『もう一つの物語』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
8.もう一つの物語
もし君が難病に苛まれずに健やかに地球で暮らせていたら、君の両親と幸せな時間を過ごせていたのかもしれない。
僕が君を治せる鍵になっていれば、あんな悲劇に巻き込まれる事もなく本物の白百合の花畑で満天の星を眺めていたのかもしれない。
今は1人で夜空を眺めているよ。過去とは決別した筈なのに、やっぱり期待してしまう。
君と僕が幸せに生きているもう一つの物語を。
もう一つの物語
いつもベランダから見える夜景には色々と考えさせるものがある。なぜって、光一つ一つに一人の人間の物語が詰まっていると思うと、どんな世界が広がっているのか気になってしまうからだ。
例えばあそこの大きな3階建てのお家、お金持ちの夫婦が暮らしていて、今は夕食を食べながら優雅に時をすごしているかもしれない。あっちのマンションの端の窓、あそこは仲のいいカップルが、お話しながら楽しいひと時を過ごしていたりして…。 そっちの小さな家では幸せな家族が、それぞれの布団に潜って、川の字になって夢を見ている時かもしれない。
そうやってこの光一つ一つに、色んな物語があると思うと、とっても楽しい。けれど、全部が楽しいものだったり、幸せなものだったりするとは限らない。私は明るい物語がこの綺麗な夜景のように広がっていますようにと静かに願って過ごした、今日の私の物語。
それは、誰も知らない御伽噺。
君が脇役で、僕が主役。
だれも見ないのに、必死になって何がしたいんだろうか。
それでも、めげず、真っ直ぐな瞳で演じ切る。
こんなに脇見してしまう僕は、主役の座には似合わない。
【書く練習】
最近、お題に対してちゃんと書けてない
周りを見るとみんなキチンとお題に対して書けている
出来ない自分は情けなくて結構落ち込む
明日こそちゃんと書くぞと思っても、その場しのぎの言葉が並ぶ
明日は、もっと気合いをいれて望みたい
もう一つの物語
気付いたひとだけが愉しめる多角的な世界線
それこそが、もう一つの物語
もう終わりだと思っていた
私は今日勇者になった
凄く怖かったけど勇者になった
震えながらも君へ想いをぶつけた
そしたら見えたんだ
もう見えないと思っていた光が
終わりへの物語じゃなく
もう一つの物語に私は進もうと思う
作品No.212【2024/10/29 テーマ:もう一つの物語】
あの物語
あのカタチで終わらせたけれど
もっと他の道が
もっと他の結末が
きっとあったんじゃないかな
私がつくるはずだった
もう一つの物語
夏が過ぎ、キンモクセイの香りが街を包み込む素敵な日に、私は君と再会した。君は優しい声で「久しぶり。元気にしてた?」と話しかけてくれた。
数ヶ月ぶりに見た君の笑顔は輝いていて、とても美しかった。しかし、目線を少し下げると、君の左手の薬指がキラリと輝いているのが見えた。
私の人生という物語に、君の存在は欠かせなかった。君がいるから、辛いことも苦しいことも乗り越えられた。君が登場するだけで、私の物語は明るかった。
では、君の物語に私は登場するのだろうか。左手の薬指を見て、君が過ごしてきた「もう一つの物語」を聞くのが怖かった。
今、私と君だけしかいない時間と空間の中で、二人の間には全く別の物語が流れているような気がした。
私は高鳴る胸を抑え、声を震わせるながら「久しぶり。元気だよ。」と言ってその場を離れた。
夏が過ぎ、キンモクセイの香りが街を包み込む素敵な日に、私の片想いが終わった。
一つと言わず二つでも三つでも、いくらだって道は分岐する。ただその分岐点に気付くか気付かないか、そしてその分岐点でポイント切り替えをする者がいるかいないか、新たな物語が生まれる要素はそれだけだ。
ポイント切り替えをする者は自分かもしれないし、他の何者かかもしれない。例えば彼の場合、ポイント切り替えをする者は彼自身じゃなかった。
彼に刻まれた呪いが·····あぁ、呪いだとは思ってないのか。彼も、彼女等も。呪いなのか祝福なのか、それはどちらでもいいけれど、彼がある世界で誰かと出会った瞬間に、その〝装置〟は起動する。
その世界で出会った誰かを生涯をかけて愛するんだ。
そうして彼の〝もう一つの物語〟が分岐して、始まるんだよ。
信じられないかい?
