『また会いましょう』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
少年がその神社に訪れたのは、夜も更けた頃の事だった。
暗闇に紛れるようにして境内を抜け、社の前で只管に願う。
「お願いします。どうか」
「何をしている」
気づけば、少年の目の前には縄で四肢を繋がれた男の姿。この神社の祭神が不機嫌そうに少年を見下ろしていた。
「貴様。何故此処にいる」
険を増す眼に、それでも少年は怖れる事はなく。縋るように必死で祭神に願いを口にする。
「お願いします。あの人を、師匠を助けて下さい。俺たちからあの人を取らないでっ!」
「何の話だ」
問う言葉に、少年は祭神を睨み付ける。恐怖を、憎悪を、不安を、憤怒を混ぜた涙に揺れる目が、強く訴えかける。
「おまえらが師匠をばけものの所に連れていったんだろ!師匠は師匠なのに、おまえらは師匠を藤白《ふじしろ》にする。師匠にはもう関係がないのに、藤白としてばけものを何とかしろって、そう言ったんだろうが!」
「くだらんな。あれの意思を我の責にするな。不愉快だ」
「おまえらのせいだよ!だって師匠がばけものと会う必要なんてないんだ。会わないようにずっと避けてきたのに。それを、おまえらが」
叫ぶような声は、次第に力をなくしていき。静かに崩れ落ちるようにして少年は膝をついた。
強く握りしめた手が震える。爪が皮膚に食い込んで、滲んだ赤が地に滴を落とした。
「師匠が言ったんだ。じゃあねって。いつもはまた明日って、そう言ってくれるのに。言葉を正しく使う人なのに、これじゃあもう戻ってこないって、そう思って」
ぽつりぽつり、と呟かれる言葉。
不安なのだと訴えかける少年を、祭神は何も言わず冷めた目で見下ろしていた。
「師匠がいなかったら、俺たちはずっと一人のままだった。一人ぼっちで、寂しくて苦しくて逢いたい気持ちを抱えて、消えていくだけだった。俺たちにとって師匠は恩人で、特別なんだ。いなくなってしまったら、俺たちはまた一人になっちまう」
俯く少年からは、先ほどまでの強さは見られない。まるで迷子の幼子のように小さな体をさらに縮めて蹲る。
「師匠がいたから、また明日、って言葉を信じられるようになったのに。また明日会いましょうなんて不確定な言葉。ようやく言えるようになって、手を離せるようになったのに。それを、おまえらが」
「諄い。貴様は我に何を望む」
祭神の言葉に、俯く少年が徐に顔を上げた。
虚ろな目が祭神を見上げ、どうか、と震える唇を開いた。
「お願いします。俺をあのばけものの所へ連れて行って下さい。師匠を守りたい」
願う言葉に、祭神は見定めるように少年を見下ろした。
暫しの沈黙の後。
祭神は社を振り返り、弟妹を呼んだ。
「寒緋《かんひ》。銀花《ぎんか》」
「それも連れてけっていうのかよ、兄貴。姉ちゃんもいないのに子守なんざ無理だぜ」
「連れていくだけだ。それ以上は関与せずともよい。黄櫨《こうろ》以外の生死に興味はない」
「相変わらずだなぁ、兄貴は」
にやり、と社から現れた大柄な男は笑い、傍らの鬼灯を手にした左腕のない少女に行けそうか、と声をかける。
りん、と鈴の音。
――大丈夫。でも送るだけでいいの?
