Kagari

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また会いましょう

「ん⁈」
「どした?」
「いま……話しかけられたような気がして」

 いつもどおりに3人でだらだらと歩いていた時、すれ違いざまに誰かに声をかけられたような気がして。振り返ったけれども、誰もいない。いや、街だから人はいるんだけど、私の耳元に囁けそうな距離、背丈の人はいなかった。

「見えないアレじゃないの。そういうのよくあるじゃん」
「こいつだけのあるあるだけどな。んで、聞き取れたか?」
「『また会おうな』だけは聞き取れた。その前になにか喋ったような気がするんだけど……」

 不思議といやな感じはしない。どこかで聞いたことあるような声だったような気もする。誰だ?

「え……。絶対によくない兆候だよね」
「『また会おう』の前になに言ってたかによる」

 後輩は顔を顰めて、弟は変わらずのポーカーフェイスで、それぞれに警戒してくれてるんだと思う。

「んー……また会いたかったら、向こうから勝手に来るでしょ。行こう、」
「いいの?」
「誰かわからんし。対策の打ちようがない」
「ま、悪さしに来たとしても返り討ちにすっからな」
「怖っ。……悪いのじゃないといいね」

 こんなことは日常茶飯事。いまさら、私自身も巻き込まれがちな後輩も、自ら首を突っ込んでくる弟も怯まないし慌てない。


−−こんにちは、不思議。また来て、謎。悪いことするつもりなら追い返してやるぞ。覚悟して来い。
 生憎、怯えて過ごすだけのか弱い少年少女じゃないもんで。



(いつもの3人シリーズ)

11/14/2024, 9:10:58 AM