また会いましょう』の作文集

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また会いましょう』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

11/15/2023, 11:05:04 AM

〔また会いましょう〕

また会いましょう。
そう思えるから、今夜サヨナラをした。

11/14/2023, 4:31:31 PM

ー本当の君ー

扉を開けばまた扉
どこまで続いているのか分からない

扉を開くたびに見えてくるのは
優しくて明るい光景
そして、とても暖かい

なのに、分かりづらいくらい少しずつ
色鮮やかな部屋が色褪せていき、
物や装飾で飾られている部屋が殺風景に変化している
そして、君が、どんどん小さくなっている

そうか。ここは君の心の中なんだね

いつもの笑顔が消えていく
前を向いている目は下を向いていき、
姿勢が正しい君の背中は丸まり、肩も下がっていく

ようやく辿り着いた最後の部屋を開けた時、
君は広い部屋に一人で俯いて座っていた

ああ、やっと「本当の君」を見ることができたんだ

だから僕はゆっくりと近づき、
壊れてしまわないように優しく君の背中を包み込みながら隣に座った

君が鍵を開けてくれたからここまで来れたんだ
ありがとう
これからは僕がずっと隣にいるから、
もう一人じゃないよ

その代わり、僕しかここの部屋を開けないでね

11/14/2023, 3:00:34 PM

また会いましょう

人間界での修行が終わり、私は魔法界に帰らなきゃいけなくなった。来たばかりの頃は失うものはないと思っていた。
でも、今は違う。別れたくない。惜別が辛い。
目の前で泣きじゃくる彼女も同じ想いだろう。
「仲良くなれたのにっ…お別れなんて嫌だよ…!」
彼女と出会った春、思い出をたくさん作った夏、人間界の美しい場所に行った秋、お互いのことを眠くなるまで語り合った冬の夜、たくさんの思い出が駆け抜けていく
「…っ!私もだよ」
しばらく抱きしめ合って2人で泣いた。

あなたが寂しくないように、ささやかな魔法をかけよう
また会いましょう、かけがえのない人。

11/14/2023, 2:25:42 PM

また会いましょう


(お題更新のため本稿を下書きとして保管)


2023.11.14 藍

11/14/2023, 2:24:52 PM

不思議なことが起こった。

妻が亡くなってから十年。久々に妻が好きだった、桜並木が綺麗な場所へ足を運ばせた日のこと。
桜が満開に咲いている日で、のんびりと桜を見たりしている時、ふと前を向いたんだ。
その先に、十年前の妻がいたのだ。

俺は、最初夢を見ているのか? と、自分の頬をビンタした。痛かったからおそらく現実だろう。

妻は優しく微笑んでいた。俺は優しく微笑んでいる妻へ近寄った。
『元気でしたか?』
妻の声だ。俺の目に涙がぽろぽろ溢れだす。
『ごめんなさい。先に逝ってしまって……。ちゃんと、ご飯食べてますか? お酒はあまり飲まないでくださいね?』
生前の時と変わらない心配性な妻に俺は、頷くしかできなかった。
『貴方』
「どうした?」
嗚咽まじりに聞いた。妻は優しく微笑んでいる。妻の手が俺の頬を撫でた。

温かい手だった。

『生きてください。生きている人生を謳歌してください』
妻の励ましの言葉にさらに涙が出る。

俺は、この桜の木を見納めたら死のうと思っていた。
妻のいない時間はつまらなく、生きている気力すらなかった。だけど、今日、なんとなくこの場所に来たくなったんだ。妻と一緒に見た桜をもう一度見たくなったのだ。

だが、妻が現れた。俺の自殺を止めるかのように。
俺は妻へ言った。
「お前のところにいきたい。ダメか?」
妻は困り顔をした。
『まだ、こっちには来ないで欲しいわ』
「でも……でも……」
妻は俺の頭を撫でた。
『また逢えるわ。だから、その時まで我慢して』
「アキコ」
妻の手が離れ、桜風吹が舞った。次に目を向けた時、妻はいなかった。