小首を傾げた少女に、祭神は頷き肯定する。
「問題ない。戻るだけなら寒緋だけの方が都合がよい。彼方側は我の眼でも見通せぬ故」
「銀花も気をつけろよ。俺なら大丈夫だ。何かあっても兄ちゃんが来てくれる。そんな気がする」
少女の頭を撫でながら、心配はいらないと男は告げる。それに少女は笑みを返して、少年の隣に歩み寄った。
少女に続いて男もまた、少年の隣に立つ。
「んじゃ、行ってくるぜ」
「何かあればすぐに戻れ。よいな」
「心配性だなぁ、兄貴も」
突然の事に戸惑う少年を置き去りにして。
祭神とその弟妹達は頷き合う。
そして、少女の手にした鬼灯が光を灯し。光が少年達を覆い隠していき。
眩い光が弾けたその後には。
少年達の姿はもう、そこにはなかった。
「という訳だな」
「待って。本当に待って」
にこやかに笑う男に、耐えきれずに待ったをかける。
今の説明では、つまりここに来ているのは、男とあの子という事になる。
「つまり、嵐《あらし》がここに来ているって事?この母屋の中に?」
「あぁ、そうだな。着いてからすぐに別れたから、何処にいるのかは分からねぇよ」
最悪だ。どうしてこうなったと、痛むこめかみを押さえる。
「探した方がいい?」
「そうだね。他の皆の事も心配だし。探した方がいいかも」
彼女達の心配そうな声に、首を振る。
「嵐なら一人でも大丈夫。時間がもったいないし」
「でも」
優しい二人に笑いかけ。大丈夫だからと声をかけた。
あの子は無事だろう。こういった荒事に対処するのは得意な方だ。
問題があるとすれば、それは。
「っ師匠!」
母屋から聞こえた声。次いで体に感じる衝撃と塞がれる視界に、思わず呻く。
「師匠、師匠」
「大丈夫だよ。ほら泣かないの」
「泣いてない。でも師匠が無事でよかった」
「ごめんね。心配かけた」
別れた最後の記憶のそれより大きな体に、出かかる溜息を何とか呑み込んだ。
体だけが成長したこの子は、ちびたちの中で一等精神が幼いのだ。
「チョーカーをまた勝手に取ったね。大きくなるのはいいけど、小さい時のままの勢いで来るのは止めてよ。そろそろ本当に潰れるから」
「ごめん。でも師匠が」
「はいはい。文句は一緒に帰ってからね」
手を伸ばし頭を撫でる。
少しだけ緩まった腕の力に、内心でほっと、息を吐いた。
もぞもぞを体を動かし向きを変える。辺りを見回せば、生暖かい視線が四方から向けられているのに気づいて、何とも言えない気持ちになった。
「もう会えないかもしれないって怖かった。師匠がまたねって言ってくれないから、皆怖くて泣いてた」
「うん。ごめんね。色々と余裕がなかったんだよ。これからはちゃんと言うから」
また明日、と笑う友を目の前で失ったこの子には、ちゃんと言葉にしなくては不安がらせてしまうと分かっていたのに。ようやく手を離し笑ってまた、を言えるようになったのに。
自分の事ばかりで周りが見えていなかった事を痛感してごめん、と改めて言葉にする。
「一緒に帰ろう。そのためにも早く終わらせないと」
離れない彼の背を軽く叩いて離すように訴える。
名残惜しげにしながらも離れていく彼に笑いかけて、手を差し出した。
「じゃあ、行こうか。嵐がいるならすぐに帰れるね」
「師匠は必ず俺が守る。絶対に連れていかせはしないから」
差し出した手を離れないようにと強く繋いで、彼は真剣な目で告げる。
それに笑い返して、もう一度周りを見渡した。
「時間を取らせちゃったね。行こうか」
それぞれが頷くのを見て、同じように頷き母屋へと足を踏み入れた。
20241114 『また会いましょう』
「ご機嫌よう」
パシュ、と小さな音をたてて放たれた弾丸が男の眉間を貫く。
真っ白な壁紙が花弁が散らされたように真っ赤に染まる。サイレンサーから燻る硝煙をわざとらしくフッと吹く。
夜景を展望できる窓にはパーティドレスを身に纏った自分が映る。その姿は宛ら舞台役者のようだった。
今回は少し手こずった。だが部屋まで誘い込めればこちらのもの。あとは鼻の下を伸ばすそのふざけた面に、素敵なプレゼントを送れば任務完了。
「ええ、終わったわ」
ピアスを模した通信機にそう告げれば、彼女は煙草に慣れた手つきで火をつけた。
