「カーテン」
もうあの部屋、あの場所にはいないはずなのに。
締め切られているはずの無菌室で何故かカーテンが揺れた気がした。フワッと揺れて暖かい風を感じた。
「間違ってないよ、前に進まなきゃいけないよ」って言ってくれたのかな。
思い出すのは動かない直線。無機質な高音。
繰り返されることのない呼吸。
もう帰ってこない。冷たくなっていく一方。
カーテンで仕切られたその部屋には、もう新しい人がいて。自身と治療と日々戦っている。
前を向いて進めない私を励ましてくれたのかな。
助けられなかったという悔しい思いは次へ。
いつまでも泣いていられないね。
清潔で外気の入らない無菌室で私はリベンジしなくてはいけない。
待っててね。いつか必ずこの気持ちは払拭するから。
また私が進めなくなっていたらもう一度フワッと揺れてほしいな。
10/11/2023, 2:33:53 PM