11/14/2023, 11:44:59 AM

『また会いましょう』


私は2回目のない女だ。


友達に

「彼女募集中の人がいるんだけど、会ってみない?」

と言われて紹介され、二人きりで一度は会うも…二度目がない。


私はまた会ってもいいかもと思ったとしよう。

すると相手はそうでもないらしく、

「また会いましょう」

なんて言葉を真に受けて

「次はどうします?」

なんてメールを送ろうもんなら

「今ちょっと仕事が忙しくて。落ち着いたらまた連絡します。」

と月並みな断わり文句をもらってフェードアウト。

20代前半で何度も落ち込む事になった私は出会に消極的になり、29歳の今に至る。


「ああ、またか…」と傷つきたくないのだ。


それでもあと数ヶ月で30代の仲間入りを果たすのかと思うと、このまま独りでいてもいいのだろうか?と漠然とした不安に襲われる夜もある。


「そろそろ結婚相談所とか、そういうのに登録した方がいいのかなぁ…。」


「マジでっ!?」


私の発言に横の席に座る元同期の飯野がひっくり返した様な声を発した。


飯野は同期入社で同い年。


3年前に転職して今は同僚ではないけれど、同期でなんとなく気があって、今でもたまに飲みに行く仲だ。


飯野は二度目のない私とは違い、おモテになる。


彼女と別れたと聞いて数ヶ月後に会うともう彼女が出来てたりする。


二度目どころか何度でもある側の人。


恋愛に関しては全く対極なのになぜか気があう不思議な存在だ。


「私も適齢期ってヤツだよなぁと思って…でも分かってるの!そーゆうのに登録したところで、また二度目なんてなくて凹む事くらい。」


ビールのジョッキをダンッとテーブルに置いて、嘆く。


言っておくけど、普段の私はこんな絡み酒ではない。


数ヶ月で30という事実を目の前に平常心を保てていないのだ。


「あー…逢坂が『また会いましょう』って言われても次の約束がないってやつ?」


「そう、それー。でも果敢に挑んでいくしかないのかなー…。」


「……。」


そんな事をボヤきながら今日の二人の飲み会はお開きとなる。



「じゃあ、おやすみ。」


帰る方向が違う為居酒屋の前で飯野に向かって軽く手を挙げ別れの挨拶をした。


「おう、またな。」


飯野も手を挙げたのを見て、私帰り道の方へと体の向きを変えた。


分厚いコートを着てきて良かった。


今日は冷える。


私の30の誕生日の頃には雪も積もっているだろうか…。

「逢坂!」

そんな事を考えていたら背後で飯野に呼ばれた。


「ん?」

まだ何か用があったのか?


「俺は?…もう何年も『またな』って言ってるけど、二度目どころか何度も会ってるだろ?」


「へ?」


「次は彼氏、彼女としてまた会おう。」


何を言っているのか私が理解出来ないうちに飯野は呆然と立ちすくむ私の側まで来て、私の背中に腕を回すと耳元でそう囁いた。

11/14/2023, 10:20:06 AM

【また会いましょう】

いつもよりは、少し静かだな…

病院の待合にいた私は、こういうときならと、読みかけの文庫本をバッグから取り出した。会計にはまだまだ時間がかかりそうだ。挟んでおいた栞を外し、本文に目を落としたその時だった。

「Hello!」

どこからか、とても発音のいい挨拶が聞こえた。ここは総合病院だから、外国人の患者さんが訪れることも少なくない。あまり気にも留めずに本を読み進めようとすると

「Hello!」

また同じ声が聞こえた。近くにいるんだろうかと顔を上げてみると、すぐ横に小柄な青年が立っていた。

「Can I talk to you for a moment?」

どうやら、あの挨拶は私に向けたものだったらしい。私は「Yes」と言って彼と話すことになった。

こういうことは初めてではなかった。両親ともに日本人だが、どちらかというと顔の掘りが深いタイプなので、海外の方に間違えられることが今までにもあったのだ。ネイティブと英語で話す機会も多く、会話も問題なかった。