吐き出した紫煙が部屋と肺に満ちていく。そこまでのルーティンをこなして、彼女の胸はようやく満たされる。
銃口を向けた相手の恐怖、苦悶の表情。それが見たくてあえてこの役を買って出ている。
その表情の移ろいを見ると”生”を感じる。
—嗚呼、堪らない。
彼女は剥き出された自分の肩を抱き恍惚の表情で身震いする。
「…これだからやめられないのよ」
≪スリル/また会いましょう≫
また会いましょう
なんで、私の押しキャラクター全員死んじゃうの…
死柄木弔(志村転孤)
エレンイェーガー
夜神月/キラ
佐野万次郎
また[夢の中で]会いましょう
じゃあ、
またね。
あんなに
毎日
会ってた
友達とは
今となっては
年に一度
会えるか
会えないか。
みんな
子育てに
忙しい。
さらに
わたしも
結婚で
地元を
離れてしまった。
前とは
距離感が
変わってきてる
けれど
また
会って
あの頃のように
話したいことがあるから
心を込めて。
またね。
#また会いましょう
貴方はいつも嘘ばかり。
「君の方が好きだよ」
「君が1番だ」
「絶対に戻ってくる」
それが嘘って事くらいずっと前から知っているわ。
でも好きなの。好きなのよ。
だけどね。
やっぱりどこかで断ち切らないといけない繋がりなのよ。こんな関係。
だから。
笑ってお別れしましょ。
「また、会いましょう」
だけど、断言できない。
未練たらしく吐いた言葉。
だけど貴方は笑って
「もちろんだとも。また会おう」
って。
でもね。知ってるわ。
貴方はいつも嘘ばかり。
ーーーーーー
また会いましょう
また会いましょう
大好きなあなた
私はもう一度あなたに会いに行くよ
お金を積んで
当選するまでイベントの抽選に応募して
何度だって 何度だって
あなたに会いに行くよ
そうしたらいつの日か
なんらかの奇跡が起きて
わたしと結婚してくれないかなぁ
また会いましょう
旧言語体系プロトコルを起動する。
今日のテストバージョンは記述式プロンプトを使用した単独国家経済体系中期のうちの一つだ。2025009956890.012v
気が重い。が作業のためフィードに圧縮コマンドを入れていく
(str ; HW(01)¥@你)
>おはようございます。
>今日もいい天気ですね。
標準人格の起動確認できたのでこちらも音声入力に切り替える。
「今日は何を食べたらいいですか?」
思考30フレーム
>お腹が空いているのですね。サンドイッチ、コーヒー、軽いスナックなどが考えられます。
「それは朝食に適しますか?」
>わかりません。
「ありがとう、さよなら」
>さようなら、またお会いしましょう。
このバージョンもダメだったようだ。
チェックリストをマークしていく。
次の復元ポイントをセット、ライブラリ読み込み完了まで2システム時間。
ため息しか出ない、AI黎明期からの会話プロトコル再現なんてレポート課題選ぶのではなかった。
会話に装飾が多すぎる、社交辞令を喋るプログラムなぞどうして作ったんだろう。
こんな会話今なら一言で終わるのに。
@;f們”—
また会いましょう
あまり自分が他人に対して使ったことのない言葉
'また'という不確かな約束ではあるが、自分が誰かとの繋がりを持っているんだということが感じられる言葉だと思う。
小さい時の記憶って歳を追うごとに薄れていくよね。
思い出しても、その記憶が合っているのかそれとも美化されているのか.......。
そんな中で君との会話を思い出した。
「絶対星型のピアス開けるんだ!」
「だから学校離れても化粧で顔が変わっても星型のピアスで見つけて話しかけてね!また会いましょ!」
そう言って卒業した僕たち。
星型の何かを見るたびふと思い出す君の言葉。
また会いましょう、その言葉だけで君を探すなんてね。
そんなことを思って信号が青になったから一歩進んだ。
その時面影のある横顔に星型のピアスをしている子が横を通った。
「ねぇ!!星型のピアスの子!」
そう言うとその子は止まって振り返り僕の顔を見て笑った。
とても真面目な人だった。
