やわらかな光』の作文集

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やわらかな光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

10/16/2023, 2:46:45 PM

今日は

早番の日だ。





ちゃんと
起きれて

まずは
ホッとする。




一度だけ
寝坊しちゃって
タクシー使って
滑り込んだから

早番は
緊張する。




寒くて
布団から
出たくない。

まだ
外は
夜みたいに
暗い。

冬は
特にツライ。



瞼を擦りながら
身支度を終える。




外に出たら
さらに寒い。


辺りは暗いけど

1箇所だけ

近所の
コンビニは
明るかった。





あぁ、
わたしも
ツライけれど

もう働いてる
皆さん





ほんとに
お疲れさまです。


#やわらかな光

10/16/2023, 2:45:54 PM

やわらかな光を見ると、そんなに眩しくもないのに目を細めてしまう。

それはきっと、思い出という名のフィルターをかけてしまっているから。

キラキラして眩しくて、もう一生やって来ない、忘れてしまったらすぐに消える儚いもの。

やわらかな光なんて今でも見られるのに、あの時見たものとは全くの別物なの。

それがなんだか悲しくて、やっぱり私は目を閉じた。

10/16/2023, 2:43:26 PM

あなたが発する言葉も
やわらかな光のように…
もう少し、あたたかければ良かった。

大切にしている
お皿だって、激しくどちらかが
ぶつかれば…あまりにも簡単に
呆気なく割れてしまうよ。

もう、何枚の割れた皿を
積み上げてきたんだろうね。

元に戻る事はないはずなのに
気持ちが麻痺して、今はまだ前を向けない。

その時が、来るまでは。


【お題:やわらかな光】

10/16/2023, 2:37:49 PM

木々の間から日差しが差し込み柔らかな光のカーテンを作っている。
すると私は目を凝らす。
木陰の中で本を読むのが好きだった君。自然の光と風で過ごすのが好きだった君。
何処かに、君の後ろ姿が見えるのではないか。そんなやわい希望を捨てきれずに、今日も木々の間を懐かしむように、目でなぞる。

10/16/2023, 2:36:35 PM

アタシは、好きだ。

あの子のふわふわしていて、まるで天使のような 輝きをまとっているところが。

あの子と一緒にいると、やわらかな光のようなオーラに包まれて、心の奥底から安心する。

いつか、この気持ちを伝えたい。

でも引かれたら困るから、ずっと言い出せないでいる。



私は、好きだ。

あの子の凛々しくて、カッコイイところが。

何事にも一生懸命に取り組む姿、それに、集中している時の、あの鋭い眼差し。

そんなあの子に、私の心は撃ち抜かれた。

いつか、この気持ちを伝えたい。

でもあの子は、孤高の狼ような存在だから、私なんかが話しかけてもいいか、不安。


〜鋭い眼差し〜
〜やわらかな光〜

10/16/2023, 2:34:04 PM

やわらかな光が白く塗りつぶしたのは
明け方のうちに降られた商店街
風が出てきて雲で翳り
アスファルトが増えていく
光の世界が去って行く
そういえば小学二年生のときには
追いかけても間に合わなかった
もう一度追いかけてみようか…
ふと前を見ると信号が青になっていた
会社に行かなきゃ…会社に行くか…

10/16/2023, 2:33:22 PM

どうしたの?
泣きそうな顔してるよ
君のその暖かい光で
私の傷が消えていく

10/16/2023, 2:32:50 PM

あの頃は 、 眩しい太陽が好きでは無かった 。

まとわりつく熱気
幼い身体中を容赦なく駆け巡る温度
なのに寒くなると全く助力してくれない

暑くて 、 眩しくて 、 役に立たない 。
こんな明るさ 、 いらない 。

そんな風に思っていた 。



「 belle personne ( 綺麗な人 ) ……… 」

恩人に出会うまでは 。



「 その調子ですわシトロン ! 段々と上達していますわね ! 」
「 うん ……… じょ 、 うたつしてる 。 」

その人はとても綺麗で 、 私と同じフランス人 。
日本語がすごく上手 。
日本について何も知らなかったわたしに 、
様々なことを教えてくれた 。

おかげで 、 日本語や文化に詳しくなれた 。
日本のことが好きになれた 。

「 シトロン 、 少し宜しくて ? 」

その人はお洒落が大好き 。
だからわたしも段々とお洒落が好きになった 。

「 きゃ〜っ ! やっぱりとても似合ってますわ ! シトロンには絶対にこの服が似合うと思ってましたの ! 」
「 きれい ………… ありがとう 、 セルリアさん 。 」

