あの頃は 、 眩しい太陽が好きでは無かった 。
まとわりつく熱気
幼い身体中を容赦なく駆け巡る温度
なのに寒くなると全く助力してくれない
暑くて 、 眩しくて 、 役に立たない 。
こんな明るさ 、 いらない 。
そんな風に思っていた 。
「 belle personne ( 綺麗な人 ) ……… 」
恩人に出会うまでは 。
「 その調子ですわシトロン ! 段々と上達していますわね ! 」
「 うん ……… じょ 、 うたつしてる 。 」
その人はとても綺麗で 、 私と同じフランス人 。
日本語がすごく上手 。
日本について何も知らなかったわたしに 、
様々なことを教えてくれた 。
おかげで 、 日本語や文化に詳しくなれた 。
日本のことが好きになれた 。
「 シトロン 、 少し宜しくて ? 」
その人はお洒落が大好き 。
だからわたしも段々とお洒落が好きになった 。
「 きゃ〜っ ! やっぱりとても似合ってますわ ! シトロンには絶対にこの服が似合うと思ってましたの ! 」
「 きれい ………… ありがとう 、 セルリアさん 。 」
ふわりと舞い踊るスカートに 、 所々にあしらわれたフリルに 、 可愛らしいリボン 。
本当にかわいくて 、 お揃いコーデで 、 嬉しかった 。
何よりこの人が 、 わたしを見て笑顔でいてくれることが嬉しかった 。
本当の親子になれたみたいで 。
窓から射し込む太陽の光は 、
わたしが嫌いだった太陽の光は 、
彼女を照らす柔らかい光に見えた 。
ああ 、 やっと理解した 。
太陽の光は 、 この人の笑顔を見るために 。
この人の為に 、 あるんだっていうこと 。
- やわらかな光
- シトロン・テュルクワーズ 、 天ヶ崎セルリア
( 友情出演 )
10/16/2023, 2:32:50 PM