彼と会話を進めながら、次第に違和感を覚えた。最初は流暢だった彼の英語が辿々しくなり、間が開くことが多くなったからだ。もしかして…と思い、私は日本語で言った。

「あの、私、日本人なんですけど」

その瞬間、明らかに彼の表情が変わった。どうやら、私の推測どおりだったらしい。彼は慌ててこう説明してくれた。

「ごめんなさいっ‼︎ 僕、独学で英語を勉強してるんですけどなかなか話す相手がいなくて。ネイティブの人に自分の英語が通じるか試してみたくてつい…」

それからは、お互い日本語で気楽に話をした。彼は長くこの病院に通院しているのだという。骨の成長に関わる病気だそうで、身長は今のままで伸びないのだという。

「あの、病院だからこんなこと言うのはアレなんですけど」

彼は遠慮がちに次の言葉を続けた。

「今日、あなたと話せて本当に楽しかったです。また会えたら、今日みたいに話しかけてもいいですか?」

「ええ、もちろん。でも、今度は最初から日本語でお願いしますね」

クスクス笑っているところで、会計の順番が回ってきた。それじゃ、と言って立ち上がると

「それじゃ、またどこかで!」

と彼が手を振ってくれた。

あれから随分経つけれど、彼にはまだ再会できていない。今でも病院の待合にいると、何となく周りをキョロキョロ見てしまう。無意識に彼の姿を探してしまう自分が可笑しくて仕方ない。今日もいないかぁ、と置いてある週刊誌に手を伸ばす。

