『エイプリルフール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【エイプリルフール】
1「冷蔵庫のプリン食べちゃった!」
妹が大声で言ったその言葉を俺は聞き逃さなかった。
「何してんだよ!名前かいて…」
そう冷蔵庫を見てみるとちゃんとプリンはそこにあった。俺は安堵しながら
「はぁ…。そういえば今日エイプリルフールじゃん。くだらない事やってないで宿題してろ。」
俺は静かに言って自分の部屋に戻った。
「う、うるさーい!お前こそ馬鹿なんだからやってないでしょーが!!!」
妹がまた大きな声で言ってくるので無視をしてベットに入り、眠りについた。
2やけに静かな夜?に俺は起きた。朝から寝たからだろうか。眠気が全部無くなっていた。俺は少しの余計な好奇心が湧き、色々夜の家を探索することにした。
リビング、キッチンでは水が滴る音と自分の足音が響いた。風呂、洗面所では洗濯機がまだ動いていて、少しうるさい。
俺はちょっと怖くなり自分の部屋に戻ってスマホを見ようとした。
「…ん?あれ?え?え?嘘でしょ。」
俺は枕の隣に置いておいたはずのスマホが無くなっていることに気づいた。
「…アイツか?」
俺はふと妹の事を思いついた。アイツならやりかねない。エイプリルフールだーとか言って許してもらおうとするんだろうか。だがスマホは許せない。俺は妹の部屋に行くことにした。俺の部屋に入ったんだからおあいこなと言い訳も考えてきた。
ーカチャ ゴソゴソ
「ねーな…カバンの隣はっと、…あ、あった!!!!」
5俺はスマホを見つけて帰ろうとした。すると、
ーベチャ
水のような物に足が濡れた気がした。
ーペチャベチャ
それになんだか生臭い。鉄のような匂いだ俺はもしやとスマホのライトで照らしてみた。
真っ赤とは言えない少し黒ずんだ赤の水が一面に広がっていた。
これは“血”だった。
「っっひぃッ!!」
俺は横を見た。そこには“家族のみんなが倒れていた”
7その家族の隣に紙が置いてあったんだけど今画像貼る
釣 り で し た✌︎︎( ᴖ ᴑ ᴖ )✌︎
8まじかよー
9釣りだったかww
10でも話はおもろかったわw
11じゃあそろそろおとすわw
12今日は4月1日
13エイプリルフールw
『エイプリルフール』
眠れない夜、時々ネットで知り合った彼女と他愛もない話しをする。会話上手な彼女はいつも楽しくて気付くとあっという間に時間が過ぎていた。
ところがある日、偶然彼女の別垢を見付けてしまった。書き込みを覗くと名前こそ伏せてあるものの、明らかに自分を誹謗中傷している。最初は思い当たる節もなく言われる事に抵抗があったが、それ以上に楽しさが勝ち、だったら自分が見なければいいと割り切った。
今夜も彼女と楽しい時間を過ごした。
よせば良いのにまた彼女の別垢を覗く。
「いつまで話してるの?ほんとウザい」
今日はエイプリルフール。彼女の言葉は嘘だと思いたい。
「今日は君に大事な話がある」
「なに?」
「僕たち別れよう」
「オッケー」
「え?」
「じゃあね、元気でね」
「ちょちょちょちょちょちょちょ、待ってよねぇっ」
「なに?」
「その、なんでよとか嫌だよって言わないの?反論一切ナシ?」
「反論してもねぇ」
「へっ?」
「あなたがそうしたいのであればそれを尊重するしかないし」
「え、なんでよ」
「そもそもこちらに非があったのであれば、しっかりとお詫びをせねばなりませんね。この度は大変申し訳ございませんでした」
「ねぇ待ってよ何。ていうか誰」
「今後このようなことがないように、今回のことをしかと受け止めて、今まで以上に邁進してゆきたいと思います故」