ふわりと舞い踊るスカートに 、 所々にあしらわれたフリルに 、 可愛らしいリボン 。
本当にかわいくて 、 お揃いコーデで 、 嬉しかった 。

何よりこの人が 、 わたしを見て笑顔でいてくれることが嬉しかった 。
本当の親子になれたみたいで 。

窓から射し込む太陽の光は 、
わたしが嫌いだった太陽の光は 、
彼女を照らす柔らかい光に見えた 。

ああ 、 やっと理解した 。

太陽の光は 、 この人の笑顔を見るために 。
この人の為に 、 あるんだっていうこと 。



- やわらかな光
- シトロン・テュルクワーズ 、 天ヶ崎セルリア
( 友情出演 )

10/16/2023, 2:25:00 PM

「光、それは波であり粒である
そして物質として掴むことは不可能
よって柔らかい光など存在しない」
そういう先生の手には
私達のために作ってくれたプリントの束があった
校舎の窓からの朝日を浴びてそれはよく目立った

10/16/2023, 2:23:40 PM

「やわらかな光」

公園の南側まで陽が届くころ

唐突にあなたが

「座ろうか」と言った。


無言でベンチに腰掛けて

陽の光を浴びる私達

昨夜、別れを告げて

それでも離れるべきではないと

あなたの元を訪れた私と


昨夜、別れを告げられて

今日自分に会いに来たのが最後なのだと

私の声を顔を脳裏に焼き付けるあなた。


「幸せだ(最後にありがとう)」

とつぶやくあなた

「幸せね(ずっとそばにいる)」

と返す私

二人の本当の想いを語り合うのは

翌日だけれど

今はまだ すれ違う二人の心に

ただ ただ   やわらかな光


         「やわらかな光」

10/16/2023, 2:20:59 PM

ほんとうはいつも守られているはず
あなたの後ろにあるものたちに

生命のつながり
出会ってきたひと
触れてきたたましい
過ごしてきたとき

ほんとうはいつも守ららせているはず
しんじて

#やわらかな光

10/16/2023, 2:19:52 PM

『やわらかな光』

私は散り行く萎れた花。
私は枯れ行く褐色の葉。
私は沈み行く腐った実。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

春の光は、依然やわらかでした。朝起きれば、天からの誘いと見紛う程に。多少安堵してしまう程に。それはそれは優しい物でした。

「光が優しいわ」

 口元が緩む。窓辺で白い太陽に手をかざし、暖かさを胸にしまい込む。この光もあと何回見られるのでしょう。もう、両手で数えられる程かしら。

 ちろちろと流るる透明な水路の水を見下す。
 あと少しで満開になる桜と同じ目線に立つ。
 可愛らしい紫の色をした菫の花に恋をする。

 花への愛を口遊む。貴女は私の憧れですと。貴女さえ居れば良い。囁く様に口遊む。心からの愛の言葉。他の誰でも無い、花々だけへの言葉です。
 明日も生きているのでしょうか。もう、糸を切って下さっても良いのですよ。満開の桜を愛でたら、私はもう良いのです。

「神様仏様。私なんかより、生きたいと希う者達を生かしてやって下さい。……私はもう、良いのですよ」

 口が滑る。
 こんな物、夫には聞かせられないわ。小さな笑いが溢れる。こんな言葉を聞いたら、泣いて懇願されるでしょう。「死なないでくれ」と。
 毎夜々々聞き飽きたわ。もう軽くさえ聞こえてしまう。貴方はそうでは無いんでしょうけどね。ごめんなさい。冷ややかな妻で。