これは私しか知らない事だからね。彼自身も知らない事なんだ。〝彼女〟の本性を知っている私だから知り得た事なんだよ。Aという世界では全てを敵に回して彼はある女を愛した。Bという世界では幼い子供の姿をしたある男と再会し、愛し続けた。そしてこの、Cという世界。彼は歳の離れた男と一つ屋根の下で生きる事を選んだ。
勿論、これは彼自身が選んだ道だ。
でもね、ポイント切り替えのきっかけは確かにあったしそういう装置が彼の中にあるのは事実なんだよ。
だって·····どれも彼女達が好きそうな物語だもの。
男はそう言って、少し寂しそうに笑った。
END
「もう一つの物語」
よく夢に見る。
僕は国語の教師で、好きな人と結婚して、子供がいて、幸せな生活を。
家族で笑い合ったり、時には喧嘩したり……それでも仲良くて、このまま年をとって老後を迎えるんだとしみじみ思う生活。
そして夢から覚める。
教師ではなく、未だに作家を目指して独り身の生活を……
その夢を見るたびに、僕の人生における幸せのifがあったのかと時々後悔する。
寒い、凍えるほどの冷たい風が肌を突き刺さる。家もない、お金もない。あるのは、拾ってきた段ボールと、ゴミ箱から漁った、賞味期限切れの弁当だけ。
俺は、選択を間違えたのだ。別にお金が無かったわけでわない。むしろ、一般家庭の平均貯金額よりは、持っていたはうだ。ただ、欲をかいて、もっとお金が欲しいと思ってしまた。それが、地獄への切符を買うことになるきっかけになってしまう。
もし、もう一つの物語があったなら幸せに成れたのかな。こんな、惨めな思いしなくて済んだのかな。今更、遅い後悔を抱き、役目を終えた馬券を握り閉める。
あの日手に取らなかった本の中 知らぬ誰かが息をしている
「もう一つの物語」
もう一つの物語
の方を今プレイしてるんだ
勇者なんて
まぁこんなもんさ
もう一つの物語
私のいる世界はおかしいらしい。
急にその辺のものに丸印が現れたり、
逆に何も無い空間に丸印が現れたりするのだ。
縮尺がおかしい時も字の一部がない時もあった。
何人かで食事をしても、
1人だけ飲み物の色が違うこともあった。
丸印は大抵「おかしい」ところに現れる。
明らかに変な位置にある空間などだ。
私はある日「まちがいさがし」という言葉を聞いた。
2つの似た絵があり、片方は正しくて片方はおかしいところ、つまり間違いがあるらしい。
「おかしいところ」を見つけて印をつけることが多いんだと。
あれ。もしかして私のいる世界って...?
もし正しい世界に生きていたら。
それはどんな物語だったのだろう。
もう一つの物語
過去をなぞる
たらればな
フィクションは
嫌い
【もう一つの物語】
ふと鏡を見たとき
鏡の奥にもう1人の自分がいる
『そっちの世界はどう?』
『楽しい?』
『それともつまらない?』
『色はある?』
『こっちと変わらない?』
なんて聞いてみる
もちろん喋るはずもない
たまに
人生が嫌になった時に
入れたら入ってみたいな
面白そうだな!なんて考えたりする
そっちの世界はどんな感じ?
楽しい物語は展開されてる?
幸せ?
私が今いる高校と別の場所を選んでいたら
今のような幸せは訪れたのだろうか
それは誰にも分からない
人はずっと選択肢を選んできた
最適な答えだったかは分からないけれど
自分で選んできた道を責任をもって毎日生きている
友達もそれぞれの選択を選んで、選んだ先に私と関わるという選択肢が追加されたと思うと
運命ってすごいなと思う
これからどんな選択をしていくか分からないけれど
自分の物語が素晴らしい結末を迎えられるように
いい選択を選んでいきたい
"「ヒーロー」が輝ける物語の裏には、
想像も出来ないくらい悲しい「ヴィラン」
のもうひとつの物語が存在するんです。"
決まって「ヒーロー」は生まれた時からあいされ、「ヴィラン」は生まれたことすら憎まれる。
やはり、世界は残酷ですね。
カタン。
夜、飼い猫と遊んでいると、隣の部屋から物音がした。
物置代わりにしている部屋なので、なにか落ちたかと思い何気無く物音の方を見る。
「ヒイッ」
思わず小さな悲鳴をあげる。
電気のついていない物置部屋。
そんな暗がりの中で、何かが蠢いているのが見えたからだ。
もしかして幽霊……?
そうなら大変だ!
私は幽霊が大の苦手。
わざわざ出なさそうな新築アパートを借りたって言うのに、まさか先客がいたとは!
すぐに逃げないと!