「ねぇなんでそんな難しい言葉使うの。いつも“うんち”とかいう君がそんな敬語知らないはずだよ」
「つきましては今回の件を全面的に認め、あなたとお別れすることで責任を取る形とさせていただきます」
「え、やだ」
「それでは」
「ねぇ!エイプリルフールだから!別れない!」
「……申し訳ございませんがもうこれは決定事項ですので」
「やだよ!何それ認めない!取り消してくれ!」
「と、おっしゃいましても」
「じゃないと僕は首をくくるぞ。死ぬぞ」
「左様でございますか」
「え」
「それではこれよりお別れの挨拶を」
「ねぇーーーーっ、嘘だから。別れたくないし死にたくないの。大好きなの君のこと」
「……あんたエイプリルフール向いてないよ」
「ダメだよ?僕と別れたらダメだからね?」
「えーどうしよかな」
「んもーバカぁあ」
幸せになりたい。
一等大切な人が言った言葉。それを聞いた時の後悔か、喪失か言葉が出てこないどうしようもない気持ち。
あぁ、私ではこの人を幸せには出来ないんだと。
幸せに
お題告知の数分後
エイプリルフール…
四月バカねぇ…
などとスマホ片手に考えていたら
突然、おっ!と思う人からの着信
えっ?なになに?
ドキドキ ドキドキ ドキドキ ドキドキ
しながら電話にでると
がやがや ごとごと ぱりぱり しゃりしゃり
音が続き、しばらくして
「まもなく電車が到着します」のアナウンス
電話を切りメールで折り返す
先方より"電話かけていません"とのこと
更に、えっ?なになに?
結局のところ、なんてことはないただの誤作動
エイプリルフールにあやかることなく
平穏無事に四月一日を終了
今年も波に乗れなかったなぁ
#3『エイプリルフール』
お題: 『エイプリルフール』
今日は、エイプリルフール。
罪のない嘘ならば、午前中のみついても良いとされる日。
だから私は、友達に普段のような冗談を言った。
私にとっての、その程度の嘘をついたのだが
普段何気なく、当然のように嘘を吐いてしまうことがある。
当たり前の事実があったかのように、平気で、平然として、ついてしまう。
なんというか、悪気がないのだと思う。
"嘘"をつくことを"当たり前"として会話してしまうところがある。
ああ、また嘘を言ってしまった。
などということはなく。
そして私は、夕方頃、いつものように言った。
『一生仲良しだよ!』
この言葉は、罪があるのだろうか。
騙し騙され、今日だけは許されるお祭りの日。
今日もネットの渦に巻き込まれる。
ーーーだけど、これっていつも通りでは!?
「じゃあね」って、なんで今日言うんだよ。
そういうずるいところ、大嫌いだ。
ああそうか。君は嘘が好きなんだっけ?
僕はね、ずっと嫌だなって思ってるよ。
悲しくなってくるからね。
君の背中に、なんて声をかけていいのか
わからなかった。
君の笑顔に、どんな表情で返したらいいのか
わからなかった。
一瞬泣きそうな顔をした僕に、
君は「どうしたの?」って言ったよね。
僕はあの晩、初めて一人で缶ビール1本空けたよ。
一人で飲むお酒は、妙に哀しくて
魅惑的な味がしたよ。
「ほんとに今日こそは『さようなら』だね」
ねえ、僕はなんて返したらいいの?
「ありがとう」
何も言わないでよ。
…黙って行かないで偉いね。
「君には言っとくべきだと思ったんだよ」
そう言った君は、なんとも言えない表情で、
「言ってくれてありがとう」
そう言った僕は、少しだけ笑ってて、
やっぱり、
今日だけほんとのこと言う日にしてほしいよ。
じゃないと僕は、たぶん耐えられない。
でも、君はそれを望むんだよね。
僕の前から去る日は、今日なんだと。
ずるいね。
「じゃあね」って君が言うから、
じゃあせめてさ、
「またね」…なんてね?