 烏の飛び行く茜色の空を眺む。
 小雨の降る小夜中に涙を流す。
 雫の弾ける音を聴き夢に沈む。

「あら、満ちた」

 そよ風と光に起こされ、開けられた窓枠の向こうに、見えるは、霞む空と良く似合う、可愛い、桜。
 呼吸の仕方を忘れてしまう。涙が溢れる。嗚呼、もう、そろそろ。

「嗚呼、楽しかった」

 掠れ声。
 紋白蝶が迷い込んで来た。早くお帰り。声にならぬ声を掛ける。やわらかな光に包まれる。これは空想無しの現実。神様は優しいのよ。

 来世は春の景色になりたいわ。

 蝶や、私の最後の願いと共に飛んでおくれ。
 ふわり窓辺から飛び立つのです。
 春の光はやわらかでした。天からの光はやわらかでした。眠りへ誘う光はやわらかでした。そして私は舞うのです。

 

ある春の日、桜が空に満ちた日、花の香りの飽和する風に、白く暖かくやわらかな光に、花弁が綻んだ。

10/16/2023, 2:12:53 PM

【80,お題:柔らかな光】

「俺さ、あと1年くらいで死ぬんだよね」

「......は?」

カミングアウトは突然だった
あまりにも自然に、なんでもないことのように言うものだから
驚いてコントローラーを握った手が止まった

その隙に颯爽と必殺技を決め、ゲームセットの音楽が流れる

「え?いや、...マジ?」

「うんマジ、心臓と肺に疾患があって最低1年、運が良ければギリ3年いくかってとこかな」

なんだよそれ、てかしれっと勝ってんじゃねえよ
だが、冗談言うなよと笑うには君の瞳はあまりにも真剣だった

「だからさ、ちょっと付き合ってくんね?」

「何に?」

そう言うと君は、子供がいたずらを思いついた時のような顔でニヤッと笑った

「”死ぬまでにしたい100のこと”」




そこから、僕と君の旅が始まった
君のやりたいことノートには、それはまあいろんなことが書かれていた

駅前のパン屋のサンドイッチを食べる、とか 映画を観に行く、とかならまだ良い

問題なのは、君がかなりの気まぐれだと言うこと
きっとその場で思いついたことを書き留めたのであろうそのノートには、時々思いもよらない願いが転がっていることがある

「いや...水中でラーメンを食べるって...なんでこんなの書いたん?」

「おー、そんなこと書いたなぁ...理由は知らんけど」

と、まあこんな具合である
彼のノートに書かれるがまま、僕たちはあっちへ行ったりこっちへ行ったり
しまいには、学校に忍び込むなんていう一歩間違えば通報ものの行為までやってのけた


でもまあ、運命と言うのは残酷なものだ


「”最低1年”とか言うからさぁ、1年は絶対一緒にいれるって思ったんだけどなぁ...」

柔らかな光に包まれ、穏やかに目を閉じる君を見る
その姿はまるで眠っているようにしか見えないが、きっともう目は覚まさない

「やりたいことリスト、半分も達成してないじゃん」

彼に死に際はとても静かだった
苦しみに喘ぐこともなく、ただただ静かに穏やかに
一度、寝てるだけだと勘違いしたほどに静かな死だった

「まあ、苦しまず逝けたのならよかったよ」

淡く柔い光包まれた君が幸せそうに微笑んだ気がした

10/16/2023, 2:12:40 PM

そこにいたら、暖かいのかな。
キラキラしてて、キレイなんだろうな。
通り抜けたら、どんな香りがするんだろう。
触ったら、絹みたいにスベスベなのかな。
噛みついたら、ふんわりしてるのかな。

目で見る”やわらかな光”は、いつだって魅力的。

目だけじゃなくて、全部で感じられたらいいのに。



やわらかな光

10/16/2023, 2:12:01 PM

私はずっと光に育てられてきた。くらい部屋の中で私は唯一光の当たる場所が好きだった。そこだけは暖かったから。いつも冷えたご飯を食べ、何にも触れずに何もわからない私にはそれがただただ心地よかった。ずっと扉の向こうには何があるかわからなかった。外に出てみたかった。暖かい光に直接触れてみたかった。それは叶わなかったけれど。それでも暖かい光に包まれた私は幸せな気持ちで目を閉じた。「おやすみなさい」