「こんにちは!」

聞き覚えのある声がすぐ横から聞こえた。きっと、顔を上げたときには少し皺の増えた彼の笑顔があるだろう。

11/14/2023, 10:11:32 AM

#また会いましょう

別れ際の言葉は「またね」がいい。

たとえ社交辞令でも、
また会いたいです、会えるかもしれません、会えるでしょう、会うつもりです、って再会する未来がある気がするから。

言っている人は、深い意味なんて考えてなくて、ただ結びの言葉に「またね」と言ってるにすぎないかもしれない。

ただの文字として並べた「またね」の言葉について、ニュアンスや雰囲気や色やイメージや含みの、とりとめのないことをたくさん考える時間がとても、とても好き。

11/14/2023, 10:00:58 AM

【また会いましょう】


オレ「また連絡するね」
親「うん また電話して」
オレ「じゃあおやすみ あたたかくしてね」
親「おやすみなさい」

オレが実家を離れて7ヶ月経った。

親はオレの『祖母』だ。
母はオレが邪魔でオレを祖母の家に
預けたままにしていた。

「早く起きなさい!」「勉強しなさい!」
「早く寝なさい!」

育児放棄の母と違い、
祖母は実の母のように面倒を見てくれた。

たまにくちうるさい時はもちろんあるが
オレの得意なこと、優れていたことには褒めてくれた。

しかし貧しい家庭のせいで
食料も少なくなり、少しでもお金を作るために
保険を自らやめるようになった。

そんなひもじい生活を送っているが
『苦しいことは』あまりなかった。

オレは毎月に3度ほど会いに行く代わりに
電話をかけている。

「風邪ひいてない?」「働きすぎてない?」
「ちゃんと食べてる?」「旦那とはどう?」

やはりこういうあたたかいところが
オレは『親』だと思う。

オレ「早くばあちゃんに会いに行って
元気な顔みたいよ」
親「ほんとかい?w
いつでもいいから旦那をそこに置き去りにして
帰ってきなさいw」

本当に最高な『親』だ

11/14/2023, 9:55:26 AM

マルキェヴィッチは部屋で一人泣いていた。
手元に突然転がってきた権力は、彼を悲しみに浸らせる暇も与えなかった。

寝食を、苦楽を共にした彼女はもういない。
やっと一息、家に帰ることができたのに。
部屋の中は空っぽで、二人で暮らしていた痕跡は綺麗さっぱり片付けられていた。

「クローディア……どうして」


伝えたいことはたくさんあった。
しかし、驚きが頭を混乱させ、どうしての一言しか出てこなかった。疑問に答えたクローディアは、混乱に乗じて自らの唇を彼に重ねた。

「マーヴェ、大好きだ」

自分の気持ちに気付いたときには、クローディアの背中は消えていた。試合が終わり、彼女は一切姿を見せなかった。


ひとしきり泣いた彼の頬を、寒々しい風が撫でた。窓を開けていたことを思い出し、閉めようと立ち上がる。

「……あれ?」

テーブルの上に、黒い箱が置かれていた。
大きさは彼の手のひらに収まるくらいで、中身はさらに小さいものだと判断できる。

『Dear Malkiewicz』

金色の文字で、自分の名前が刻まれていた。
差出人はわからないが、クローディアで間違いないだろう。そう確信し、彼は箱を開けた。

『I wish you the best of luck Claudia 』

彼女の扱うアーツを思わせる、透き通る青のネクタイピンが入っていた。
早速身に着け、鏡台の前に立ってみる。

「よく似合ってるよ、マーヴェ 」

いつものように、薄く微笑んで答える声が聞こえた。


『長い道のり』
「また会いましょう」

11/14/2023, 9:42:46 AM

お酒を飲む場所に

1人でフラっと入って

カウンターで飲んでると

色々な出会いがある。


人見知りだから

自分から声は掛けれないんだけど


「お兄ちゃん よく来るの?」

「お兄さん それ何飲んでるの?」

「そのピアス めっちゃいいッスね」


若い子から人生の先輩達まで

話の入り口は色々だけど

有難いことによく声をかけてもらう。


お酒もすすんで

緊張も解けると仲良くなって

また 一緒に飲もうと誘われて

LINEを交換する。


別れ際に「またね」とか「また誘います」

って言われるから

「また飲みましょう」とか「うん、待ってるね」

ってテンション高めに返すんだけど

次の日に目が覚めて素面になると

昨日の出来事に全く 現実味がないから

自分からLINEした方がいいのかな?

考えてる内に疎遠になっていく…

もちろん そこからできた

飲み友もいるんだけど


また会いましょうって

交換したはずのLINEに…

この人って 誰だっけ?

そんな名前が増えていく度に

頭上にハテナマークと

苦笑いも同時に増えてく…。





- 一期一会 飲みニケーション -

11/14/2023, 9:42:43 AM

「また会いましょう、だって。めっちゃ距離感じるよなあ」

『3年間まともに目も合わせられなかった高嶺の花と最後に話せただけ良しとしとけよ』

「A組いったらもう長蛇の列できててさ。アイドルの握手会かと思ったわ」

『そのアイドルのファンの1人にしかなれなかったお前は、認知もされず卒業後の進路も聞けずに退散してきたってわけね』

「来年から何するんだろ〇〇ちゃん。都内でキラキラJDになっちゃうのかな」

『俺と同じ大学っていう可能性もあるよな』

「来週だっけ?引越し」

『そう、日曜。早い方が見積もり低く出せるって言うから』

「…………。でも〇〇ちゃんも地元に残るならまた会える可能性もあるよな。"また"会いましょうってことは、向こうも会う気はあるだろうから、」

『いやないね』

「おい」

『高校卒業っていう結構大きな分岐点で"また会いましょう"なんて抜かすやつは、もしまた会ったとしても"また会いましたね"で済ませるんだよ』

「えー、だったら"また"とか言って期待させんなよぉ」

『いいか?放課後に帰るとき、毎日顔をあわせるクラスメイトには何て言う?』

「……また明日?」

『毎年恒例のお正月特番の終わりの挨拶は?』

「また来年!」

『そういうこと。"また"が本来の意味を成すのは次の予定が決まってるときだけ。それ以外の挨拶ではただの常套句なんだよ』

『お前と高嶺の花子ちゃんはそれまでの関係ってことだ』

「じゃあ、来月から社会人になる俺と、大学生になるお前は、」

『何だと思う?』

「……また会いましょう」

『来週の日曜日に俺の家でまた会いましょう、だ』



(やっぱ寂しかったんだ〜!)

(お前絶対に新居荒らすなよ!?)

11/14/2023, 9:37:34 AM

じゃあ、また。

ごはん行きましょうね。

連絡ください。






 

ほんとの
笑顔で
言える時。





仮面を被った
笑顔で
言う時。






そのまま

連絡しなければ

連絡が来なければ





終わる関係なんて

いくらでもある。





それでいい。





わたしの

人間関係は





わたしが

選んで

心地良いものにしていけば

それでいい。


#また会いましょう

11/14/2023, 9:32:30 AM

『また会いましょう』
その「また」は二度と訪れないかもしれない。
予定が重なって?遠くへ引っ越さなければならなくて?何となく会う気が起きなくて?社交辞令で?
理由はさまざまだけれど。
二度と会えなくなる可能性は無いわけではない、ということ。