エイプリルフールに着いた嘘が本当になるだなんて考えもしていなかった、それに、本当になって欲しくなかった。
君が明日死ぬなんて言うから笑って流すしか無かった。本当に死ぬなら一緒に死ぬと言ったのに、抱きしめて泣いたのに。分かりづらい嘘をつかないでくれよ。
上から降ってくる君と目があってしまった私はきっと4月1日が来る度に思い出すのだ。君を助けられなかったことと、私が一緒に死ねなかったことを。
子供のころは、エイプリルフールが楽しみだった。どんな嘘をついてやろうかと、ワクワクしながら考えたものだが、
いつからか虚しくなって、4月1日に嘘をつくのを止めてしまった。口へんに虚しいで「嘘」だから、当たり前だが。
嘘をつくのは、才能だと思う。
うん、紛れもなく才能だ。
『推しの子』の星野アイは、アイドル(嘘つき)で、「キレイな嘘をつく」のが身上だ。
彼女が嘘をつく事で、彼女の魅力は倍化する。彼女は自分の為だけでなく、ファンの為にも嘘つきを続けるのだ。
明石家さんまは、笑いの為なら平気で嘘をつく。彼が高言しているのは、「8割まで盛ってエエねん!」だ。
でも、それで笑わせられるなら、誰も損はしない。
さんまにしてみれば、それが彼のスタイルであり、「腕の見せどころ」なのだから、
逆に、面白い話を盛りもしないで素のまま語る奴は「腕がない芸人」となってしまう。
ただ、ビートたけしは嘘が嫌いである。直言不遜が彼のスタイルなのだ。芸人やアイドルも様々なのだ。どっちを選ぶかはあなた次第である。
しかし、嘘には悪質なものもある。詐欺事件のような犯罪は憎むべき嘘だが、それを「芸だ」とうそぶく詐欺師が居ても不思議はない。
「偉大な嘘つきは、偉大な魔術師だ」と名言を吐いたのは、アドルフ・ヒトラーである。
彼は、目的のために言葉を巧みに操り、事実を歪めて伝えたり、嘘をついて人々を扇動した。
恐ろしい。
間違った才能も、世の中にはある。
『エイプリルフール』
エイプリルフールは、毎年4月1日に行われる嘘の祭りだ。嘘をついていいのは午前中だけとか、その日についた嘘は絶対に現実に起こらないとか、いろいろな言説がついてまわるけど、とりあえず様々な嘘を見て回れるという点では、なかなか面白い日である。
さて、嘘をつくとき、私たちは真実とは異なることを「嘘」として話すわけだが、そもそもどれくらい正しく真実を認識できているだろうか?
私は正直なところ、自分の認識が真実と呼べるほど正しいものであると、自信を持って言うことは出来ない。視力が落ちてからは眼鏡をかけないとぼんやりとした絵しか見えず、耳も悪くて言葉が聞き取れないことも多い。都合よく脳が補完してしまうこともある。そうやって、身体の不具合を脳が修正してしまうものだから、自分が認識している世界というのは、おそらく、正しくないだろう。
にもかかわらず、自分は嘘をつくことが出来る。真実を正しく認識できていないにもかかわらず、である。このことを思うと、世界というのは真実と嘘だけで構成されているのではなく、そういう尺度で識別できないもので満たされているのではないかという気がしてくる。
真実か嘘か、というのとは別の、自分の目に映る世界を丁寧に眺める日を「エイプリルフール」としてみたっていいのではないだろうか。
懐かしい
友達の妊娠報告を去年の4月1日に聞いた
今まで冗談半分で妊娠しとんやないん!!とか笑ってたから
ご飯食べた帰り
____あのさ、報告があるんだけど、私妊娠してるんだよね、もう4ヶ月目になるんだけど、報告遅れちゃってごめん笑
へ?え、、待って、エイプリルフール?笑
___ううん、ほんとなの笑
それからエコー写真を見せてもらってほんとに妊娠してるって分かった
学校どうするの?