制服は着崩さないし、消しかすはちゃんと集めて、ごみ箱に捨てにいく。それから、落とし物を見つけたら、必ず持ち主を探していたし、掲示物が風ではがれる度に、拾って、また丁寧に画鋲を刺していた。誰が見ていなくても、そんな、素敵な人だった。学級日誌を読み返すのが好きだったことも知っている。ページをめくりながら、書いたクラスメイトのことを考えるのが楽しかったらしい。
彼は、もうすぐこの学校を卒業する。教師になるという夢に向かって、地元を発ち、進学するらしい。私は彼と話したことはないけれど、彼のことが好きだった。話したことがないどころか、彼は私のことを見たこともないし、存在も知らないだろうけれど。でも、確かに、彼を思っていたのだ。夜の暗いうちから、朝いちばんに登校してくる彼のあくびを、心待ちにしていた。教室が心霊番組の話題で持ちきりになったときは、彼の青い顔をみて、誰も、彼も、私のことが見えていなくてよかったと思った。あの一日は、ひどく落ち込んだけれど。それくらい、彼のことを考えていた。
卒業したら、もう彼とは会えなくなると思っていたけれど。この間の面談で、教師になって、この学校に戻ってこれたら、なんて言っているのを聞いた。私の体に温度はないけれど、かっと胸が熱くなるような感覚がした。私の気持ちが、きっと伝わったんだと思った。だから、運命の再会なんて言葉を信じて、あの日から毎日、彼の耳に囁いている。その言葉を忘れないように。
/また会いましょう
〝また〟なんてあるのかな。
毎日のように「おはよう」といって、「また明日」と言い合ったあの日々が
終わるなんて思いもしなかった。
笑顔で話すだけで満たされて、気にかけてくれたらもっと嬉しくなった。
別れは突然だった。
「今までありがとうございました」
と言いながら背を向けたあの人の姿は忘れられない。
「行かないで」
と呼び止める勇気もなく、ただその姿を見つめることしかできなかった。
会うことはないと分かっていても、無意識にあの人の車を探してしまう。
大人になったら
また会いましょう。
「また会いましょう」
手を振って別れたあの日から、何年もの月日が流れた。
みんなそれぞれに日々の生活が忙しく、何の連絡も取らないし、来ない。
それでも、偶然どこかで会えば、話が弾む。
友達っていいな。って思う。
また会いましょう
「また会いましょう」って、なんて素敵で、なんて儚い言葉なんだろう。今度とお化けは出たことがないと言う人が居るが、まさにソレ!未来に期待を持たせつつ、その先は曖昧にする便利な言葉だな。
本当に会いたかったら、来週は?とか、来月は?とか◯日はどう?などと、具体的な日を提示するはずだ。こちらから「では何時にしましょうか?」なんて野暮なことを聞いたら、ふふと笑われて回答は得られない。
オレは何度それでガッカリしたことか!
「また会いましょう」なんて言葉は嫌いだ。普通にバイバイって言ってくれ!
今までありがとう
沢山の思い出と
沢山の喜びを
私はあなたにもらった
今までありがとう
君とは今日でお別れだ
思い出とももうお別れだ
それでも、忘れやしないから
私は忘れやしないから
また会いましょう
きっといつか出会う日が来るから
また会いましょう
〜また会いましょう〜
私の大好きな人
大好きだけど毎日会いたいというより
どこかに居てくれるそう思うだけで嬉しくて
ちょっぴりためらうことも背中を押してくれる
本当に大好きな人
また会いましょ!
また会いましょう
「ん⁈」
「どした?」
「いま……話しかけられたような気がして」
いつもどおりに3人でだらだらと歩いていた時、すれ違いざまに誰かに声をかけられたような気がして。振り返ったけれども、誰もいない。いや、街だから人はいるんだけど、私の耳元に囁けそうな距離、背丈の人はいなかった。
「見えないアレじゃないの。そういうのよくあるじゃん」
「こいつだけのあるあるだけどな。んで、聞き取れたか?」
「『また会おうな』だけは聞き取れた。その前になにか喋ったような気がするんだけど……」
不思議といやな感じはしない。どこかで聞いたことあるような声だったような気もする。誰だ?