噴水のある公園、時計台の下であなたはそう言ってくれたよね。短針はちょうど私たちを指差してたっけ。
あれから針は何周したんだろう?数えるのも億劫だ。
なのに私はその言葉をまだ信じてる。信じたいんだ。
あなたはまた、あの別れのときのように笑ってやって来てくれるって、信じてるんだ。
どれだけあなたが来なくても。素っ気ない返信でも。返信が来なくなっちゃっても。

それでも、私の時間はずっと止まったままだから。

私は、ずっとここで待ってるよ。この時計台の下で。
誰から指を差され笑われようと関係ない。

「また会いましょう」
その言葉をずっと、信じてるから。

11/14/2023, 9:23:59 AM

また会いましょう。
 彼女は、そう言った。
 僕は時間を分かっていなかった。
 また会えるかなんて。
 人は変わる。
 次に会った時の君には面影もないかもしれない。
 
 僕は後悔をしたくない。
 だから、君との縁はないと諦める事にした。
 だけど、諦めるのは思っていたより時間がかかって。
 相変わらず僕は時間を分かっていない。

11/14/2023, 9:15:54 AM

夢の痕



寝ている間に産んだものを疑って仕舞わぬように
書き留めたメモ帳

大丈夫だよ

11/14/2023, 9:13:14 AM

また会いましょう。
 そう書いておけば、きっと叶うと信じている。

 小学生の頃、ある転校生と仲良くなった。
 彼は物腰が柔らかく、常に優雅な微笑みを浮かべていた。女子からは当然、男子からも「なんかどきどきする」と一目置かれていて、クラスだけでなく学校全体で大人気だった。私も例に漏れず、彼の優しくて穏やかな微笑みの虜になっていた。

 幸運なことに同じクラスだった私は、隙あらば話しかけたり遊びに誘ったりと、今では考えられない積極性でアプローチをかけていた。その甲斐あって、彼とはものすごく仲良くなれた。

 残念ながら全国を飛び回るご両親の都合で、すぐに転校してしまったけど、社会人になった今でも文通を続けて関係を保っている。

「あんたもよくやるわ。もう二十年だよ?」
「うるさいなー。別にいいでしょ」

 仕事帰りの居酒屋は賑やかな笑い声が溢れている。

 私の目の前でジョッキを空にした彼女は小学校からの友達で、なんだかんだ近況報告をするくらいには仲が良い。だから今も、彼のことを話したのだ。

「そんなにハマるほどイイ奴だったっけ?」
「イイ奴……かどうかは分かんないけど、すっごく優しくて、穏やかで、とにかく一緒にいて落ち着く人だったの!」
「ふーん。ていうか、なんで文通なわけ? 今の時代、通信手段なんて腐る程あるのに」
「まあそうなんだけど……なんか、言い出しにくくて。メッセージとか電話とかって印象変わるしさ。お互いに」
「少女漫画か。今どき小学生の方が進んだ恋愛してるわ」

 冷めたような呆れたような目で見られる。

 そう言われるのも仕方がないとは思うけど、長年続けてきた習慣はそうそう変えられるものでもない。
 何度もアドレスや番号を聞こうとして、そのたびに便箋を捨ててきたのだから、きっとこれからも聞けずじまいだろう。

「でもさ、私らだって結婚適齢期って言われる年齢になったってこと自覚しなよ?」
「分かってるよ。親がめっちゃうるさいもん」
「あんたのことじゃなくて相手のことだよ。優しくて穏やかで仕事も順調なんて、そんな優良物件が残ってるわけなくない?」

 彼女に言われて押し黙る。

 考えなかったわけじゃない。むしろ、最近は返信が遅くなってきたのだ。もしかしたら――という推測は止まることはない。
 手紙には書かないだけで、もう誰かと結ばれているかもしれないと思うと胸が張り裂けそうになる。