10/16/2023, 2:11:20 PM

暖かく、麗らかな、中性美を纏う、魅惑の貴女。

 そよ風のように、私に触れる貴女。

 凪のように、穏やかな貴女。

 竹のように、靭やかな貴女。

 蝶のように、軽やかな貴女。

 何人たりとも惚れぬ、母鷹のように凛々しい貴女。

 貴女の前では、青薔薇も色褪せる。

 貴女の温もりは、巨万の富も価値を成さない。

 この世で最も深く愛す、貴女。

 私の妻として、子どもたちの母として、貴女は幸せでしたか。

 貴女の、風花のように澄んだ声を……鈴のような笑い声を……

 どうか、もう一度だけ、聴かせて……。

10/16/2023, 2:07:49 PM

やわらかな光

 携帯の目覚まし音、ロボットのようなコンビニの応対、換気扇や空調が奏でる無機質、走る自動車、学生たちのバカ笑い、、、一日の始まりから終わりまで、自分でも気づかないほど小さな、硬く尖った小石ような不愉快は、いろんな音や形に化けて四方八方から問答無用にとんでくる。ココロの中に積もっていく。
 どんなにココロに平穏を言い聞かしても、どんなに無関心を決めこんでも、何処かに何かしら不愉快を感じない事なんて、、ない、、、

ココロガヒトヲスキニナルマデハ。

 微かに揺れるレースカーテンの前
で、安堵と安心を浮かべた寝顔で、幸せそうなうたた寝を透して見えるこの日常は、どんなに眩しい朝の光や、寂しさ溢れる夕方の光も、この変わりばえしない窓の外や、街の喧騒も、全部がやわらかな光にみえてくる。
 
 やわらかな光に包まれる度に、張り巡らしたココロの防御が剥がれ落ちていく。
 
 やわらかな光に包まれる度に、崩れかけた、ココロが支えられる。
 
 やわらかな光に包まれる度に、人を好きになる事の素晴らしさを、ココロが思いだしてくれる。

 あなたは誰に、やわらかな光をもらってますか?
 あなたは誰に、やわらかな光をあたえてますか?

10/16/2023, 2:07:46 PM

帰り道、薄暗い路地を歩いていると、
前方の街灯が照らすやわらかな光の下に、長い髪の女性がぽつんと1人で立っていた。

物悲しげに俯く女性の右手には、大きな黒いビニール袋が握られており、
中身が何かは分からないが、
詰め込んだ中身が浮き出すほど、袋は異様に膨らんでいた。

垂直に垂れた髪の影に隠れて、女性の顔は見えなかったが、
女性は1人で何やらひそひそと話しているようで、
時折、濡れた雑巾をひたと当てられたような冷たく乾いた笑い声を溢した。

気味が悪なった私は、さり気無く女性から視線を外すと、
街灯に近づくにつれ足取りを強めた。

私が街灯の光を踏むと、何故か女性の声はひたと止まり、
荒々しい息遣いと共に不気味な視線を感じるようになった。

生きた心地がしない。

首を絞めらるような息の詰まる感覚が、錯乱した私の足取りを止めてしまう。
相変わらず女性を見ぬように顔を逸らしてはいるが、向こうは明らかにこちらに見つめているようだった。

どうして私は足を止めてしまったのか、

ここで何事も無かったように歩き出しても、私の不自然な挙動に女性は不信感を抱くだろう。

「…あの」

糸屑のような細く冷たい声が鼓膜を通り抜け、堪らず体を跳ね上げる。

恐怖の余り私の体は金縛りのように動かなくなってしまう。
辛うじて首を捻り女性の方を振り向くと、

「……あの…ゴミ捨て場はどちらでしょうか」

10/16/2023, 2:04:37 PM

今日は大切な人と一日中ゆっくり過ごす日。

今日はパズルをしたり、映画を見たり、一日中ゴロゴロしていた。
昼寝をしてる時彼の顔にやわらかな光がさした
彼は眩しそうにすると私の方を見て

「おはよう」といって笑った。その時私はドキッとした。

10/16/2023, 2:04:20 PM

いつもと同じ通勤時間に通勤手段。できるだけ人混みを避けて、一本早いバスに乗る。左側の空いてる席に腰を下ろして、朝日にきらめく街並みや通りすぎる車の流れを眺める。
 今までは手持ち無沙汰を解消するために携帯を取り出していたけど、ここ最近で楽しみができたから触る時間はだいぶ減った。

 信号を曲がった先の停留所に、その人はいつも背筋を伸ばしてバスが来るのを待っている。打ちつけるような雨が降ってても、うだるような夏の日でも、関係ないと言わんばかりに凛と立っている。
 なんだか彼女の周囲にだけやわらかな光が降り注いでるみたいに幻想的で綺麗なので、つい見てしまうのだ。