「なーんてね」
多分、物音の正体は飼い猫のクロだ。
名前の通り真っ黒な毛並みで、暗がりに溶け込むのはお手の物。
こうして脅かされたことは、一度や二度ではない。
「クロ、遊んでないで出てきなさい。」
「にゃー」
ほら、返事した。
クロはお利口なので、呼ぶと寄ってくるのだ。
今もトテトテと、後ろから歩いて来る音が――
後ろ!?
驚いて後ろを見ると、そこには驚いた顔をしたクロが!
じゃあ隣の部屋にいるのは……
本当に幽霊!?
「なーんてね」
実はもう一匹飼い猫がいる。
シロだ。
名前のとおり、真っ白な猫。
クロみたいに闇に紛れるなんて器用なことできないんだけど、その代わりかくれんぼが得意だ。
よく見れば蠢いているのは、毛布の下にいる。
そしてシロは、毛布をかぶる遊びが大好きなのだ。
きっと今回もシロのイタズラだろう
「シロ、おいで」
「ニャオ」
ホラこの通り。
白もお利口なので、私の膝の上から返事を――って膝の上ぇ!?
そうだった。
私はさっきまで、シロと遊んでいたんだった。
え、じゃあ今も蠢いている『あれ』は何?
我が家のイタズラ好きの猫は、二匹ともここにいる。
もう他には猫はいない……
つまり毛布で蠢いているのは……
ヒィィィ。
私が硬直していると、我が愛猫は蠢く毛布に走り寄った。
「クロ! シロ!
ダメよ、離れなさい!」
けれど呼んでも帰ってこない。
それどころか、毛布を攻撃し始めた。
蠢く姿が彼らの琴線に触れたようだ。
だが危険だ。
私は勇気を振り絞り、猫を回収するため、毛布に駆け寄る。
だが――
ハラリ
猫たちの攻撃に耐えかねたのか、毛布はひらりとずれ落ちる。
そして蠢めいたものが姿を現す
「あら?」
だけど、私は拍子抜けした。
なぜなら蠢いていたものは、この前捕まえた強盗だったからだ。
数日我が家に侵入し、私が返り討ちにした強盗。
そのまま警察に突き出そうと思っていたのだけど、暴れるから縄でぐるぐる巻きにして、うるさいから口にガムテ貼って、目障りだから毛布をかけて、そしてそのまま忘れていた。
「まだ生きてたのねえ」
人間は数日くらいなら飲み食いしなくても生きていけると聞いたことがあるが、あれ本当だったんだなあ……
私は感心しつつ、強盗に毛布を掛ける。
うん、気づかなかったことにしよう。
今突き出したら、虐待?で怒られるかもしれないしね。
この部屋には誰も強盗に来なかったし、放置されている強盗もいない。
いいね。
とは言っても死なれても困る。
死んだら臭いって聞くし、幽霊になられても困るし……
何か考えておこう。
ああ、あとで水くらい上げないとな。
そのうち暗がりの中に溶けて消えてくれることと願いつつ、私は猫との遊びを再開するのであった。
先程、娘を配達に送り出したところだ。赤い頭巾が見えなくなるまで見送った。この瞬間の不安は慣れはしない。
しかしそんな事で止まっている訳にはいかない。いろいろと家事があるのだから。
朝食の皿を片付けてから村の井戸に水を汲みに向かう。
井戸には先客が居て水桶を井戸から引き上げている最中だ。
村外れに住んで居る猟師さんだ。軽く挨拶をしつつ順番を待つ。猟師さんが水を樽に移しながら話しかけてきた。
娘さんは今日も配達に行ったのかい?ここらはまだ大丈夫だろうが2つ向こうの岩山でオオカミが居着いてしまったらしいんだ。そっちに居る猟師仲間がまだ若い群れだと言っていたからこっちまで来ることは無いだろうが、森に行く娘さんに何か鈴でも持たせてやりな。
そう話しているうちに樽は満水になったようで、猟師さんから水桶を貰い井戸に落とす。
猟師さんは勢い良く樽を担いで帰って行った。
オオカミ…そんな話を聞いたらまた不安が込み上げてきた。
慣れた手付きで水桶を引き上げ自分の樽に移し、また水桶を井戸に落とす。何度かそれを繰り返し樽に入れていく。
まるで不安が注がれているようにも思えてくる。
もう少しで樽はいっぱいになる。
だが突然、水桶を繋ぐ縄が切れ、水桶は井戸の深くに沈んで行った。どうしようもないその光景に何も出来ずただ井戸の暗がりを覗き込んだ。
娘が向かった森の方を見る。普段より暗く感じた森に無事を祈りつつ樽もその場に置いて猟師の家へ走りだした。
(もう一つの物語)
赤ずきんちゃんのオマージュ、母親目線
昨日の物語のもう一つの物語。