___休学か、辞めるかな
当時は嬉しいような寂しいような複雑な気持ちだったなぁ
今では赤ちゃんもすくすく成長してて、一緒に馬鹿ばっかりしてた友達もすっかりお母さんになっちゃった
私はあと2年勉強、実習頑張る!!あんたも子育てたくさん辛いことあるだろうけどお互い頑張ろうな!!!て泣きながらお別れしたの懐かしいな
エイプリルフール。ネットで時々ある寒い空気がちょっと苦手。ガチってる企業なんかは好感持てるけど基本的に苦手な日かな。
エイプリルフールは午前だけ嘘をついていいんだっけか。日本だとその日一日はオーケーみたいな感じだけど。
エイプリルフールについてなら書くことあるけど少し長くなるし今日はなんだかだるいからこれで終わりにするか。
「エイプリルフール」
今日はエイプリルフール皆に嘘をついていい日。
「今日は○○に嘘ついてこよー」
僕は嘘が大好き、だけど嘘ついたらみんなから信用を失うことにまだ、この頃は気づいてなかった。
「○○ー!」
「なんかあった?」
「俺、彼女できた!」
「ええええ!」
「それ、マジで言ってる?」
「嘘だよお〜」
「はぁ?」
「今日エイプリルフールだよ?」
「うわ、お前去年のエイプリルフールでもやってたよな。」
「うん、そうだけどそれがどうかした?」
「お前、そんなに嘘ついてたらいつか信用を失うぞ?」
「はいはい、分かりましたよ〜」
「もういいわ、絶交な。」
「は?w冗談だよな、」
「冗談じゃない、お前には昔から散々してたんだ。」
「またな。」
「おい!待てよ!」
「……」
「嘘だろ、」
こうやって俺は小さい頃からの幼馴染みを失った。
「はぁ、あいつが言ってたことは本当だったな、こんなことになるんだったら最初から嘘なんかつかなければよかった。」
僕は幼馴染みを失ってから気づいた。
「明日、もう1回あって謝ろう。」と、僕は決心した。
翌日、僕は○○を体育館裏に読んだ。
だけど、○○は来なかった。
「なんでだよ、仲直りできないなら死んだ方がマシだ。」
僕は、家に帰り色々と準備をした。そう、僕は死ぬ気だったんだ。
「もう、これはいらないな。これも…」
次々に物を捨て、真っ黒なパーカーとジーパンで家を出た、母さんにどこに行くか聞かれたが「散歩してくる。」と答えた。
家から、1km半離れた河川敷に来た。
「よく、ここで○○と遊んだな。○○は毎回足を滑らせて転んでたな。」
僕の目からは涙が流れ出した。
「あれ、なんで泣いてるんだろ、これから死ぬって時に。」
今までの思い出が蘇ってきた。
僕は涙を拭いて、河川敷の展望台に立つ。
「あぁ、これで楽になれる。やっとみんなを苦しませなくてすむ。」
その時、「〜!」○○がやって来た。
「はぁはぁ、何してんの。危ないから降りようよ、」と、○○は僕の手を掴んだが、僕は振り払った。
「!、どうした。」
「、、さい。」
「え?」
「うるさい!」
「どうしたんだよ。」
俺は涙を流しながら言った、「もう、うんざりなんだよ!」
「!」
「エイプリルフールだから嘘ついただけなのに、なんだよあの言い草!俺はもうお前が大っ嫌いだ、」
「何言ってんのw」
「何笑ってるんだよ、」
「自分で言ってるじゃん、エイプリルフールだって。」
「え?」
「今日!エイプリルフールなんだろ?いつもの仕返しだよw。信じすぎだろw馬鹿じゃねえの?」
「はぁ?」
「どうだ、俺の気持ちわかったか。嘘つかれた人の気持ち。」
「おう、すまなかった。」
カット!
