が出てきた
「いつもここを通ってますよね。この場所でずっと見ていたんです。気づいてくれて嬉しいなぁ。」
男は照れたよう笑いながら、窓を潜って出てきた。
男は悪びれる様子もなく、茉莉を家に招こうとした
だが、危険を感じた茉莉は逃げ出そうとした
すると男は豹変した
男は細く弱々しい体から出るものとは思えない力で
茉莉の腕を掴み、家に引きずり込んだのだ
茉莉は暴れるように抵抗し、逃げようとした
しかし、努力も虚しく彼女は部屋に閉じ込められ、
その生涯を終えるまで部屋から出ることは無かった
男は茉莉を愛し続けた
茉莉はいつしか男に依存するようになっていた
結局茉莉は最初から最期まで男の思い通りだった
最も男は、茉莉がカーテンの隙間から
密かに助けを求めていたことは知らなかったが…
#110 【カーテン】
寝室のカーテンは遮光がいい!と
わがままを言ったのは確かに私だ。
だって知らなかったんだもん。
あんなにしっかり遮光だなんて。
朝になっても暗いやないか。
びっくり。
全然起きられない。
幼い頃は、なんだかペロリンとした
カーテンしか知らなかったから
分厚いカーテンに憧れがあったのよ。
でもいいよね、遮光カーテン。
燦々な昼間も
楽々お昼寝出来るもんね♪