「え……。絶対によくない兆候だよね」
「『また会おう』の前になに言ってたかによる」
後輩は顔を顰めて、弟は変わらずのポーカーフェイスで、それぞれに警戒してくれてるんだと思う。
「んー……また会いたかったら、向こうから勝手に来るでしょ。行こう、」
「いいの?」
「誰かわからんし。対策の打ちようがない」
「ま、悪さしに来たとしても返り討ちにすっからな」
「怖っ。……悪いのじゃないといいね」
こんなことは日常茶飯事。いまさら、私自身も巻き込まれがちな後輩も、自ら首を突っ込んでくる弟も怯まないし慌てない。
−−こんにちは、不思議。また来て、謎。悪いことするつもりなら追い返してやるぞ。覚悟して来い。
生憎、怯えて過ごすだけのか弱い少年少女じゃないもんで。
(いつもの3人シリーズ)
お題『また会いましょう』
パジャマパーティーで萌香の家に訪れた真珠星(すぴか)と委員長は目の前のキングペンギンの剥製に驚いていると後ろから萌香の母親が嬉しそうに2人に話しかけた。
萌香の母親「よく出来た剥製でしょう〜。友達から譲ってもらったの」
と言って萌香の母は作りかけの夕食の準備をする為リビングのドアへ向かう。いいそびれたのかドアノブに手をかけたまま振り向き真珠星達にご飯が出来るまで自由にして良いからと伝え、ドアを開きリビングの奥にあるキッチンへ向かった。
剥製の前で立ったままの二人に痺れを切らした萌香は二人の手を取り、2階にある自分の部屋へと連れて行く。
荷物を置いて少しリラックスしたところで萌香の母が夕食が出来上がったと伝えに来た。
夕飯は煮込みハンバーグとサラダと冷製スープという洋食だ。夕食を終え順番に風呂に入った。萌香の母が2階の客間に3人の布団を用意したからと言ったのでその部屋へ3人は飲み物や軽いお菓子を持って向かった。いよいよパジャマパーティーの始まりだ。
話の内容は自分の好きなこと、今ハマっているもの、学校のことや恋愛のことを3人は語り合った。
萌香が恋愛のことで悩んでいるようだ。真珠星達は興味津々で聞いている。
萌香「屋上で見つけたあのかっこいい人、実は……この前の遠足の時にあったの!」
委員長は探偵や警察になった気分で話す。
委員長「……つまりあの人(星)は同い学年ってことね」
萌香は首を上下に振り、今更恥ずかしくなったのか顔をかけ布団で覆う。数分後ドアをノックする音が聞こえた。急に静まり返る3人。再びドアがノックされる。萌香は返事をした。
萌香「は〜い」
ノックの音の正体は萌香の母だった。
萌香の母「夜中12時回ったからキリのいいところで寝なさいね〜」
とだけ伝え部屋に入ることはなかった。3人は歯を磨き布団に入り寝ることにした。
翌朝、朝食を食べ終え午前中にはパジャマパーティーは終わった。母親が朝から仕事だったので歩いて駅の改札口まで向かう。萌香は笑顔で二人を見送っている。
萌香「今日はありがとう。また明日ね〜」
真珠星「うん。じゃあね」
委員長「こちらこそありがとう。楽しかったわ。明日、月曜日にまた会いましょう〜」
真珠星と委員長は手を振りながら駅のホームへ向かう。二人の姿が見えなくなるまで萌香は改札口に立っていた。
End
五目チャーハン
2024/11/14㈭日記
こんばんは。
家族旅行に行っていました。
前回の旅行と同じく旅行中は
デジタルデドックス。
なので、ここも休止。
今から夜の美術館に。
ここ(都会)まで来て
そういえば……って展示を思い出して急遽、行くことにした。
好きな画家の今まで観たことのない
作品が展示してあるので、それが
目当て。
都会はやはり違うよね、
夜間展示とかさ、それなりに
入場者数の見込みがないと開催が
出来ないだろうから。
じゃあ行って来ます。
おやすみなさい。
真菜香と静かに目を合わせる。そして頷きとも言えない微かな首の動きを互いに送り合い、私達は判決を下した。これはナシ。
まずフーディーの柄が粋がってる。スプレーで描かれた壁の落書きみたいなアルファベットは炎に囲まれてて、まるでヤンチャな高校生とか大学生が着ていそう。粋がってる、の正しい実例を初めてこんなにきちんと見た気がする。
それから、ジーンズのダメージ具合。ところどころ擦り切れてるのはいい感じ。けど……ほつれた裾が地面に擦れる長さなのが……。汚らしい。かかと、踏んじゃってる。つまり土足と同じその裾で室内も歩くんだと思ったら鳥肌が立った。
サコッシュがカモフラ柄なのも小学生かって感じだし、全体的に……むしろわざとやってますか?と聞きたくなる。
スーツの時はシュッとして見えた顔立ち。私服だと、こんなにもっさりするんだ。髭しっかり剃ってよ。
実習中、アウトローな感じでカッコよかった「俺、教員志望じゃないから」も、こうなってしまうと、ただの無責任にしか聞こえない。
あの、それサービスじゃなくて売り物のお菓子です。勝手に食べないでください。
てか、いつまでいるの。
そもそもこの人に学園祭の日程教えたの、誰?