「うん!良かった!実際に幼馴染みじゃないと出せない演技もあるもんだね!よし!休憩!」
そうこれは芝居だったのだ。
たった一つのエイプリルフールの芝居。
嘘つくなら
もっと面白くて笑いが止まらない嘘にして
落として上げる、みたいな嘘
私は大嫌い
『エイプリルフール』
あ、雨の音。この音を聞くたびに私は昔のことを思い出す。私は昔は孤児だった。生まれた頃から1人で生きていた。周りに蔑まれてきた。殴られた。石を投げられた。誘拐されかけたり騙されて臓器を売られそうになったことだってある。
でも私は生きた。生き地獄の中で私はカビたパンと雨水を煮沸して作った飲み水で命を繋いだ。パンは黒くくすんでいてカビが生えていた。千切ることは出来なくてもちろん咀嚼することさえ出来なかったので、岩を鋭くしたナイフもどきでパンを一口サイズに切って水と共に飲みこんだ。嚥下する前に感じるのは口一杯の苦味とカビ臭さだった。暫く耐え忍べたが限界だった。まともなタンパク質は取れずビタミンも取れていない。日に日に自分の身体が壊れていく感覚があった。死ぬ間際なのに随分と冷静だった。或いはそう反応する程の余力残っていないからかも知れない。雨が降り出した。いよいよ意識が混濁してきた。そのまま眠ると次目を開いたのはヒトの部屋だった。その内家主が帰ってきた。まずここまで運んだ経緯とこれからのことを話してくれた。どうやら雨が降っている音の中に少し子供の息遣いが聞こえて発見して保護してくれたらしい。これからは私を育ててくれるらしい。
後、彼女が名前をくれた。「雨音」という名前。少し女っぽいが私を象徴しているみたいで、いい名前だなと思った。こうして生活が始まった。彼女は私を学校に通学させてくれた。勿論、美味しい食べ物だって。
それなのにある日、彼女に家を追い出されてしまった。散々言われた。やっぱり私は嫌な奴なのかな。と思った。カレンダーを覗くとエイプリルフールだった。もしかしたら私のための優しい嘘かも知れない。そう思ったら家に戻りたくなった。軽蔑されてもいい。嫌悪されたっていい。少しでもあなたの側にいたかった。
「 あ、のさ、ちょっといい? 」
わたしはこう前に告白した初恋の彼に呼ばれていた。
前に一度振られていてもうだめだと思った相手。
『 なに? 』
「 話したいことがある 」
こうしてわたしは人気のない廊下に連れていかれた。
『 話したいことって? 』
「 前にお前俺に告白してくれたじゃん 」
『 まあ、そうだね 』
「 それでさ、俺もっかい考えたんだけど、 」
『 うん 』
「 その、好き、 」
『 え? 』
「 お前が好き 」
不意に言われるなんて思ってなかった言葉を言われて戸惑う。
そしてわたしは意識的に日付を確認した。
今日は、4月1日。エイプリルフールだ。
勘違いしたら嫌なので、期待せず確認する。
『 あのさ、それ嘘 … ? 』
「 嘘じゃない、 」
『 うそ .. 』
「 信じて、笑 」
『 信じがたいけど信じていい? 』
「 むしろ信じてよ 」
『 ふふ、嬉しい 』
「 俺も。 」
エイプリルフールってなんか悪くないかも。
終わったはずの恋が始まった日だった。
[ エイプリルフール ] 4/1
「「うわぁぁぁ!!」」
いきなり聞こえてきた叫び声は高橋薫(たかはしかおる)と清水連(きよみずれん)のものだった。
「ったく、もう少し静かに出来ないのか?」
そう俺が言った瞬間、薫が飛びついてきた。
普段は一切そんな事をしないから驚いた。
「颯(そう)〜、俺達入れ替わっちゃた〜!」
薫の姿、薫の声で言ってくる仕草や言い方はまさに連そのものだった。