「会えるかどうかも分からない相手に入れ込んで、あんただけが寂しい思いをするなんて嫌じゃん」
「……私だけ?」
「そ。あんただけ」

 店員が運んできたジョッキを受け取って口をつけながら、彼女は左手を見せてきた。

 綺麗な爪に施された薄桃色のネイルを見て、光を反射する何かに気づく。細い指に燦然と輝いているのは指輪だ。しかも、薬指にぴったりと嵌っている。

「うっそ! 結婚するの!?」
「あんた全然気づかないんだもん。報告しようにも、ずーっとあいつのこと喋ってるしさぁ」
「それはごめん。でも、おめでとう! 付き合って何年だっけ?」
「もう六年になるかな。私の仕事が軌道に乗っちゃったから、予定よりも大幅に遅れちゃったんだよね。でも、ずっと待っててくれてさ」
「だって、彼氏さんベタ惚れだもん。待っててって言われなくても、ずっと待ってたと思うよ」
「やっぱり? まあ、まだ何も決めてないんだけどね」
「乗れそうな相談ならいくらでも乗るからね! 結婚式には絶対呼んでよね!」
「ありがと。ていうか、あんたは強制参加。友人代表スピーチ、めっちゃ期待してるんだから」

 幸せそうな顔をしながら笑う彼女を祝うのと同時に、いつまでもこのままじゃ駄目なのかと現実を突きつけられた気がした。
 

 翌日出社してから、自分の部署にいる既婚者たちを改めて見つめてみた。

 先月入籍した女性は幸せそうだし、十三年連れ添った男性は今日も手作りのお弁当を広げているし、子供さんがいる人は連休中の予定を立てるために仲間と調整を掛け合っている。

 私が彼と文通をしている間に、あの人たちはもっと身近で出会って、もっとよく知っている人と恋に落ちたんだ。

 今までの時間に後悔なんてないけれど、ほんの少しの焦りみたいなのは感じるかもしれない。

 こんな風に思ってしまうのも嫌で、誰にも気づかれないように小さく静かに息を吐き出した。

 お昼休憩が終わり、余計なことを考えなくてもいいように仕事に集中しようとした。そのタイミングで上司に呼ばれて別室に移動する。
 デスクで片付く要件ではないのだろうかと怪訝に思いながらついていく。

「明日から入社する子なんだけど、君と知り合いだと言うから先に顔を合わせた方がいいかなと思って」
「知り合いですか……?」

 どこか癒やしの雰囲気をまとっている上司に言われながら部屋に入ると、ソファーに腰かけていた女性が立ち上がった。

 真っすぐ伸びた姿勢と優雅に微笑んでいる顔を見て、綺麗な人だなと圧倒される。

「お久しぶりです。私のこと、覚えていらっしゃいますか?」

 あなたみたいな美人と知り合った覚えはないのですが。

 喉のギリギリまで出かかった言葉をなんとか飲み込んで、考えるふりをしながら首を傾げる。曖昧に笑う私に、彼女は怒るどころか明るく笑った。

「手紙の文末に『また会いましょう』って、必ず書いてくれたでしょう? 私にとって、そのひと言がずっと心の支えになっていたんです」
「……え?」
「また会えて、とても嬉しいです」

 言葉のとおり、本当に嬉しそうに笑う彼女は、私がずっと文通していた相手だった。

11/14/2023, 9:08:41 AM

また会いましょうはすごくきれいな日本語だと思います。そういった丁寧な言葉使いができる人は育ちが良いのかなとイメージもします。私もそうなりたいです。

11/14/2023, 8:56:51 AM

「またこの町で会いましょう?」
と笑顔でおっしゃっていたお嬢様が今でも忘れられない。
この約束を果たすのはもう少し先になりそうだ…。

『また会いましょう』

11/14/2023, 8:52:19 AM

今までお元気でしたか
最近急に寒くなりましたね
あなたのような立派な木でも、寒いと感じる事はあるのでしょうか
私は急に寒くなったので、慌てて冬服を出しました
油断していました
なんというか、毎年こんな感じな気もします
なかなか人間というものは学習しない生き物なのかもしれません

毎年あなたが紅葉してから来るのですが、今回この時期にここに来たのは理由があります
実は海外に出張が決まり、今年いっぱいは日本を離れることになりました
あなたが紅葉する様子を見れなくて残念です

日本を出る前に、あなたの見事な紅葉を見たかったのですが、今年は暖かい日が続き準備ができてないようですね

あなたの紅葉があまり進んでいないようなので、少し心配です
急激な温度変化なので、お互い体調を崩さないようにしましょう
健康が一番です

日本にまた帰ってきますが、あなたはその頃眠っていることでしょう
次に会うのは来年の春ですね
たくさんの葉っぱで生い茂っている様子を想像すると、とても楽しみな気持ちになります

また会いましょう

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