ヒソヒソ囁かれるもっともな言葉達。
「俺ですごめんなさい」
カフェ風に装飾した教室の隅で、実行委員が肩を落とした。禁じられてたLINEの交換、しちゃってたらしい。きっと向こうからなんだろう。ルール違反のせいで、ずっと頑張ってきた委員にこんな思いをさせるなんて。悔しいと言うか悲しい。
でも、そんな私達の声は届かない。終了まで居座ったセンセイは、実行委員の挨拶に大きな声で合いの手まで入れていた。「打ち上げの情報、絶対に明かすなよ」という、こっそり回される伝言に全員が団結する。
「今日はありがとう!お前ら最高!また会いましょう!」
ライブみたいなセリフで最悪な余韻を残し、センセイは去っていった。すごい疲労感。
「お疲れ」
肩を落として片付けを進める委員に労いの声を掛けると、振り向いた顔が力なく微笑んだ。
「ほんとごめん」
「いや、悪くないから、ごめんいらないよ」
実行委員は軽く苦笑いしてから、荷物を抱えてドアの方へ足を踏み出しかけた。そして踏みとどまる。
「打ち上げ、来るんだよね」
「あ、うん。途中で帰るけど」
塾があるから最後まではいられない。それを告げると、実行委員は「来てくれてありがとう」と少し疲れたように笑った。
いいやつだ。
感心した私は実行委員の荷物を半分持つことにした。ざわついた廊下を並んで歩く。話題は自然とセンセイのことになった。
「なんで来るかね」
私の不満に、実行委員はまた力なく笑った。
「まあね……でも、悪い人じゃないんだと思うよ。なんだかんだ、俺達のこと覚えててくれて、こうやって会いに来てもくれたわけだし。そこはありがたいよね」
いい人なんだなあ。そう思いながら顔を見つめたら、メガネの下にソバカスがたくさんあることに初めて気付いた。肌がきれいだから目立つんだ。もしこの先に似顔絵を描く機会があったら、かなり可愛く描ける自信がある。
一重だけどつぶらな目がパチパチとまばたきを繰り返す。
「センセイとは好きな洋楽が似てて、けっこう話したから、ついLINE交換しちゃってさ。あー、皆に悪いことしたな」
後悔に苛まれる姿が悲哀に満ちていて、私は心にも無い、
「意外と面白かった」
なんて言葉をかけていた。面白くはなかったけど、たぶん、思い返す度に面白くなるはず。だからまるっきりのウソじゃない。
「今井さん、シフトいっぱい入ってくれたり、準備とか片付けとかも、ありがとう。助かった」
1クラスメイトの私に向けられる心遣い。ほんとにこの人、いい人なんだなあ。てことは、センセイも、確かに思うほど悪い人でもないのかも。私達に愛着があるのは本当なんだろうし。もしかしたら、若い私達に合わせたくて、無理してあんな感じになっちゃったのかもしれない。
「あ、段差」
気を取られていた私をさり気なく誘導する人の良さも、なんか、あったかい。自然と笑顔になれた。
「やっぱり、最後までいようかな、打ち上げ」
塾の振替手続きがめんどくさいけど、それくらいやってもいいかな。こう見えて私も好きな洋楽があるし、ちょっと話してみたい気がする。
「えっ、ほんと?良かった!せっかくだから、なるべく大人数で楽しみたくて。ありがとう!予定、いいの?」
既にもう、胸がワクワクする感覚がある。頷いたところで、実行委員が荷物を気にしながらポケットのスマホを取り出した。
「あ、センセイから。今日はありがとうって。また顔出したいって。あー、どうしよう」
私達は困った笑顔を共有しながら一緒に対策を考えた。そして、はっきりした拒絶ではないが明確な約束もしない1言を2人で思いついた。
「また会いましょう」
※センセイへの批評は彼女独自の感性によるものです
《また会いましょう》
最近わたしはまた新しい人に恋をしています
相手から返信が来るたびに「これって脈アリかな♡」
と意気揚々とGoogleさんにお尋ねします。今日は彼から「この前それ食べたいって言ってたもんね」と来たものですから、わたしとの会話を覚えていてくれているなんて脈あるじゃん!と思い検索しました
検索 「会話覚えててくれる 脈ある?」🔍
下の方までスクロールして出てきた答えは
結果 「不整脈の可能性も…… 続きを読む」
、もういいです、Googleさん、 “また会いましょう”。