「嘘をつくな」
「それが、本当に入れ替わったの、信じて?」
そう言って薫(中身は連)を庇うように言ってきたのは連(中身は薫)だった。
「連?どうしたんだ、その喋り方…」
「違うの、確かに今の私は連くんの中に入っているから連くんが喋っているように見えるのかもしれないけど…」
「けど?」
「本当に入れ替わったの」
必死に見つめてくる連は、まぁ、確かにたまに薫はそんな仕草をやるが、連がやっているのを見るのは寒くてしょうがない。
「つまり!薫の中身は俺で俺の中身は薫ってこと!分かった?」
「…まあな」
「信じてくれた!?」
今にも踊りだしそうな勢いで俺にしがみついていたのは連。
こいつ、中身が薫だってこと忘れてるな、とか思いつつ連(中身は薫)を諭す。
「いや、まだ確証がもてていないからな、あと落ち着け」
「はぁ、颯くんはあと何を証明したら信じてくれるの?」
「…何も証明してないだろ…ちょっと待ってろ」
「「?」」
そう、俺はある人、薫の親友であり連の事を毛嫌いしている星野美桜(ほしのみお)を呼んでくるのだ。
「呼んできたぞ」
その瞬間、連(中身は薫)が露骨に嫌そうな顔をしていたのを見逃さなかった。
逆に、中身が連のはずの薫は顔をほころばせた。
当然、美桜もこの事に気づいて俺と見合わせた顔は少し笑っていた。
「えっと、颯からは薫と連…の中身が入れ替わったって聞いたんだけど」
「うん合ってるよ!美桜ちゃん!」
そう答えたのは中身が薫の連。
連が答えたからか、美桜は口を抑えて「おえっ」と言っていた。
「じゃあ、中身が薫の人に質問です。私との約束覚えてる?」
「え!?…んん゙、覚えています!」
「内容は?言ってみてください」
「………記憶が…とんじゃいました…」
「酷いなぁ…薫が私との約束忘れるなんて」
「うっ…いやね?その、ほら、あの〜今は少し混乱してただけと言うか何と言うか〜」
「言い訳終了、約束なんてありません!」
「なっ、騙したな!」
「騙される方が悪いんです〜」
「連?中身は薫じゃなかったのか?」
「あっ……颯〜、黙っててよ〜」
「俺が言わなくても美桜も気づいたと思うがな」
「颯くん、今年はどうだった?」
「薫、良かったな戻って。連はちょくちょく薫が抜けてたから、もうちょっと頑張ってほしかった」
「確かに!来年も頑張るね!」
それからしばらく皆で笑いあった。
来年はどんな感じにするんだろうか。
ーエイプリルフールー
〖エイプリルフール〗
4月1日の朝
ベットから降りスマホの電源をつける
1番最初に開いたアプリはメッセージアプリ。
無意識にもう引退してしまった初恋の先輩とのメッセージを開く
今日こそ想いを伝えよう
そう思った
「先輩、大好きです。付き合ってください。」
すぐに既読がついた
そして返ってきたものは
「急にどうしたの?あ、エイプリルフールだからか!」
あ、だめだこれ
耐えられずに泣いてしまった
でもメッセージアプリなら相手にどんな表情をしてるかバレない
だから私は
「そうですよ!エイプリルフールだから嘘ついちゃいました!笑」
としか送れなかった
あー嘘つかなければ良かったな
うららかを通り越した気温に頭がやられた、ということにしておきたかった。通りがかったその人の後ろ姿を、何を思ったか抱き寄せてついでに顔を埋めていた。無防備な背中は思ったより温かく、あと思ったより広い。急にどうしたのかとその人は慮る。声帯が震えて顔が少しくすぐったい。こんなに素直な自分は偽物だ、嘘なのだと言って聞かせれば「そうですか」となぜか嬉しそうに笑っていた。
(題:エイプリルフール)