 充電を忘れていて携帯に触れなかったあの日、ふと窓の外を見た自分を褒めてやりたい。それほどに日々の活力になっている。俗に言う『推し活』というものかもしれない。

 ゆっくりとバスが曲がって停留所が見えてきた。

 今日も背筋を伸ばして立っていた。そよ風に吹かれて揺れた髪を耳にかけて、目の前に止まったバスに乗り込んでくる。さっと車内を見渡して手近な席に腰を下ろして見えなくなった。

 私の方が先にバスを降りるので、彼女がどこで何をしている人かなんて知ることはない。ただ、姿を見られたら今日も一日、頑張れるような気がしているだけだ。

「いや、めっちゃ怪しいからね」
「う゛」
「最近やけにテンション高いから恋人でもできたのかと思ったら……まさかの女かい。期待して損したわ」

 昼休憩で一緒にランチをとっている同僚の呆れ顔がつらい。

「相手は一般人なんだからさ。ちょっとは考えなさいよ」
「座るまでの数秒くらい眺めててもいいじゃん……。めっちゃ綺麗な人なんだってば」
「じゃあ、私があんたに同じことしてもいいわけ?」
「私を見ても楽しくないでしょ」
「それもそうね」
「えー即答はちょっとひどくない? 最近は彼女を見習って、いろいろ頑張ってるつもりなんだけど」

 ヘアケアにスキンケアに適度な運動で体型維持、食事も栄養バランスを意識した料理を作るようにしてるのに。傍から見て何も成果が無いのは少し悲しくなる。

「綺麗になったから聞いたのよ。あんた、自分の評判とか気にしてないの?」
「評判? んー……そういえば、この間のプレゼンは評判良かったなぁ。部長も褒めてくれて嬉しかった」
「そうじゃないでしょ。この仕事人間め」

 むにっとつままれた頬をさすりつつ業務に戻った。

 特に大きな問題も起きず、急ぎの仕事も舞い込んでこず、おまけに一本早い時間のバスに乗り込むことができた。よし、今日はツイてる。

 窓側の方へ詰めると隣に誰かが座わろうとする気配がした。邪魔にならないように服の裾を整えて鞄を膝に乗せる。
 ふわりといい香りがして、つい横目で見──。

「え」

 ばっちりと目が合ってしまった。ほんの少し首を傾げて“どうも”と柔らかそうな唇が動いた。なんてこった、推しが! 隣に!
 近くで見るとなお綺麗だ。やわらかな光が降り注いでるんじゃなくて、彼女自身が輝きを放っているようで眩しい。

 混雑しているバスの中で声を上げるわけにもいかず、口元を手で覆い隠して小刻みに頭を下げながら目を逸らす。そろりと逸らした視界に入るように携帯の画面が差し込まれて、書かれている文字を読んで絶句した。

『毎朝同じバスですよね?』

 バレている。

 推し活とか馬鹿なことを考えている場合じゃない。血の気が引くのが分かって、まともに彼女の顔を見られない。でも、何か返さないとと思って取り出した携帯に文字を打つ。

『ごめんなさい。あまりにも綺麗だったのでつい眺めてました』

 文字を読んだ彼女の目がまん丸くなった。焦るあまり謝罪に見せかけたナンパみたいになってることに気づいて、さらに言葉を付け加えようとしたら──。

「ごめんごめん。別に怒ってないよ」

 耳元で低い声がした。

 右側は窓だから声がするはずもない。かといって、左隣には楽しそうに微笑む彼女しかいない──え?

 目を白黒させている私の前に画面をかざす。

『俺、男なんだよね』

 ここ最近で、一番の驚きを得た。




 俺の友達には真実を見抜ける奴がいる。
 冗談ではなく、ガチのマジで嘘が通じない。切れ長の鋭い眼差しに射抜かれたが最後、どんなに巧妙な嘘を張り巡らそうとも必ずバレる。腐れ縁の俺ですら隠し事ができた例がない。

「あいつ、ぜってえ特殊能力あるよ」
「この間なんか先生の嘘を見抜いたらしいぜ。それが奥さんの耳に入って修羅場になってるとか」
「俺も経験あるんだけど、マジこえーよ。『課題の提出期限ですが、終わっていますか』って聞かれて、俺が答える前に『やってないんですね』って言われたからな」
「それは日頃の行いのせいじゃね?」
「むしろ疑う必要がないレベル」

 今日も彼女が通った後にはざわめきが広がる。
 俺は風が通り過ぎた後の木の葉が擦れる感じに似てるから好きだけど、当の本人はどうだろう。いつも涼しい顔をして前を見据えているから分からない。

「何?」
「え」
「視線を感じる。言いたいことがあるならどうぞ」
「いや、おまえが通った後って賑やかだよなぁって思って」
「……そう?」

 訝しげな目が俺の言葉を確認するかのように後ろを見ると、喋っていた三人組が肩を跳ね上げて逃げていった。別に何もしてないだろうが。

「全然気にしてなかった」
「みたいだな。まあ、別に悪口ってわけでもねえしな」
「ふふっ。君は相変わらず優しいね」

 見逃すくらいの小さな微笑みを浮かべて、彼女はまた前を見据えて歩き出す。その眼差しはやっぱり鋭い。


 俺と彼女の関係は腐れ縁としか言いようがない。
 小学校からずっと同じクラスで、席替えをしても常に隣同士。小学四年から中学二年あたりまではからかわれることもあったけど、こっちが反応しなければ大したことにはならない。

 公正なくじ引きの結果だし、俺も彼女も『また一緒か。よろしく』くらいの感想しか抱いてなかったことも幸いした。今では誰も何も言わない。

「そういえば、君は県外の大学を志望してるらしいね」
「まあな。そこに行かねえと必要な資格が取れねえし、在学中に研修受けられんのも魅力的だったからさ」
「夢があるのは良いことだ。応援するよ」
「そりゃどーも。おまえは何かしたいこととかねえの?」
「したいことか……あると言えばあるが、ないと言えばないな」
「ほーん。まあ、おまえはなんでもできるしなぁ」

 勉強はもちろん、スポーツもわりとできる彼女の進路は手堅い。俺はちょっと頑張らねえとならないから羨ましい。

「そういや、おまえって特殊能力あんの?」
「どうした急に」
「さっきいた三人組が話してたんだよ。おまえが必ず嘘を見破るのは、何か特殊な能力を持ってるんじゃないかって」
「へぇ。イイ線いってるな」
「へ?」

 思わぬ言葉が返ってきて足が止まった。
 少しだけ楽しそうに口角を上げた彼女が肩越しに振り向いて、人差し指を目元に押し当てた。

「私の目には、どんな相手でも正直になってしまう魔法がかけられている。だから、私の前では誰も嘘をつけないのさ」

 ふふんと鼻で笑う顔はとても楽しげだ。まさか乗ってくるとは思わなくて、上手い切り返しができなかったのが悔やまれる。

「つまり俺は、おまえといる限り嘘をつけないってわけだな」
「そのとおり。さすがの君でもドン引きだろう?」
「いや別に」

 止めていた足を動かして隣に並ぶ。

「嘘をつかなくて済むなら、その方がいいに決まってるし。なんか理想の友情って感じで最高じゃね?」

 気を使う必要がないなんて気楽でいいよなぁ。

 俺の呟きを拾った彼女は、しばらく間抜けに口をぽかんと開けていた。その時間があまりにも長かったから首を傾げると、今度は腹を抱えて盛大に笑い飛ばされた。

「なんだよ! そんな笑うことか!?」
「あはははっ! だって、君が……ふふ、高校を卒業しても私と一緒にいる前提で言うから」
「……あ、マジだ」

 一緒にいることが当たり前になりすぎてて、これから先もこんな感じでいるもんだと思ってたらしい。涙目になるほど笑われると、なんだか小っ恥ずかしいむず痒さに襲われる。

「あーもううっせ! おまえは俺と一緒にいたくねえのかよ!?」
「いや? 一緒にいてくれるなら是非にとお願いしたいね」
「本当だろうな?」
「本当だとも。この目を見ても信じられないかい?」

 いつもの鋭い眼差しを引っ込めて、まだ笑みの残る柔らかい眼差しが向けられる。
 それが嘘だとは、どう見ても思えなかった。

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